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「岡部陽二 著作集 ~1998 ~一国際金融人の軌跡~ 」序文

 

 私は昨年4月、63歳にして、広島国際大学福祉医療学部医療経営学科教授に就任いたしました。広島国際大学は、高齢化社会に向けての医療福祉分野での国際的視野をもった指導的職業人育成を目的として、広島県安芸郡黒瀬町(その後、東広島市に編入)に開設されました5学科学生数2,000人規模の四年制大学です。中でも私が所属しております「医療経営学科」は、医療機関の経営者育成を目的とする全国でも数少ないユニークな存在です。 

 この新しい大学からお誘いを受けて、開学の理念に賛同し、「機失うべからず、時再び来らず」と 教授陣のスターティング・メンバーに加えて頂いた次第です。大学では、国際経営論などの講義、医療経営実習を担当しますが、この大学で私が21世紀を担う若者に教えることが出来るのは、40年にわたる金融界での経験しかありません。 英国の諺では、「学問のない経験は 経験のない学問に優る」と申しますが、旧い経験はむしろ未来へ向けての変革の障害ではないかと危惧もしております。

 教育界への転身を人生の一区切りとして、これまで辿ってきた軌跡を振り返り、(株)住友銀行、明光証券(株)、住銀インターナショナル・ビジネス・サービス(株)在勤中に書き残しました国際金融関係の小論と趣味を中心としたエッセーに、関連の雑誌記事などを加えて、私の著作集として纏めることを思い立ちました。

 それにしても、人との出会いはまことに貴重なものです。最近つくづくとその大切さを噛みしめております。広島国際大学の教授就任は、広島大学の原田康夫学長に一度お目にかかっただけで、本決まりとなりました。このデジタル出版は、帆風(株)の犬養俊輔社長にお会いすることがなければ、実現出来ませんでした。また、こんなにカラフルで素晴らしいデザインの著作集に仕上がりましたのは、アンドシーの小原紹一郎さんをご紹介頂いたお蔭です。そのどれもが、私にとりまして実に幸運な巡りあわせと心底より感謝しております。

 この著作集に収録しました作品の殆どは、住友銀行で四分の一世紀に亙り国際金融業務に携わっていた当時の論説と、銀行退職後に往時を振返ってぼつぼつと書き足した随想です。随想の二大テーマとしました"旅行"と"鉱物収集"は、旺盛な好奇心だけが取柄の私にとって生涯を通じての掛替えのない趣味となってしまいました。本書の内容はすべて私のホーム・ページhttps://www.y-okabe.org/でも閲覧願っております。自己満足以外に何の価値もない"自分史"ですが、お暇な折に一、二編でもお読み頂ければ幸いです。 

平成11年1月

(岡部 陽二)

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 (1999年3月31日,帆風出版発行「岡部陽二著作集~1998 一国際金融人の軌跡」「はじめに」所収)







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