個別記事

書評;次世代の若者に生き方のヒントと夢を与えてくれる

230727吉田勝昭「私の履歴書」Logo.jpg



 吉田勝昭氏は2018年から「吉田勝昭の『私の履歴書』研究」として、この連載物に何が書かれているのかの概要を一目で把握できるように工夫された分かりやすい要約判のアップを、氏のホームページ https://biz-myhistory.com/ で始められた。現在では、880名を超える全登場者の「私の履歴書」概要と評釈がHP上で見られる。

230727吉田勝昭さん本書評Last.jpg
 今回刊行された氏の「私の履歴書」研究成果4冊目となるこの「特別編集ダイジェスト版」には、日経連載67周年を迎えて、2022年9月までに登場したか各界のリーダー全876人の中から氏の選球眼で選りすぐった100人の実像が、「略歴・主な事績・特筆すべき証言、感想と補足、一言」に分類されて2ページに要領よく取りまとめられている。

 明治・大正・昭和を生きた著名人の「私の履歴書」を若者に紹介することこそが、若者の生き方に貴重なヒントを与え、人生の夢に繋げるのではないか、その可能性の追究が社会へのささやかな貢献となる、との強い信念を氏は持っておられる。この気迫こそが、気が遠くなるような本書の編集作業を支えている。

 100人の選別基準が気になるところではあるが、これを問うのは愚であろう。ただ、研究者・学者の数が少なく、ことにノーベル賞受賞者が「大村智」一人に絞られているのは、何とも寂しい。ただ、大村氏は、異なった研究成果で生涯に二度ノーベル賞を受賞できる可能性を秘めたきわめて稀有でユニークな学者である。大村氏をノーベル賞受賞者を代表させたのは、吉田氏の炯眼であろう。

 他方、私事で恐縮ながら、小生が銀行在勤中に最も親しく長い間師事してきた「伊部恭之助」と「樋口廣太郎」の両氏が登場しているのは、嬉しい限りである。

 また、英国勤務が13年半と長かった小生にとって、英国の政治家の中から「マーガレット・サッチャー」ではなく「トニー・ブレア」を取り上げているのには感服した。サッチャーの改革もさることながら、英国を真に蘇えらせたのは、社会保障改革に取り組んだブレアの偉大な功績であることは間違いないからである。

井の頭暇人

(2023年7月27日、アマゾン、吉田勝昭著「『私の履歴書』100人が教えてくれた人生を生き抜くヒント(特別編集ダイジェスト版)」への書評)







コメント

※コメントは表示されません。

コメント:

ページトップへ戻る