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英国庭園 ~英国切手の魅力シリーズ(42)~



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 昨年(2016年)816日に英国の偉大な造園家ランスロット'ケイパビリティー'ブラウン(Lancelot 'Capability'Brown1716年~1783年)の生誕300周年を記念した英国庭園(landscape Gardens)の記念切手8枚が発行された。'ケイパビリティー'は彼の卓越して有能な手腕を敬っての尊称である。

'ケイパビリティー'ブラウンは英国中に170か所の庭園を設計したが、中でも有名な8庭園が切手に採り上げられている。上下8枚ずつに分けて掲出する。

造園家の功績を顕彰する切手は世界でも珍しい。彼が主導して18世紀に英国で実現した造園方式の改革は、これまでフランスなど欧州大陸で一般的であった左右対称な幾何学模様の小路を主体とする人工的な造園手法を廃して、広大な芝生や池を見渡せる自然景観を重視した点にあった。

ブラウンは造園家の役割を詩人や作曲家に擬えて、次のように言っている。

"Here I put a comma, there, when it's necessary to cut the view, I put a parenthesis; there I end it with a period and start on another theme.

1、Blenheim Palace(ブレナム宮殿)オクスフォード近郊にあるチャーチルの生家として有名なブレナム宮殿の庭園。ブラウンの着想でグライム川を堰き止めて雄大な人口湖を造り、大きな起伏のある公園に改造された。まるで本物の自然の風景のような森や湖、丘などで構成された庭の魅力が評価されて世界遺産に登録されている。

2、Longleat(ロングリート庭園)ストーン・ヘンジ遺跡で知られるウィルトシャーにあるカントリー・ハウス。広大な庭園の中に緑がたっぷりとあり、不思議の国のアリスのようなファンタジーを実感できる巨大迷路が有名。初めて一般に公開された滞在型のカントリー・ハウスであり、アフリカ以外では世界初のサファリ・パークが隣接している。

3、Alnwick Castle(アニック城);イングランド最北部にあるアニック公爵家の居城。城に隣接して第二次世界大戦後に現ノーザンバーランド公爵夫人が建造したアニック・ガーデンが観光地として有名になり、2005年にはケシや大麻を集めたポイズン・ガーデンがオープンした。

4、Berrington Hall(べリントン・ホール);イングランド西部、ブリストルの北方にあるヴィラ。'ケイパビリティー'ブラウンが設計した最後の庭園として有名。



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5、Compton Verney(コンプトン・バーニー);ストラットフォード・アッポン・エイヴォンの近くにある美術館の庭園。'ケイパビリティー'ブラウンの造成した小路がそのまま残っている。

6、Highclere Castle(ハイクレア城);ロンドンの西方、パースとの中間地点にあるカントリー・ハウスの庭園。最近ではテレビで人気の時代劇「ダウントン・アビー」のロケ地として使用され、有名になった。

7、Stowe(ストウ庭園);ロンドン北方郊外の工業都市ミルトン・ケインズ近くにある'ケイパビリティー'ブラウン'が改修に改修を重ねたという代表的な庭園。もともとの地形を生かして、池や神殿を模した建物などを絶妙に配備し、歩いているだけでさまざまな風景を楽しめるようになっている。敷地内には昔の舘を改築したパブリックスクール(私立校)があり、その校舎の真ん前がゴルフ場になっている。

8、Croome Park(クローム公園);バーミンガムとブリストルの中間、ウスター近郊にある'ケイパビリティー'ブラウン'が最初に手掛け、下掲解説にあるように30年を掛けた自然改造により完成させた庭園。公園の中心には大きな湖の湖畔に元コベントリー伯爵の舘があり、広大な敷地の一部が第二次世界大戦中には空軍基地に転用された。



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