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イングランド ~英国切手の魅力シリーズ(28)~ 


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 20074月にはイングランド(England)を慶祝する記念切手が発行されている(上掲)。

左上;Crowned Lion of England、王冠を被ったライオンはイングランドの象徴で国章となっている。

右上;龍退治をしている馬上のSt.George像、聖ジョージはイングランドの守護聖人として崇められてきた。

左下;House of Parliament & Big Ben、テムズ河畔の国会議事堂。当初はウエストミンスター宮殿であったが、貴族院と庶民院の議場としても使われてきた。1834年の火災で大半が焼失、議事堂として1860年に再建された。イングランドとスコットランドが1707年に合邦して以来、グレートブリテン議会が成立、1927年には連合王国議会となった。

右下;St.George Cross、イングランドの国旗となっている聖ジョージのクロス、龍退治の時に龍の血が赤いバラに変わったという伝説に基づいており、パブなどではセント・ジョージ・クロスを花輪で飾り付ける風習も残っている。

サッカーやラグビーなどの国際試合では、イングランドやスコットランドが単独国のチームとしての出場が認められている。2002年に開催されたFIFAサッカー・ワールド・カップでは、イングランド・チームの出場を記念して、Crowned Lion of England像の切手1枚とSt.George Cross旗を4つに分割した記念切手と切手シートが発行されている(下掲)。

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英国の正式名称は‟The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland"UKGB、連合王国と略称)であり、Great BritainEnglandScotlandWales3Nationsから成る。それぞれは国(Nation)であって、単なる行政区画ではない。イングランド以外は独自の議会を設置している。

イングランドは人口では連合王国全体の83%を占めるが、国土面積では53%を占めるに過ぎない。

イングランド(England)は、フランス語のAngleterrreに由来する「アングル人の土地」という意味である。ローマ領であったブリタニアからローマ軍団が4世紀に撤退後に大陸から侵入してきて王国を打ち立てたゲルマン系のアングロ・サクソン人のアングロが地名としても用いられるようになった。

日本語の「イギリス」はポルトガル語のInglezが訛ってできた呼称であり、これを漢字で「英吉利」と表記、その頭文字をとって「英国」となった。

一方、ブリテン(Britain)は現在のアイルランドを含むブリテン諸島を指すラテン語Britanniaに由来する。もともとは大ブリテン島の南部に住んでいたブリトン人が、紀元前1世紀にローマ侵攻前からローマ軍に駆逐されてフランスへ逃れ、その地が現在のブルターニュ地方の呼称となった。これが、英語に輸入されてこの島を指す地名として定着したものである。

日本ではイングランドから派生した「英国」をイングランド限定ではなく、連合王国全体を指す訳語として通常使っているので問題はないが、英国をEngland、英国人をEnglishと訳して英国人との会話に用いるのは慎まなければならない。中にはScottishWelshIrishもいて「俺はEnglishではない」と彼らに不快感を抱かせるからである。

筆者は在英中にはEnglishは禁句として、もっぱらBritishを用いるように心掛けていた。それでも、頑ななScottishの中には、Britishと呼ばれるのも嫌う輩もいて弱ったこともあった。British Railwayがスコットランドへ入った途端にScottish Railwayと呼称を変えるのも故無しとしない。

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