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社会保障制度の行き詰まりと医療システムの欠陥

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社会保障制度の行き詰まりと医療システムの欠陥 PDF

 2023年6月19日に日本工業倶楽部の自主研究会「コーヒブレークの会」において「社会保障制度の行き詰まりと医療システムの欠陥~~コロナ禍下での露呈を基に改革方策を展望」と題して、上掲の配布資料の概要につきまして約1時間のプレゼンテーションを行いました。その後1時間ほど会員相互で活発に議論をしました。

 その直前に、野田佳彦元首相のご講演を拝聴しました。野田氏は「財政の基本は"入るを量りて、出ずるを制す"であるが、岸田首相は異次元少子化対策・防衛費増額ともに財源調達方策を明らかにしない」「故安倍首相と約した社会保障と税の一体改革では、消費税の使途は社会保障に限ると取り極めたが、守られていない」「プライマリー・バランスの均衡は不可決」「財政を健全化しないと、金融の正常化もできない」といった点を熱を込めて強調されました。しかしながら、「増税や歳出改革の具体案」への言及は一切ありませんでした。

 私のプレゼンはその具体案を提示するものですが、与野党ともに政治家は既得権益と結託して増税や社旗保障の給付カットに繋がる改革には反対しております。厚労省も日本医師会と結託して反対しておりますので、実際に行き詰まるまで実現することはあり得ません。

 高齢化の進展に伴いまして、社会保障の充実は世界各国共通の問題となっていりますが、日本の特殊性は、社会保障のすべてを中央政府が差配することから生ずる国営の弊害が顕著である点にあります。「揺りかごから墓場まで」国が面倒を看る政策をとってきた英国は、サッチャー・ブレアー時代に民間主体に180度転換して、経済の高成長にも寄与しております。そこで、思い出しましたのは、30年前に医療経営学の教科書が日本には1冊もなかったので、ニューヨーク在住の友人が贈ってくれたハーバード大学MBAコースのヘルツリンガー先生の著書を翻訳したのですが、その「邦訳版」序文として書いていただいた次のご指摘が、30年経った今もまったく色褪せていないことです。

 <医療システムの問題を論じる場では必ずと言ってよいほど、「政府が~すべきだ」という表現が見られる。例えば、「政府は医療費をコントロールすべきだ」政府は医療サービスの質を改善すべきだ」「政府は利便性を高めるべぎだ」といつた具合である。
 だが、私が見るところ、こうした問題解決の鍵を握るのは政府ではなく、消費者と医療機関である。最も効果的にコストを抑え、サービスの質を高められるのは医療サービスの供給者である医療機関である。また、消費者の求める低コスト、良質の医療サービス、利便性を医療機関が提供し得たかどうかを最も的確に判断できるのは、消費者自身である。
 もちろん、政府には医療機関を監督し、低所得者に医療費を支給するという役目がある。だが、人々が望む医療サービスを、喜んで払おうと思える価格で提供することを可能にするのは、医療機関であり、消費者である。言い換えれば、それは市場の働きである。医療機関と消費者の間に割って入り、両者の関係を疎遠にしようと企てる仲介者に勝算はない。(2000年4月19日刊行、レジナ・E・ヘルツリンガー著、岡部陽二監訳「医療サービス市場の勝者」邦訳版への序文)>

 日本ではGDPの25%を占める社会保障分野を政府が独占して民間に開放しないので、企業間のサービス競争を通じて生産性が向上することはなく、一人当たりGDPの国際ランキングは下がる一方です。

 これを解決する方策としては、①富裕税の創設、②公的年金に代わる私的年金の義務化、③年金支給開始年齢の引上げ、④医療機関の株式会社化と合併促進法の制定、⑤混合診療の全面自由化、⑥病床規制の撤廃、⑦介護保険の全面民営化などの改革が必須です。

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