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「国際金融人・岡部陽二の軌跡」書評①~多彩な人脈と好奇心が人生を彩る

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多彩な人脈と好奇心が人生を彩る

「私の履歴書」研究家 


 表題にある「軌跡」と副題の「好奇心に生きる」の看板どおり、1970年代以降の金融界における国際化・証券業務への多角化の先駆者として邦銀の先鞭をつけて新しい業務を次々に切り開いていった数多くのイノベーションが闊達な筆致で綴られている。

 この本は日本経済出版のプロの編集者とのインタビューを通じて完成されたもので、文章は流暢簡明で読みやすい。

 著者のダイナミックな仕事ぶりはまさに国際バンカーとして、所々に、英国のチャールズ皇太子を初め各国の名士の方々との交遊が出てくる。この人脈が著者の人生に彩りを添えたのは容易に想像できる。

 加えて、誕生から今日に至るまでのビジネス生活は勿論、特異な鉱物採集、夢の洞窟探検などの大自然の旅、そして欧米生活でのオペラやミュージカルなど多彩なエピソードがちりばめられた内容にも引き込まれる。先見の明とゆるぎない信念を持ってサラリーマン人生の運命をさえ変えてしまい、まさに人生を二倍に生きてきた迫力に圧倒される。

 「運も実力の内」とよく言われるが、常にアンテナを張り巡らせていないことには運も付いてこないことが、この本から実感できる。筆者のように人生で遭遇するあらゆる場面を素敵なものに変え、またとない貴重な出逢いと感じることが出来れば、この世に争いは起こらず、皆が元気に働けるのではなかろうか。

 著者の国際金融人としての多彩な経験や広島国際大学教授としての医療や教育論など、多方面の活躍には目を見張るものがある。とりわけ「好奇心の塊」のような著者の生きざまはサラリーマン人生を淡々と過ごしている若者には大いに参考になろう。

 また、日経「私の履歴書」の登場人物も、その紙面に先祖や両親の業績を丁寧に著述している人も多い。著者のように父親の顕彰をきちんと書いておくのも子供たちへの遺産でもあり、自分史の価値を高めるものとして評価できる。

(2018年9月25日付け、Amazon電子書籍:Kindle版、定価:500円(税込み):カスタマーレビューへの一読者からの投稿)


行動派国際金融人岡部陽二の成功の秘訣は何か

塩山三郎

 実に痛快な本である。一気に読了し、爽快な気分を味わった。本著は国際金融人岡部陽二の「自分史」であり、岡部家の「ファミリー・ヒストリー」でもある。  「学問一筋で融通の利かない真面目一徹」の父と「明るく全て前向き」な母の第一子として誕生。長男乍ら、"The son of the sun" たるべしと「陽二」と命名。

 両親の期待の大きさが伺える。父の満州国建国大学教授時代から時代、著者の記憶の基く自分史が始まる。満州から内地への引き揚げは、正に難民状況、波乱万丈だった。家族全員で力を合わせこの苦難を乗り越えた経緯が極めてリアルに語られ、レアな体験だけに読み応えのある部分だ。

帰国後、著者は京都で両親に見守られ順調に成長する。学業、結婚、会社人生、家庭生活、転職、趣味、健康等あらゆる面で人も羨むような人生を見事に編み上げる。読後には、元気と勇気、知恵と知識とを授けられたような心地よい充実感に浸ることができた。
   
 同じ金融界に身を置いた私にとっては、著者の国際金融活動の部分が最も心に強く響いた。40年もの長きに亘り、著者は世界各国を欣喜雀躍として世界を飛び回る「成功譚」は正に圧巻だ。行動派バンカーの面目躍如である。なぜ、このような見事な成果を挙げ続けることができたのか。

 著者は、「日に三度、自らを顧みよ。不作為・不親切・不勉強の罪を犯さざるや」をモットーとし、拳拳服膺し身を処してきたという。やるべきことを明日に延ばさず、接する人すべてに最大限の親切さをもって対応し、相手の正しい理解と事の本質の把握のための勉強を怠らないこと、これが著者の行動哲学と理解した。これを実践すれば、接する人すべてから信頼、尊敬、敬愛を得、岡部ファンは増え続ける。ビジネスがうまく回転するのは当然と納得した次第。 
  
 敢えて欲をいえば、次の2点が気になった。一つは、日経新聞の「私の履歴書」のスタイルを意識し過ぎたのか、若干紙幅を制限した嫌いがあるのでは。この制約を取り払い、もっと自由に筆を走らせたら、国際金融活動などもっともっと「成功の秘訣」が具体的に伝えられたのではないか。

 二つ目は、自分史は本来的に「陽」の面ばかりに日が当たり、「陰」が隠れやすいという宿命を背負う。しかし、成功者にも失敗例は事欠かない筈。数少ないかも知れないが、国際金融活動での失敗例についての記述なども加われば、「成果」が一段と光り輝いたのではないか。尤も、「陽」二の自分史だけに陽が強調されるのは避け難かったのかも知れない。 
 
 いずれにしても、極めて質の高い「私の履歴書」である。是非、ご一読をお薦めしたい。

(2018年10月22日付け、Amazon電子書籍:Kindle版、定価:500円(税込み):カスタマーレビューへの一読者からの投稿)














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