住銀の岡部陽二専務、日本企業誘致に協力
「英国の北アイルランドというと日本ではIRA（北アイルランド共和国軍）のテロの町のイメージが先行しているが、事実は違います。地元では日本企業の誘致にきわめて熱心だし、われわれは少しでもこうした困っている地域のお役に立ちたい」と強調するのは、住友銀行専務（欧州駐在）の岡部陽二さん。
このほどこの具体策として、同行の肝いりで関西地区の中小企業25社の参加を募った「欧州投資環境調査団」の日程の中に初めて北アイルランドを入れ、ベルファストを訪問。
北アイルランドは危険な地域という意識が強いためか、同地域への進出日系企業はキャニオンエアなど4社だけ。危険度については、これまで企業関係者がテロに巻き込まれたケースは皆無で、事故発生件数をみてもむしろ英国の中で最も安全な地域とのデータの裏付けがある。
日本企業誘致の音頭をとる北アイルランド工業開発庁（IDB）は、同地域への投資環境のよさを認識してもらおうと、7月にベルファストで行われた世界バラ大会に合わせ、在英日系企業の幹部20組を招待。
この中でIDB会長のマクドウェル卿は「新種のバラのネーミングの一つに、"エンペプレス・ミチコ"を採用したが、これは日本との密接な関係を望む意欲の表れだ」とラブコール。
「もちろん熱心なだけでは困るが投資対象地域としても有望。投資の一極集中を避けるためにも協力していきたい」と岡部さん、"弱者の味方"を自認している。(ロンドン支局)
（1991年8月30日付け日刊工業新聞所収）
