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医療経済研究機構副所長挨拶

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 医療経済研究機構の副所長を務めております岡部でございます。第19回ファイザーヘルスリサーチフォーラムの協賛研究機関を代表して一言ご挨拶申し上げます。

 ファイザーヘルスリサーチ振興財団の研究助成は1992年に始められて以来、本年で21回目となり、累計助成件数675件、助成金額は16.5億円に達しておられます。この助成を通じて、この分野での研究活動が活性化し、社会に裨益された当財団の大きなご貢献に心から感謝申し上げます。

 「ヘルスリサーチ」は、日本でもようやく浸透して参りましたが、この研究の目的は一人ひとりのクォリティー・オブ・ライフの向上をめざして、自然科学と社会科学の成果を有効に採り入れることにより、 すべての人が最高の医療を受けられるための仕組みを追求することにあります。

 このような新しい学際的な研究分野の出現は、診断治療の技術や公衆衛生向上といった「医療提供者側」からの研究とは別に、「医療サービスの受手側」から見る研究が重要になってきたことを意味しております。ところが、つい先日も延命治療の是非を問う「終の信託」という映画を見て痛感したのですが、現実には複雑化する医療行政や医療技術の進歩などの要因によって、生物医学研究の成果と実践される医療の間のギャップがむしろ大きくなる傾向があります。こうしたギャップを埋めるためにも、医療の「受手側」主体の視点からの研究姿勢で取組む「ヘルスリサーチ」の役割がますます重要になっているものと考えます。

 このような観点からのヘルスリサーチに絞り込んだ研究助成活動は数少ない貴重な存在です。海外に比べて遅れているこの学際分野の研究をわが国に定着させるべきであるとの当財団の先見性のあるご発想に心から敬意を表したいと思います。

 今年のフォーラムの基本テーマは「社会をつなぐヘルスリサーチ」と設定されており、本日の研究発表の演題を拝見しましても、多面的な角度からの国際比較、地域社会との関わりや小学校教育での啓発といった観点から採り上げた幅広いテーマの研究実績が増え、まさにヘルスリサーチが一段と定着してきたように実感しております。

 皆様方もご存知のとおり、ファイザー社は、難しい経営環境下にありながらも、リストラを進める一方で、エスタブリッシュ医薬部門を新設してのジェネリック薬への進出など新分野への挑戦や積極的なM&A戦略で、高い収益率を維持しておられます。

 日本法人のファイザー㈱の昨年度の売上高は、5,592億円と、前年比2割増という大きな伸びで、IMS推計の販促ベース売上高では、すでに武田薬品を抜いて国内最大規模の製薬企業と報じられております。さらに、今年の8月には米国の後発品市場で最大規模のマイラン製薬と日本での後発品事業での戦略的提携を発表され、長期的に日本市場を俯瞰した日本へのコミットメントを一段と強められたものと業界でも評価されております。

 ところで、医療経済研究機構と医療経済学会の共同編集で発行しております「医療経済研究」誌は、学会誌として定着して参りました。年内には英語論文誌第2号をE-パブリケーションで発刊します。ファイザーヘルスリサーチの研究助成におきましても、高い研究の質を担保するために、研究助成の条件として「研究成果は学術誌・学会誌等の専門誌に投稿すること」が明示されております。つきましては、ファイザー財団で採択されました研究プロジェクトの成果発表の場の一つとして「医療経済研究」誌をぜひ活用していただきたく、積極的なご投稿をお待ちしております。

 また、当財団の1/10ほどの規模ではありますが、医療経済研究機構でも毎年医療経済分野の若手研究者に研究助成を行なっております。この助成への応募もご検討ください。

 冒頭に申し上げましたように研究体制が立ち遅れていたこの分野での研究振興につとに着目されたファイザーヘルスリサーチ振興財団の先見性に改めて敬意を表し、このフォーラムがますます充実した存在感のある研究交流の場として力強く発展されることを期待致しまして、私の挨拶と致します。

(2012年11月10日に千代田放送会館にて開催された「第19回ヘルスリサーチフォーラム」での来賓挨拶)

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