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大聖堂(Cathedrals)~英国切手の魅力シリーズ(35)~ 



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 20085月に"Cathedrals"と題した英国の主要大聖堂6教会(上掲)とセントポール大聖堂(下掲)のシートが発行された。

Lichfield Cathedral(リッチフィールド大聖堂)、上段左;

 英国中部、バーミンガムの北約26キロにあるリッチフィールドに中世に建設された英国で唯一3つの尖塔を持つゴシック様式の大聖堂。

Belfast Cathedral(ベルファスト大聖堂)、上段中央;

 北アイルランド東部のベルファスト市中心部にあるアイルランド国教会の大聖堂。1981年に完成したロマネスク様式の傑作。聖パトリックの布教1,500年を記念したモザイク壁画が有名。

Gloucester Cathedral(グロスター大聖堂)、上段右

 イングランドの南西部コッツウォルズ地方の中心、グロスター市にある11世紀から15世紀に掛けて建設されたゴシックとロマネスクの混合様式の大聖堂。小説「ハリーポッター」の主人公が在籍する魔法についての理論や実技を学ぶための全寮制学校のモデルとされ、映画化に当たってのロケ地となった。

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St. David's Cathedral(セント・デヴィッズ大聖堂)、下段左

 ウエールズの小さな町、セント・デヴィッズにあるウエールズの守護神セント・デヴィッドを祀った大聖堂。12世紀から増改築が続けられてきた。

Westminster Cathedral(ウェストミンスター大聖堂)、下段中央

 ロンドン中心部のウェストミンスターのフランシス通り42番地にある英国最大のカトリック教会。ウェストミンスター駅から南西へ1キロ弱のところに立っている渋い赤れんがと円形ドームの建物である。19世紀の後半にローマ教皇庁と英国国教会の関係が改善された後に建設が始まり、いまだに未完成であるが、ミサは行われている。国王の戴冠式や国葬が行われる国会議事堂に隣接した英国国教会のウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)とはまったく別物である。

St.Magunus Cathedral(セントマグナス大聖堂)、下段右;

 スコットランドの北岸、オークニー諸島の町、カークウォールに12世紀に建造されたロマネスク様式の英国最北端に位置する大聖堂。

 英国にはヨーク・ミンスターやカンタベリー大聖堂など壮大な大聖堂がたくさんあるが、上記の6聖堂は地域性や宗派などを勘案して、ユニークなものを採り上げている。

 1989年に刊行されたケン・フォレットの歴史小説「大聖堂(Pilars of the Earth)はキングスブリッジという架空の町に建設される大聖堂を中心に展開される群像劇で、ベストセラーになった。ロマネスクからゴシックへ建築様式が変わる技術的な歴史を背景に大聖堂建設の物語は進み、興味津々であった。在英中にはクリスマスなどにはどこかの教会のミサへ出掛け、その荘厳な雰囲気にひととき浸ったのは懐かしい。

St. Paul's Cathedral(セントポール大聖堂)

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 ロンドンの金融街シティーにあり、607年頃に建立されたが、何回も火災で消失し、現在の建物は1666年のロンドン大火の後、切手シートの左上に描かれているクリストファー・レン(16321723年)により再建された。

彼は建築家・天文学者でロンドン大火からの復興に幅広く携わったが、その中で最も壮大な代表作がセントポール大聖堂である。

 セントポール大聖堂の様式には、当時は先例のなかった純粋な古典主義が採用されており、バロックの影響が塔や正面ファサードなどあらゆるところに見られる。彼の設計する建築の構成は極端に多様で、大胆に独創的と評されている。

 大聖堂の床から85米の高さにあるドームの付け根を廻る回廊まで528段の階段で上ることができ、そこからロンドン市内が一望できる。筆者も晴れた日の昼休みに何回か上って眺望を楽しんだ。

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