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チャネル諸島とマン島 ~英国切手の魅力シリーズ(27)~ 



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 英国の自治領である英仏海峡 のフランス寄りに位置するチャネル諸島(Channel Islands)はガンジー(Guernsey)島を中心とする代官区とジャージー(Jersey)島中心の代官区に分かれている。

両島とも1969年まで英国郵政が発行する切手を使用してきたが、第2次世界亜大戦中の1941年から1944年まではドイツ軍の占領下にあり、ガンジー島では英皇室マークのない軍票のような切手が現地で発行されていた。また、1958年から1967年まで、エリザベス女王肖像中心のガンジー島専用普通切手が発行されていた(上掲)。

一方、ドイツ軍占領下のジャージー島では、上記のガンジー同様のシンプルな切手に加えて同島の風景をあしらった切手も発行されていた(下掲)。図案は、左上から右へ順番に、Old Jersey Farm1/2D)、Portelet Bay1D)、Corbiere Lighthouse11/2D)、Elizabeth Castle2D)、Mont Orgueil Castle21/2D)、Gathering Vraic3D)となっている。

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 また、1958年から1967年の間には、ジャージー島専用の女王肖像の普通切手8種が発行されていた(下掲)。

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チャネル諸島をテーマとした記念切手には、ドイツ軍の占領終結から3年目の1948年に開放記念として発行された2枚の切手が唯一存在する(下掲)。

この切手の図案は両島の当時の主要産業であった海藻(Vraic)採りの情景で王室マークにはジョージ4世(19361952年)が配されている。

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1969年には、ガンジー・ジャージーともに独自の切手を発行する権能を獲得し、同年101日からそれぞれの普通切手と記念切手の発行を開始、毎年数種以上の記念切手が発行されている。

さらに、ガンジー代官区に属するオールダニー(Alderney)島は同島独自の切手を発行している(下掲)。同島は切手の図柄に示されているように、フランスのノルマンディー半島突端のすぐ近くに位置するが、アングロ・サクソン人が多く居住するため、切手にも英女王肖像のマークを入れている。

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大ブリテン島とアイルランド島に囲まれたアイリッシュ海の中央に位置する英国自治領のマン島(Isle of Man)においても、1971年までは英国郵政発行の切手が使用されてきたが、1958年以降にはマン島の地域の旗のマークを女王肖像の左上に配した地域切手が発行されてきた(下掲)。

マン島も1972年に切手発行権を獲得し、それ以降は独自の普通切手と多くの記念切手を発行している。

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ケイマン諸島や英領ヴァージン島など多くのタックスヘヴンは英国の旧植民地であるが、チャネル諸島(人口;約16万人)とマン島(人口;約8万人)は英国王室の属領でありながら、歴史的な経緯から住民に一定の自治権が与えられてきた「自治領」である。

こうした自治領には、植民地同様に英国の税法は適用されないので、英国の金融・保険・資産運用などの金融機関が主に個人向けのリテール業務の拠点として利用している。英国の税制は属地主義で、英国籍を保有していても年の過半を国外で過ごす非居住者には所得税などが課税されることがない。

この非課税制度を効率的に活用すべく、英国の金融機関は顧客が英国を半年以上離れて海外居住者(Expatriate)となる場合には、口座をチャネル諸島かマン島の子会社に移して管理する体制を採っている。

もっとも、最近では国際的にタックスヘヴンへの風当たりが強まり、IT化の進展で業務の大部分はロンドンで処理されるようになったので、両島の金融機能の重要性は低下しており、街も寂れている。

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