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エア・ウォーター「国際くらしの医療館・神戸」見学記

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<人々の健やかな「くらし」を創造する拠点>

エア・ウォーター「国際くらしの医療館・神戸」を見学(証券No.4088)

 阪神淡路大震災からちょうど25周年目の1月17日、「エアー・ウォーター国際くらしの医療館・神戸」を見学した。

 ここはエア・ウォーター㈱が昨年5月に国内最大級の医療クラスターである神戸ポートアイランドの神戸医療産業都市に開設したばかりの新施設。健やかなくらしを創造するために新たに開発する医療関連製品・サービスを発信する目的で、1階から5階までグループ会社5社が展示を行うと同時に営業とその支援活動をも行なっている。

 この医療関連施設には、①歯髄再生事業のアエラスバイオ、②8K映像事業のカイロス、③周術期医療サービス事業のエア・ウォーター防災、④滅菌業務・施術室業務支援サービスのエア・ウォーター・メディエイチ、⑤医療機器保守管理サービスのエムシーサービスの五社が入っており、それぞれのサービスのポイントが展示されている。

 なかでも印象的だったのは、一昨年に歯愛メディカルとの合弁で設立されたアエラスバイオの歯髄再生医療である。①親知らずなどの不用歯を抜歯、②不用歯から歯髄を取り出し、その中に含まれる歯髄幹細胞を培養、③その歯髄幹細胞を抜髄した歯に移植、④歯髄幹細胞のはたらきにより、在来の幹細胞が歯の内部に集まり、血管や神経が伸びてきて、6か月から1一年ほどで象牙質も再生され、最終的に冠などを入れて噛めるようになる、といった将来的には虫歯の抜歯が根絶できる可能性を秘めた画期的な再生医療である。

 この再生医療は、昨年10月に製造許可を取得し、すでに5例の臨床実験に成功、年内にも全国の歯科クリニックと提携して、当社が細胞培養を受託する計画が進められている。歯髄から細胞全般にも拡大できる夢の再生医療である。

 エア・ウォーターは1993年に大同酸素とほくさん(旧北海酸素)が合併、さらに共同酸素を合併して2000年に現社名に変更した産業用酸素製造販売の大手である。その後、M&Aなどで260社の子会社を傘下に収めて、業務の多角化を強力に進めている。、昨年度には、売上高:八〇一五億円、経常利益:四七〇億円を挙げている。

 18年度の売上構成は、産業ガス関連と医療関連がいずれも1,700億円強で並んでいる。昨年8月にはインドの産業用ガス会社を約200億円で買収、市場が拡大している同国を軸に海外展開を加速させている。今19年度にはその成果で産業ガス関連部門が回復するものの、将来的には医療分野の伸びが酸素事業を凌駕すると期待されている。(岡部陽二記)

(2020年3月1日発行、「投資手帳」2020年3月号p18、「兜町(しま)だより・東証ペンクラブ第87回」所収

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