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      <title>1.作品用管理画面</title>
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      <description>岡部陽二のホームページ - Official Website by Yoji Okabe</description>
      <language>ja</language>
      <copyright>Copyright 2012</copyright>
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         <title>＜投資教室＞運用者リスクと流動性リスクが肝要～AIJ年金詐欺事件からの教訓～</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120515AIJLogoimages.jpg" alt="120515AIJLogoimages.jpg" width="284" height="178" align="right" />
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　4月13日と24日に衆参両院で行なわれた証人喚問などを通じて明らかとなってきたAIJ年金詐欺事件の構図の概要は、次の諸点に要約される。
</p>
<p>
①AIJ投資顧問は2002年にケイマンに設定した「エイム・ミレニアム・ファンド」ほか14本のヘッジ・ファンド（私募投信）を中小の厚生年金基金に販売、契約件数は11年9月末には127件に達した。受託資産額約2,000億円と報告されていたが、AIJの運用に疑念を抱いて解約された返還額も約700億円に達していた。
</p>
<p>
②ファンドの運用対象は、シンガポールや香港市場での国債先物・オプションを中心とする市場デリバティブ商品に集中、浅川社長主導でひたすら逆張りのポジションをとり続けた。その結果、06年に約300億円、08年に約200億円、リーマン・ショック後の10年には約500億円の損失を出したが、本年2月までその事実はすべて隠蔽して、投資家への報告ではコンスタントに年5～7%といった高利回りを装い続けた。
</p>
<p>
③運用成績の隠蔽・水増しは、海外の監査法人からアイティーエム証券に送られてきた監査報告書を開封せずに浅川社長に手渡すように指示し、同社長が知人の公認会計士に具体的な数字を示して改ざんするように依頼する方法で行なってきた。
</p>
<p>
④ファンドの売込みには、社保庁OBの石山勲氏が経営するコンサルティング会社の支援を得て、浅川社長が当ってきたが、販売はすべて10億円を投資して株式の90%を保有した<a name="OLE_LINK2" title="OLE_LINK2"></a><a name="OLE_LINK1" title="OLE_LINK1"></a>アイティーエム証券を通して行なわれていた。同証券の株式もファンドに組入れている。
</p>
<p>
　金融庁は、契約時の偽計、運用報告書の改ざん（虚偽報告）、新規資金を返還資金に充当した転売スキームについて刑事責任を追及する構えのようであるが、故意に顧客を欺いたとする詐欺罪立件の可否がポイントとなる。
</p>
<p>
　運用受託者が果たすべき注意義務（プルーデント・マン・ルール）を順守しているかどうかを見極めることなしに、証券会社の言いなりに運用者リスクや流動性リスクを無視して投資信託や債券を購入するのは「盲、蛇に怖じず」と言ったところである。
</p>
<p>
　しかるところ、不思議なことに、証券会社が投信や債券を販売するに当ってのリスクについての説明事項（下掲）の中に、これらのリスクは含まれていない。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120515.jpg" alt="120515.jpg" width="600" height="196" />
</div>
<p>
　<br />
　AIJが行なったように外国籍のファンドで運用したり、レバリッジを効かせて時価評価の難しい先物オプションなどのデリバティブで運用したりすることは、法令違反ではない。公募投信については外部監査が義務付けられているが、AIJの私募投信も外部監査を受けていながら、その数字を勝手に改ざんしていた。AIJはファンド販売のために証券会社を買収したが、公募投信の販売も野村證券が野村投信を販売するといったように多くは同一グループ内で一連の投信業務がすべて囲い込まれている。
</p>
<p>
　したがって、運用者の能力や倫理観にかかるリスクをファンド購入時に確認しなければならないのは、年金運用者だけではなく、個人を含むすべての投資家にとって必須のステップであり、販売に当る証券会社の説明責任は重大である。
</p>
<p>
　ところが、某証券が勧めてきたシンガポールのファンド・マネジメント会社が運用するアジア株投信につき、その運用会社の評価や過去のトラック・レコードの説明を求めたのに対し、そのような情報は提供していないと断られた経験が筆者にもある。
</p>
<p>
　しかしながら、表1、表2に掲げたようにほぼ同時期に設定された公募投信でも、運用者の能力差ははっきりしている。たとえば、表１の3位にあるノムラ日本株戦略ファンドは運用開始後に一時残高が１兆円にまで膨れ上がったものの、今は1/10以下に縮小、時価は半分以下に落ち込んでいる。一方、2位のさわかみファンドは市場の環境変化にもかかわらずコンスタントに高い運用実績を挙げている。個人投資家が公募投信を購入する場合にも、運用者リスクの見極めが重要である所以である。
</p>
<p>
　AIJ事件が提起したもう一つの問題は、流動性の欠如した不透明な金融商品への投資である。オプションなどの市場デリバティブの流動性は低いので、ファンド解約の申出でがあっても規模を縮小するのが難しいため、AIJは新規の投資資金が入るまで解約を引延ばして自転車操業していたものと見られる。アイティーエム証券の株式までファンドに入れていたのは論外である。
</p>
<p>
　AIJと同様に、個人向けの公募投信にもデリバティブのみに投資するETFや流動性のない不動産に投資するREITなど投資対象の流動性に疑問のある投信も多い。ゆえに、金融商品の選択を運用者に一任する仕組みのファンドについては、その金融商品の仕組みと流動性について充分に理解し納得できなければ、購入すべきではない。
</p>
<p>
　投信だけではなく、個人が投資する債券の流動性にも留意する要がある。たとえば、National Australia Bankに年5%の利率で3年の豪ドル定期預金で預けた場合には中途解約しても豪ドルベースで元本割れすることはないが、同行発行の豪ドル債を期限前に売却すると、売却時期にもよるが、証券会社は通例5ポイントほど割引いた価格でしか買取ってくれず、豪ドルベースでは元本割れとなる。
</p>
<p>
　金利が1%内外の円建て債券を期中で売却すると、市場金利や信用リスクが不変でも、金利込みでマイナスになることが多い。個人向け債券の売買市場はないので、証券会社が一方的に提示する買取り価格に従わざるを得ないからである。このような流動性リスクをカバーするには、債券の金利は定期預金の金利よりも年1%程度は高くないと割が合わないが、発行時のプライシングがそうはなっていないのが問題である。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120515AIJHyou.jpg" alt="120515AIJHyou.jpg" width="600" height="190" />
</div>
<p align="right">
<strong><br />
（</strong><strong>日本個人投資家協会</strong><strong>理事　</strong><strong>岡部陽二）</strong>
</p>
<p align="left">
（2012年5月15日発行、日本個人投資家協会月刊紙「きらめき」2012年5月号所収）
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/aij_1.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/market/aij_1.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Tue, 15 May 2012 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜投資教室＞企業年金消失事件の核心</title>
         <description><![CDATA[<p align="center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120415AIJLogo.jpg" alt="120415AIJLogo.jpg" width="250" height="154" align="right" />
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<strong>　</strong>
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<br />
　AIJの詐欺行為で厚生年金基金の運用資産約2,000億円のほとんどが消失した問題の核心は奈辺にあるのか考えてみたい。AIJ事件を受けて、厚生年金基金とその運用を受託する投資顧問業者などに対する規制強化の提言が民主党をはじめ各方面から相次いで出され、百家争鳴の感がある。これらの規制強化提言をすべて容れると、かつてのように、生保と信託に絞って国債の現物主体で一部株式運用を認めるといった超保守的な運用に限定すべしという方向性しか出てこない。
</p>
<p>
　しかしながら、AIJ事件は偽計・虚偽報告という詐欺犯罪であるから、金融自由化の流れに逆行する金融取引の規制強化ではなく、①低金利時代に合わなくなっている年金制度の改革、②厚年基金の自己責任明確化、③前号で強調した詐欺行為への厳罰化で対応すべきであろう。AIJ事件の遠因は、被害に遭った厚年基金の財政状況が苦しかったことと運用体制が整っていなかったことに尽きる。<br />
<br />
<strong>年金制度改革の誤り</strong>
</p>
<p>
　社会保障制度として、国が保険者となって老後の生活保障をするのが国民年金（1階部分）と厚生年金保険・共済年金（2階部分）の公的年金である。これに対して、企業年金は制度の一環として3階部分を構成するものと位置付けられている。<br />
<br />
　企業年金には、図１に掲げたように①厚生年金基金（連合会運用分も含む）、②適格退職年金、③確定給付型企業年金と図1には含まれていない④確定拠出型企業年金（2010年末残高；約4兆円）がある。運用資産残高は全体として過去10年間ほぼ横這いながら、2003年まで大宗を占めていた①厚生年金基金と2013年までに廃止される②適格退職年金が激減したのに対し、代わって③と④が主流となってきた。
</p>
<p>
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120415kigyounennkinnSuiiZu1.jpg" alt="120415kigyounennkinnSuiiZu1.jpg" width="704" height="353" />
</p>
<p>
　<br />
　今回AIJ詐欺事件で問題となっている企業や業界団体などが設立した①厚生年金基金では、国が給付を保障している2階部分の老齢厚生年金の一部を代行運用するとともに、厚年基金独自の上乗せ運用を行うことができる。この「代行運用」は1970～80年代には基金の想定利回り年5.5%に対し当時の実現運用利回りは年7～8%に達していたため、公的年金を手厚くすると同時に企業年金加入者を増やす一石二鳥の「アメ」の効果を発揮していた。
</p>
<p>
　ところが、90年代以降は実現利回り1～2%程度に対し、設計上の想定利回りは依然として5.5%に据置かれているため、積立不足が常態化した。その結果、上乗せ部分がなくなるだけではなく、代行部分にも食い込んで母体企業が穴埋めせざるを得ず、それができない企業は年金倒産に追い込まれるという「ムチ」に転化してきた。
</p>
<p>
　そこで、2001年に企業年金は代行部分のない確定給付と確定拠出の2制度に移行することとなったが、穴があいたままの弱小厚年基金はそのまま温存され、無理な運用を強いられてきた。これが今回の詐欺の餌食となったわけである。厚年基金の代行部分返上を強制せず、給付減や破綻の処理ルール策定を先送りし続けてきた年金政策に問題があったと言うほかない。
</p>
<p>
<strong>企業年金基金のプロとしての受託者責任の明確化</strong>
</p>
<p>
　企業年金の運用面を見ると、図2に示されているように、総資産の30%～38%は高リスク・高リターンを求めて投資顧問会社（現在246社存在）と契約されている。投資顧問への委託が解禁されてからわずか15年間で運用残高34兆円（シェア；38%）に急拡大したのは、従来の生保や信託の運用に比して運用利回り実績がかなり高かったことの証左である。委託先別の利回り実績比較は公表されていないが、平均で1%高く運用できたとすれば、年間3,400億円の運用益増となる。
</p>
<p>
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/1204151kigyounennkinnSuiiZu2.jpg" alt="1204151kigyounennkinnSuiiZu2.jpg" width="770" height="343" />
</p>
<p>
　<br />
　小体の厚年基金を集めて運用している「企業年金連合会」は約10兆円の資金を信託10行と投資顧問48社に運用委託して過去10年間で2.11%の利回りを得ている。仮にこれを全額国債で運用していたとすれば、せいぜい1%程度ではなかろうか。したがって、投資顧問を十把一絡げにして断罪するのは間違っている。<br />
<br />
　一方、運用を委託する企業年金は、総じて小体で運用体制が脆弱であるから、金商法上の一般投資家（アマ）として扱い、特定投資家（プロ）にしか認められていない私募投信への投資などは禁止すべきであるとの主張も聞かれる。<br />
<br />
　金商法では、個人と中小法人は原則としてアマであるが、法人は申出ればプロに転化できるとしている。一般には日経紙の解説を含め、年金基金は当然のプロとして扱われているが、信託銀行は企業年金に対し「申出書」の提出を求めている。これは妥当な扱いと言えるものの、法人は申出るだけでプロ扱いとなるので、この議論にはあまり意味がない。金商法の仕組みは、要するに、投資リスクをプロの投資家に転嫁するための手続きを定めたうえで、プロは保護しないと明確化したものである。
</p>
<p>
　大勢の社員や企業から貴重な資金の運用を任されている厚年基金がプロとして運用する以上、最低限、契約先の運用能力・誠実さを見極め、運用状況をチェックするのは当然の責務であり、それを怠った責任は重大である。
</p>
<p align="right">
<strong>（</strong><strong>日本個人投資家協会理事　</strong><strong>岡部陽二）</strong>
</p>
<p>
（1012年4月15日発行、日本個人投資家協会月刊紙「きらめき」2012年4月号所収）
</p>
<p align="center">
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]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/post_231.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/market/post_231.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Sun, 15 Apr 2012 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜書評＞吉田勝昭著；　ビジネスは『私の履歴書』が教えてくれた</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120310WatashinorirekishoLogo.jpg" alt="120310WatashinorirekishoLogo.jpg" width="221" height="320" align="right" />
<p style="text-indent: 9.45pt; margin: 0mm 0mm 9pt 9.45pt" class="MsoNormal">
<a name="OLE_LINK1" title="OLE_LINK1"></a>
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<br />
　とにかく、面白くてためになる本である。<br />
<br />
　住友銀行から朝日ビールの社長に転じた樋口廣太郎さんが、銀行を去るに当って「香典の前払いとしてビールを買ってほしい」と訴えかけた逸話などなど、失敗や挫折・逆境をばねに成功を掴んだ実話に満ち満ちている。<br />
<br />
　60年を超える連載総数738人の4割を占める経済人について、いろいろな角度からの分析が試みられている。金融機関では、野村證券の4人に次いで住友銀行の3人が多いが、登場人物が挙げている恩人では元住友銀行頭取の堀田庄三さんほか4人に人気集中といった興味深いデータも楽しめる。<br />
<br />
　登場するリーダーの「履歴書」からの引用が、そのまま著者・吉田勝昭さん(プロフィール下掲）ご自身の履歴書にもなっているのは、劇中劇を観ているようで愉しい。<br />
<br />
　もっとも、評者の関心は「文化人」の生き様にあり、最近では哲学者の木田元氏が印象深かった。文化人の分析もぜひお願いしたい。&nbsp;&nbsp;
</p>
<p align="center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120310WatashinorirekishoLast.jpg" alt="120310WatashinorirekishoLast.jpg" width="349" height="320" />
</p>
<p align="right">
（2012年3月10日、アマゾン・ブックレビュー欄に投稿）
</p>
</span></span></span>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/writings/post_230.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/writings/post_230.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">005雑文集</category>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">010活動関連記事</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 10 Mar 2012 09:32:21 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜投資教室＞AIJ詐欺事件への対応</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120306AIJLogo.jpg" alt="120306AIJLogo.jpg" width="300" height="276" align="right" />
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<strong>　</strong>約2,000億円企業年金資産の大部分を消失させ、10年間も虚偽の運用報告でごまかしてきたAIJ問題の背景と原因の検証を試みたい。<br />
<br />
　「AIJ投資顧問」は野村證券熊本支店長を務めていた浅川和彦社長(59)が、ペインウエバーを経て、2002年6月に独立して開業した企業年金の運用と投資助言の専門会社である。同社は、浅川社長がその前に買収したシグナ・インターナショナル・インベストメント・アドバイザーズという外資系の小体投資顧問を称号変更して、資本金2.5億円で発足したものである。同社の役員は4名で、運用業務はおもに浅川社長の野村時代の上司(元常務)であった松木新平氏(67)が担当していた模様である。<br />
<br />
　AIJは企業年金の受け皿とするために、英領ケイマン諸島に少数のプロ投資家を対象とする「エイム・ミレニアム・ファンド」をはじめ私募投資信託を3本設定したが、その運用会社&quot;AIM　Investment　Advisors　Ltd&quot;の役員は浅川社長ほかが兼務しており、実質AIJと一体である。
</p>
<p>
　昨年末に顧客に配布した資料によると、このファンドの02年6月から11年11月までの運用実績は、収益率累積で245%と驚異的であったが、これはまったくの虚偽で、実際には約90%のマイナスであったと言うのが、事件の骨子である。
</p>
<p>
　この事件の波紋が大きく広がっているのは、詐欺の巧妙な手口に加えて、AIJと投資一任契約を締結して被害者となった94の年金基金の多くが、同業の中小企業が連合して設立した総合型と呼ばれる中小の企業年金であった点、AIJの勧誘活動に旧社保庁のOBが深く関わっていた点にある。<br />
<br />
　AIJの投資受託残高は下図のとおり、設立来順調に伸びてきた。一基金当りの委託額では、富士電機の97.6億円が最高で、次いで愛知県トラック事業(89.3億円)、SCSK(69.2億円)、長野県建設業、日本ユニシス、神奈川県印刷工業と続き、基金総額の1/3以上をAIJに集中していた基金も数件に上る。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120306AIJMondaiZu.jpg" alt="120306AIJMondaiZu.jpg" width="400" height="250" />
</div>
<p>
　
</p>
<p>
　事件の原因は、投資顧問業を認可制から届出制に変更したこと、私募投信の自由化、投資家区分の誤り、外部監査の欠如、行政監視の怠慢など規制緩和の行過ぎなどに加えて、軽い刑罰規定にあると指摘する批判も出ている。検証の結果は、このような虚偽操作には重罰以外の規制強化では到底対応し得ないというのが、結論である。
</p>
<p>
<strong>投資顧問業の届出制</strong>
</p>
<p>
　投資一任業務を手掛けられる顧問業は、従前の「投資顧問業法」では認可制であったものの、当時から認可の取得自体は易しく、AIJのように既存の会社を買収することも容易であった。投資顧問業法は2006年に「金融商品取引法」に統合され、原則として届出制に緩和された。この届出制への規制緩和を今回の事件の原因として批判する発言も聞かれるが、これは当らない。
</p>
<p>
<strong>私募投信の解禁とそれによるデリバティブへの投資自由化と外部監査の排除</strong>
</p>
<p>
　今回の事件の核心は、受託した投資資金が100%「私募投信」で運用されている点にある。この私募投信は1998年の投資信託法改正で解禁されたいわゆる「ヘッジ・ファンド」で、上図のとおり10年余で30兆円の規模に膨れ上がっている。私募投信では、販売対象を「適格投資家」に限定する代わりに、「デリバティブ取引については、評価損の合計額がファンド純資産の50%未満」に限定されていた公募の制限が、私募については全廃された。AIJの私募投信は、現物投資は一切行なわず、全資産をデリバティブでのハイ・リスク運用をしていた模様である。
</p>
<p>
　その根拠は、AIJが2011年3月に関東財務局に提出した2010年度の事業報告書によれば、1年間の市場デリバティブ取引高(約定ベース)が、債券で54.8兆円、株式で2.3兆円という巨額に上っていることにある。このデリバティブ取引による損益の状況はまったく闇の中であるが、おそらくは、益が出た取引のみ顧客に報告し、損が出た取引は隠蔽するといった操作を長期にわたり繰り返してきたものと推測される。
</p>
<p>
　投資顧問や金融機関にデリバティブ取引を青天井で容認する限り、AIJのような詐欺行為をチェックすることは不可能に近い。監査法人にもデリバティブ管理を完璧にチェックできるプロは多くはなく、監査のコストが嵩むからである。
</p>
<p>
　投資信託の運用実績の外部監査については、公募・私募ともに義務づけられていないが、大手の投信会社は、すべての公募投信と一部の私募投信について独立した監査法人の監査証明を付けている。ただ、現物投資の場合には、投資証券を保管している信託銀行の残高証明があれば十分であり、法律で一律に外部監査を義務付けるべしとの議論には与しない。
</p>
<p>
　投資運用会社から資産管理を受託している信託銀行の機能強化も議論されているが、デリバティブの時価評価まで引受けてくれる銀行はない。中身の分からない商品を買うか買わないかは、投資家の判断に委ねるのが筋であろう。
</p>
<p>
<strong>プロとアマの区分と罰則規定</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>企業年金を運用する厚生年金基金についても投資家保護が必要との議論も喧しい。従前は投資家に区分は存在しなかったが、2007年に施行された金融商品取引法で無知な投資家を保護する観点から『大企業などの法人投資家は原則「プロ」、中小企業や個人などは原則「アマ」ながら「プロ」選択も可』とされた。その結果、アマ投資家には私募投信や私募債への投資など複雑な金融商品への投資は認められなくなった。
</p>
<p>
　ところが、企業年金を運用する厚生年金基金は従前から特別の公法人と位置付けられ、すべてが「適格機関投資家」扱いとなったために、プロ投資家としての自己責任が問われ、アマ並みの保護は受けられない。厚年基金の実態はまさにアマそのものであり、本来は法人投資家については、資産運用についてのプロ置いているか否かで、プロかアマかの判定をするのが筋であろうが、実際問題としてはこの線引きは難しい。
</p>
<p>
　虚偽の運用報告書で騙し続けたAIJの罪は重いが、虚偽を見抜けなかった厚年基金は自業自得である。ただ、報告書への虚偽記載の罪が「5年以下の懲役または500万円以下の罰金（法人は5億円以下の罰金）と量刑が軽い点も問題となっている。せめて、有価証券報告書への虚偽記載並に「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金（法人は7億円以下の罰金）」刑に引き上げるべきであろう。
</p>
<p align="right">
（<strong>日本個人投資家協会</strong><strong>理事　</strong><strong>岡部陽二）</strong>
</p>
<p align="left">
（2012年3月6日、日本個人投資家協会月刊紙「きらめき」2012年3月6日号所収）
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/aij.html</link>
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                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Tue, 06 Mar 2012 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>知財問屋・片岡秀太郎商店　第76回右脳インタビュー「医療の現状について」</title>
         <description><![CDATA[<p>
<a href="/pdf/120302.pdf" target="_blank">&rArr; インタビュー記事を見る(PDFファイル)</a>
</p>
<p>
<strong>76回　右脳インタビュー　</strong>　　　　&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; 2012年3月1日&nbsp;&nbsp;
</p>
<p>
<strong>岡部　陽二さん　</strong>
</p>
<img style="width: 229px; height: 252px" src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120301%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%A7%80%E5%A4%AA%E9%83%8E%E5%95%86%E5%BA%9776%E5%9B%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BCLogo.jpg" alt="120301%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%A7%80%E5%A4%AA%E9%83%8E%E5%95%86%E5%BA%9776%E5%9B%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BCLogo.jpg" width="320" height="320" align="right" />
<p>
医療経済研究・社会保険福祉協会　医療経済研究機構　副所長<br />
<br />
元住友銀行（現 三井住友銀行）専務取締役<br />
<br />
1934年生まれ、京都大学法学部卒業後、住友銀行（現 三井住友銀行）入行。取締役ロンドン支店長、専務取締役を歴任後、明光証券（現SMBC フレンド証券）代表取締役会長、広島国際大学医療福祉学部医療経営学科および同大学院教授を経て、現在、医療経済研究・社会保険福祉協会　医療経済研究機構　副所長。&nbsp;&nbsp;
</p>
<p>
主な著書・訳書
</p>
<p>
米国医療崩壊の構図-ジャック・モーガンを殺したのは誰か?<br />
レジナ・E. ヘルツリンガー (著)　岡部 陽二 (監訳), 竹田 悦子 (訳)<br />
㈱一灯舎 2008年<br />
消費者が動かす医療サービス市場-米国の医療サービス変革に学ぶ<br />
レジナ・E. ヘルツリンガー (著)　岡部 陽二 (監訳), 竹田 悦子 (訳)<br />
シュプリンガーフェアラーク東京 2003年<br />
医療サービス市場の勝者-誰が医療サービス市場の勝者となり、敗者となるか<br />
レジナ・E. ヘルツリンガー (著)　岡部 陽二 (監訳), 竹田 悦子 (訳)<br />
シュプリンガーフェアラーク東京 2000年
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　今月の右脳インタビューは岡部陽二さんです。岡部さんは住友銀行でロンドン支店長、専務取締役（国際部門担当）を歴任後、現在は医療経済研究機構の副所長としてご活躍です。本日は日本の医療の現状についてお伺いしたいと思います。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　日本の医療制度は世界と比較するというと、すべてが違うといってもいいほどユニークです。例えば日本では風邪をひいてもすぐ病院...となりますが、世界では病院とはどうしても行く必要があるときには一般医(GP, General Practitioner、かかりつけ医)を通して予約を取り、最低でも3日くらい、時には2～3ヶ月以上も待たされてから診てもらえるというのが一般的な認識です。日本のようなフリーアクセス（受診する医療機関を自由に選べる制度）は患者個人にとってはよいことかも知れませんが、実はそれだけではありません。どの病院に、いつ行ってもよいので、ただの風邪でも大病院に行く人が沢山出てきます。英国でも米国でも、まず一般医が診て振り分けますので、風邪で東大病院に行くというようなことはあり得ません。東大病院は風邪などで時間を取られれば、他の高度な治療ができず、日本の医療全体から見れば大きな損失です。一般医と専門医（病院）の住み分け問題は大切な事で、OECDは各国の一般医と専門医の比率を発表していますが、日本はその区分すらなく報告もできていません。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　例えばオーストラリアの一般医の給与は年収数百万円程度と低く、給与の高い専門医は専門医療に集中させて効率的です。日本はそもそも医者を養成する段階で、専門医を多く輩出する東大や慶応の医学部の授業料は安く、普通の医大はその何倍もコストがかかる...。一般医の制度は医療費の高騰に伴うコスト削減という観点から生まれたのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　欧州の幾つかの国ではもともと一般医のような制度がかなり以前からありましたが、米国では医療費抑制の手段として発達してきました。フリーアクセスだと一般医と専門医の区別もなくなります。患者が勝手に病院を選ぶのですから病院としてもあれもこれもできるようにしようとします。勿論、医療費や医療資源の効率的運用の点からも問題です。一方、医療者サイドから見れば、この無政府状態はある意味で心地がいいともいえます。日本の医療の問題を一言でいえばガバナンスが働いていないということです。本来は、一般医と専門医の住み分けにしても、欧米のように医師が学会などを通じて自らを律するルール作りをするのが理想でしょうが、日本のように政府依存が高い国では、政府がその役割を果たすのもやむを得ないことかも知れません。ただ、「原子力村」と同様に、一種の「医療村」意識で、一般社会の通念とは違った価値基準があるのであれば、それはよくありません。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　他の諸国と比較して日本の医療費の伸びは大きいのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　どの国でも医療費はGDPの成長率を超えて伸びていますが、日本は名目GDPが過去10年間下がり続けている中で医療費だけが伸び、しかも高齢化が世界一速いのですから大変な問題です。抑制するには公的保障の範囲を狭めるしかなく、例えば、今使っている薬より進んだ薬には公的医療保険を適用せず、使いたければ自分でお金を払うか、民間の医療保険に入って下さいという方法です。オーストラリアも国民皆保険ですが、民間の医療保険を奨励し、民間保険料の3割を国が出して奨励しています。また、日本の医療保険制度はドイツに倣ったものですが、ドイツでは富裕層と公務員は民間保険に加入しており、一般の人たちが病院で長蛇の列を作る中、民間保険の人たちは優先して診療を受けていますが、これがごく自然に受け容れられているようです。一方、日本はつい最近まで民間保険を認めず、日米交渉などによって一部が解放させられ、第三分野ということで、がん保険等の限定的な保険が作られましたが、公的保険を補完するものには育っておりません。<br />
<br />
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp; 　幾つかの検査機器の保有量が突出して多いのも日本の特徴ですね。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　特にCT（コンピュータ断層撮影　Computed Tomography）やMRI（核磁気共鳴画像法　Magnetic Resonance Imaging）は、大雑把にいうと人口比でみて、日本はアメリカの倍、アメリカは欧州の倍、つまり日本は欧州の4倍あります。これもフリーアクセスが関係していて、皆で患者の取り合いをするのですから診療所にまでそうしたものが置かれています。PET（ポジトロン断層法　Positron Emission Tomography）という一台何億円もするような機器を病院ではなく診療所が持っている例もあります。それらをペイさせようとするわけですから...。<br />
　ところで、よく病院崩壊といいますが、キャノングローバル戦略所の松山幸弘研究主幹のレポートよると、132の社会医療法人を調査した結果、これらの法人は十分に儲かっていて、医療崩壊というのは誤りだそうです。大変なのは親方日の丸の自治体病院などの公立病院ばかりです。勿論、自治体病院でも故 武弘道先生のように次々と立て直しに成功された立派な経営者もおられました<sup>（注</sup><sup>1</sup><sup>）</sup>。武先生の方針は、とにかく管理を強化して病院全体の生産性を高める,そのためには、一般にはお医者さんには不人気といわれる小児科や産婦人科を開けばよいという逆転の発想の持ち主でした。つまり改善の余地はいくらでもあるということです。ただ、実際問題とすると、武先生のような凄い人がおられて初めて改善できるのであって、全体でみると難しいでしょう。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　医療保険の問題では、年齢による格差があります<sup>（注</sup><sup>2</sup><sup>）</sup>。例えば70～74歳の人の一人当たりの医療費は60万円で、それに対する負担（保険料＋自己負担）は18万円、90～94歳だと、医療費103万円に対して負担が13万円、一方30～34歳の人は10万円の医療費に対して22万円を負担しています。彼らは所得もそれほど高くなく、子供もいて色々と費用も掛かかるのに。ですから70歳以上の人は70歳以上の人だけで出来る限り処理し、どうしても足りなければ他の層から貰ってくる...そうしたことが必要ではないでしょうか。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>　　そうですね。日本では老人が老人ホームに入るか否かを介護保険に申請するとき、基準は介護度によるもので、書類審査だけで決めていますが、オーストラリアでも、もし寝たきりとなる人がいたら、当然、どこかに収容して面倒を見なければいけないのですが、その際にはミーンズ・テスト（means test）といって、厳密な資産調査を行います。それに従って、財産はすべて国に譲渡しなさい。毎月入ってくる年金も9割は国に...と、その代りに国が一生面倒を見ます。まさに100年安心です。日本では、そういう財産の事は一切言わない。一定の年齢になれば貧しくても、億万長者でも同じサービスを受けることが出来ます。これで公平なのでしょうか? 　また、英国では65歳以上だと公的保障では心臓施術をしてもらえません。したければ自分のお金ですればいい。日本は90歳になっても保険で心臓手術をします。もちろん、どうしても必要な手術であれば、お金の無い方には保険で面倒を看ると言うのは、理に適っています。ただ、老人は弱者だからすべて一律に保護しなくてはいけないと言うのは、真の公平ではないと思います。ん。実際には高齢者でも金銭的には決して弱者でない人がかなりの数います。高齢者は高齢者の間で、弱者は弱者ではない人が養うというのが本当の共助です。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　最大の利用者である老人の負担率が少ないのですから、医療機関にとっては歯止めが効きにくいですね。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　そうですね。また医療機関にとっては、もし心臓手術をしなければ訴えられるというリスクもあります。日本は社会保障が進みすぎました。アジアの国はまだそれが進んでいないので、今、彼らは日本を見て、日本がやったことだけはやらないようにしようと...。勿論、日本も何度も制度を見直そうとしましたが、その度に物凄い反発にあって見直せませんでした。ただ、医療改革が難しいのは、どの国でも同じです。鉄の女といわれた英国のサッチャー首相は産業や金融の大改革を成し遂げましたが、そのサッチャー首相でも医療改革には手を出せませんでした。医療というものはそういう世界です。しかし、日本の医療制度は、かなりの部分が借金で賄われていますので、国債が出せなくなれば維持できません。ですからこの制度はいずれは見直されざるを得ません。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　TPPについてはいかがでしょうか。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　医療分野に関する限りは、そもそもTPPの対象分野としては議論する余地もないのではないかと思います。よく話題となるのは混合診療と株式会社経営の問題ですが、これらはTPPとは関係なく、むしろ純粋に国内問題として議論を尽くすべき課題です。株式会社は営利だから医療に向かないとの主張が強いですが、大切なのは営利・非営利の問題ではなく、ガバナンスの問題です。一般の医療法人はガバナンスの面からみると決して褒められたものではなく、寧ろ、医療法人が株式会社並みのガバナンスになればよいと思います。しかしそうならないのであれば、株式会社を使えばよい。例えば東大から病院だけ切り離して株式会社東大病院にする。その典型がジョージワシントン大学病院で、米最古の病院である同院が20年前に実質的に倒産、米三大チェーン病院の一つに買収され、大学の中にあって外部による株式会社経営となりましたが、今は隆々としています<sup>（注</sup><sup>3</sup><sup>）</sup>。医学の臨床教育もその株式会社の病院を使って行うというだけです。混合診療は、そういう仕分けをすること自体が問題です。日本以外の国には、そもそも混合診療という概念がなく、むしろ混合しているのが当たり前です。だからと言って、米国がTPPの交渉の場で混合診療の撤廃や株式会社の参入を本気で要求してくるとは思いませんが...。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　規制が緩くなったとしても米国企業にとって日本市場は参入が難しく、利益も上げ難いということでしょうか。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　それを米国はよくわかっています。そんなことで日本の世論を逆なでしても何のメリットもありません。それに日本の病院経営が彼らにとって魅力のあるものとは到底思えません。数年前、日本の製薬会社も合従連衡していかないと立ちいかなくなるという議論が盛んに行われていました。それで世界との関係はどうなっているか調べて欲しいといわれて欧州で調査を行ったのですが、結論から言えば、欧米ではM&amp;Aが盛んに行われていますが、その欧米の製薬会社が本気で武田薬品工業や第一三共を狙っているかといえば、それはありません<sup>（注</sup><sup>4</sup><sup>）</sup>。彼らのターゲットは欧米の企業であり、価格の問題もありますが、当時から日本企業の買収にメリットを感じていませんでした。実際に中外製薬や万有製薬などの例はありますが、中外製薬とRocheは<sup>（注</sup><sup>5</sup><sup>）</sup>、フーマー会長と永山会長の個人的な信頼関係があってのことですし、万有製薬は販売網を一から作るよりは買収した方がということであり、研究開発型や大手の買収ではありません。<a name="_GoBack" title="_GoBack"></a>日本での研究開発はコストがかかりすぎて魅力がありませんから。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　国として日本の技術、研究開発力を生かす仕組みが出来てないということですね。
</p>
<p>
<strong>岡部：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　国の審査にも非常に時間がかかっていますし、審査する側の対応能力が不十分です。治験は時間もコストもかかりすぎ、臨床研究は基礎研究に比べて非常に遅れています。医薬品でも興味がないというのに病院経営には...。寧ろ外資は日本から撤退しつつあります。自動車だってそうですし、ファイザーも日本の研究開発拠点を売却しました。日本はコストが高く、規制が強く、合わない市場です。魅力のない市場の開放を本気で要求するのでしょうか。そんな戦略はあり得ません。
</p>
<p>
<strong>片岡：</strong>&nbsp;&nbsp;&nbsp; 　貴重なお話を有難うございました。
</p>
<p>
～完～
</p>
<p>
<strong>インタビュー後記</strong>
</p>
<p>
岡部さんに注目の経営者をお聞きました。エーザイの代表取締役CEOの内藤 晴夫氏で、ワンマンで長期政権な面もありますが、しっかりとした仕組みを整え、社外取締役も半分以上いて、それがキチンと機能していて、企業のガバナンスの観点から見て卓越しているそうです。さて、岡部さんは個人でホームページ（<a href="http://www.y-okabe.org/index.html">http://www.y-okabe.org/index.html</a>）を開設、沢山の素晴らしいコンテンツを発信しております。是非、ご覧下さい。
</p>
<p>
<strong>聞き手　片岡　秀太郎</strong>
</p>
<img style="width: 140px; height: 222px" src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120301%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%A7%80%E5%A4%AA%E9%83%8E%E5%95%86%E5%BA%9776%E5%9B%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BCLast.jpg" alt="120301%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%A7%80%E5%A4%AA%E9%83%8E%E5%95%86%E5%BA%9776%E5%9B%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BCLast.jpg" width="210" height="320" align="right" />
<p>
1970年　長崎県生まれ。東京大学工学部卒、大学院修士課程修了。博士課程に在学中、アメリカズカップ・ニッポンチャレンジチームのプロジェクトへの参加を経て、海を愛する夢多き起業家や企業買収家と出会い、その大航海魂に魅せられ起業家を志し、知財問屋 片岡秀太郎商店を設立。クライシス・マネジメントとメディアに特化したアドバイザリー事業を展開　&lt; http://chizai-tank.com &gt;
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
脚注
</p>
<ul>
	<li>注1<a href="http://www.y-okabe.org/interview/post_10.html">http://www.y-okabe.org/interview/post_10.html</a></li>
	<li>注2<a href="http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/dl/nenrei20.pdf">http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/dl/nenrei20.pdf</a></li>
	<li>注3<a href="http://www.gwhospital.com/About-the-Hospital">http://www.gwhospital.com/About-the-Hospital</a></li>
	<li>注4<a href="http://www.y-okabe.org/medical/post_133.html">http://www.y-okabe.org/medical/post_133.html</a></li>
	<li>注5<a href="http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/ir/kojin/roche_alliance.html">http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/ir/kojin/roche_alliance.html</a><br />
	<a href="http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/downloads/pre00131.pdf?blobheader=application%2Fpdf&amp;blobheadername1=content-disposition&amp;blobheadervalue1=inline%3Bfilename%3Dpre00131.pdf&amp;blobwhere=1259614745921&amp;ssbinary=true">http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/downloads/pre00131.pdf?blobheader=application%2Fpdf&amp;blobheadername1=content-disposition&amp;blobheadervalue1=inline%3Bfilename%3Dpre00131.pdf&amp;blobwhere=1259614745921&amp;ssbinary=true</a></li>
</ul>
<p>
<br />
（経済産業新報社、2012年3月25日発行「経済産業新報」No.1661号ｐ6および同2012年4月15日発行No.1662号p6&amp;7所収）
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/interview/76.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/interview/76.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">008医療経済論集</category>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">009インタビュー記事</category>
        
        
         <pubDate>Thu, 01 Mar 2012 13:48:56 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜投資教室＞所得格差の元凶は証券マンの高給</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120215KakusaLogo.jpg" alt="120215KakusaLogo.jpg" width="320" height="212" align="right" />
&nbsp;
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　「ウォール街を占拠せよ（Occupy Wall Street）」のスローガンを掲げて、昨年9月18日にニューヨーク市ウォール街近くのズコッティ公園で座り込みを始めた格差反対デモは、その後全米に広がり、大統領選挙とも絡んで、当面収束する気配はない。
</p>
<p>
　2008年に発生したいわゆるリーマン・ショックの結果、世界中が不景気に喘ぎ、とくに米国では20歳台の若者の4割が定職に就けない状況に陥った。OWSの抗議運動は、不況の引き金となったウォール街の悪徳金融資本を標的としたものであるが、それに対して有効な対策が打てない政府や金融界への中流層の不満が、このOWSデモの呼び掛けに賛同して、全米規模に拡大した。<br />
<br />
　デモの主張は区々で統一を欠いているものの、①政府による金融機関救済への批判、②富裕層への優遇措置撤廃、③金融規制の強化、④高額家賃や学費に対する批判、⑤高い失業率の解消要求などに拡散している。もっとも、共通項としては「America,1% Rich,99% Poor」のプラカードに象徴される富の偏在への批判が中心となっている。
</p>
<p>
　この「1% 対99%」のスローガンの背景には、超リッチ上位1%の実質所得増加率（インフレ調整後のネット）が、図1のとおり28年間で278%と大きいのに対し、下位99%の実質所得はほとんど増えていないという厳しい現実がある。
</p>
<div style="text-align: center">
<img style="width: 569px; height: 246px" src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120215KakusaHyou1%262.jpg" alt="120215KakusaHyou1%262.jpg" width="847" height="246" />
</div>
<p>
　<br />
　この結果、米国では表1に見られるように、人数でトップ1%に属する高所得者の所得が、この30年間で8%から20%近くを占めるまでに急増、上位1%の資産占有率は40%に達している。<br />
<br />
　一方、日本では、図2に示したように上位20%と下位20%の所得伸び率の間に格差拡大の顕著な傾向は見られず、表2に掲げたように上位1%の総所得に占める比率も、いまだ9%程度に留まっている。<br />
　<br />
　この所得格差の国際比較は、パリ大学の研究プロジェクト・チームが世界20ヵ国余について各国の全数調査による税務統計を基に1874年からの比率を算出、毎年更新しているもので、信憑性は高い。
</p>
<p>
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<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120215KakusaZu1%262.jpg" alt="120215KakusaZu1%262.jpg" width="601" height="213" />
</div>
<p>
　
</p>
<p>
　オバマ大統領は再選に向けて、民主党リベラル派と格差拡大への批判者が多い無党派層に配慮して、機会均等と雇用増進を掲げた「大きな政府」へと政策の舵を切る一方、共和党を「何でも市場任せ」「金持ちやウォール街の味方」と攻撃して、富裕層への増税と貧困層への支援を約束している。共和党の最有力候補である富豪のミット・ロムニー氏については、「所得上位0.006%内、投資の上がりだけで数千万ドルの年収がありながら、税負担は約14%と低い」とこき下ろしている。
</p>
<p>
　こうした中で、世界でもっとも有名な金持ちウォーレン・バフェット氏も「自分の連邦所得税率は17.4%で、自分の秘書よりも低い。これは不公平であり、金持ちの税率を引上げるべき」と主張し始めた。オバマ大統領にとっては追い風である。米国ではキャピタル・ゲインなどの金融収益には一律15%しか課税されないので、こんなことになる。実際は資産をタックス・へヴンなどに逃避しているので、もっと低い。
</p>
<p>
　ところで、この反格差運動の支柱となっている格差拡大の理論的の分析を行ったのは、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授で、昨年10月にはデモ会場で「ウォール街は損失を社会に負わせ、利益は独り占めにした。これは資本主義ではない」と演説して喝采を浴びている。<br />
　<br />
　批判の対象には、バフェット氏のような投資家や辣腕の経営者も含まれてはいるものの、大衆の怒りは公的資金の注入で救済された投資銀行などの役職員が、リーマン・ショック後も相変わらず、高い報酬を得ていることに、集中しているようである。　
</p>
<p>
　そもそも、ディーラーやファンド・マネジャーは、本来個人ではとり得ない大きなリスクを彼らの属する投資銀行などの信用をバックとしてとることによって稼いできた。彼らに利益の一定割合を報酬として支払う歩合給体系が、自己勘定で大きなリスクをとらせた根因であり、その結果として銀行が破綻した以上、その銀行の役職員個人も破産しなければ、理屈が合わないという素朴な感情である。
</p>
<p>
　20年ほど前のことではあるが、当時の野村證券社長が「わが社のニューヨーク現法には、社長の私より高給をとっているディーラーが100人以上もいる」と得々と語っているのを聞いて、筆者は首を傾げた記憶がある。その野村證券が今年に入って、旧リーマンから引きとったロンドンで全世界の法人部門を統括してきた副社長とトレーディング部門のトップを解任したが、二人とも社長の給与（09年度は約3億円）をはるかに上回る年俸を得ていたとされる。この二人は歩合給ではないが、専門職といえども、社長よりも高給の固定給を支払うという報酬システムの企業はどう見ても異常である。
</p>
<p>
　欧米では、このような高額報酬を規制する措置が各国で打ち出されている。わが国も欧米に足並みを揃えるべく、金融庁が2012年3月期から「海外拠点のトレーダーや執行役員など高額な報酬を得ている役職員の報酬総額を開示する」よう金融機関に義務付けた。ただ、上場企業には報酬総額に加えて、年間１億円以上の報酬を受取った役員の名前と金額の開示を義務付けており、金融機関についても、個別開示を求めるべきである。
</p>
<p>
　わが国では、このような高給体系は一部の証券と外銀のみが採用しているだけで、銀行や一般企業には当てはまらないものの、投資家に対する情報開示は不可欠である。<strong>　</strong>&nbsp;&nbsp;
</p>
<p align="right">
<strong><br />
（</strong><strong>日本個人投資家協会理事</strong><strong>　岡部陽二）</strong>
</p>
<p align="left">
（2012年2月15日、日本個人投資家協会発行「きらめき」2012年2月号所収）
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/post_229.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/market/post_229.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">006国際金融論集</category>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Wed, 15 Feb 2012 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜投資教室＞独立取締役と独立監査役の必置実現を</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120116IndependentDirectorsLogo.jpg" alt="120116IndependentDirectorsLogo.jpg" width="250" height="159" align="right" />
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&nbsp;
</p>
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<strong><br />
</strong>&nbsp;
</p>
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<strong>　<br />
<br />
　</strong>2011年年末の日経平均株価は8,455円と年間で17%下落、29年振りの安値となった。年間5.5%高となったNY株のダウ平均の動きとは対称的である。年後半の日本株売りが、東電、大王製紙、オリンパスと続いたガバナンス欠如に起因する有力企業の株価崩落が日本企業全般に広がるのではという疑念に触発されたことは間違いない。
</p>
<p>
　外国人投資家にことさら根強いこのようなガバナンス欠如に対する疑念を払拭して、日本企業の国際信用を取り戻す方策は、企業ガバナンスの基本である経営の透明性を確保するための独立取締役と独立監査役の必置を早急に実現する以外にない。上場企業に独立取締役選任を義務付けているのは、米・英・欧州諸国だけではなく、中国（2005年）、韓国（2003年）・インド（2007年）・シンガポール（2005年）などアジアでも主要10ヵ国以上に上っているからである。<br />
<br />
　わが国でも、ガバナンスの向上に向けた環境整備と銘打って、2010年に東証が全上場企業に対し、「独立役員」最低1名の選任を義務づけた。しかしながら、肝心の「独立取締役」必置は求めておらず、独立性の定義も緩やかである。この結果、昨年末には3月期決算会社全社が届出を行なったが、独立役員のうち、独立社外取締役を選任した会社は全体の25.4%に過ぎず、74.6%は社外監査役のみの選任である。トヨタなど時価総額1兆円超の大会社61社について見ても、社外監査役のみの選任会社が32.8%を占めている。社外監査役については、すでに会社法で「監査役会を設置する会社は、監査役が3名以上で、その過半数が社外監査役でなければならない」と定められており、この東証の新規制はほとんど意味を成さない現状追認的なものである。<br />
<br />
　そこで、昨年12月に法務省から出された「会社法制の見直しに関する中間試案」では、「監査役会設置会社（公開会社であり、かつ大会社に限る）においては、一人以上の社外取締役の選任を義務づける」という案が、一つの選択肢として提案された。これが実現すれば、大いに評価される。このような動きの背景には、表１に見られるような上場会社の株主構造の変化がある。　
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/120116IndependentDirectorsHyou1.jpg" alt="120116IndependentDirectorsHyou1.jpg" width="600" height="237" />
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<p>
　
</p>
<p>
　この表で明らかなように、1990年代には株価以外の関心から株式を保有するインサイダーが、株主の60%以上を占めていたが、最近時では逆に投資収益を目的に株式を保有する外国人や機関投資家のアウトサイダーが60%以上を占める状況に変化した。時価総額の大きい大会社については、この傾向が一段と顕著である。アウトサイダー優位の株主構造となれば、独立社外取締役を積極活用して、外部からの意見を経営に反映させるようにガバナンスの構造も必然的に変化せざるを得ない。
</p>
<p>
　この法務省試案には、財界の反対が根強く、独立取締役必置の実現は予断を許さないが、上場企業の中には、独立社外取締役をガバナンスの中核と位置付けているエーザイのような先進的な会社も現れている。エーザイは「取締役会は専門知識や経験が異なる多様な取締役で構成し、その過半数を社外取締役とする」「取締役会の議長は原則として社外取締役の中から選定し、代表執行社長と分離する」｢社外取締役は会社法に定める要件を充足するだけではなく、当社から独立していなければならない」「指名委員会と報酬員会はすべて社外取締役で構成する」「社外取締役のみの会合を年1回開催する」などと明確に規定して現に実行し、公表もしている。すべての上場企業が自発的にエーザイに倣えば、法規制は要らない。
</p>
<p>
　ほかにも、たとえば、日立は現在取締役12名中、4名が社外であるが、昨年末に行なわれた日経紙でのインタビュー記事で、近い将来にこの割合を逆転させて、社外を過半数とする旨、社長が表明している。社内英語化を実現した楽天でも、取締役16名中4名が独立社外で、うち2名は外国人である。<br />
<br />
　オリンパスのケースでは、社外取締役が主幹事野村証券の元担当者で、悪事の首謀者であったというのは論外であるが、英国子会社に入ったウッドフォード前社長が英国人故の正義感から不正の隠蔽を暴いたのは、彼が実質的に社内ながら独立役員の役割を果たした結果となり、怪我の功名とも言える。<br />
<br />
　このように見てくると、独立社外取締役のルール化に当っては、社外であれば誰でもよいというのではなく、自身の利害関係を度外視して大局的に判断のできる「独立性」の担保が重要となる。そもそも英語には｢社外取締役」という用語は無く、Independent Director一本である。わが国でも、「社外取締役」という用語は廃して、｢独立取締役」に一本化するべきであろう。
</p>
<p>
　独立取締役の独立要件の整備に当っては、表２に掲げたような欧米での基準が参考となる。株式持合いの関係ある企業や重要な取引先、取引金融機関役職員・OBなどからの独立取締役起用は全面的に禁止されなければならない。過去の雇用関係については、欧米には終身雇用の慣行がないので、退社後の経過期間についての縛りは緩やかであるが、わが国では退社後10年以上の長期に設定すべきであろう。
</p>
<p>
　独立取締役の役割は企業の社会からの遊離を防ぎ、外部の目で新鮮な考え方を示すことで、企業活動を活性化することにあり、そのためには、数の要件も不可欠である。一人の独立役員が多数の社内役員に押し潰されてしまうようでは、機能しないので、会社法の最低基準はともかくとして、時価総額が1,000億円を超えるような東証一部クラスの大企業につては、過半数の独立取締役必置を義務付けるべきである。
</p>
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<p align="right">
<strong><br />
（</strong><strong>日本個人投資家協会理事</strong><strong>　岡部陽二）</strong>
</p>
<p align="left">
（2012年1月16日、日本個人投資家協会発行月刊紙「きらめき」1月号所収）
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/post_228.html</link>
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                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Mon, 16 Jan 2012 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>Monthly IHEP　有識者インタビュー「オーストラリアの医療システムについて」ンタビュー「オーストラリアの医療システムについて」</title>
         <description><![CDATA[<p align="center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111220PhotowithProfBraithwaiteLogo.jpg" alt="111220PhotowithProfBraithwaiteLogo.jpg" width="320" height="240" align="right" />
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<strong>話し手:　ニュー・サウス・ウェールズ大学　教授　　　　<br />
　　　　　　　ジェフリー・ブライスウェイト氏</strong>
</p>
<p align="right">
<strong>　　　　　　　聞き手： 医療経済研究機構　副所長　岡部陽二ほか</strong>
</p>
<p>
　今回は、昨年9月下旬にキヤノングローバル戦略研究所の招きで来日されましたオーストラリア<strong>・</strong>ニュー・サウス・ウェールズ大学・オーストラリア医療イノベーション研究所教授兼財団理事長のジェフリー・ブライスウェイト氏（Professor Jeffrey Braithwaite, Professor &amp; Foundation Director, Australian Institute of Health Innovation, AIHI）にオーストラリアの医療システムにおける組織マネジメントや医療の質と安全管理などを中心にお伺いしました。
</p>
<p>
　ジェフリー・ブライスウェイト教授の研究活動領域は、急性期病院のカルチャーや構造、医療事業体の経営管理とその変遷、医療の質と安全の研究、医療サービスの構造改革に関する提言など多岐にわたっており、医療サービス組織研究の第一人者として国際的名声を博しておられます。
</p>
<p>
　研究所の理事長として手腕を発揮される一方、研究者個人としても過去5年間に34件、27百万ドル（約22億円）のグラントなどの外部資金を獲得されました。ランセット誌など著名な研究誌への発表論文数は400件におよび、国内外での会議、シンポジウムなどでの講演回数も400回を超えておられます。
</p>
<p>
　このインタビューは、ブライスウェイト教授を囲んで、当機構の岩井勝弘研究主幹、新野由子研究副部長、片岡寛典企画調査部長、下田康次事業推進担当部長に、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の松山幸弘氏と前当機構研究主幹で豪州駐在ご経験をお持ちの厚生労働省統計情報部社会統計課長の西村淳氏に加わっていただき、懇談会形式で行なったものです。
</p>
<p>
<strong>〇　Australian Institute of Health Innovation （AIHI)の役割</strong>
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　本日は、このような寛いだ懇談方式で、オーストラリアと日本のヘルスケアの状況についてディスカッションできる機会をいただき、ありがとうございます。先生が理事長を務めておられますAIHIは2007年に既存の3研究所を統合して設立され、その役割・使命は医療システムにおけるガバナンスのあり方を横断的・統合的に研究することと承知しております。AIHIではITなどの先端技術を駆使して、医療の安全や効率性の向上など、臨床面だけではなく、組織運営全般にわたる医療提供機能の整備・強化を目指しておられるものと理解しております。スタッフは何人くらいいらっしゃるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　そのとおりです。現在AIHIの研究スタッフは総勢100名、うち研究員は70名です。現在取組んでいる医療システムの問題に関わる大きなテーマ数が21あり、グラントの総額は13百万豪ドル（約11億円）となっています。このような医療ガバナンスに的を絞った研究機関は少なく、国際的に見ても最大規模の組織です。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　研究活動をもう少し具体的にご説明いただけますでしょうか。また、どのような専門分野の研究者が多いのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　研究には、医師、看護師、医療専門家が大勢関わっていますが、博士課程の学生も研究員になっています。また、人類学者、経済学者、社会学者、心理学者なども加わっております。たとえば新薬や新しい技術などについての輪唱研究では、それが医療現場でどのように使われているかを、それぞれの専門家が研究しています。<br />
　現場重視で医療システムを改善する潜在能力について研究し、医療現場での改革実行を促します。監督省庁が机上で考えて「これが政策だ、これが規則だ」と言うのは構いませんが、実際の医療システムでは、医師や看護師やその他の医療従事者が患者を治療しながら、システムを運営しているのです。そこが改革の行なわれる場所です。その現場の実践で医療の質を改善することができます。ですから、私たちの研究はその医療現場に焦点を当てているのです。
</p>
<p>
機構；　倫理面などを含めた病院の管理についての研究も行なっておられますね。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　はい、政策、倫理、管理、リーダーシップ、システムの改善など、さまざまな分野の研究を行なっています。臨床研究のスタッフとも協力して医療ガバナンス問題を中心に研究を進めています。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　現在手掛けておられます大きなテーマは何でしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　研究は四つの研究センターに分けて行なっていますが、Eヘルスに関する研究が最大です。電子カルテや情報技術を医療システムに応用して効率化を図り、さらには医療の質を改善することに関する研究で、これが大きな部分を占めています。オーストラリアは、電子カルテの分野に数十億ドルの規模で資金をつぎ込んでいます。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　AIHIはサウスウェールズ大学に属しておられますが、先生の活動はオーストラリア政府の機能とはどのように関連しておられるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　私たちは競争的研究資金をベースに研究資金を受け取ります。政府の研究助成機関であるNational Health and Medical Research CouncilやAustralian Research Councilなどの研究資金に入札します。競争は非常に激しく、獲得するのは大変です。政府のほうから私たちに専門知識を生かしてコンサルティングをして欲しいとか、一緒に研究プロジェクトをやって欲しいと言ってアプローチしてくるケースもあります。ですから、多数の研究プロジェクトが同時進行しています。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　先生の研究所に類似した研究を手掛けている競争相手は、オーストラリアにどのくらいあるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　数はたくさんありますが、私たちに匹敵するような本格的な規模の研究機関は一つもありません。ニュー・サウス・ウェールズ大学は、オーストラリアの4大大学のひとつで、国際的にも大きな存在です。今回、東京へ来る前に三日間にわたり香港で開催されましたInternational Society for Quality Conference in Health Care（ISQua、イスクァ）の第28回年次総会会議に参加してきたのですが、この会議に世界66ヵ国から集まった出席者1,900人の中で、私の研究所グループが出した論文の数がいちばん多かったです。ですから、私たちは医療スシステムに関する研究を行う組織としては、国際的にも最大規模になっています。日本からの参加者もおられましたが、この分野に特化した研究組織の代表は見受けられませんでした。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　日本にもこの分野の研究者は増えてきておりますが、残念ながら、医療経済や医療経営を専門に研究する大規模な組織はありません。東京大学のような大きな大学でも、そのような研究に携わっている研究者の数は限られています。私たちの機構がそのような研究所になりたいと思いますが、現状では研究者は12人ほどです。それでも、医療経済の研究機関としては、大学を除くと日本で最大の規模です。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　オーストラリアで同じような研究をしているパートナーが欲しいということであれば、喜んで協力します。キヤノングローバル戦略研究所との関係で、おそらく毎年日本に来ることになりますので、何かお手伝いできることがあれば、ぜひご協力したいと思います。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　ありがとうございます。日本での医療経済や医療経営組織の研究体制はかなり立ち遅れており、先進諸国との共同研究や研究機関間の提携も活発ではありません。この分野では、日本はオーストラリアからたくさんのことを学ばなければならないと思っています。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　私たちは、外国の研究者と一緒に研究を行なっています。主にヨーロッパ、イギリス、アメリカ、カナダの研究者です。ヨーロッパ諸国との交流は盛んで、11月にはフランス、オランダへも行く予定です。イギリスへも行って、一緒に行なっている研究についての討議をします。
</p>
<p>
　私たちはさきに申し上げましたイスクァのメンバーです。イスクァは、70カ国の医療機関などの会員に支えられて、医療の質と患者の安全に高い関心を持っています。たとえば、医療機関でのチームワークのあり方とか、医療政策をより効果的に実現する方策などに関する研究を一緒に行なっています。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　当機構にも医療安全を専門に研究している優秀な若手研究者がいますが、残念ながら、日本にはヘルスケアの質や医療の安全問題を研究している独立した研究機関はありません。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　世界中で、病院に入院する患者10人につき1人が、何かがうまく行かないことが原因で苦しんでいます。世界中のデータはないので、正確ではありませんが、これはたいへん重要な問題です。この問題に関して私たちと協力して研究しようとしている研究者が大勢おられます。ご関心があれば、どなたとでも喜んでお話したいと思います。
</p>
<p>
<strong>〇今回来日の目的と日本の医療機関におけるガバナンスの印象</strong>
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　今回のご訪日では国際医療福祉大学おはじめ病院や研究機関を精力的に廻られた由ですが、日本についてのおもなご関心はどのあたりにあるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　昨年キヤノングローバル戦略研究所が主催されました｢医療シンポジウウム｣にハワード・カーン氏（米センタラ・ヘルスケア社社長）、西澤延宏氏（佐久総合病院副院長）、神野正博氏（全日本病院協会副会長）とともにシンポジストとして招かれ、講演をしました。<br />
<br />
　この訪日で、日本の総医療費は比較的低い水準に留まっているものの、患者の医療機関利用率がきわめて高いことを知りました。私の疑問は、このような状況が続いても、日本の国民皆保険制度が持続可能かどうかという点です。日本だけの問題ではありませんが、医療費高騰の一因として病院をはじめとする医療機関に効率的なマネジメントの意識が欠けていることが致命的です。私は長い間、医療経営について大学院で教えてきましたが、病院のガバナンスに必要な知識・経験は、臨床面だけではなく、幹部の指導力、財務力、組織を活性化する力などを併せた多面的な能力です。今回は、この観点から日本の医療機関の実情を知るように努めました。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　日本の研究者と意見交換をされて、日本の病院のガバナンスについては、どのような印象を得られたでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　医療機関のリーダー、とくに病院の経営者には強力なトレーニングが必要です。ですから、私の大学院ではMasters of Health Managementという資格取得のための専門職教育を行なっております。これは医療のMBAのようなもので、20年ほど前からやっています。医師や看護師、医療専門家にリーダーシップ、経営戦略、組織的行動、医療経済、医療経営などを教えています。受講生の年齢層は様々です。オーストラリアだけでなく、周辺の東南アジアの医療関係者も私たちから健康管理や公衆衛生に関するトレーニングを受けています。でも、日本からの受講者は稀です。ですから、日本にはすでにそのようなトレーニングが確立されていて、ヘルスマネジメント職の修士号があるものとばかり思っていました。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　残念ながら、日本にはそのような専門職養成のための大学院はやMHAといった資格はまだありません。日本にも国際医療福祉大学や広島国際大学などに4年制の医療経営学科はありますが、大学院レベルの専門職教育機関はなく、アメリカにあるようなMHAの資格もありません。オーストラリアには、そのような資格制度が確立されているのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　オーストラリアには、アメリカと同様に大学院にMHAのコースがあります。修士課程を終えて、メディカル・アドミニストレーターか、ノンメディカルの病院経営者として登録する必要があります。これは、アメリカとオーストラリアで確立されたシステムです。ヨーロッパではアメリカとオーストラリアほど確立されていませんが、イギリスでは確立されています。<br />
<br />
　病院の経営管理は極めて複雑で、とくに大学病院の経営は非常に複雑なので、臨床医療やヘルスケアサービスを提供するとはどういうことなのか、その本質をよく理解する必要があります。また、ビジネス面、つまり医療の組織的な面についても理解する必要があります。ですから、優秀な病院のリーダーは臨床的に優れた医師であったり、看護師であったり、医療関連のヘルス・プロフェッショナルであったりすることもありますが、いずれにせよビジネスや経営管理、方針決定などの専門的なトレーニングも受けています。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　オーストラリアでは、病院やヘルスケア組織のトップになるには、そのような資格が必要だということでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　法律で義務付けられているわけではありませんが、これはきわめて一般的です。任意ではありますが、どの病院でもそうしています。病院の経営者や管理職で、この資格を持っていない人はほとんどいません。厚生省で政策を策定するスタッフも同様です。連邦政府だけではなく、州政府のスタッフもその資格を持っています。そのほとんどが私の大学院の卒業生です。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　その分野では、日本はまだまだ遅れていますね。そのような資格はありませんし、習慣もありません。もちろん、徐々に改善されてはいますが。もちろん、日本にも有能な病院経営者は大勢います。でも、みなご自分で研修を積んだ人たちで、大学などで専門教育を受けた方はわずかです。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　確かに日本にはビジネスや組織化で優れたリーダーが大勢いることで知られています。でも、経験したことを正式なトレーニングで補足することも役立ちます。
</p>
<p>
<strong>３、医療費の財源</strong>
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　オーストラリアと日本の医療関連指標を表 1～3で比較して見ました。両国の総医療費の水準や健康指標はきわめて似通っていますが、①医療費の財源構成と②医師数・病床数・医療機器数などの医療資源についてはかなり大きな違いがあります。<br />
<br />
　医療費の面では、オーストラリアの医療システムは、財源を原則税で賄う英国方式で発足しましたが、その後米国流の市場競争原理導入を進め、混合診療の容認や民間医療保険の積極的な育成などの方策で、政策的に公的負担増を抑えてきたものと見られます。その結果、オーストラリアは公的財源の比率が69%と7割を切っており、公的財源が増加傾向にはあるものの、総医療費の抑制には、成功しているように見られます。<br />
　その結果、オーストラリアの方が日本に比して医療費財源に占める自己負担と民間保険の比率がかなり高くなっていますが、このような状況を先生はどう評価しておられますか。
</p>
<p>
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111220AustraliaHyou1.jpg" alt="111220AustraliaHyou1.jpg" width="600" height="1046" />
</p>
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<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111220AustraliaHyou2.jpg" alt="111220AustraliaHyou2.jpg" width="600" height="230" />
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<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111220AustraliaHyou3.jpg" alt="111220AustraliaHyou3.jpg" width="600" height="216" />
</div>
<p>
<strong><br />
教授</strong>；　そうですね、オーストラリアの人口は日本の約6分の1です。経済規模では、オーストラリアは世界の44位、日本は4位です。一人当たりのGDPは近年大幅に増えていますが、これは諸外国が直面しているような深刻な経済問題がオーストラリアにはないからです。諸外国がオーストラリアの資源を買ってサポートしてくれているからかも知れませんが。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　一人当りのGDPでは、3～4年前にオーストラリアが日本を抜いています。GDPに対する医療費の比率は、両国ともOECDの平均を少し上回る水準で似ていますね。大きな違いは、オーストラリアでは公的財源の比率が70％を切っているという点ですね。日本はそれより少し高く80%を維持しています。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　オーストラリアの医療財源は3分の2が公的で、3分の1が民間です。オーストラリアはイギリスの医療制度に似ていますが、イギリスでは90％が公的で、民間は10％程度に過ぎません。ヨーロッパの多くの国では、公的財源の比率が民間より高くなっていますが、アメリカは民間医療保険の比率が他国より相対的に高くなっています。<br />
<br />
　ただ、最近日本は公的保険から民間負担増のほうへ向かい、オーストラリアは民間負担から公的財源に比重を移しつつあると見ています。<br />
<br />
　他にも違いがあります。オーストラリアでは家庭医制度（General Practitioner System, GP）を導入しています。患者は直接病院へは行きません。ゲート・キーパーの家庭医がいて、軽い病気はここで対応します。患者が病院へ直接行くとコストが掛り過ぎるからです。日本でも何度も導入を検討されたとのことですが、医師会の反対で実現しなかったということですね。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　先生がご指摘の最近の変化は、表1の2000年と2008年の年次比較からも明らかです。オーストラリアでは公的財源の比率が高まってきています。でも、民間保険を含む民間財源も30％強とまだ高いですね。日本では20％くらいです。オーストラリアはイギリスの状況とはかなり異なり、アメリカ的な状況に近いとは言えませんでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　私の妻は大学の教授で、子供が3人いて、私は民間の健康保険に入っています。公的サービスもいつでも受けられますが、あえて民間の医療保険に入っています。民間保険も政府からの支援を受けており、税制上の優遇措置があります。私や家族が病気になったら、民間の病院に行くこともできるし、公立病院に行くこともできます。民間の病院ではできないことが公立の大学病院ならできるということもあります。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　公的と民間の2つの医療保険に入っておられるということですね。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　はい、そうです。私は税金を支払っている納税者なので、国の保険に入っていて、いつでも公立病院で治療を受けることができます。また、GPのところで治療を受けることもできますが、公的病院には待ち時間が長いとか、希望する医師に掛れないとかいったサービス面の問題があります。そこで、すぐに手術を受けたい、待ち時間なく面倒な手続きもなく治療を受けたいという時には、民間病院を選びます。<br />
<br />
　このように、オーストラリアでは公的制度と民間サービスの両方にアクセスでき、どちらかを選ぶことができます。私の場合は、仕事の関係で同僚のドクターや友人にいつでも相談することができるので、病気になったら彼らと話をして、その病気にはどこで治療を受けるのがベストかをアドバイスしてもらうことができます。ですから、オーストラリアでは民間保険に入っている人が大勢います。入らなければならないというわけではありませんが、大勢の人がそうすることを選ぶのです。その理由として、第一に税制上の優遇措置を受けることができる点、第二には選択肢が増える利点が挙げられます。日本人にとっては、あまりなじみのない制度かも知れませんね。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　最近のオーストラリアでは、総人口の60％の人が民間保険に入っていると聞きています。オーストラリアの民間保険大手は非営利の医療保険専業であり、しかも税制上の手厚い保護を受けているということもあり、民間とは言えかなり公的色彩が強いということですね。
</p>
<p>
　民間保険なら患者が希望する医師を選ぶことができ、公的保険適用の公立病院では選べないということに抵抗感はないのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　でも、面白いトリックがあるのですよ。医療政策に精通しているとわかるのですが、オーストラリアの大学の大半には、公的資金で賄われている付属の教育病院があります。そして、その大学病院に隣接して民間病院があります。渡り廊下で繋がっているところもあります。その2つの病院間を同じ医師が行き来しているのです。ですから、公立の医療機関へ治療を受けに行っても、そこにいるのは、民間病院にいるのと同じ医師というわけです。ただ、公立病院では医師を選べず、そこにいる医師に診てもらう以外に選択肢はありません。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　治療の仕方や医療の質には、公立と民間であまり違いはないと理解してもよいのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　そうです。そんなに違いはありません。お金を払って民間病院のドクターに診てもらえば、公立病院より診察時間が多少は長いかも知れません。でも、治療の内容自体にあまり違いはありません。
</p>
<p>
機構；　治療の内容ではなく、サービスの質は民間のほうがかなりよいというわけですね。オーストラリアの国民の多数はそのような制度に同意していても、中には平等性が損なわれると批判的な人もおられるのではないでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>：　はい、まったくその通りですね。その点については、私も懸念しています。オーストラリアの国民は、日本と同様に平等性に重きを置いています。しかし、それが今のオーストラリアの制度であり、紆余曲折を経て、そういう制度が生まれたということです。この制度は、かつてのイギリスのように公的保険しかないという制度よりははるかによいと思っています。民間保険主体で無保険者がたくさんいるアメリカと比べるのは論外です。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　民間保険や民間病院にはいろいろなレベルのサービスの中から選べる選択の自由があり、それを公的医療とミックスできるのはよいことだというお考えですね。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　はい。公的と民間の医療サービスがミックスされていて、選べるというのは、とてもよいことだと思います。消費者への選択肢が増え、サービスの範囲も広がります。
</p>
<p>
　でも、私自身を例に使うべきではないかもしれません。オーストラリアの医療政策をすべて理解している立場にいるからです。研究所に入る前に、大学病院でマネジャーとして働いたこともありますから、どの病院で治療を受ければよいか決めるのに必要な知識が他の人よりは豊富です。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　私は10年ほど前にメルボルンに住んでいたのですが、公立病院のウェイティングリストはかなり長かったですね。その辺は変わりましたでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　ウェイティングリストは短くなりました。システムが以前より効率的になったからです。でも、公立病院はウェイティングリストという手段を通じてコストをコントロールしています。そのため、ところによっては待ち時間が長くなることもあります。<br />
<br />
　公立病院でもがんなど重篤なケースの場合には待ち時間をなくそうという取り組みを行なっています。これは、医療サービスの供給と需要をマッチさせようという取り組みで、ほとんどの病院が10年前よりは改善されてきています。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　繰り返しになりますが、オーストラリアの人の多くが公的保険に加えて、なぜ民間保険に入っているのでしょうか。それは、よりよい治療を受けるためで、公的保険の補足的なものなのですか。それとも、民間保険に入っていないと、最低限の治療を受けられないということでしょうか。また、民間保険は基本的な治療パッケージをカバーしているのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　税金による公的財源が基本的な部分については国民全員をカバーしています。がんとか心臓病とか糖尿病になったら、よい治療を誰でも受けることができます。民間保険での医療では、選択肢が増えます。たとえば、待ち時間なくすぐに治療を受けることができますね。民間病院へ行けば、アメニティーは快適だし贅沢な雰囲気があります。でも。オーストラリアの国民全員が基本的な医療は公的保険でカバーされています。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　では、どのような人がこの民間保険に入るのでしょうか。収入のレベルが高い人がほとんどでしょうか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　そうでもありません。さきにも申し上げましたように、人口の60％が民間保険に入っています。過半数ですね。働いている人なら誰でも、民間保険にも入りたいと思っています。今は必要でなくても、後で必要になるかもしれないと思うから保険に入るわけです。子供のために民間保険に入っていたほうがよいと考える人もいます。一部屋に3人とか4人が入る相部屋の公立病院には入院したくない、個室に入りたいという人もいます。動機はまちまちです。
</p>
<p>
　税制のインセンティブも大きいです。先ほどお話ししたように、民間保険でも政府が保険料の支払を補助してくれて、後で30％が戻ってきます。政府は国民に公的保険と民間保険の両方に入るよう推奨しているのです。この制度は極めて理にかなっていますが、日本では、政府の政策だけでなく、国民の感情が異なっているという現状があるものと理解しています。
</p>
<p>
　もう一つ私自身の例で恐縮ですが、私は50代なので、5年ごとに大腸内視鏡検査を受けるよう推奨されています。これは、大腸の内部を内視鏡で見て、大腸がんがないかどうか調べる検査です。初期段階のがんですね。私の父は大腸がんで亡くなり、祖父も大腸がんで亡くなりました。ですから、私はハイリスクで、大腸がんで死ぬ確率がかなり高いと思います。ですから、5年ごとに大腸内視鏡検査を受ける必要があります。では、どこで受ければよいでしょうか。公立病院へ行くと、ウェイティングリストが長く3ヶ月は待たなければなりません。したがって、私は公立病院へは行きません。民間保険に入っているので、日付を選び、病院に電話をかけ、この日に検査を受けたいのですが、予約できますかと聞くわけです。大丈夫ですよ、という返事であれば、その日付を手帳に書き込みます。その便利さが、私が民間保険に加入している理由です。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　予防については、がんの検査や人間ドックは原則自己負担なので、日本も同じような状況にあります。
</p>
<p>
<strong>〇　医療提供体制の日豪比較（公的病院と民間病院、GP制度）</strong>
</p>
<p>
<strong>機構；　</strong>両国の状況が大きく異なるもう一つの点は医療提供体制です。オーストラリアのほう病床数・医療機器数などはかなり少ない反面、医師数は充実しており、効率的に質の高い医療サービスが提供されているのではないかと判断されます。<br />
<br />
　病院数、病床数について見ますと、表4のとおり、両国ともに他の先進国に比べると民間病院の比率が高い点は共通しているものの、民間病院の比率は日本の方がかなり高くなっています。先生は、オーストラリアの公的病院は非効率で無駄が多く、医療財源も不足していると見ておられますが、日本に比べると集約化も進み、効率的に運営されているのではないでしょうか。　
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111220AustraliaHyou4.jpg" alt="111220AustraliaHyou4.jpg" width="582" height="170" />
</div>
<br />
<strong>教授</strong>：　オーストラリアでは公立病院が2/3を占めていますが、総じて他の先進諸国に比してきわめて効率的に運営されています。また、薬剤や医療機器の購入価格は連邦政府が一括して厳しく管理しています。　
<p>
　それでも、政府は満足しておらず、公立病院を継続して充実することを公約しています。税金によって効率的な医療サービスを全国民に提供することを重視しているからです。平等性の問題です。それと同時に、お金に余裕のある人を対象とした民間保険制度にインセンティブを与えて民間病院を育成する方針も明確です。民間保険を拡充すれば、全体として医療財源が増えます。<br />
<br />
　この二つの政策間には葛藤がありますが、政府は誰もが医療を受けられるという平等性、効率性を達成する政策と民間からの財源を制度に取り込む政策を並行して進めているのです。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　先生は政府がそのような方針を取っていることを評価しておられるのですね。近年、これまでは州政府任せであった公立病院に対する連邦政府の資金支援が強化されたものと聞いておりますが、その点についてはどう見ておられますか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　2002年に新しい医療政策が導入され、連邦政府は医療制度への資金供給を増やしています。逆に州政府の負担は軽くなってきています。税金を上げるのは連邦政府だからです。もちろん、オーストラリアの政治体制は日本と異なります。オーストラリアでも政権交代は起こっていますが、日本ほど頻繁には変わりません。もう一つの違いは、二大政党のイデオロギーは異なりますが、両方とも公的医療の充実を公約に掲げています。公的医療を減らすべきと主張する政治家はひとりもいません。国民が公的医療制度を支持しているからです。日本には存在しないＧＰ制度についても同様です。<br />
<br />
<strong>機構</strong>；　日本では、GPの問題は制度の問題だけでなく、GPとしての総合的な診療ができるプロフェッショナルが少ないという問題でもあります。オールラウンドな診療ができるGPを育てる教育制度がないからです。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　GP制度は多くの国が採用しています。少なくとも理論的には日本でもできると考えます。でも、政治的にはかなり困難ではないかと見ています。医療制度についても国民性というか民族文化の違いに由来するところが大きく、それを尊重すべきという考え方もあり、今年のイスクァの会合でも議論が盛んでしたが、国際的な視点も重要です。
</p>
<p>
<strong>〇　オーストラリアの医療システムの問題点とACATの評価<br />
<br />
機構；　</strong>先生はオーストラリアの医療には問題点が多いとして、①現行医療制度は将来に備えたものになっていない、②国と州の間で責任のなすり合いが起きている、③人々が必要とする医療サービスとの間にギャップがあり、協力の仕組みを欠いている、④公立病院と医療従事者たちに過重な負担がかかっている、⑤持続が困難な財源モデル、⑥非効率で無駄が多い、⑦不十分な臨床上の取り決めの7点を指摘しておられます。
</p>
<p>
　いずれも日本にも共通する大きな問題ですが、これらの課題についてのオーストラリア政府や病院の対応や取組み姿勢をどう評価しておられますか。
</p>
<p>
<strong>教授</strong>；　オーストラリアでは、これらの問題に取り組むための改革が進んでいて、資金を注入しており、問題を解決するための対策を練っています。たとえば、連邦政府はこのほど、医療財源に対してこれまでよりもさらに多くの責任を引き受ける方向で各州と合意しました。もちろん、それで問題が解決したわけではなく、まだまだ問題山積ではありますが。
</p>
<p>
　この7つの問題については、日本も同じ状況です。昨日もキヤノングローバル戦略研究所と国際福祉大学で、このことについて何人かの人で話をしたのですが、これは日本やオーストラリアに限らず、どの国の医療制度でも直面している共通の問題という点で意見が一致しました。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　オーストラリアでは1987年に導入されたACATという仕組みが、高齢の慢性病患者などの退院計画（Discharge Plan）のスムーズな運用に当っても、きわめて有効に機能しているものと聞いております。ACATチームは看護師・老人専門医・ソーシャルワーカーなど数名から成るチームで、全国に121存在し、年間約17万件のケースについて、退院前に直接病院へ出向いて退院後の生活相談に乗り、退院先をその場で決定するということですが、先生はどのように評価しておられますか。<br />
<br />
<strong>教授</strong>；　ACATの仕組みはオーストラリアでは大変うまく機能しています。日本ほどではありませんが、オーストラリアでも高齢化が問題となりつつあり、いろいろな試みがなされています。高齢化の政策については、私たちはいつも他の国よりも経験が豊かな日本を参考にしています。ACATのアイディアも日本から得たものとばかり思っていましたが、日本にないのであれば、どこから来たのか調べてみる必要がありますね。
</p>
<p>
<strong>機構</strong>；　まだまだお伺いしたいことがありますが、この辺で。ありがとうございました。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111220PhotowithProfBraithwaiteLast.jpg" alt="111220PhotowithProfBraithwaiteLast.jpg" width="320" height="240" />
</div>
<p>
<br />
（2011年12月20日、医療経済研究機構発行「医療経済研究機構レター(Monthly　IHEP)No.204、2011年12月・2012年1月合併号　P1～11所収）
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/interview/monthly_ihep_2.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/interview/monthly_ihep_2.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">008医療経済論集</category>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">009インタビュー記事</category>
        
        
         <pubDate>Tue, 20 Dec 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜投資教室＞今こそ高い電力料金の大幅引下げを</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111215TakaiDenryokuryouLogo.jpg" alt="111215TakaiDenryokuryouLogo.jpg" width="250" height="165" align="right" />
&nbsp;
<p>
<strong><br />
<br />
</strong>&nbsp;
</p>
<p>
<strong>　</strong>
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
<strong>　</strong>12月8日付けの毎日新聞朝刊は「東電：実質国有化へ、政府、公的資金1兆円注入」と一面トップで大きく報じた。東電は否定しているが、このような成り行きがきわめて現実性の高いシナリオであることは疑いの余地がない。原発事故にかかる災害補償の資金は「原子力損害賠償支援機構」からの支援で何とか目途が付くとしても、廃炉処理に要する1兆円を超える資金は電気料金の大幅値上げをしない限り賄いきれないからである。<br />
<br />
　時を同じくして、今年度の東洋経済「高橋亀吉記念賞」が長山浩章京都大学教授の論文「日本型電力事業再編の提案」に授与された。この研究は、①発送電分離、②地域分割の廃止、③全面小売自由化の施策を3段階に分けて電力再編の工程表を具体的に提示し、この電力再編が経済成長の起動力になるとする意欲的な提言である。<br />
<br />
　電力業界再編の大前提として、わが国の電力料金は、原発事故前においてすでに米国の2倍、韓国の3倍と高い水準にある原因を詳しく分析し、国際競争力のある産業に転換する方策を打ち出すことが肝要である。電力料金値下げの目標値を示すことで消費者の理解が得られ、電力株への投資家にも投資判断の材料となるからである。
</p>
<p>
<strong><br />
</strong><strong>１、高い電力料金</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>まず、東電をはじめとするわが国の電力料金は他国に比べてどれくらい高いのであろうか。本年8月に資源エネルギー庁が公表した｢電気料金の各国比較について｣から米・英・韓国との2009年度の比較を図１として転載した。<br />
<br />
　これによると、日本の１ｋW時の家庭用電力料金は22.8セント（26.2円、同年の平均相場1ドル＝93.57円で換算）と米国の約2倍、韓国の3倍となっている。価格の国際比較は為替相場の変動に大きく左右されるが、その後の円高により、現在ではこの格差はさらに拡大している。<br />
<br />
　韓国については10月24日付けの「日経ビジネス」が「電力料3分の1の秘密」と題した特集記事で詳細に分析している。韓国では官営の電力公社が統括しているが、発送電は2001年に分離、発電は6社の子会社と独立系を含む民間発電会社から電力取引所を通じて競争入札で調達している。
</p>
<p>
<strong>　</strong>東電の経常経費を分解すると、総経費約5兆円（平成22年度、単独）のうち、人件費は4,300億円と総経費の9％を占めるに過ぎない。石炭・ガス・原子力などの燃料費は、近年の価格高騰により1.5兆円に膨らんでいるが、それでも30%を占めるに過ぎない（かつては15%程度であった）。残りの60%強が償却を含む設備関係費(33%)とその他経費(28%)で、これが極端に高い電力料金の元凶となっている。<br />
<br />
　設備の購入に競争入札はほとんど行なわれていないうえ、下請け業者への支払いなどもきわめて寛大と推測される。原発立地確保のための1件数十億円もするサッカー場や文化施設の寄付、オール電化推進の広告代、ワシントン・ロンドン・北京事務所の経費などなど、この膨大な｢その他経費｣の中身まさに伏魔殿である。これは、使った費用はすべて消費者に転嫁できる「総原価方式」の当然の帰結である。<strong><br />
<br />
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111215DenkiRyoukinZu1.jpg" alt="111215DenkiRyoukinZu1.jpg" width="603" height="261" />
</div>
<br />
<br />
２、電力会社の高給与<br />
</strong>
</p>
　枝野経済産業相は9月26日に行なわれた原子力損害賠償支援機構の開所式で、「東電の役員報酬や社員の給与について、公務員や独立行政法人と横並びで当たり前」と述べ、徹底的なリストラが不可欠との認識を示した。
<p>
　至極当たり前の発言と受け止めたが、米倉経団連会長が直ちに「要求があまりにも一方的だ」と枝野大臣を強く非難したのには違和感を覚えた。経団連としても、国際的に見て法外に高い電力料金の大幅引下げと、その一助としての人件費カットを電力会社に要求するのが筋である。<br />
<strong><br />
　</strong>電力会社の月間平均給与は表１のとおり男性は金融業に次いで高く、女性は全産業のなかで際立って高い。平均給与は職種により勤続年限や平均年齢によって差がつくものの、電力は全産業平均より3割ほど高く、国家公務員の340万円、地方公務員の346万円よりも3割以上高い。
</p>
<p>
　電力会社のように公益性が高く、販売価格が公定されている企業の給与をどのように考えるべきか。参考となるのは、同様に公益性が高く診療報酬(医療費)が公定されている病院の給与である。全国公私病院連盟の統計（2010年）によれば、自治体病院の常勤職員の月間給与457百万円に対し、民間病院は380百万円と公的病院よりもかなり低い。病院業界とは逆に、民間電力会社の給与が国家公務員や独立行政法人よりも3割も高いのは、やはりどこかおかしい。<br />
<br />
　診療報酬の総額は内閣府で決定され、細目は中医協の審議を経て、厚労省で公定される仕組みとなっている。この中医協の場では医療提供側と消費者(患者)側を代表する同数の委員間で激しい論議の応酬が展開されている。これに対し、電力料金などについて経産省からの諮問に応えて審議をする電気事業審議会の委員は、20名中消費者代表は主婦連合会代表1名のみで、有識者も2名と少ない。残りは東電や関電の会長、これを支える産業界の代表が大多数を占めており、被告が裁判官を務めている観である。公定電力料金の決定に当っては、せめて診療報酬並みの客観的で公平な審議システムが確立されなければならない。審議に当っては、費用の中身をすべて吟味し、審議内容を国民に公開することが最低限必要である。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111215TakaiDenryokuryouHyou1.jpg" alt="111215TakaiDenryokuryouHyou1.jpg" width="600" height="206" />
</div>
<p align="right">
&nbsp;
</p>
<p align="right">
（<strong>日本個人投資家協会理事</strong><strong>　岡部陽二）</strong>
</p>
<p>
（2011年12月15日発行、日本個人投資家協会月刊紙「きらめき」2011年12月号所収）
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/post_227.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/market/post_227.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Thu, 15 Dec 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>オリンパス財テク損失隠ぺい事件を踏まえての提言</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111115OlympusLogo.jpg" alt="111115OlympusLogo.jpg" width="200" height="150" align="right" />
&nbsp;
<p>
&nbsp;
</p>
<p align="center">
&nbsp;
</p>
<p>
<strong><br />
<br />
<br />
〇財テク損失隠ぺい事件の概要</strong>
</p>
<p>
　光学機器大手「オリンパス」の財テク失敗による損失補填工作に使われた複数のM&amp;A取引は、不正に関与したとみられる菊川剛前会長ら3人が主導していた。<br />
<br />
　同社は1980年代から日本株を中心とした財テクによる利益計上を続けてきたが、日経平均が1989年末につけた38,915円をピークに暴落に転じて以来、巨額の含み損を抱えるに至った。1990年代には、財テク投資残高を簿価(投資時の価格)評価で保有してきたものの、2001年3月期決算から、この種の投資金融商品は時価で計上するよう会計制度が変更され、含み損を一括計上する必要に迫られた。<br />
<br />
　同社は、損失を一括計上すれば「会社の決算や株価に影響を与える」と判断し、時価会計導入前の2000年3月期に金融資産整理損として約170億円を計上しただけで、大半を証券会社などからの入れ知恵により「飛ばし」として処理し、1,250億円に上る損失計上を先送りした。飛ばしの手法としては、含み損を抱えた不良資産をタックへヴンに設立した複数のファンド会社に簿価で売却、これらのファンドに対する出資金として計上するほか、銀行などを介在させたユーロ預金や外債の形で本社のB/Sに計上して時価評価を免れてきた。<br />
<br />
　この飛ばし不良債権を処理すべく、同社は英医療機器メーカー「ジャイラス」の買収を2008年2月に実施した際に、2006年6月にファイナンシャル・アドバイザー契約を締結した米投資助言会社アクシーズなどに約660億円もの過大な報酬を支払った。契約締結は、当時経営企画本部長の森久志前副社長と担当役員の山田秀雄常務（現監査役)の2人が審議し、菊川社長に報告して決定していたとされる。
</p>
<p>
　また、2006～08年に買収した環境リサイクルのアルティスなど売上合計が54億円程度の国内での中小企業3社の買収に734億円が投じられた。ほかにもITX社への投資など同様の取引がなされた疑惑も残っている。これらのM&amp;A取引に投入した資金の過半も巧妙に迂回させて1990年代に発生した有価証券投資などの損失約1,350億円の穴埋めに流用されていたことが判明している。<br />
<br />
　今回の不正経理問題のポイントは、①1990年代から続けられてきた有価証券投資（財テク）で出した損失計上の先送り（飛ばし）、②2008年の英医療機器メーカー「ジャイラス」買収で投資助言会社側に支払った巨額報酬などM&amp;A関連で捻出した資金で巨額の含み損を極秘裡に穴埋めした経理操作の2点である。<br />
<br />
　損失計上を意図的に先送りし、業績を良好に見せかけていたとすれば、違法な粉飾決算に当たる可能性がある。投資助言会社への巨額報酬などは、簿外で隠し続けてきた損失を表面に出さずに水面下で処理した偽装工作で、虚偽開示との見方が強い。
</p>
<p>
　この事件を一般のメディアが報じたのは、同社の2度にわたる社長交代のあと、高山新社長が10月27日に記者会見で情報の一部開示に踏み切った時点からである。ところが、7月20日に発行された阿部重夫氏が主宰する会員制総合情報誌&quot;FACTA&quot;8月号は「オリンパス無謀M＆A～巨額損失の怪、菊川体制の仮面を剥ぐ」と題して本件疑惑を詳細に分析、6月29日に開かれた株主総会に先立って同社に公開質問状を送りつけていた。10月14日に解任されたウッドフォード社長もこの記事の英訳を読んだとされており、本件の表面化にFACTA誌の告発が果たした役割には大きなものがある。
</p>
<p>
<strong>〇オリンパスの企業ガバナンス</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>オリンパスの経営陣構成で異常なのは、一握りの財務マンが経営の中枢を占め、会長・社長・副社長などのポジションを独占してきた体制である。高山新社長の発言どおりとすれば、一般の社員だけではなく取締役会メンバーでもごく一部の関係者を除いて本件隠蔽の事実を知らなかったわけである。
</p>
<p>
　これは事件が発覚した場合に少数の個人に責任をとらせて「会社ぐるみ」ではなかったと主張するには都合のよい体制である。しかしながら、上場会社において、このように内部者までも容易に欺くことができる組織体制が許されてはならない。<br />
<br />
　当社の役員構成を見ると、取締役15名のうち社外取締役3名、監査役4名中社外2名と形の上では外部からの牽制機能も働くようになっている。また、外国人を社長にまで登用するといった国際化も進んでいる。<br />
<br />
　問題は社外役員人選のあり方にある。社外取締役3名のうち、一人は医師、一人はジャーナリスト出身で、もう一人は野村證券出身の林純一氏である。同氏は社外取締役就任前からオリンパスが子会社化したITX社の監査役も兼任しており、損失隠しの手法について種々助言をしてきたとも言われている。<br />
<br />
　2005年には、同年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル氏を最初の社外取締役として迎え入れたが、同氏は上述の助言会社アクシーズのアドバイザーも務めており、その関係から紹介されたものと見られている。<br />
　<br />
　オリンパスにおいて社外取締役による経営監視がまったく機能しなかったのは、社外取締役も社長のお友達などの身内で固められているためである。社外監査役は一流会社の社長など経験者であるが、株式の持合い同様、監査役自ら経営内容のチェックをできる体制にはなっていない。
</p>
<p>
<strong>〇企業ガバナンス強化へ向けての提言</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>今回の事件で、海外からも日本市場の透明性について疑念が寄せられているので、再発防止の観点から、最低限次のような法改正や東証規則の強化を求めたい。民主党の大久保議員が提唱している「公開会社法」の制定も一案である。
</p>
<p>
<strong>１、社外取締役については、人数を増やすことも必要ではあるが、「独立性」の担保が何にもまして重要である。<br />
<br />
　上場会社については欧米並みに過半数を社外とするのが理想であるが、過渡的には社外取締役の選任を義務化し、最低でも取締役5名に1人は社外独立(Independent)とすることが望ましい。<br />
<br />
　独立性については、上場会社の役員は除外するなど具体的な選定規準を設けて、事前に東証などに設置する審査委員会での承認を条件とすべきである。選定基準としては、利害関係者、とりわけ取引関係のあった銀行・証券の関係者は徹底排除するものでなければならない。</strong>
</p>
<p>
<strong><br />
</strong><strong>２、</strong><strong>監査役設置の公開会社においては、</strong><strong>3</strong><strong>名以上の監査役のうち半数以上を社外監査役とするように定められている。監査役についても取締役同様に独立性についての選定基準を強化すべきである。</strong><strong><br />
</strong><strong><br />
　具体的には、①最低</strong><strong>1</strong><strong>名の監査役は公認会計士の資格保持者であることを必須要件とする、②同一会社での財務担当の取締役経験者は不適格とするといった基準を導入すべきである。また、現在は取締役会の承認事項となっている会計監査法人選任の権限を監査役会に移すべきと考える。</strong>
</p>
<p align="right">
<strong>（</strong><strong>日本個人投資家協会理事</strong><strong>　岡部陽二）</strong>
</p>
<p align="left">
（2011年11月14日、日本個人投資家協会発行「きらめき」2011年11月号所収）
</p>
<p align="left">
&nbsp;
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/post_226.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/market/post_226.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Mon, 14 Nov 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>レアメタルとレアアース</title>
         <description><![CDATA[<p align="right">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111015RareMetal%26RareEarthLogo1.jpg" alt="111015RareMetal%26RareEarthLogo1.jpg" width="300" height="300" />
&nbsp;
</p>
<p>
　10月15日(土)に銀行のOB会「井華会」にて「レアメタルとレアアース」についての卓話をしました。その要旨をレジュメのスライドとともに掲載します。</p>
<a href="/pdf/111015.pdf" target="_blank">&rArr; スライドを見る(PDFファイル)</a>
</p>
<p>
　息子の岡部徹が執筆しました『高校生のための東大授業ライブ学問の入口』収録予定の「未来材料：チタン・レアメタル」の20ページの原稿（別刷としてスライドに引用）も配布しましたが、添付は省略します。チタン製品、リチウムの原石と純金属地金、最強力なネオジム磁石、ネオジム・ジスプロシウムの地金などの標本などをじかに見ていただきました。
</p>
<p>
１、卓話の前置き<br />
<br />
　金属資源の世界では、最近20年ほどの間に劇的な変化がいくつか起こっている。<br />
<br />
　一つは産業界で必要とされる金属材料の種類がきわめて多様化してきたことである。ことに、レアメタルの白金族、リチウム、インジウム、ネオジム、ジスプロシウムなどの需要が急増し、レアメタルの業界規模は世界で約20兆円、うち日本が3兆円程度を占める（鉄鋼は13兆円規模）までに急成長した。<br />
<br />
　二つ目は、金属資源の枯渇の可能性が高まってきたことである。ただし、枯渇の懸念はレアメタルではなく、銅・亜鉛・鉛などのベースメタルの方が大きい。ことに、銅の耐用年数は20～30年程度と推定されている。米国や日本では、現在年間一人当り10Kgの銅を消費しているが、中国では1.4Kg程度と少ない。これが先進国並みに増えると地球上に採掘可能な銅資源が枯渇する懸念が現実味を帯びてくる。<br />
<br />
　三つ目は、枯渇とも関連するが、供給面での安定性に疑問符がつけられたことである。レアアースについて見れば、昨年（2010年）９月に起こった中国との尖閣諸島での中国漁船衝突事件に端を発したレアアースの輸出停止問題は、広く一般社会に対しても、レアメタルなどの鉱物資源の安定供給確保が技術立国日本にとって不可欠であり、産業上、経済安全保障上も極めて重要であることを強く印象づける歴史的な出来事であった。需要増に加え、供給面での枯渇懸念と供給不安から、金属資源の価格はすべてが乱高下を繰り返しながらも長期的には高騰を続けるものと予想される。<br />
<br />
　四つ目は、地球規模での環境破壊問題に正面から取り組まなければならない状況になってきたことである。たとえば、白金族金属の鉱石から得られるプラチナやロジウムは、自動車の排ガス浄化に不可欠な触媒材料で、平均して1台に5グラム程度は必要である。ところが、プラチナは南アのもっとも含有量が豊かな鉱山でも1トン当り0.1グラムも含まれていない。したがって、自動車一台に必要なプラチナを鉱石から生産するには、自動車一台の自重よりも遥かに重い多量の鉱石が採掘して処理されているという事実は知られていない。東京の空気はきれいになるものの、他方南アではわずかに含まれている貴重な鉱石を選別するために大量の不要な脈石が処理されて膨大な量の廃棄物となって処分されているのである。<br />
<br />
　同様の事態は中国のレアアースについても起こっている。世界有数のレアアース鉱山であった米国のマウンテンパス鉱山が、2002年に閉山に追い込まれたのは、環境規制の厳しい米国で採掘・製錬する場合に発生する環境コストの負担が大きな要因であった。一方、経済的な成長戦略を優先した中国は、環境コストを度外視して、極めて低いコストでレアアースを生産し輸出し続けた。その結果、世界市場を独占することに成功したのである。本来価格に反映されるべき、環境保全コストを無視したのは中国の身勝手ではあるが、見かけ上のコストでの価格競争力という指標のみで供給者の優劣が決定される競争原理至上の考え方だけで対応してよいものであろうか。自分の庭先だけをきれいにするのではなく、地球規模での全体の環境保全を考えなければならない段階に差し掛かっているのではなかろうか。
</p>
<p>
２、スライドの目次
</p>
<p>
１、鉱物資源の概況<br />
（１）高騰する資源価格　①中国の爆食、②投機マネーの流入、③開発コストの増大<br />
（２）中国の粗鋼生産量・鉄鉱石・原料炭輸出入推移　生産量；10年間で6倍増<br />
（３）分野別金属素材の市況変動（2003～2009）　6年間でほぼ3倍<br />
（４）鉄鉱石～海上輸送の急増　95%が鉄鉱石（豪州-中国間）<br />
（５）金属材料の世界市場規模（重量では9割強、価格では8割弱が鉄）<br />
（６）鉄鉱石価格の推移(1)2009年まで、(2)2010年　2005年以降、過去のレベルの5倍弱に<br />
（７）銅～中長期的には需給逼迫　可採埋蔵量は30年<br />
（８）アルミニウム～電力価格高騰の影響大<br />
<br />
２、レアメタル<br />
（１）レアメタル（Specialty Metal、Minor Metal）の概要　71の金属元素のうち47～57<br />
（２）主要レアメタル17鉱種（重要性・希少性に基づく経産省の定義）<br />
（３）レアメタルの中国への依存比率　アンチモン、レアアース、タングステンの中国依存大<br />
（４）レメタルの特質　①産業のビタミン　②輸出入産業の活力源　③情報社会の落とし子<br />
（５）レアメタルの取引分類と市況の関係<br />
（６）１Kgの素材製造で発生する廃棄物とCo2の量　鉄が最小、金の廃棄物は2,000倍<br />
（７）レアメタルの王様；チタン　資源的には無尽蔵、トン当たりの製錬コスト100万円以上<br />
（８）地殻に存在する元素の量　チタンは9番目に多い元素金属、ニッケル、銅は希少<br />
（９）リチウム　イオン化傾向最大、金属中で最軽量<br />
<br />
３、　レアアース<br />
（１）レアアース（希土類）の概要　埋蔵量は豊富、中・露・米・豪に分布<br />
（２）レアアース17元素　ネオジム、ジスプロシウムはEVのモーター用永久磁石として不可欠<br />
（３）レアアース鉱床の種類　<br />
（４）希土類元素供給上の中国一国集中の実態　重希土類は中国のイオン吸着鉱に偏在<br />
（５）中国2大鉱床の代表的な希土類鉱物の組成（2007）<br />
（６）レアアースの中国依存を解決する方策　①新鉱山の開発　②代替資源の開発　<br />
　　③リサイクルによる都市鉱山の活用　④戦略的な備蓄など資源政策の確立　⑤研究者の人材養成
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111015RareMetalLast%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC.jpg" alt="111015RareMetalLast%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC.jpg" width="274" height="209" />
</div>
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                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">002石の趣味</category>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">005雑文集</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 15 Oct 2011 00:00:01 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title><![CDATA[&lt;投資教室＞日本のソブリンリスク]]></title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111015NihonnoSovereinRiskLogo.jpg" alt="111015NihonnoSovereinRiskLogo.jpg" width="240" height="240" align="right" />
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<strong><br />
<br />
</strong>&nbsp;
</p>
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<strong>　<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　</strong>8月6日に発表された米国の格付け会社スタンダード＆プアーズ社（S&amp;P）による米国国債のAAA最高格付けはく奪に続いて、8月24日にはムーディーズ社が日本国債の格付けをAa2からAa3（最上位から4番目）へ引下げた。
</p>
<p>
　ところが、両国の国債価格は図１に見られるように格下げ後に値上がりに転じ、10年物日本国債の利回りは9月以降も1%を割り込んだ史上最低に近い水準で推移している。10年物米国債利回りも2%を割り込む史上最低水準に下がっている。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111015Zu1Kokusai%20Rimawari.jpg" alt="111015Zu1Kokusai%20Rimawari.jpg" width="600" height="214" />
</div>
<p>
　<br />
　信用格付けの引下げを市場が好感するというのはおかしな現象であるが、これをメディアや市場関係者は次のような要因によるものと解説してくれている。
</p>
<p>
①ギリシャの債務危機の深刻化により、アイルランドや南欧諸国の国債が売られて軒並み10%を超える利回りでも買手がつかない状況が続いている。ユ－ロ建て債券売りの反動として、安全資産として円建てや米ドル建て債券が買われている。
</p>
<p>
②ギリシャ救済のもたつきに加え、米国の景気悪化を懸念した大量の資金が株売り、商品売りに転じ、流動性の高い日本や米国の国債買いに走っている。
</p>
<p>
③中国をはじめとする新興国を中心に世界各国が保有する外貨準備が本年6月末には10兆ドルに達したが、その運用先として日本国債が買増された。6月末時点での日本国債の外国人保有額は67兆円と保有比率7.4%に留まっていたが、8月の外国人買越し額は6.4兆円にのぼり、外国人保有比率はすでに8%を超えている。<br />
<br />
　最近の市場分析としてはいずれも的確であろうが、それにしても、先進国の中で最悪とされる財政状況のもとで、安定資産として円と日本国債が買われ、長期金利が低位安定を続けているのは何としても魔訶不思議な現象である。<br />
<br />
　日本の国内要因としても、長期デフレ経済のもとでは、実物資産の価値は下がる一方であるから、家計も企業もとりあえず流動預金として銀行に預けておくことが常態化し、行き場のない銀行の金融資産が、企業の資金需要低迷と相まって、国債の円滑な消化を支えてきたことは事実である。<br />
　<br />
　問題は、高齢化に伴う社会保障費に対する適切な政策対応がなされないまま、このような状況が何時まで持続可能かということである。　
</p>
<p>
　昨今のグローバル金融危機は、金融機関の損失に始まり、実体経済の後退を経て、先進国のソブリン危機に集約されつつある。EU諸国のソブリンリスク問題が一段落した後の市場で売り浴びせられるターゲットは間違いなく日本国債と米国債であろう。<br />
<br />
　日本国債が今のところ安泰である理由として挙げられているのは、ギリシャは70%、スペイン国債は50%以上が本国外の投資家(おもにEU各国の金融機関)によって保有されており、安定的な保有構造になっていないのに対し、日本国債は90%以上を国内投資家が保有しており、国内問題として処理可能であるとする楽観論である。<br />
<br />
　しかしながら、上述のとおり、外国人の保有比率はすでに8%を超えている。また、国債先物市場では30%程度のシェアを外国人が占めていることからしても、70兆円を超える外国人保有の国債が一斉に売り浴びせられた場合のインパクトには測り知れないほど大きなものがあろう。<br />
<br />
　日本の巨大な政府債務の背景については、さまざまな説明がなされているが、マクロ的な経済指標の国際比較から見るかぎり、急速な高齢化進展に伴う社会保障の巨額な出費を増税ではなく、国債発行によって賄ってきたため、低成長とデフレ下において歳入と歳出のギャップ拡大の基調が定着してしまったことに主因がある。<br />
<br />
　2005～09年5年間の一般会計における社会保障費の平均増加率は7.6%である一方、同期間の税収の伸びは平均▲2.8%であった。この税収減を国債で穴埋めしてきたため、急増する社会保障費を支えるために国債への依存度が急速に高まり、09年度以降は税収よりも多額の国債が発行されている。この結果、表1のとおり2010～11年度では国債費を除く一般歳出のじつに53%強を社会保障費が占めるに至っている。<br />
<br />
　国民の多くは「国民年金の国庫負担を1/3から1/2に引上げる」とか「高齢者医療制度では財源の1/2を国庫負担とする」と聞けば、当然にその原資は税金で賄われるものと理解しているが、現実には国債が増発されて政府債務が増えるだけのことである。9月6日付けの日経紙「経済教室」の解説によると、表2に掲げたとおり「2009年度の試算では、社会保障費の40%超を赤字国債に依存、国民負担を先送りしているだけ」との実態が明らかにされている。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/111015NihonnoSovereinRiskHyou1%262.jpg" alt="111015NihonnoSovereinRiskHyou1%262.jpg" width="600" height="279" />
</div>
<p>
　<br />
　政府債務がGDPの200%を超えて今後も増え続けるという異常事態は永続し得ないことは誰の目にも明らかである。日本国債の価格暴落を回避する手段を講ずるとすれば、円への信認が強いこの2～3年のうちにプライマリー・バランスの均衡を実現する以外に手立てはない。
</p>
<p>
　　「社会保障と税の一体改革」は遅きに失した恨みはあるものの、幸い野田総理は増税路線一本槍を明確に打ち出しており、その貫徹に期待したい。何はともあれ、「現在世代の受益分は将来世代の負担にしない」という原則の確立を政府に要請したい。
</p>
<p align="right">
<strong>（</strong><strong>日本個人投資家協会理事</strong><strong>　岡部陽二）</strong>
</p>
<p align="left">
（2011年10月15日、特定非営利活動法人日本個人投資家協会発行「きらめき」所収）
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/post_224.html</link>
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                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">006国際金融論集</category>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 15 Oct 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜投資教室＞米国債格下げは銀行リスクを増大</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/110915BeikokusaiLogoUSAflag-thumbnail2.jpg" alt="110915BeikokusaiLogoUSAflag-thumbnail2.jpg" width="200" height="145" align="right" />
<p>
　
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
　先月6日に米国の格付け会社スタンダード＆プアーズ社（S&amp;P）が米国国債のAAA最高格付けはく奪を発表するや、世界の株式市場が乱高下し、金やスイス・フラン、日本円が買い上げられた。株式の中でも、欧米では銀行株の下げが大きく、米国最大の銀行であるバンク・オブ・アメリカの株価が下図1のように急落、年初の最高値$15.31から$6.01まで6割強下落した。その後、バンカメは従業員3万人の削減を発表、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイから50億ドルの出資を引き出して、とりあえずは苦境から脱している。
</p>
<p style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/110915Zu1bankofAmericaKabuka2.jpg" alt="110915Zu1bankofAmericaKabuka2.jpg" width="300" height="192" />
</p>
<p>
<br />
　欧州でも、たとえばフランス5大銀行の一つであるソシエテ・ジェネラルの株価は、下図2のとおり8月10日に22%安と、20年振りの大幅下落となった。本年3月の高値&euro;52.2から8月の安値&euro;20.2までやはり6割強下落し、9月14日には同行株のムーディーズ格付けがAa3に引下げされた。欧州の銀行株はムーディーズが3月にスペイン、7月にポルトガルとアイルランドの国債挌付けを引下げたことを受けて軟調に推移していたが、直接的にはほとんど関係のない米国債の格付引下げにこれほど大きく影響を受けたのは何故であろうか。
</p>
<p style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/110915Zu2SogenKabuka2.jpg" alt="110915Zu2SogenKabuka2.jpg" width="300" height="192" />
</p>
<p>
　<br />
　米国国債格下げと銀行株の株価崩落の因果関係を紐解くのは難しい。米国国債の価格自体は、格下げにもかかわらず、強い買い需要に支えられて値を上げており、米国国債を保有している銀行の収益圧迫要因にはなっていない。<br />
<br />
　銀行収益への悪影響として考えられるのは、第一に今後の国債増発が抑えられるため、実体経済が一段と悪化する懸念、第二に財政悪化から住宅市場への刺激策が期待できず、劣化している銀行の住宅ローンがさらに劣化して損失計上を強いられる懸念である。さらに、第三には長短金利差が急速に縮小してきたために、短期資金を長期債に運用して利益を上げることが困難になってきたことにより、銀行の収益が悪化する懸念といった連想から、市場は株売り、米ドル売りに走ったものと分析されている。<br />
<br />
　2年前のリーマン・ショック時に米政府が大型財政出動を決めた際に、あるコラムニストは「政府がわれわれを世界大不況から救済することにより、わが国を破産させた」と喝破した。米政府は、それまで年間4,000億ドルであった財政赤字を1兆8,000億ドルに引上げ、連銀もバランス・シートを8,000億ドルから一挙に3兆ドルに膨らませた。まさに、銀行やGMの民間債務が政府債務に切り替わっただけで、雇用は増えず、景気は低迷したままで、このコラムニストの予言が現実のもとなったのである。<br />
<br />
　先進国政府が発行する国債は、民間債のようにデフォールト（公的債務不履行）する懸念のない無リスクの優良資産であると喧伝されているが、実際には国債の歴史はデフォールトの歴史そのものである。<br />
<br />
　ほとんどの主権国家は、これまで210年間に少なくとも一回はデフォールトを起こしている。1800年から2010年までの間に対外デフォールトは250回、国内デフォールトは68回も起こっている。この間にドイツとポルトガルは3回、スペインとギリシャは6回デフォールトしている。この210年間に一度もデフォールトを起こしたことのない欧米先進国は、米英とイタリア、スウェーデンの4カ国のみである（ジャック・アタリ著「国家債務危機」より）。<br />
<br />
　以前は新興国の財政を先進国がファイナンスしてきたが、現在では中国をはじめとする新興国が米国などの先進国の財政を支える構図に状況に変わってきた。国債格付けにおいても、下表1に見られるように、8月24日に発表されたムーディーズによる日本国債格下げの結果、日本と中国が並んでいるが、何れは逆転しよう。<br />
<br />
　もっとも、国債の発行規模がどこまで膨れ上がれば、デフォールトするかを予測することは、きわめて難しい。多くのエコノミストは「このレベルを超えると問題が起こる」という理論値の根拠として「国家債務の対GDP比」を主張し、投資家もこれに過剰反応しているが、フローの概念であるGDPとストックの債務を対比することにはあまり意味がない。ギリシャはこの対GDP比率が150%を超えた段階で破綻したが、200%に近い日本はまだ破綻していない。英国の国家債務は19世紀初と第二次世界大戦の1945年に対GDP比で250%まで増大したものの、何とか凌いだ前例もある。<br />
<br />
　国債デフォールトの可能性は、その保有構造にかかっている。海外投資家の保有比率が高ければ、海外からの売りを国内で吸収できずに破たんする。また、国債はデフォールトしなくても、銀行の保有比率が高いと、国債価格が1割も下がれば、ほとんどの銀行が破綻する。一般の銀行貸出については、自己資本の5%以内といった一社貸出限度が設けられているが、国債消化を阻害するような規制を政府が行なう謂れはなく、国債保有は青天井で認められているからである。日本の場合、全国銀行の国債保有高は本年6月末で150兆円を超え、自己資本(純資産)合計38.4兆円のじつに400%となっている。この大量保有リスクこそが国債の格下げが銀行の株価下落に繋がる所以である。<br />
<br />
　一橋大学の小黒一正准教授が8月16日付けの日経「経済教室」で解説されている下図3の｢国民総所得（GNI）に対する国民貯蓄｣のトレンド推移による見分けは分かり易い。図3によると、90年代以降、高齢化の進展で国民貯蓄は減少に転じ、2009年にはマイナスとなった。これは、政府貯蓄の赤字幅が民間貯蓄の黒字を上回ってしまった結果である。この傾向が続けば、この比率が2020年には日本・米国ともに現在のギリシャ並みとなり、両国国債のデフォールト・リスクが高まることは間違いない。英・独・仏や韓国にはこの懸念は今のところ存在しない。<br />
<br />
　日本国債のデフォールトを回避するには、大幅増税と社会保障の抑制で国家のあり方を根本から改める以外にない。これについては号を改めて論じたい。
</p>
<div style="text-align: center">
<img style="width: 593px; height: 245px" src="http://www.y-okabe.org/images/upload/110915Hyou1%26Zu3Kokusaikakusage.jpg" alt="110915Hyou1%26Zu3Kokusaikakusage.jpg" width="595" height="207" />
</div>
<p align="right">
<br />
<br />
（日本個人投資家協会理事　岡部陽二）
</p>
<p>
（2011年9月15日、日本個人投資家協会発行月刊紙「きらめき」2011年9月号所収）
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/market/post_223.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/market/post_223.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">006国際金融論集</category>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">007証券市場論集</category>
        
        
         <pubDate>Thu, 15 Sep 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜書評＞慶應義塾大学教授印南一路、東海大学准教授堀真奈美、自治医科大学助教古城隆雄著「生命と自由を守る医療施策」　</title>
         <description><![CDATA[<p align="right">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/110829ShohyouIryouseisakuLogo.jpg" alt="110829ShohyouIryouseisakuLogo.jpg" width="240" height="353" />
&nbsp;
</p>
<p>
　今なぜ医療に「理念」が必要か。何が医療の理念であるべきか。多くの時間や労力を政治的な利害調整に費やすよりも、医療保障のあり方そのものについて議論をし、「理念に基づく創造的な問題解決」がなされるべきではないか。<br />
<br />
　このような問題意識に立脚して、著者らは、医療保障制度の歴史的展開を回顧し、医療提供体制と医療費保障制度にまたがる理念としての二段階理念の根拠を憲法論と現代正義論の立場に求めている。この理念を踏まえて、現在の医療保障制度改善に向けての具体的な政策提言を行なった500ページを超える重量感ある力作である。<br />
<br />
　ある物事についてのこうあるべきだという根本の考えである理念は、基本法には通例盛り込まれている。昭和23年に制定された医療法にはこれが欠けていたが、平成4年の改正で「医療は生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし～～」とする理念規定が第1条の2として追加された。
</p>
<p>
　これは憲法13条の「すべて国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については（中略）最大の尊重を必要とする」との規定から導き出されたものと考えられ、医療における生命と人権擁護の必要性・自己決定権の尊重を促す趣旨と解釈されている。<br />
<br />
　しかしながら、その後の医療政策の展開は、関係者間の利害調整に終始した感が強く、理念に基づいた議論は為されていないのではないかというのが、著者らが共有している危機意識である。
</p>
<p>
　著者らの提言の骨子は、国が関与して保障すべき医療は、万人の生命保持と幸福追求といったそれぞれの目的に即した救命医療と自立医療の二つであるとしている。制度改革に伴う利害対立の厳しさと「実務的に機能する理念」を前提にしているので、提言の内容は一見常識的なものばかりに見える可能性があるが、救命医療と自立医療を定義する医療分類は大胆で、異論が出るかもしれない。極論を求める改革論者にはもの足りないかも知れないが、実際に保険給付範囲の見直し(拡大と縮小)の議論が出れば、関係者には大きな影響を与えるであろう。<br />
<br />
　本書では、理念に関連した歴史的な出来事などが24のコラムで懇切に解説されている。たとえば、「医療費亡国論の真相」では、医療費が膨張すると国が潰れるという議論はそもそも根拠希薄であることに加え、吉村仁氏(元厚生省事務次官)が医療費亡国論を主唱したという事実はないと検証している。同氏が昭和58年(保険局長時代)に社会保険旬報1424号に投稿した論文では、当時の医療費をめぐる情勢に関する視点として、①医療費亡国論(医療費増大&rarr;社会の活カ低下)、②医療費効率逓減論(医療費増大&rarr;投入される医療費の効率が逓減)、③医療費需給過剰論(需要・供給両面に無秩序な過剰かある)という三つの考え方かあると整理し、それぞれへの対応をまとめているだけである。もっとも、評者はこの当時から「医療費は財政問題である」と喝破された吉村氏の先見性は高く評価されて然るべきと考えている。<br />
<br />
　とまれ、本書の時宜を得た問題提起は貴重であり、これを契機に理念論を軸とした医療改革論争が活発に展開されることを期待したい。
</p>
<p align="right">
（評者；医療刑事研究機構　副所長　岡部陽二）
</p>
<p>
■東洋経済新報社刊、定価；本体3,800円＋税
</p>
<p>
（2011年8月29日、㈱法研発行「週刊社会保障」第65卷2642号p34所収）
</p>
]]></description>
         <link>http://www.y-okabe.org/medical/post_222.html</link>
         <guid>http://www.y-okabe.org/medical/post_222.html</guid>
                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">008医療経済論集</category>
        
        
         <pubDate>Mon, 29 Aug 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>＜投資教室＞今こそ規制改革に火を再び</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/110815KiseikaikakuLogo.jpg" alt="110815KiseikaikakuLogo.jpg" width="240" height="317" align="right" />
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<p align="center">
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</p>
<p>
　『私たちは今、長い衰退のトンネルの中にいる。90年代初頭のバブル崩壊から約20年、日本の経済は低迷を続けている。成長度合いでは、アジア各国、アメリカをはじめ欧米諸国にも大きく遅れをとった。経済は閉塞感に見舞われ、国民はかつての自信を失い、将来への漠たる不安に萎縮している。国全体が輝きを失いつつある。（中略）
</p>
<p>
　失敗の本質は何か。それは政治のリーダーシップ、実行カの欠如だ。過去10年間だけでも、旧政権において1O本を優に越える「戦略」が世に送り出され、実行されないままに葬り去られてきた。その一方で、政官業の癒着構造の中で、対症療法的な対策が続いてきた。
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　今、最も必要なのは、日本の将来ビジョンを明確に国民に示した上で国民的合意を形成し、その目標に向かって政策を推し進めることのできる政治的リーダーシップだ。1OO年に一度といわれる経済危機の中で、国民は旧来の「しがらみ」を脱ぎ捨て、自らの投票行動で民主党政権を選んだ。新政権の誕生は、国民のための経済の実現に向けて舵を切る、100年に一度のチャンスである。』
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　これは、一昨年12月に政府が「新成長峨略」として打ち出した諸施策の基本となる現状認識と新需要創造に向けてのリーダーシップ宣言であり、正鵠を得ている。
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　日本経済の低迷振りを一人当りGDP（購買力平価による米ドル換算、2010年）で見ると、日本は33.8千ドルと、IMF統計による先進国34ヵ国中21位にまで下がり、シンガポール56.5千ドル、香港45.7千ドル、オーストラリア39.6千ドル、台湾35.2千ドルの後塵を拝している。先進34カ国平均との対比でも、下図に示したとおり日本が平均値を上回っていたのは1990年から96年までの7年間のみで、その後は平均値を大きく下回っている。IMFはこの下方格差の拡大が続くものと予測している。
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　菅総理が掲げた「強い経済、強い財政、強い社会保障」といった欲張った目標を一体的に実現するためには、いかなるプロセスで、いかなる優先順位で、いかなる課題を解決していくべきであろうか。菅総理は、まず「強い社会保障」をまず作る必要があるという立場で、まず「税と社会保障の一体改革」で消費税率を引上げるべきとの方針を鮮明に打ち出した。消費費税率引上げによる財源を、高齢者中心の社会保障拡大・充実に振り向けるとすると、財政健全化や経済成長には結びつかない。
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　過去10年間年平均2.8%と日本の2倍のペースで実質GDPを伸ばし、一人当りGDP38.0千ドル（2010年）を実現したスウェーデンが採ってきた政策は、高福祉や社会保障は、「強い経済」すなわち高い労働生産性や国際競争力の果実としての高成長が実現できて初めて持続可能になるという考え方に立脚している。優先順位は、「強い社会保障」や「強い財政」ではなく、まず「強い経済」を作ることにある。
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　「強い経済」を作るためにスウェーデンが基本としてきた政策は、規制改革によるビジネス・インフラの競争力強化とイノベーションの促進である。スウェーデンは労働者の再教育とIT基盤の整備を梃子として、新規起業の奨励と非効率企業の淘汰とを通じ、産業構成を大きく変換してきた。社会保障はそのために必要なインフラとの考え方が基本で、失業保障や労働者の再教育、子育て支援などに過半が使われ、高齢者向けは5割以下となっている。こうしたスウェーデンの魅力に世界中からヒト、モノ、カネが引きつけられて、外国からの投資も盛んである。
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　日本が学ぶべきことは、参入規制を大幅に撤廃し、ビジネス・コストを徹底的に引下げることである。これをやらないと、日本のグローバル企業もますます海外シフトを加速させざるを得ない。
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　深尾京司一橋大学教授の研究「日本経済再生の原動力を求めて」によれば、雇用創出の原動力は、サービス産業を中心とした成長産業における若い独立系企業や外資系企業である。要するに、雇用創出の決定要因として企業の年齢が若いことが決定的に重要である。通信・金融・その他サービスといった産業では、若い企業の雇用シェアが高い。したがって、農業・医療・介護・エネルギーといった既得権益保護一辺倒の産業分野で、規制緩和、ことに安全性担保に名をかりた新規参入規制を撤廃する政策で、若い優良企業が成長できるような環境を作ることが必須である。
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　「いま、農家の大半は兼業でしよう。農業をやっているのは、じいちゃん・ばあちゃん・おかあちゃんで、一家の大黒柱のご主人は、みな外に働きに出ている。農家の家計を支えているのは、工場やわれわれの会杜に働きに来ている大黒柱ですよ。
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　でも、日本がFTAに躊躇していると、われわれ中小企業は韓国など他のアジアの国々の企業に国際競争力で大きく水をあけられ、倒産に追い込まれる。潰れなくとも、中国などに海外移転して、安い労働力を活用して生き残りをはかるしかなくなる。そうなれば、家計を支える大黒柱の収入も入ってこなくなり、政府から戸別所得補償をもらっても農家の実質的な収入は減り、FTAに加わった場合より、むしろ、農家の疲弊につながりかねません。どうして、こんな簡単な道理を中央では分かっていただけないのか、不想議です」（古賀茂明著「日本中枢の崩壊」p121より引用）<br />
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　「FTAに参加して農産物の関税を全廃されれば、農家は大損を蒙り、輸出産業は中小でも恩恵に浴する」といった議論がまことしやかに行なわれているが、古賀氏によれば、農家の7割を占める兼業農家は民主党の戸別所得補償政策によって職を失い、却って損をするのが、現実である。彼らを雇用している中小企業経営者は「なぜ、農家だけを助け、中小企業の利益は考えないのか」と憤っている。彼らは、身勝手で不服を洩らしているわけでない。兼業農家の保護政策が間違っているのである。
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　菅政権の後に、どのような首相が誕生するにせよ、今こそあらゆる産業分野について新規参入規制を撤廃し、震災特区のような規制緩和は直ちに恒久的に全国に拡大するといった抜本策を講じて、活力のある経済再生に取り組んでもらいたい。
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<strong>（</strong><strong>日本個人投資家協会理事</strong><strong>　岡部陽二）</strong>
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（2011年8月15日発行、日本個人投資家協会月刊誌「きらめき」所収）
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         <pubDate>Mon, 15 Aug 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
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