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   <updated>2010-03-10T23:30:04Z</updated>
   <subtitle>岡部陽二のホームページ - Official Website by Yoji Okabe</subtitle>
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   <title>ドイツ保健局フランツ・クニープス局長とのMonthlyIHEP有識者インタビュー「介護保険制度改革へ向けてのドイツの挑戦とわが国への示唆」</title>
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   <published>2010-03-10T13:52:39Z</published>
   <updated>2010-03-10T23:30:04Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp; &nbsp; 　　　　　　　　　　 &nbsp; &nbsp; ...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="009インタビュー記事" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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<p align="right">
<strong>話し手:ドイツ連邦保健省医療保険・介護保険局長<br />
</strong><strong>フランツ・クニープス氏</strong>
</p>
<p align="right">
<strong>聞き手： 医療経済研究機構　専務理事　岡部陽二</strong>
</p>
<p>
　今回は、昨年11月に当機構主催、ドイツのフリードリッヒ・エーベルト財団協賛により東京で開催されたシンポジウムとワークショップ「日独社会保障政策の回顧と展望」に参加のため来日のドイツ連邦保健省医療保険・介護保険局長フランツ・クニープス氏に、ドイツの介護保険制度についてその政策課題と日独比較を中心にお伺いしました。
</p>
<p>
　ドイツでは、20年以上にもわたるさまざまな議論を経て、1995年に医療、労災、年金、失業に次ぐ社会保険の5番目の柱として世界初の介護保険制度を創設されました。これを範として、2000年にはわが国の介護保険制度が発足したのは周知のところですが、両制度の設計、財源や給付内容は大きく異なっています。この違いを次ページに掲げました「介護保険制度の日独比較」の表にとりまとめ、これを基にフランツ・クニープス局長のご見解を尋ねました。
</p>
<p>
　フランツ・クニープス局長は1981年にボン大学卒業後、86年まで同大学の労働・社会保障法研究所でマイデル教授の助手を務め、社会保障法の専門家としての評価を得られたのち、86年に連邦政府に入り、疾病金庫や東独政府機関で勤務。1989年に連邦地区疾病金庫連合会の政策スタッフ長、98年から政策局長となり、WHOやEUのコンサルタントとしても活躍。2003年2月から2009年末まで7年間にわたり連邦政府保健局の医療保険・介護保険局長を務められました。昨年の政権交代に伴い年末に退職、引続き社会保障分野での政策研究者として活躍されています。著書・論文も多数あり、社会保障理論と政策実務両面に通じた俊英として、国内外で高く評価されています。
</p>
<p>
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</p>
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</div>
<p>
<strong><br />
〇創設15年を経たドイツの介護保険制度の成果と課題</strong>
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　クニープス局長は介護保険の創設時から関わってこられましたが、この制度創設の成果についてどう評価しておられますか。残された改革の課題のなかでは、どのような点が重要でしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　ドイツでも、聞く相手によって返ってくる答は違うと思います。一般の国民からは非常に成功したという答が返ってくると思います。介護保険制度は高齢者の貧困を減らすことが主目的であったのですが、その目標はほぼ達成されたからです。<br />
　介護保険導入前は、介護を必要とする高齢者の80％から90％が福祉機関に頼らざるを得ず、財産を調べられてからでないと補助を受けることができませんでした。40年以上にもわたって社会保険料を支払い続けてきたのに、介護サービスを受けるには、改めて社会扶助の申請と厳しい審査が必要というのは理解できないという不満が聞かれました。これが改善されたのは、国民一般から見ると大成功です。<br />
　専門家は細かい点でうまくいっていない点は指摘しますが、全国民に介護サービスへのアクセスを保証するという制度自体は非常によく、成功したものと評価しています。一方で、医療保険同様に、一部の国民は公的介護保険ではカバーされず、民間の介護保険を利用するという制度設計については、介護分野で公的保険と民間保険を分けるのはどうかと感じている人もいます。立法者は公的保険と民間保険の間でリスクはほぼ同じレベルと見ていますが、実際のところは公的保険のリスクは民間保険の3倍ほど高く、民間保険には資金的に余裕があるため、不公平感があります。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ドイツでは介護保険導入前には税金で賄われていた社会扶助としての公的介護サービスが全部保険料で賄う保険方式に移行しました。その結果、財源として税金は一切使われなくなったのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　財源的にはそのとおりですが、地方自治体は介護保険で浮いた資金を地域での社会福祉インフラの充実や合法移民の支援など他のサービスの資金に回すことができ、介護保険の導入で利益を得ています。介護保険導入前に介護に使われていた税金がまったく別の目的に振り向けられたのではありません。<br />
　一般論としては、税金は一つの特定の目的に向けられるのではありませんが、保険料をベースにした資金は、一つの特定目的だけに向けられます。それが税金と保険料の違いであり、社会保険制度の大きなメリットであると考えています。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ご承知のように、介護保険の財源は、ドイツでは「すべて保険料のみで調達」、日本では「税；50%、保険料；50%」となっています。<br />
　社会保険方式のメリットは分かりますが、これまで税金で面倒を見てきた介護サービスへの税金投入をやめることについての反対意見は出なかったのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　もちろん、ドイツでも抵抗はありました。しかし、ドイツでは社会保険システムの評価がとても高いのです。国民は、国税庁より社会保険庁のほうをはるかに信頼しています。社会保険では資金がどこに使われているか分かるという透明度が高いからです。税金の場合は、どこにどのように使われているのか、そこが見えません。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　そうですか。日本では税金からの投入をもっと増やすべきという論者が多く、財政赤字がこれだけ大きくなっているにもかかわらず、国民感情もそちらに傾いています。<br />
<br />
<strong>クニープス</strong>　その点では、日本とドイツでは大きく違います。ドイツでは資金が政府から直接出る制度は確実ではないと国民は感じています。税金を使う重点的な事業の対象は毎年変わるし、公的資金をめぐる獲得競争も熾烈です。ですから、社会保障のように安定した給付が約束されなければならない分野の財源を税金に依存するのはリスクが高すぎると見ているのです。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　クニープス局長は、連邦保健省に入られてから、社会保障法の専門家として疾病金庫や東独の支援、WHOやEUとの関連の幅広い分野で活躍されてきました。2003年に医療保険・介護保険局長に抜擢されましたのには、どういう事情があったのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　　2002年に、ウラ・シュミット前保健相の医療政策を批判したところ、「批判しないで」と言ってきました。そこで、「あなたの政策を変えれば批判しません」と答えたのですが、この彼女への政策批判が機縁となって「それでは私の下で政策を作ってください」と誘われたのです。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ウラ・シュミット女史は、2001年にシュレーダー内閣で社会民主党（SPD）から保健相として入閣し、2005年11月に組閣されたキリスト教<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%90%8C%E7%9B%9F" title="ドイツキリスト教民主同盟">民主</a><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%90%8C%E7%9B%9F" title="キリスト教社会同盟">社会同盟</a>（CDU・CSU）との大連立内閣でも、2009年10月まで保健相を務められていました。辣腕政治家との評価が確立していた彼女の政策ブレインというのは大変でしたでしょうね。それにしても、大臣が9年間、局長が7年間も同じポジションというのは、日本では考えられないことですが。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　私のケースのように長期にわたる同じ組み合わせでの同一ポジションというのはドイツでも異例ですが、政府内の局長・課長には同じポジションに長く就いている専門家は他にも多数います。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　各省庁の局長職に年限はないのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　ドイツではありません。専門家の知識や経験を有効に活用するには、数年間同じポジションに就いていることが必要です。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　1～2年で交代する日本とは大違いですね。それに、クニープス局長は社会民主党員とお伺いしましたが、ドイツでは公務員の政党所属も認められているのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　そうです。それも自由です。でも、私が社会民主党員であったことで、同じ党のウラ・シュミット保健相のお役に立ったわけではありません。私は彼女のお気に入りの批評家の一人で、むしろ彼女の政策を変えるよう説得することで、政権に協力したのです。<br />
　社会民主党が政権をとって彼女が保健相に就任したときには、彼女も仲間はみな協力的で、医療改革に道筋をつけて解決策を見つけるのは簡単と考えていたようです。でも、私は彼女にそう思ってはいけない、協力的な連中はみな権力と金を求めていることを指摘しました。保健省は患者に対して責任があるが、患者には金も発言力もないので、私は彼らの立場で考えることの重要性を説いたのです。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　それは、素晴らしいコンビネーションでしたね。どの国でも、改革は供給者の発想で進められますが、おっしゃるとおり重要なのは医療消費者の視点です。<br />
　ところで、ドイツでも2009年9月の総選挙で政権交代があり、社会民主党は下野しましたが、介護保険についても政権交代による政策の変更が見込まれるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　いや、介護保険の分野では政権交代による政策の変更はとくにありません。民間の社会資本ストックについてのディスカッションでも、介護制度の充実の必要性が挙げられています。高齢者人口の増加から、介護の重要性は今後ますます高まり、介護サービスの質ももっと洗練されてきますが、今後は医療制度との連携強化の方向での改革が必要です。ファミリードクターも、医療だけではなく、介護保険にももっと深く関わるようにしなければなりません。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　介護サービスの量が増え、質も向上させるとなると、医療と同様に財源面での制約が出てきます。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　そうですね。介護サービスの場合には、一方に医師、もう一方に他の介護スタッフがいるという両面での戦いで、疾病金庫とその中に設けられた介護金庫との間の財源問題もあります。介護保険部門で働いている人は、医療部門で働いている同僚ほど尊敬されておらず、財務面でも医療に比べると弱い面があり、こういった点の改善も課題です。
</p>
<p>
<strong>〇介護保険と医療保険の関係</strong>
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　日独の介護保険の大きな相違点は、日本では介護保険が医療から独立した制度として構想されたのに対し、ドイツの介護保険は医療保険と保険者も被保険者も同一のいわば医療保険の延長として設計されたように思えます。医療保険と介護保険の間の基本的な差異はどこにあるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　ドイツでは、介護保険の保険者も被保険者も医療保険と同一です。地区疾病金庫（AOK）の被保険者であれば、同時にAOK介護保険の被保険者でもあります。でも、実際のところ、制度自体は非常に異なります。最も大きな違いは、医療保険はフルカバーですが、介護保険は必要とされるサービスの一部をカバーするだけの付加的な保険です。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　医療保険では、保険者間のサービス内容についての競争政策が導入されましたが、介護保険では導入されていませんね。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　介護保険では基本的には保険者間の競争はありません。介護は医療以上に公的な性格が強く、競争を必要とする動機が薄いからです。でも、サービス競争の必要性はありますので、被保険者は高齢者によいサービスを提供しているかどうかを考慮して疾病金庫を選択できるようになっています。現に、私の場合は母が認知症ですが、最初に加入した疾病金庫はその点に留意していない保険者であったので、具体的なサービス面でもっと母のニーズに合った認知症に格別の配慮をしてくれる別の疾病金庫に変えました。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　「日独社会保障政策の回顧と展望」のシンポジウムでの議論で、医療サービスについては、東ドイツからの医師の流出が激しく、いまだに東西ドイツ間で提供体制に大きな格差が存在するというご発言に驚きましたが、介護サービスの面では如何でしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　介護サービスの面では、さほど大きな違いはありません。これには、介護保険は東西ドイツ統合後の1994年にスタートしたという事情もあります。東ドイツのファミリードクターやナースには西側で訓練を受けさせました。また、東ドイツの方が介護の仕事を得る可能性が高いところから、多くのプロフェッショナルが西側から東ドイツへやってきました。医師の流出とは逆の現象が起こったのです。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　医療サービスでは、疾病金庫が医療提供機関やその団体と価格や条件についての交渉を行なっていますが、介護保険でも同様の仕組みがあるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　介護サービスについても同様です。保険者、被保険者、被保険者の代理人、自助グループとだけでなく、ケアを提供するナースや他のスタッフ、州政府との仲介者など多くの利害関係者の調整は大変です。通常は疾病金庫と介護サービスの提供者団体の間で交渉しますが、基本的な点は国家レベルの団体協約で管理されています。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　介護保険の料率は公的医療保険のように各保険者が決定するのではなく、当初から基礎収入の1.7%と法律により全国統一の料率が定められています。<br />
　さらに、子供のいない23歳以上の被保険者については、保険料率が0.25%上乗せされ、この上乗せ分は被保険者が単独で負担するというユニークな規定になっています。この規定の合憲性が最高裁で争われた結果も、合憲という判決であったと聞いていますが。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　私の意見では、この判決は間違いでした。介護分野ではケアの90％近くを依然として家族がやっています。したがって、家族へのインセンティブを付けるのは問題ありませんが、子供のない被保険者を差別するのは、やはりやり方が間違っています。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　医療保険の財源は保険料中心で賄われていましたが、近年一部ながら税金の投入が始まりました。現在、100%保険料で賄われている介護保険でも、将来的には税金の投入が不可避となるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　いいえ、現状では介護保険に税金を入れる可能性はありません。介護保険の充実策としては、税金投入ではなく、公的保険に民間保険を付加することを義務化すべきではないかという興味深い議論があります。ただ、民間の介護基金を法的に義務化するのは非常に難しく、法務上の問題があります。<br />
　これは、将来の人口の変化に合わせて資本ストックを作るという観念的な提案ですが、実践的ではありません。民間の介護保険では、低い保険料で、厚い給付をして、かつ利益を挙げるというのは不可能だからです。
</p>
<p>
<strong>〇日独介護保険制度の相互関係</strong>
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ドイツの介護保険制度はわが国の介護保険のモデルとなっております。両国の制度の対比の表を眺めますと、ドイツで15年前、日本では10年前の制定当初は、制度の建て方や給付内容などが両国で大きく異なっていましたが、次第に似通ったものに接近しているような気もします。ドイツでの現金給付の減少やケース・マネジメントの導入はその一例ではないかと見ておりますが、クニープス局長はどう見ておられますか。<br />
　また、ドイツの保健省医療保険・介護保険局では、日本の厚労省からドイツ大使館に出向、現在は一橋大学経済研究所教授の松本勝明氏をアドバイザーとして、定期的に意見を聞いておられるというお話です。介護保険の先進国ドイツが日本から学ぶことがあるのでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　松本氏はずっとドイツの研究者と一緒に仕事をされており、保健省の勉強会にも参加願って親しくさせて頂いています。<br />
　最近では、ドイツの要介護度認定システムを高度化するために、7段階の介護度がある日本のシステムの建て方、その扱い方、ことにコンピュータ技術の使い方について説明を受け、これがドイツの制度改善の参考になりました。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　松本氏は「ドイツ社会保障論Ⅲ～介護保険」(2007年、信山社刊)という大部の著作も出しておられ、ドイツの介護保険の権威として知られていますが、日本の制度にも詳しい同氏から両国を対比して学ばれるのは、有意義ですね。<br />
　介護度については、日本の介護保険をドイツでは3段階で、日本の要支援や介護度1,2の軽度のものは介護保険の対象外と単純に理解していましたが、それだけの違いではないのですね。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　軽度を含めないという違いもありますが、ドイツでは介護に要した所要時間、つまりステップごとに時間内で仕事をすることを重視しています。洗濯に30分、食事に20分、着替えに10分というような感じですが、このような杓子定規的な規定は、どうしても理不尽なケアにつながります。<br />
　要介護度も週に要する介護時間14時間以上がⅠ、21時間以上がⅡ、28時間以上がⅢという具合に、すべて時間で厳格に決められています。<br />
　介護報酬を時間で規定するのは日独共通であり、実質的には変わらないのではないかとの見方もありますが、私はそうは思っておりません。松本氏やドイツ保健省の専門家も、日本の段階区分のほうがずっと肌理細かく、しかもあまり所要時間に拘泥せずに要介護者のニーズに合わせた設計になっていると言っています。私も日本のほうが、実際に要するサービスのアセスメントに合わせた要介護度になっているものと見ています。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ドイツのほうが、介護サービスに要した時間により厳しく縛られた費用の設定になっているというわけですね。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　そうです。所要時間と関連づけが厳しすぎるのです。介護者は一つの仕事だけしかできないので、仕事の途中でやめなければならないケースなどに不満を覚えると言っています。時間に縛られると、機械的になり過ぎて、パーソナルなお手伝いをする時間や温かい言葉をかけてあげる時間がないという苦情もたくさん寄せられています。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　そのような苦情は日本でも結構たくさんあると思いますが。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　そうでしょうね。でも、日本の介護士は一人ひとりが自分で決定する余裕をある程度は持っています。ドイツのルールはとても厳しくて、社会コストにコントロールされているため、人間的な制度ではなく、技術的な制度に堕してしまっているのが問題です。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　介護士など介護分野で働いている労働者の所得水準はどうでしょうか。日本では、低賃金が嫌われて、不況下でもなかなか介護スタッフが集まらないのが問題となっていますが。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　ドイツではさほど大きな問題ではありません。民間の介護施設で問題があるところもありますが、時給8ユーロから9ユーロといった最低賃金が法律で定められています。また、差別待遇に対しては、労働組合の支援があり、教会や非営利団体、他のプロバイダーからの支援もあります。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　日独介護保険の制度上の違いはよく分かりましたが、クニープス局長から見られて、日本の介護保険の実際の運用をどのように見ておられますか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　さきに申し上げたように、日本の介護保険制度では、保険者がしたいと思えば、非常に柔軟に多くのサービスを提供できる仕組みになっています。市町村に介護保険に精通しているCEOや主要なスタッフがいれば、独自に色々なことができます。たとえば、予防、要介護状態になるのを予防するためのリハビリテーションです。ドイツでも将来的には介護予防に対するインセンティブを増やさなければならないと思っています。<br />
　また、日本では在宅介護を受けるよう多くの人に働きかければ、介護施設へ送られるのを防ぐことができ、多くの人が自宅で生活できるようになります。ドイツで改革を導入するにあたって最も重要なことの一つは、低レベルサービスに対する保険適用と新しい形での共同生活のための施設を提供することです。学生たちは10人や15人が一緒に生活しているのですから、高齢になってもできるのではないか。介護サービスをばらばらに受けるのではなく、シェアすることができるのではないかといった視点が必要です。1人が2時間の介護サービスを必要とし、2人目が1時間必要とし、3人目が4時間を必要とするなら、お金を出し合って介護者を1人雇って、サービスをシェアするといった方式です。このような試みは、日本の方が進んでいます。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　日本の制度は法律至上主義で、英米に比べるときわめて硬直的ではないかと思っていましたが、ドイツよりははるかに柔軟性があることを初めて知りました。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　介護保険の柔軟性という点では、私たちは日本から多くのことを学び、改革でそれを法律にとり入れてきました。これは、国際交流の好例です。<br />
　日独両国間で頻繁に交流し、相手国の改革の進展状況を調査し、議論を重ねることで、お互いから学ぶことができると思います。ドイツから見て、両国の社会保障政策面での交流関係は、世界中のどの国よりもよい関係にあると思います。日本の専門家や柔軟な考え方のできる介護現場の人たちと議論するほうが、欧州の近隣国の方々と話すよりも、理解が早く、すぐに役立ちます。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　社会保険先進国ドイツの専門家から、日本の介護保険を高く評価頂くのは、意外でしたが、まことに光栄です。
</p>
<p>
<strong>〇ケース・マネジメント（ケアマネジメント）の導入について</strong>
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　日本が当初から採り入れたケアマネジャーが作成した介護計画を基に事業者と契約するケアマネジメントの制度は如何でしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　ドイツでは、当初ケアマネジャーを置きませんでしたが、昨年「ケース・マネジメント」を導入しました。その際には、日本のケアマネジメントを大いに参考とさせていただきました。<br />
　ドイツでは、個々の介護ニーズについてアドバイスを受けるサービスを被保険者の権利として規定しました。ワンストップショップを設立して、そこでケース・マネジメントのサービスを受けることにしたのです。ワンストップショップでは、被保険者の親族は、介護保険サービスだけでなく、コミュニティや介護施設からのアドバイスやサポートを受けることもできます。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ドイツのケース・マネジメントは日本のケアマネジメントよりも広範な介護支援システムのようですね。ただ、日本はケアマネジメントをもともとは英国から学んだものと思いますが。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　そうです。ケース・マネジメントの考え方はイギリスで生まれました。でも、ドイツの政治家や一般の人たちを説得するには、イギリスの制度を直接導入するよりも、日本の制度から学んだと言うほうが簡単です。ドイツでは、英国の医療や介護の制度はとにかく待ち時間が長く、公平なサービスが受けられないとしてとても嫌われているからです。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　私もロンドンに長く住んでいましたので、その感覚はよく分かります。ドーバー海峡が濃霧で覆われた時に、英国の新聞は「欧州大陸が孤立した」と報じるような国ですから、ドイツ人にとって、英国人は鼻持ちならない国民なのでしょう。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　まさにそのとおりです。　英国の下院議員の秘書になったドイツ生まれの女性が「英国人はフランスの医療制度やドイツの医療制度がいかに優れているかをよく知っているけれども、その真似をするような改革は絶対に行なわない」と、よく言っていました。<br />
　もっとも、最近では専門家のレベルでは独英両国間で頻繁に往来して議論をし、非常によい関係になってきています。
</p>
<p>
<strong>〇介護保険における現金給付の是非</strong>
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ドイツの介護保険では,発足当初から、家族の介護を評価しての介護手当（現金給付）が認められ、1996年には、44億ユーロで、介護給付費の43.1%を占めていました。この割合は、総額の伸びに伴い年々減少して、2005年では23.9%となっていますが、介護における家族介護の評価は重要であり、介護費の適正化にも資するのはないかと思いますが、この点はどうお考えでしょうか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　ドイツでも介護保険の構想段階では、現金給付は考えられておりませんでした。現金給付は当時の政権党・キリスト教民主同盟のアイディアではありませんでした。ところが、よりリベラルな少数野党は家族介護に報いるための現金給付が必要と主張しました。サービスの現物給付を受けるか受けないかは被保険者が決めるべきだという考えです。議論の結果、被保険者が現物か現金かを自由に選ぶという妥協案になったものです。でも、被保険者にとっては、現物給付のほうが高い価値のサービスが受けられます。それが分かってきたので、現金給付の割合が減少してきたのです。現金給付の比率は更に低下して、昨年度は19%程度です。これほど急速に低下したのには私も驚いています。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　日本でも、現金給付も構想段階での選択肢には挙がっていたようですが、家族介護は当然の義務ではないかといった国民感情が強いことから導入されなかったのではないかと思います。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　ドイツでも、キリスト教民主同盟と社会民主党の間の大連立であれば、現金給付は取り入れなかったと思います。将来的に変わるかも知れませんが。私自身も、現金給付には否定的です。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　その点でも日本の介護保険制度を評価いただいているわけですね。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　そうです。ドイツでは貰った現金はほかの目的に流用してしまい、要介護者が放っておかれるというケースが下層階級に結構多いのです。障害者の介護などでは現金給付が有効なケースもありますが、少数事例です。<br />
　ドイツでも、介護の90％近くを家族が受け持っていますが、それは普通のことです。自分の親を介護することに対して私がお金を貰ったら、それは不公平です。私の両親はボンに住んでいて、私はベルリンに住んでいます。姉が親を看ているので、私がお金をもらう理由はなく、私がそのお金を両親へ送っても、両親は必要な介護サービスを受けるのにお金を使うのではなく、私の子供や姉の子供のために貯金してしまうでしょう。それでは意味がありません。やはり、親たちが直接介護サービスを受けるべきです。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　おっしゃるとおり、親の面倒を看るのは子供の義務ですが、現実にはそうなっていないのが問題ですね。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　そう思います。現金給付のような形で公的介護制度を広げていけば、第一に2030年から2035年以降には資金が無くなってしまいます。第二に税金は当てになりません。来年になると、アフガニスタンにもっと軍隊を送り込むべきだ、あるいは、教育にもっと投資すべきだということになって、それに税金が振り向けられるかも知れません。ですから、繰り返しになりますが、介護保険では税金は当てにせず、被保険者の分担金とサービスの間に直接的な関係がある保険方式のほうが優れているというのが私の意見です。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　ところで、米国の医療改革については、どう見ておられますか。
</p>
<p>
<strong>クニープス</strong>　米国の医療・介護制度の歴史も勉強しましたし、米国にも様々な考え方があることも知っていますが、全国民に医療と介護へのアクセスを保障するのは社会主義であるとして排除する考え方には賛同できません。米国の政治家のポジションもあまりにも複雑で理解できません。<br />
　一方、2週間前に保健社会福祉省の新しい長官キャサリン・シベリウス女史とお会いする機会があって、議論しました。彼女は色々な問題に精通していて、オバマ大統領と彼のスタッフをとても尊敬しており、今回の医療改革もよくやっていると思います。<br />
　今回の医療改革には期待していますが、アメリカではすべてのことが市場主義的な医療体制の中で進展しており、すべての人に平等の権利を保証する社会ではありません。ベストの質の医療があって、次の質の病院、最悪の病院が存在するのは、やはり不公平ではないかと思います。介護についても同様です。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>　本日は、短いご滞日中に貴重なお話をお伺いできました。また、日本へお越しください。
</p>
<p>
（2010年3月10日、医療経済研究機構発行&quot;Monthly　IHEP&quot;No.184,p1～10所収）
</p>
]]>
      
   </content>
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   <title>ベルリンの壁崩壊と天安門事件20年に想う</title>
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   <published>2010-02-21T15:00:00Z</published>
   <updated>2010-03-09T10:26:50Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp;&nbsp; 　東西冷戦のシンボルであった「ベルリンの壁」が崩壊し...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="006国際金融論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      <![CDATA[<div style="text-align: center">
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</div>
&nbsp;&nbsp;
<p>
　東西冷戦のシンボルであった「ベルリンの壁」が崩壊してから20年となる昨年11月9日に、ベルリン中心部で、記念式典が盛大に催された。テレビで観た壁崩壊をイメージした千個の巨大ドミノ倒しは、一つの出来事が瞬時にして全世界に波及する様を如実に表現しており、壮観であった。<br />
　1989年にはロンドンに駐在していた私は、壁崩壊の数日後に西ベルリンを訪れた。そこで、東ベルリンから流入した大衆が、まずバナナを求めて殺到する様は、失礼ながら蝗の大群の襲来のようであった。そ凄まじい解放感を目の当たりにして、あらためて自由の尊さを実感したのであった。
</p>
<p>
　東ベルリンへ入って、借りたハンマーで壁崩しを試みたが、堅牢なコンクリートに跳ね返されて、何遍試みても割れなかった。すると、地元の少年がどこからともなく現れて、壁の一片を5ドルで売ってくれた。壁崩壊とともに、需要と供給がマッチする市場原理も直ちに入り込んできたのである。
</p>
<p>
　80年代には、毎年何度か西ベルリンからチャーリー・チェックポイントという東側の検問所を歩いて通って東ベルリンへ入った。車に乗っていても、検査は床の下まで金属探知機で調べるといった徹底ぶりであった。東ベルリンの街は、広告もほとんどなく、街全体が灰色で暗かった。
</p>
<p>
　壁崩壊の前年の9月には、東西融合を訴えて西ベルリンでＩＭＦ・世銀総会が開催され、私も参加した。この時は、東ベルリンのホテルも活用すべく、東西の行き来が一時的に緩和されたが、その一年後に壁が無くなることを予測した者は誰一人としていなかった。
</p>
<p>
　一年前はおろか、11月9日の当日でさえ、強力な軍隊と秘密警察に支えられた共産主義という強固な機構が崩れることは誰も予見し得なかった。東独の大衆が壁を乗り越えて、自由を求めて西側へ乱入するのを武力で制止することを諦めた東独政府の決断に至る東独側での葛藤は西側には洩れなかったのである。
</p>
<p>
　ゴルバチョフ大統領辞任に至るソ連邦の解体には、なお2年余を要したが、壁崩壊のかなり前からすでに東側の体制が内部崩壊を起こしていた事実を読みとった専門家はごく少数であった。
</p>
<p>
　壁崩壊後の西独政府の対応は迅速であった。3週間後には、悲願の東西ドイツ統合を発表、実質価値は数分の一しかなかった東独マルクと西独マルクとの等価交換を決定した。それと歩調を合わせて、ＥＵの通貨統合や東欧諸国の民主化・市場経済化が急速に進展した。1999年1月に11カ国で発足した統一通貨・ユーロには、10年後に東欧圏からスロベニアとスロバキアの2カ国が参加を果たしている。
</p>
<p>
　ベルリンの壁崩壊の最大のインパクトは、東西の障壁も先進国と開発途上国との障壁も一挙になくなって、ヒト、モノ、カネが世界を自由に動き回る地球規模での経済統合、いわゆるグローバル化が進んだことではなかろうか。中国をはじめとする東アジア諸国やロシア・東欧が一挙に市場経済圏に仲間入りした結果、低労働コストでの商品生産量が急増しただけではなく、マネーの暴走が金融危機を惹起した。
</p>
<p>
　この20年間で世界の名目ＧＤＰは89年の20兆ドルから08年には60兆ドルと3倍に増えたが、その過半はＢＲＩＣＳなどの途上国であり、わが国をはじめ先進国の多くはこのグローバル化に対応できていない。障壁のない世界で、成長力を高め、長期低迷から脱するための有効な処方箋を先進国はいまだ描けていないのである。
</p>
<p>
　国際政治の面では、冷戦の勝者と見られた米国がイラク戦争で躓き、アフガンでも手を焼いている。米ソによる抑えが利かなくなった結果、イスラム原理主義によるテロが頻発し、核拡散の恐怖が高まっている。
</p>
<p>
世界を大きく動かした20世紀後半の出来事をもう一つ挙げるならば、それは同じ年に勃発した天安門事件であろう。
</p>
<p>
　天安門事件は、1989年6月4日に、同年4月の胡耀邦の死をきっかけに、天安門広場に民主化を求めて集結していた<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E7%94%9F" title="学生"><span style="color: #000000">学生</span></a>を中心とした一般市民のデモ隊に対して、中国人民解放軍が市民に向けて無差別発砲し、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%85%E7%94%B2%E8%BB%8A" title="装甲車"><span style="color: #000000">装甲車</span></a>で轢き殺すなどの武力弾圧をし、多数の死傷者が出た事件である。
</p>
<p>
　1985年来、ソ連で「ペレストロイカ」が進められ、同じく1949年の建国以来共産党の一党独裁下にあった中国でも、1986年5月に総書記の胡耀邦が「百花斉放・百家争鳴」を提唱して、国民からは開明的指導者として支持を集めていた。
</p>
<p>
　これに対して鄧小平ら党内の長老グループを中心とした保守派は、この自由化路線の推進は中国共産党による一党独裁を揺るがすものとして反発し、胡耀邦は事実上失脚した。1988年末から北京や地方都市でこれを非難する学生デモが発生、89年5月にはピークに達していたのである。
</p>
<p>
　この89年5月の連休に北京で初めて開催されたアジア開銀総会に参加するため、私はロンドンから北京へ駆けつけた。街は連日のデモ行進で警察との小競り合いが頻発してはいたが、天安門広場に面する人民大会堂で開かれた総会や各所での大パーティーには何の影響もなく、まさか一ヵ月後に軍隊が出動する大流血事件がここで勃発することなど想像もできなかった。
</p>
<p>
　天安門事件は、ベルリンの壁崩壊とはまったく逆に、民主化を阻止して一党独裁体制を強化した出来事であったが、一党独裁下で経済の市場化を一貫して強力に進めた結果、今日の中国経済繁栄が実現したことは疑う余地のないところである。
</p>
<p>
　78年の12月に決定された改革開放政策の成否は、89年の天安門事件を乗り切るがどうかに掛っており、この事件が大きな岐路であった。この時点で、もし民主化の要求を入れておれば、国内は分裂し、高度成長路線には乗れなかったのではなかろうか。
</p>
<p>
　二大突発事件の前後に現場に居合わせることができたのは国際畑の人間として幸いではあったが、この時点で、かのドミノ倒しの連鎖に象徴される如きグローバル化の急進展、以後20年の急激な変化は到底予見し得なかった。おのが不明を恥じるばかりである。
</p>
<p align="right">
　（岡部　陽二、個人会員、元明光証券㈱会長）
</p>
<p>
（2000年2月22日、一般社団法人・日本証券経済倶楽部発行「しょうけんくらぶ」第87号、p6～7所収）
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/100110BerlinnokabehoukaiTenanmon.jpg" alt="100110BerlinnokabehoukaiTenanmon.jpg" style="display:inline;" />
</div>
<p>
&nbsp;
</p>
]]>
      
   </content>
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   <title>＜投資教室＞株式配当金の損益通算を活用しよう</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/market/post_192.html" />
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   <published>2010-02-14T15:00:00Z</published>
   <updated>2010-02-11T13:22:58Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp;&nbsp; 　この2月15日に始まる平成21年（2009年）度分...]]></summary>
   <author>
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      <![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/100215HaitouSonekitsuusanLogo.gif" alt="100215HaitouSonekitsuusanLogo.gif" width="286" height="150" />
&nbsp;&nbsp;
<p>
　この2月15日に始まる平成21年（2009年）度分の確定申告から、上場株式等の譲渡益に加えて上場株式等の配当金等についても、譲渡損失との間の損益通算ができるようになった。
</p>
<p>
　また、証券会社が個人株主に代わって譲渡損益の通算計算を行なう「源泉徴収ありの特定口座」を通じた申告不要の取引については、平成22年（2010年）度からは、一定の条件を満たせば、これに配当金等の受取も含めることができるようになった。
</p>
<p>
　この税制改正は、すでに平成20年度改正で、恒久税制として法制化済みのことで、目新しいものではないが、証券会社からの損益通算活用の勧奨キャンペーンはきわめて低調で、個人投資家全般に徹底されていない嫌いがあるので、ご友人などにも節税策の徹底を図って頂きたい。
</p>
<p>
　当協会では、譲渡損益通算の対象を、配当・利子などの果実を含め、全金融商品に拡大すべきとの提言を数次にわたって関係筋に提出してきた。この平成20年度改正は、その実現への第一歩として高く評価される。株式配当への所得税課税については10%の軽減税率が平成23年度まで継続適用され、それ以降については本則の20%に戻すとされている。本協会では、配当課税は全廃すべきと主張しているが、これの実現には、「日暮れて道遠し」の感がある。ただ、配当金等についても損益通算が認められれば、税率が高い方が節税効果は大きくなる。
</p>
<p>
　平成21年度からの株式電子化に伴い、国内上場株式は原則として、保管振替機構（ほふり）で管理され、個人の株式売買はすべて証券会社に開設される「特定口座」か「一般口座」を通じて取引されるようになったことが、このような税制改革にも繋がったものである。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/100215HaitouSonekitsuusanHyou1.jpg" alt="100215HaitouSonekitsuusanHyou1.jpg" width="600" height="316" />
</div>
<p>
<strong><br />
１、譲渡所得にかかる「損益通算」の対象所得</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>今回上場株式等の譲渡損益通算に加えることができるようになったのは、「上場株式等の配当所得」である。「利子所得」や「先物取引などからの雑所得」は含まれない。表１に示したように、「株価指数先物」や外国為替証拠金取引（FX）、商品先物も含まれない。
</p>
<p>
　「上場株式等の配当所得」には、「国内上場株式の配当金」だけではなく、「外国株式の配当金」「公募株式投信の分配金」が含まれる。公募株式投信には、ETF,REIT、海外ETFも含まれる。
</p>
<p align="left">
<strong>２、確定申告納税（「譲渡税の源泉徴収なしの特定口座」または「一般口座」を選んだ場合）</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>「源泉徴収なしの特定口座」「一般口座」を選んでいる場合には、平成21年度分以降の「確定申告」において、これまでの株式等の譲渡損益通算・3年間の繰越控除に加えて、上記の「上場株式等の配当所得」についても、上場株式や株式投信の売却損と相殺・繰越控除できるようになった。
</p>
<p>
　配当金等は通常支払時に10%（平成23年度まで）が国税・地方税として源泉徴収され、これまではそのまま（申告不要）にしてきた投資家が多かった。申告分離課税を選択して「源泉徴収なしの特定口座」または「一般口座」を選んでいる場合、今回の改正により昨年度中に受取った配当金等について、上場株式等の売却損と損益通算して確定申告をすれば、源泉で天引きされた税金を取り戻せるようになったものである。他の損益通算と同様に3年間の繰り越し控除も使える。なお、平成21年度の受取配当金・分配金は「源泉徴収ありの特定口座」保有者も確定申告を行なえば、損益通算に使える。
</p>
<p>
　ただ、確定申告に当って厄介なのは、配当金などを証明する「配当金支払通知書または明細書」の添付が必要となることである。国内上場株式の配当金については、配当金の支払代行機関（信託銀行の証券代行部、日本証券代行、東京証券代行など）が配当金支払時に送ってくる明細書を保存してあれば、それが使えるが、なければ支払代行機関に電話などで発給を依頼するしかない。支払代行機関は、ネットで銘柄名の後に「配当金支払代行機関」と入力すれば、簡単に検索できる。
</p>
<p>
　今年度受取分からは、配当金支払代行機関に明細書の送付をあらかじめ依頼しておけば自動的に発給される。配当金の受取も、全保有銘柄について「登録配当金受領方式」（下表１参照）で指定した一つの銀行口座に振込むようにしておけば、金額の突合に便利である。
</p>
<p>
<strong>３、確定申告を行なわない納税（「譲渡税の源泉徴収ありの特定口座」を選んだ場合）</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>平成22年度から、「譲渡税の源泉徴収ありの特定口座」を開設済みで、配当金の受取方法として「株式数比例配分方式」を選択すれば、特定口座内で受取った配当金・分配金と株式等の譲渡損益の損益通算を証券会社が行なってくれる。確定申告は不要であるから、配偶者控除などには関係なく、譲渡損益と配当金等の損益通算が可能となる新しい方式である。
</p>
<p>
　平成22年1月以降に新規に特定口座を開設する場合には口座開設時に選択できるが、すでに特定口座開設済みの個人投資家は、配当金等についての損益通算扱いと配当金の受取方法指定を新たに行なう要がある。　配当金の受取方法として、平成21年初からは従来の方式に加えて、新たに「株式数比例配分方式」と「登録株式受領口座方式」が加わっているので、表２にとりまとめた。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/100215HaitouSonekitsuusanHyou2.jpg" alt="100215HaitouSonekitsuusanHyou2.jpg" width="600" height="205" />
</div>
<p align="right">
<br />
（日本個人投資家協会理事　岡部陽二）
</p>
<p>
（2010年2月15日発行、日本個人投資家協会月刊誌「きらめき」2010年2月号所収）
</p>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>＜投資教室＞東証改革に望む</title>
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   <id>tag:www.y-okabe.org,2010://1.339</id>
   
   <published>2010-01-14T15:00:00Z</published>
   <updated>2010-01-19T10:49:21Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp;&nbsp; 　「きらめき」前号で「民主党の公開会社法に大いに期待...]]></summary>
   <author>
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   </author>
         <category term="007証券市場論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.y-okabe.org/">
      <![CDATA[<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/100115Mywordismybond.jpg" alt="100115Mywordismybond.jpg" width="150" height="209" />
</div>
&nbsp;&nbsp;
<p>
　「きらめき」前号で「民主党の公開会社法に大いに期待する」と論じたが、そもそも「公開会社法」なるものは上場会社に限って適用されるルールであり、それであれば何も国会を煩わすことなく、証券取所が取引所規則として制定すれば済むことである。このルールに従わない上場会社には上場廃止を迫るだけのことであり、現に欧米ではそうなっている。
</p>
<p>
　したがって、前号論説の真意は「民主党の公開会社法に期待せざるを得ないような東証の不甲斐なさに憤慨する」ということである。「公開会社法」が法制化の対象と考えているのは、①企業会計のあり方や株主質問権・回答義務の導入など情報開示の明確化、②独立社外取締役選任の義務化や従業員代表監査役導入などの適切な企業統治の実現、③企業集団を基本要素と認識し親子上場は厳しく規制するといった上場会社のみに限られたガバナンスについてである。
</p>
<p>
　これらのルール化に東京証券取引所が自主的に取組むべきは当然であるが、それに加えて東証自体のガバナンスを確立することが急務である。見方を変えれば、東証のガバナンスが確立されないかぎり、上場企業に向けての適切なルール作りも期待できない。本稿では、このような視点に立って、東証に求められる意識改革とガバナンスのあり方について以下の諸点を指摘し、東証の奮起を促したい。
</p>
<p>
<strong>１、外国株式の上場と取引活性化</strong>
</p>
<p>
　東証での外国株上場会社数は1991年末には125社あったが、その後は毎年減少して、2008年末では16社となっている。外国株の年間売買高も2008年度は7億ドルと10年前とまったく変わらず、要するに、東証では外国企業は完全に無視されている。
</p>
<p>
　外国株の上場を、他の取引所と比較すると、下表カッコ内のとおり、ニューヨークとロンドンでは上場会社数・売買高ともに10年間で大幅に増加している。ドイツ証券取引所では、上場会社数は減少しているものの、売買高は10年間に5倍に増加、2008年には5,000億ドルに達している。
</p>
<p>
　東証は年間売買高で昨年は上海取引所に抜かれた。国内で有り余っている過剰貯蓄にとっての投資の選択肢を拡充させ、アジアの成長分野への資金供給の面で相応の役割を担うには、外国株式などの商品ラインアップの幅を広げ、こうした資金の仲介を円滑にすることが東証にとって重要である。
</p>
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/100115Toushoukaikaku.jpg" alt="100115Toushoukaikaku.jpg" width="600" height="147" />
<p>
　<br />
　ところが、残念ながら、東証にはそのような問題意識は皆無である。東証が国内証券会社の集合体であり続け、彼らの営業姿勢が上場企業の方を向いている限り、投資家が望む金融商品の品揃えに注力するという発想は出てこない。日本株が魅力を失っているなら、魅力の大きい外国株を投資家に推奨し、その売買を円滑化するために外国株の上場に積極的に取組むという目的意識をどうして持たないのか不思議である。それとも、そのような期待を抱く方がおかしいのであろうか。
</p>
<p>
<strong>２、ベンチャー企業向け新興市場の抜本改革</strong>
</p>
<p>
　東証マザーズが改革と称してとり始めた新しい上場・上場廃止基準は、新規上場企業の成長性は重視せず、むしろ老舗企業をとり込んでいこうという姿勢が伺え、真の新興市場からは撤退の方針と見られる。東証もロンドン証取のＡＩＭと連携してプロの投資家を中心とする新興企業向けの新市場を創設する方針は打ち出している。斎藤惇社長就任時には、①財務諸表は英語でよく日本の会計基準に準拠しなくてもよい、②四半期決算も要求しない、③引受証券会社は上場後も責任を持ち続けるといった新しいベンチャー企業向け市場を目指すと具体的に宣明されている。ところが、社長就任後2年半を経ても、これらの改革は何一つ実現しておらず、この計画はすでに画餅に帰している。有言不実行の典型である。東京資本市場を活性化し国際的な信認を高めるには、斎藤社長が掲げられているような改革を着実に積み上げていくことで必須であるが、今の東証にこれを期待することはできない。
</p>
<p>
<strong>３、誤発注処理の不手際に象徴されるＩＴシステムの遅れ</strong>
</p>
<p>
　本年初から稼働し始めた新売買システム「アローヘッド」は、注文処理時間を5ミリ秒と欧米並みに短縮したもので、一日の出来高1.2兆円程度の東証には十分な高性能と説明されている。この新システムが、経営戦略としての情報システムとして運用上のソフト面も含めて誤発注などにも機敏に対応し得るものであるのかどうか、海外の先進取引所のシステムに比して機能的に遜色がないかどうか、今後の実績を見守るほかない。
</p>
<p>
　それにしても、みずほ証券が一瞬にして415億円の損失を蒙ったジェイコム株誤発注事件は、発注側にも責任があるのは当然ながら、このような場合の危機管理を事前に想定もしない欠陥システムを検収して運用していた東証の責任も重大である。裁判の場で「東証は取引の場を提供するだけで、取引上のトラブルには責任を持たない」と厚顔無恥な主張を繰り返していたのにはただただ呆れるばかりである。
</p>
<p>
<strong>４、東証自体のガバナンス強化</strong>
</p>
<p>
　東証は早期上場を目指して、持ち株会社を設立、取引所と自主規制法人を分離して、社外取締役中心の委員会設置会社の体裁を採っている。しかしながら、運営の実態は執行役員による旧来通りの経営スタイルと見られる。なかでも問題は、社外取締役11名中に投資家サイドの代表者を一人も入れていないので、証券取引の一方の当事者である機関投資家や個人投資家の意向はまったく反映されない組織となっている点である。<br />
<br />
　一例ではあるが、東証は場立ちによる対面取引が行なわれていた立会場がコンピュータ化により不要となったために、この空間を投資家に対してリアルタイムの市場情報を提供し、上場企業に対しては的確な情報開示をサポートする場としてする場として活用している。200名近く収容できるホールも備えた「東証Arrows 」を開設し、見学会や上場会社説明会なども開催されている。しかしながら、当協会のような投資家団体には会場の使用を認めず、情報発信は東証発のものに限定されている。　
</p>
<p>
　立会場が不要となった変化への対応も疑問である。1972年に豪華な立会場をスレッドニードル街に建設したロンドン証取は、コンピュータ化の完成後、2004年にいち早くこれを売却して、セントポール寺院裏手の貸しビルに移っている。これが、合理的な経営判断であろう。
</p>
<p>
　ロンドン証取で生まれた&quot;My Word is my bond&quot;（私の言葉は私の契約である）という信念を東証の経営者にも切に期待したい。
</p>
<p align="right">
（<strong>日本個人投資家協会理事</strong><strong>　岡部陽二）</strong>
</p>
<p align="left">
（2010年1月15日、日本個人投資家協会発行機関紙「きらめき」2010年1月号所収）
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/100115London_Stock_Exchange.jpg" alt="100115London_Stock_Exchange.jpg" width="400" height="225" />
</div>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>満州ノスタルジーの旅 ～ 「滬友・建大・長春ツアー」に参加して</title>
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   <published>2009-12-24T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-12-26T00:32:59Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbs...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="001旅のエッセー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      <![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091225manshukenkokudaigakuLogo.jpg" alt="091225manshukenkokudaigakuLogo.jpg" width="500" height="225" align="right" />
&nbsp;
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
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</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
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</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
　終戦の一九四五年、当時小学校五年生であった私は、四月からの一学期を旧満州国新京（現在の長春）の東安小学校へ通った。父が終戦の前年の十一月に建国大学に奉職することになり、半年ほど遅れて母・祖母・妹二人の一家五人も渡満したからである。父は建国大学には半年勤めただけで、国民兵として召集され、終戦後はソ連に三年間抑留されていた。残された家族五人は、八月初めにソ連軍が侵攻してきたので、北朝鮮へ疎開、終戦後安東（現丹東）に一年余り抑留されて、翌年の十二月に故郷へ引揚げてきた。
</p>
<p>
　父が勤めていた建国大学（建大）の地を再訪したいものとかねてより念願していたところ、東亜同文書院同窓の滬友会、建大同窓会、愛知大学同窓会が組成する「滬友・建大・長春ツアー」に建大教員遺族としての参加を歓迎したいとのお誘いを受けた。おかげで、今年の八月二十一日から二十六日まで、じつに六四年ぶりに長春再訪が実現し、瀋陽・大連・旅順にも立ち寄ることができた。
</p>
<p>
<strong>〇愛知大学現代中国学部の中国現地研究実習と「日中学生国際シンポジュウム」</strong>
</p>
<p>
　愛知大学現代中国学部は、夏季休暇中に三週間ほどを費やしての中国各地でのフィールド研究実習を、すでに十年連続して行なっている。今年はその第十一回目が長春の東北師範大学と提携して行なわれ、その最終日二日間に企画された締めくくりの「シンポジュウム」の傍聴に父兄や同窓生が招かれたものである。
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　この日中交流プロジェクトでは、愛知大三年生四十名が農村班、企業班、都市社会班に分かれて、二週間掛けて、中国側の学生の斡旋で、学生各自が設定したテーマに即した対象先を往訪する。そこで、インタビューをし、アンケートを回収し、現場を見学する。シンポジュウムでは、その結果を一人八分間内にとりまとめ、中国語で報告をする。レジュメは日中二ヵ国で用意され、パワーポイントで画像などもふんだんに披露される。
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　丸一日を費やして愛知大生が研究成果を発表し、これに対して中国側学生から質問が出され、翌日に日本側から回答、さらに討議を重ねると言った形式で、周到に準備されていた。とり上げられたテーマは、中国農村のごみ処理の現状、長春農民の結婚観、農村と都市との収入格差、企業の環境保護対策、長春市民の娯楽事情といった興味深い話題が多岐に亙っていた。現地調査をスムーズに進めるために春休みには東北師範大学の学生数名が愛知大学に滞在して綿密に打ち合わせたといった徹底ぶりである。学生の手によるこのようなフィールド調査の実施は、中国はもとより、日本でも稀な実地研修である。
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　愛知大生の発表で感心したのは、いずれも問題意識が明快で要点が的確にまとめられていたことであった。また、愛知大学生の中国語のレベルは高く、専門家に絶賛されるほどのものであった。大学教育の質が劣化している昨今、このように手間隙をかけた手作りの現場教育を実践して来られた先生方の指導と中国側の真摯な対応には頭が下がった。
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　愛知大学は一九〇一年に上海に設立された東亜同文書院の教職員が中心となって、終戦の翌年に四九番目の旧制大学として創立された異色の大学である。創立当初から中国をはじめアジアに向けて開かれた情報発信基地としての使命を掲げて、一九九七年に現代中国学部を設置、二〇〇二年には文部科学省から「二一世紀ＣＯＥプログラムに「国際中国学研究センター」が採択されている。学生による現地でのフィールド研究もこのような土壌の中で育ってきたものと言えよう。
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　今回の旅の機縁となった亡父は、建大の助教授になるまで京大大学院に在籍して中国経済のフィールド研究に従事していた。その一つであった中国紡績業における労働慣行の実態調査報告は、委託元の東亜研究所に提出されたが、終戦で日の目を見ることなく忘れられていた。父は晩年にこの五〇年前の研究成果の出版を思い立って、全面的に書き直したのであったが、原稿の完成直後に亡くなった。そこで、この原稿を九州大学の西村明教授にお願いして監修と出版を引受けて頂き、父の没後一年目に五二五ページに及ぶ大部の「旧中国紡績労働の研究」上梓に漕ぎつけた。本書に対し、愛知大学の川井伸一教授から「本書は戦前の中国紡績労働状況に対する極めて詳細な事実調査報告書であり、本書の価値はまずこの徹底した事実調査にある」として、懇篤な書評を専門誌にご寄稿頂いたことを感謝の念とともに思い起こし、今回の旅行で愛知大学の現地調査研究を重視する土壌に改めて感じ入った。
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　長春で最高ランクの東北師範大学との提携は、建大五期で、愛知大の卒業生でもある佐藤達也氏と東北師範大学で教鞭を執ってこられた中国人同窓生との建大同窓会を通じての交流が端緒となり、実現したとのことであった。佐藤氏とご同期の中国人四名の方々との会食に、建大教員の遺族として招かれた懇談の席上、中国人にとっては日本人中心の建大在学が戦後に障害になったものの、全員が別の大学に移って、卒業後は大学での教職や教育行政に携わってこられた経緯をお伺いした。建大での絆が、七十年後に生かされた縁の素晴らしさに感激を覚えた次第である。
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〇旧満州・建国大学の回想</strong>
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<strong>　</strong>父が終戦の前年から半年あまり奉職した建大は、「五族協和」の理念をもって満州国の中核的人材を育成するために一九三八年五月に開学した。当初から国際性豊かな満州国立の最高学府であった。前期（予科）三年と後期（政治学科、経済学科、文教学科の本科）三年の六年間一貫の教育で、全寮制を敷き、授業料も寮費もすべて官費で賄われて無料、大学から学生に毎月五円のお小遣いが支給された。卒業後には、満州国の高官ポストが用意されていた。このため、受験生の建大人気は高く、入試競争率は百倍を超え、建大は海兵や一高・三高並みの難関校であった。
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　建大は、陸軍の石原莞爾の「アジア大学」構想に端を発し、辻政信参謀によって原案が作成され、関東軍が敷地を確保した。基本的に日本人学生は半分以下に抑え、中国人・朝鮮人・蒙古人・白系ロシア人学生を幅広く受入れ、寮では五族の共同生活を強いた。授業は日本語で行われたが、中国語が重視され、建大卒業生には中国語に堪能な方が多い。
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　前期三年間は、午前中授業、午後は実習、夜は寮などでの集団討議といった時間割であった。期末の筆記試験はなく、レポートの提出だけといった自己啓発重視のユニーク教育方式をとっていた。一九四五年八月に終戦により閉学するまで八期一、四〇四名が在学していた。
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　設立は関東軍主導で進められたが、関東軍から独立した満州国の大学としての自由な校風を目指し、当時としてはかなり人間的な学生生活を送ることができたようである。このような自由な学風は、京大経済学部教授から転じて、開設準備を手掛け、初代の副総長（総長は、形式上満州国首相が兼務）に就任した作田荘一先生の人柄によるところが大であった。しかし、作田副総長は一九四二年に抗日地下活動に励んでいた中国人学生が大量検挙された責任をとって辞任され、後任が関東軍から送りこまれた時点で、この学風は潰えたとされている。それでも、私の父のように、マルクス主義者と言うだけで、日本国内の大学では受容れられなかった学者を、副総長に軍人が就いた後の一九四四年になっても採用する度量を持っていたのは、やはり創立時からのリベラルな伝統が残っていたものと思われる。
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　建大は、新京（現長春）駅から大同大街(現人民大街)をまっすぐ南に約十キロ、南湖という人造湖を右に見て南湖大路を過ぎたところにある歓喜嶺という二一四・五万平方メートルの広大な敷地に建てられた。もっとも、学生定員は最大でも九百人であり、校舎と九つの寮などの建物自体は簡素なもので、緑の木々もなく、敷地の大部分は農場となっていたようである。
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　南湖に面した前期の校舎跡は戦後空軍士官学校に転用されたが、その南に位置した後期の校舎跡は現在「長春大学」となっている。長春大学の設立は、建大五期の中国人で戦後中国の札幌総領事や中日友好協会副会長を務めた後、北京で教育関係の要職に就いていた陳抗氏が構想し、一九八五年に日本の建大ＯＢにも支援が求められてきたプロジェクトであった。これに応えて、日本の同窓会が募金活動を行い、神戸大学の百々和先生など四名が現地に赴いて助言をされた結果、現在では十五学部で学生数一万人を超す総合大学に成長している。
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　建大はわずか七年あまりの短い歴史の大学であったにもかかわらず、日本人六三〇人、中国人・朝鮮人・蒙古人・白系ロシア人併せて七七四名と教職員六五六名の同窓生の絆は固い。戦後の混乱時に行方不明となった方も多いが、毎年総会を開き、名簿と会報を発行し、中国や韓国の同窓会と連携するほかに、日中友好に資するさまざまな活動を行なってきている。なかでも、日本人同窓が身元引受人となって、中国人同窓生の子弟など常時百人ほどに日本への留学や就職の便宜を計っているのは、有意義な社会貢献である。五族協和の理想は、開学中には日中戦争の拡大と相容れず実現しなかったものの、戦後にいろいろな形で花開いている。
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<strong><br />
〇長春市内観光</strong>
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<strong>　</strong>長春は、現在中国東北地域の中央に位置し、南は北朝鮮に接する吉林省の省都で、人口二八〇万人（二〇〇九年末推計値）、東北地域では瀋陽に次ぐ大都市で、大連よりもすこし大きい。長春市の人口は旧満州国の首都・新京であった終戦時の八〇万人に比し三倍以上に膨張している。中国の五大自動車メーカーの一である第一汽車集団の本拠地で、最高級車「紅旗」を生産し、一時は中国内での生産シェアの四割を占めていた。また、大学が二六校もある大文教都市でもある。　
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　街路樹はポプラ（漢名は楊柳）が多いが、満州国時代に植えられた松の木もたくさん見られる緑の多い町である。また、空港からの大通りの分離帯には市花である「君子蘭」をデザインしたネオンの飾りが輝いていた。君子蘭は一九三〇年代に日本から持ち込まれたものが、高貴な花のイメージが好まれて戦後爆発的に流行し、一九八四年に「市の花」と定められた。彼岸花の一種で、緑濃い葉は根元で堅く重なり合い、その先から太い茎が立っている。春先に橙色の花が咲き、晩秋には赤い実をつける。
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　長春は清朝末期には吉林省内でも吉林に次ぐ地方の小都市で、この地域の軍閥の本拠も吉林に置かれていた。このローカル都市の開発を最初に手掛けたのはロシアであるが、ロシアは大連や旅順のような大規模な建設は行わなかった。市街地の開発が本格化したのは、ポーツマス条約で長春以南の鉄道を譲り受けた日本が満鉄にこの地域の開発を委託してからである。
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　日本にとって長春駅は南満州鉄道の終着駅であるだけではなく、ロシアと対峙して全満州の覇権を競う前線基地となったのである。長春は今でも北京と直結する新幹線の終点であり、交通量が飛躍的に増えたために、戦前の長春駅は取り壊されて、一九九五年に近代的な駅ビルに生まれ変わっている。
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　私ども家族が六四年前に旧新京駅に着いたその日、満州国の高官になっていた父の友人が四頭立ての馬車で出迎えて下さった。ガランとした大通りを威風堂々と走り抜けた驚きは、今でも鮮やかに思い出される。今や、幅員五四米のこの大通りも乗用車で満杯である。市域はこれまで南東部へ大きく拡大してきたが、二〇〇五年に長春の東方にある吉林市との中間に新空港が建設され、西側への拡大も期待されている。
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　満鉄は一九〇七年から新京駅に隣接する用地買収にとりかかり、京都のような格子型の市街地造成に着手した。まず、駅前に大きな円形広場を造成、まっすぐ南に長春大街を作り、この大通り中央の大きなロタリーで放射状に二本の大路と交差させた。建大はこの長春大街の南端辺りに建てられたが、この大通りは現在では延々と南に伸びている。
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　大同大街と並行して南北に延びる道は「～～街」と名づけられ、私どもが住んでいた南湖に近い「東安街（現在の岳陽街）」は大同大街の一筋東側で、すぐ近くに都心には珍しい原生林があった。町並みはすっかり変わっていたが、この原生林はその面影を留めたまま「動植物公園」として整備されていたことは、感慨無量であった。そこで探検ごっこをして遊び呆けた少年の日々が蘇ってきたのである。
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　長春市内には近年の高層ビルが林立しているが、満州国時代の歴史的な構築物も大事に保存されている。長春駅前の旧ヤマトホテル、日本の国会議事堂を模した旧国務院、旧満州国中央銀行、満鉄支社など多数のビルがそのまま使われている。旧関東軍司令部が置かれていた天守閣風の豪壮で堅牢な建物には、現在中国共産党吉林委員会が入居している。屋根の両翼に鯱鉾を載せて辺りを睥睨する感のこの建物は、いささか異様で周囲の景観にマッチしていない。
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　一方、満州国の元首であった皇帝・溥儀が政務を執っていた「勤民楼」は、現在「偽満州皇宮博物館」として観光スポットになっている。隣接する「同徳殿」は「ラストエンエンペラー」のロケにも使われて有名になった。いずれも、故宮を模した本格的な宮殿が完成するまでの間の仮宮殿ではあったが、関東軍司令部と比べるとまことに貧相で、溥儀が軽んぜられていた様子がよく分かる。
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　旧日本時代の建造物を保存し、観光資源としても活用する方針は、大連や瀋陽でも広範に見られ、一貫している。建造物は大事に保存されているものの、一九三二年から終戦まで十三年間存続した旧「満州国」については、「偽満」と称して、現在の中国政府はその存在自体を否定しており、歴史教科書からも抹殺されている。満州国の実体はたしかに関東軍の傀儡政権であって、日本軍の侵略そのものであったという解釈も分からないではないが、満州国が清朝の末裔を元首に戴き、「五族協和」の理念を掲げた独立国家であったこともまた紛れもない事実である。
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　国際連盟が派遣したリットン調査団の報告書も満州国のこの地域に対する実効支配を認めたうえで「中国が満洲に無関心であったために、満洲の今日の発展は日本の努力による」旨を述べている。また、当時の世界約百二十ヶ国のうち二三ヵ国が満州国を承認していた。因みに、現在の台湾を独立した主権国家として承認している国は二六ヵ国である。
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<p>
　ことの善悪は別として、中国東北地域を現実に支配していた「満州国」の歴史的存在そのものを否定するのは、それこそ欺瞞ではなかろうか。「偽満」という便宜的な新語に抵抗を覚えるのは、建大に奉職した亡父への愛着であろうか。
</p>
<p>
　長春では日中両国の建大同志にお会いすることができて、往時を懐かしむとともに、過去と現在の乖離の大きさにいささかの戸惑いを覚えたことなど、旧満州国へのノスタルジーたっぷりの旅であった。
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<br />
（岡部陽二　元住友銀行専務取締役・元広島国際大学教授）
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（2009年12月25日、社団法人・日本工業倶楽部発行「会報」第231号ｐ41～48所収）
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   </content>
</entry>
<entry>
   <title>早稲田大学商学部教授　土田武史氏とのMonthlyIHEP有識者インタビュー「医療・介護改革へ向けてのドイツの挑戦とわが国への示唆」</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/interview/monthlyihep_4.html" />
   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.334</id>
   
   <published>2009-12-19T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-12-25T00:23:31Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbs...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="009インタビュー記事" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      <![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091220WithProfTsuchida.JPG" alt="091220WithProfTsuchida.JPG" width="320" height="240" align="right" />
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話し手：&nbsp; 早稲田大学商学部 教授　土田武史　氏<br />
聞き手：医療経済研究機構　専務理事　岡部陽二
</p>
<p>
　今回は、土田武史早稲田大学商学部教授に、ドイツの医療保険制度について、わが国への示唆を踏まえて、最近の動きを中心にお伺いしました。先生は昨年三月まで三年間中央社会保険医療協議会会長を務められ、その後、社会保障制度研究のためドイツに留学、本年初に帰国されたばかりです。
</p>
<p align="left">
　土田先生は1943年秋田県生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了の後、日本労働協会、（社）産業労働研究所、国士舘大学を経て、93年に早稲田大学商学部助教授、95年教授に就任。商学博士。社会保障論を担当、主にドイツと日本における社会保障の歴史と最近の改革について研究してこられました。
</p>
<p align="left">
　おもな著書には『ドイツ医療保険制度の成立』（勁草書房）、『社会保障概説・第６版』（共著、光生館）、『世界の社会保障４・ドイツ』（共著、東大出版会）、『社会保障改革～日本とドイツの挑戦～』（共著、ミネルヴァ書房）などがあります。
</p>
<p>
<strong>〇大連立政権の評価とメルケル首相二期目の課題</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：去る９月27日に行なわれましたドイツの連邦議会選挙でメルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟（CDU・CSU）が第一党となり、自由民主党（FDP）との保守中道連立政権が発足しました。2005年から４年間続いたCDU・CSUと社会民主党（SPD）との左右大連立内閣は解消されましたが、この選挙結果をどう見ておられますでしょうか。大連立の解消で、社会保障政策は安定化の方向に向かうのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そう見ています。SPDとの大連立解消で、近年大改革を重ねてきたドイツ社会保障政策は、むしろ安定すると思います。ただ、大連立政権では双方の主張を組み合わせた多くの改革が行なわれましたが、FDPと連立を組むメルケルの第二期政権では、それの揺り戻しもあり、これからもかなり大幅な改革が行われるものと見ています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：私は大連立の４年間にはさほど大きな改革は行われなかったのではないかと思っていましたが。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：いや、そうではなく、実態は改革のやり過ぎであったと見ています。と言いますのは、連立する前の総選挙で、医療改革についてはCDU・CSUとSPDがまるっきり別の政策を掲げて選挙戦を闘っておりました。大連立を組むときにも、医療改革をどうするかということでは、意見が一致しませんでした。その結果、連立政権を立ち上げるに当たっての政策協定合意の中には盛り込まれず、平行線のまま医療だけは持ち越してしまったのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：その持ち越したポイントは、SPDは勤労者中心の公的医療保険と富裕層や公務員など国民の14％が加入している民間医療保険を一元化して「国民保険」を創設する、CDU・CSUのほうは「連携的医療プレミアム構想」の柱として「人頭割保険料」を導入するということでしたね。この二つとも実現はしていないものと理解していたのですが。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：たしかに、そのままでは実現しなかったですが、その後の話合いでほとんど八割がた両党の主張が政策合意に組み入れられたのです。国民皆保険は本年一月から法律で義務付けられ、そのために民間医療保険では年齢と性別に対応して「基本タリフ」を設定し、民間保険の給付にも公的保険と同等の医師による現物給付が義務づけられました。公的保険と民間保険の統合は実現しませんでしたが、両保険の差異が実質的に大幅に縮小したのです。<br />
　2001年からSPDのシュレーダー首相のもとで保健相を務め、2005年11月に成立したメルケル首相の大連立政権でも引き続き連邦保健相のポストで入閣したウラ・シュミット女史がかなり強引に民間保険を公的保険に近づける改革を強行したのです。<br />
　民間保険側は訴訟にまで持ち込んだのですが、この春の判決で敗訴しました。ですから、民間保険も公的保険並みに運営しなければならないということになっています。民間保険としては、これではたまらないと非常に反発してきたのですが。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：公的保険と民間保険の大合同は実現しなかったものの、実質的にはかなり同質化したということですね。<br />
　それに、国民の大多数が医療保険に入ってはいるものの、法律上は加入が義務化されていなかったドイツが、国民皆保険国の仲間入りをした意義は大きいですね。米国のオバマ改革で皆保険が実現すれば、主要な先進国はすべて国民皆保険となります。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ええ、そうですね。それから、CDU・CSUが主張する全面的な「人頭割保険料」は実現しませんでしたが、大連立政権はこれまで各疾病金庫が独自に決めていた保険料決定方式を改め、本年１月からは、全国一律の法定保険料15.5％（７月から14.9％）を労使折半で負担、これだけでは財源が不足する疾病金庫は「付加保険料」を徴収することになりました。<br />
　この付加保険料率の基本は「人頭割」で月額８ユーロ以下の定額徴収か、１％以下の定率徴収とされましたが、疾病金庫では実務的に面倒な定率徴収よりも定額徴収を選択するといわれています。定額徴収は、収入とは切り離され、しかも事業主負担はありませんから、追加保険料は、CDU・CSUが主張した均等割システムが入ってくることになります。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：CDU・CSUの構想は「人頭包括保険料」で基本保険料部分にも定額制をとり入れ、応能原則から応益原則に重点を移そうという考えのようですね。<br />
　ところで、医療保険料が、基本部分と付加部分とに分けられたのは、将来的には医療給付の範囲も基本的なものと付加的なものに分けようという考え方でしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：私は「タリフ」という言葉をそのまま使っていますが、要するに被保険者が多様な給付と料金表を自由に選択できる方式の導入です。公定保険料以外に上乗せで各疾病金庫が自由に付加保険料を設定し、付加給付をつけるわけです。被保険者は疾病金庫を選択して、一定の保険料を別に払って、給付範囲の広いサービス内容の保険契約をする方式です。<br />
　具体的には、わが国でも問題となった保険免責制を選択して、免責された自己負担分を民間保険でカバーする契約を疾病金庫と結ぶとか、１年間一度も医療保険のお世話にならなかった場合には保険料を還付するとか、そういうオプションを選択制で導入したのです。これは以前からをCDU・CSUが提案し、要求してきた方式です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうすると、人頭保険料というのは、国民保険とは矛盾する差別化政策が同時に進められたわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうです。両方の改革が同時並行的に進んだものですから、こちらが満足すると、あちらでは不満足のほうが強いといった、ものすごいアンバランスが生じたのです。医療改革では、大連立の評判はCDU・CSU側でもSPD側でも決してよくありません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：すると、メルケル第二期政権でSPDが外れるということは、国民保険構想は後退すると考えてよろしいのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうなるでしょう。それと、SPDが考えていたのは、最終的には疾病金庫寡占体制の完成です。いくつかの大きな疾病金庫にしっかりとまとめてしまうか、あるいは一つにまとめてしまうのではないかという見方もあったくらいです。ところが、CDU・CSUとFDPの連立政権はそういった極端な寡占政策はとらないと思います。やはりある程度、多数の疾病金庫の主体性を尊重する政策をとるでしょう。民間保険に対しても、公的保険並みにやりなさいという強硬な政策はかなり緩和されると予想しています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：CDU・CSUのメルケルが、大連立とはいえ、どうして反対党のSPD（社会民主党）で剛腕のウラ・シュミットを保健相に指名したのでしょうか。自民党内閣で社会党の重鎮が厚生労働大臣をやっているようなものですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：SPDが保健相のポストを強く求めたのではないでしょうか。ドイツでは政権が変わると米国と同じように局長級以上は全部政治任用で入れ替ります。保健相のポストをSPDがとったので、あまり国民の人気はなかったんですが、ウラ・シュミットが保健相となり、その下で医療・介護政策を担当するフランツ・クニープス保険局長とともに、前政権から連続して医療改革を担うということになりました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それでは、今回の選挙で誕生したFDP（自由民主党）との連立政権では、社会保障政策もがらりと変わりますね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：かなり変わると思います。ただ、CDUと組んでいるCSU（キリスト教民主同盟）のホルスト・ゼーホーファー党首は、1993年改革時の保健相で、SPDのウラ・シュミットとは2004年改革で合意をして以来、関係は悪くないと思います。CDUはCSUよりも右寄りですが、厚生行政に関しては中央集権的な考え方が強く、それでウラ・シュミットとよく話が合うようです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：なるほど。すると方向として、規制強化がさらに進むのでしょうかね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：よくわかりません。ただ、連立を組むFDPがどのくらい市場主義を主張するかどうかでしょう。本来、医療保険に市場主義は合わないのですが、FDPは市場競争原理を強く主張しますから、そこがどうなるかにかかっています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：昨年から一年間、ドイツに滞在して研究されましたが、現地での実感が、先生がこれまで考えられていたところとかなり違っていたといった点はなかったでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：やはり、「大連立というのは、こんなに問題が多いのか」という印象が強烈でした。連立政権では、通常は両党の主張が似通っている共通の政策を最小公約数として採用することが多いと思うのですが、ドイツの大連立では、最大公倍数というか両党が持ち込んだ要求の多くを満たすという方向に進みました。ですから、原理原則が混ざりあって、全体の姿がよくわからないといった感じでした。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：大連立の悪いところを全部見てこられたわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：大連立政権のやったことは、医療保険関係者の間ではドイツ滞在中にどこに行って聞いても評判が悪かったのです。大多数の国民の意思からも離れて行ったようです。逆にいえば、両党が合意すれば連邦議会も連邦参議院も全部通るわけですから、ある意味で恐ろしいことです。大連立で圧倒的多数を占める政権が生まれると、政府の思い通りになってしまうのには、びっくりでした。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：大連立への国民からの批判が、今回の選挙でのSPD凋落に繋がった状況がよく分かりました。
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<strong>〇ドイツとわが国の医療サービスに対する満足度の違い</strong>
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<p align="left">
<strong>岡部</strong>：最近の改革はかなり支離滅裂であったとしても、ドイツの医療制度の基盤はかなりしっかりしているように思うのですが、実態はどうでしょうか。ドイツはOECD諸国の中では、米国を別にすると、医療費の水準は高く、医師の数も多いほうですが、その結果として、日本と比べて、医療の質も高く、国民の満足度も高いものと、判定できますでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうですね。基盤はしっかりしています。ただ、以前2000年版のWHO Reportに掲載された健康水準や公平性などを指標化した医療水準達成度の国際比較で、日本が一位になり、ドイツは22位と低ランクに評価されたことがありました。これは、ドイツにとっては大変なショックで、ドイツ国内では大きな問題となりました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：日本がともに一位になっている平均寿命と健康寿命でも、ドイツは世界14位と10位と低いですね。それでも、医療崩壊とか医師不足とかはあまり問題となっていないのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：医師はむしろ過剰だと思いますが、不足問題も起こっています。医師数全体では過剰ですが、やはり地域的な偏在と診療科別の偏在がものすごく大きくて、東ドイツの一部では完全に医師不足と言われています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：たしかに、下掲のOECD Health Dataでは、人口千人当りの医師数は3.5人とわが国の倍近い多さですね。それでも、偏在が顕著なわけでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：はい、医療崩壊といったことは言われていませんが、医師はものすごく偏在しています。旧東ドイツから西側へ医師が移動してくるために、東側は医師不足に陥っているのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでは、病院を診療所、病院でも入院と外来とで、医師が別体系で動いているということですが、それも影響しているのでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうですね。ドイツではシェフ・アールツト（医師長。大学教授など一定の資格が必要）などは病院内に自分のもっているベッドで混合診療が認められているなど特権がありますから、医師のなかでも特殊な扱いになるといった相違もあります。富裕層は大学教授が自分で持っているベッドに入院して、高い費用負担を余儀なくされるといったことにも不満があります。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：このOECD Health Data（表１）によると、ドイツはわが国と比べてGDP比で2.4％も多くの医療費を使っています。それでも、国民の満足度は必ずしも高くないのですね。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091220Prof.TsuchidaHyou1.jpg" alt="091220Prof.TsuchidaHyou1.jpg" width="600" height="287" />
</div>
<p align="left">
<strong><br />
土田</strong>：医療の実態と国民の満足度が、どう関係するのかというのはなかなか難しい問題です。<br />
　わが国では、所得の高低によって受ける医療に差はありません。どの医療保険に加入しているかで差別されることもありませんが、そういう国は世界でもわずかしかありません。ドイツでは公的保険に入っている人と民間保険に入っている人との間に明らかに差別があります。それから、公的保険の中でも、全国をカバーしていて誰でも入れる「代替金庫」に入っている人はやはり待遇がいいといわれています。選択タリフが入ってきましたので、加入している疾病金庫によって、保険のカバーする範囲や自己負担の限度など受けられる医療サービスに明らかに差が生じています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでは疾病金庫の選択が自由化されていますが、それでも種別の異なる疾病金庫間でもそんなに差があるのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：全国展開の代替金庫と地区疾病金庫との間には差があります。疾病金庫の財政力に差があるので、基本的には地区疾病金庫をどうやって救うかということが医療改革の大きな課題になっています。同じ公的保険であっても、全国的に拡大している代替金庫は、民間保険と地区疾病金庫のちょうど中間的に位置していて以前は財政も非常によかったのです。最近は代替金庫も財政的に苦しくなってきましたが、それでもまだよいほうです。<br />
　不思議なのは、ドイツ人は格差があることに対して、あまり不満を持っていないことです。同じ病院を受診しても、民間保険に加入している人は、早くから並んでいる公的保険の患者を飛び越して先に診察を受けることができるのですが、それを当然と思っているようです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：エコノミーとファースト・クラスの待遇が差別されるのは当然という感覚ですね。その感覚は、ドイツに限らずヨーロッパ諸国は依然として階級社会であるところから来ているのではないでしょうか。不公平感への反発はよほど日本人のほうが強いわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：間違いなく強いです。おっしゃるとおり、階級がなくなったといっても、ヨーロッパには厳然として残っていると思います。
</p>
<p align="left">
<strong>〇医療保険制度の日独比較～公的皆保険vs民間保険</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：先生が編著者となっておられます「社会保障改革～日本とドイツの挑戦」に、表２のような指向する共通テーマと制度の相違点を浮き彫りにした日独対比が示されています。この対比に示されております「相違点」を中心にお伺いできますでしょうか。<br />
　まず、ドイツも今年から皆保険国にはなったわけですが、民間保険が14％にすぎないとはいえ、アメリカ流に公的保険と並列で存在しています。さきほどのお話で、これを一本化しようとしてきたSPDが大連立から離れたので、一本化は遠のいたと見てよろしいのでしょうか。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091220Prof.TsuchidaHypou2.jpg" alt="091220Prof.TsuchidaHypou2.jpg" width="600" height="267" />
</div>
<p align="left">
<strong><br />
土田</strong>：そう思います。公的と民間の同質化がかなり進みましたが、今後はまた元へ戻ると思います。<br />
　ドイツではビスマルク以来伝統的に医療だけでなくて年金も含め、社会保障は基本的には労働者のための保護政策として出てきました。その思想は根強く残っていて、そういう保護政策のお世話にならなくてよいハイクラスの人々は、保険も年金も自分でやればよいという考えです。民間医療保険は公的保険に吸収されることはなく、民間保険のままで残るものと思っています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：わが国は全部公的保険ですから、次元は違いますが、それでも組合健保や共済と国保を一緒にするのは難しいでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：同じ公的保険でも、保険者の性格はかなり違いますから、一元化は容易ではありません。ドイツでも、公的保険の疾病金庫は強い独立意識とそれぞれの理念を持っていますから、これ以上の合併には抵抗感があります。わが国の健保組合は、それぞれ独立しているメリットを発揮できているかどうかという点が問題です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでは、公的保険に入っている場合の自己負担率はせいぜい数％ときわめて低い水準です。それでも、富裕層などが入る並立的な民間保険のほかに、公的保険に入っている人が民間保険に補完的に入るケースも結構多いそうですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうです。それは、先ほど申しましたように、公定の自己負担の上に混合診療がありますから、それをカバーする必要があるのです。公的保険に入っている人の自己負担率は確かに低いですが、この混合診療分がありますから、混合診療を受けざるを得ない患者の自己負担はグッと大きくなります。そこがやはり問題です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：混合診療は、わが国に比べるとかなり盛大に行われていると見てよいのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ドイツでは、医師の選択ができますから、シェフ・アールツトなどを指定すると自動的に自由診療となり、公的保険に入っていても、その部分は民間保険でカバーすることになります。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：その民間保険は、公的保険の補完的な民間保険ですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうです。わが国のがん保険や入院保険に近い補完的な民間医療保険です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：わが国で医師選択制のような混合診療を認めるのは、やはりまずいでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：それを認めると、やはり公的保険でカバーする医療の水準はここまでと局限されてしまいますので、わが国では公的保険の給付範囲の拡大が望ましいと思います。医療の公平性というのを守るとすれば、混合診療の個別承認は維持すべきです。一方、わが国の保険料は異常なほど低いですから、それを引上げれば対応できます。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツもわが国も被用者医療保険の保険料は原則として労使折半ですが、ドイツは今年から平均で15.5％（14.6％を労使折半、0.9％を強制加入者である被用者が負担）に引上げたのに対し、わが国の保険料率は協会けんぽで8.2％、組合健保の単純平均は7.3％とドイツの半分程度の低い料率です。フランスでも、13.9％ですから、まだ引き上げる余裕があるということですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そう思います。保険料はもっと引き上げる余地があります。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツはもうその余地がない、これ以上雇用主負担を引上げたら、国際競争力がそれこそなくなってしまうということで、労使折半が崩れたわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうなのです。ドイツでは雇用主の負担増はきわめて難しい状況です。一方、わが国では、税負担ではなくて、労使折半負担の保険料率をもっと上げていってよいと思っています。このような国際比較を企業や国民にキチンと示して、だからもっと保険料率を上げますよと説明すれば、国民も納得すると思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうですね。まさに、ドイツはわが国の反面教師ですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：わが国のように格差のない医療給付をやっている国はないのですから、混合診療の全面自由化などを議論する前に、医療保険財政の確保策として保険料の引上げを決断すべきです。<br />
　一方、ドイツはもう大変です。税金は原則として投入しないと言ってきたのですが、それも崩れてきました。おっしゃるように、わが国はドイツのようにならないように努力しなければなりません。
</p>
<p align="left">
<strong>〇高齢者医療の日独比較</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでは公的・民間ともにいわゆる「突き抜け方式」で、年齢による区分や加入保険の変更といったことはあり得ません。わが国の「高齢者医療制度」も年齢による差別が問題視され、民主党政権は廃止を公約していますが、先生のご見解は如何でしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ドイツにも以前は「年金受給者医療保険」という財政上別建ての制度がありました。医療給付の内容はまったく同じですが、医療費については財政調整を行っていました。それを1995年に廃止して、公的保険全体のリスク構造調整方式に変えました。ですから、高齢者だけを対象にした財政調整はもう無くなりました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうですか。ただ、年金受給者医療保険も保険者は一般の保険と同一であったのでしょうね。いまは、リスク調整を年齢別に全体として行っているのですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうです。年齢別だけではなく、疾病率によるリスク調整も入りましたから、高齢者保険への財政調整といったものは必要がありません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうすると、わが国も以前に議論された「突き抜け方式」にするにしても、リスク構造調整を行わないことには保険として機能しないわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：はい。ただ、長寿医療制度への批判は財政面だけではなく、給付内容にも及んでいます。私も中医協委員として、後期高齢者に対する医療給付の仕組みの変更と診療報酬の包括化を実験的に行ってみようと思ったのですが、これほど批判を浴びてしまうと、やはり医療給付と診療報酬の仕組みが75歳で変わるというのは日本では馴染まなかったのではという感じはします。ですから、医療保険は突き抜け方式にして、リスク構造調整的なものを導入していればスッキリしていたと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：「後期高齢者診療料」の設定はトータルケアへの入り口であり、しかも選択制です。「後期高齢者医療制度高齢者終末期相談支援料」は、評判が悪く、すぐに凍結されました。私も75歳を過ぎていますが、この制度の導入で高齢者の医療内容が差別されたとはまったく感じていませんが。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：それはそう思います。しかも、その二つとも中医協の委員は高齢者のためになる診療料の導入と受けとっていました。この二つの診療料が後期高齢者医療の象徴みたいになってしまったのは不幸でした。私も導入の意図がまったく違った風に医師や高齢者に受けとられたのにはがっかりしました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：今後の制度設計に当っては、医療給付内容に差はつけず、年齢と疾病率によるリスク構造調整の導入が不可欠ということですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうです。ドイツの疾病率のリスク調整を見ますと、実によくできています。いかに公平性を維持していくかということにこだわりをもっているかがよく分かります。公平性にこだわりをもった制度設計をすれば、競争はこういうふうになるはずであるというところまで考えたやり方というのは、やはり学ぶべき点が多いと思います。<br />
　もう一度組み立て直すとするなら、今の後期高齢者医療制度よりもっとよくしないと意味がないですね。ただ、どこの国でも高齢者の医療費を自分達だけで賄えないのは当たり前です。何らかの形で世代間扶養を入れています。ドイツの場合は、年齢別あるいは疾病率で調整して世代間扶養を行っていますが、どこの国でも必ずやっていることです。ですから、わが国もそういう世代間扶養という理念をきちんとした上で、若者は高齢者の医療費をある程度援助していくのが当然だという合意形成を図るべきだと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：高齢者の部分にだけ公的資金をたくさん入れるという考え方は保険の理屈に合わないということですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：合わないです。ただ、もちろん若者の負担だけで全部できるかというと、そうはいかないので、税投入があってよいのですが、理念としては、やはり世代間扶養という考え方をベースにした保険の議論が必要だと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>〇保険者への競争原理の導入</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでは1996年に、疾病金庫選択の自由が認められ、保険料率の引下げ競争が起こった結果、1992年には1,223あった金庫数が2005年には267にまで減少しています。金庫間の引下げ競争により、一時的に保険料率が下がっても、寡占化により引上げが容易となって、被保険者は右往左往させられるだけで、米国のマネジドケア同様に、意味のある競争政策ではなかったとの批判もあるようですが、どのようにお考えでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ドイツでも企業疾病金庫を開放型にして誰でも入ってよいという仕組みにしたことに対する批判はあります。依然として閉鎖型を守っている疾病金庫も70金庫ぐらいあります。しかも、ドイツ銀行、ベンツ、BMW、それからガス会社で最大手のイーオンといった優良企業が多く含まれます。これらの閉鎖型金庫の財政状況は非常によくて、特別な健康管理をやっているので、さらによくなります。他の疾病金庫にも移れるとした1993年改革は、非常にまずい選択だったと私は思っています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：本来、企業の健保は閉鎖型であるべきでしょうね。だって、トヨタの人がホンダの保険に入ってもよいというのは、ちょっと考えられないですね。数社が合同して一つの健保をもつのはよいでしょうが。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：やはり企業の特性に見合った健康管理の方式もありますから、開放型には限界があります。閉鎖型であっても、サービスや付加給付などにおいて、疾病金庫間の競争はあってもよいと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それでは、政府としては疾病金庫間の競争はもうあまり奨励しないようになっているのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：いや、そうはなっていません。疾病金庫同士の合併についても依然奨励しています。これまでは、同じ種類の疾病金庫間の合併であったのですが、今は垣根を取り外して、どことでも自由に合併できるようにしました。さきにも申しあげたように、予算内に収まらない場合には疾病金庫が自由に追加保険料を徴収できるということになったので、追加保険料を支払いたくない人には別の疾病金庫にすぐに移ることができるという権利が与えられました。これも、被保険者の移動に拍車をかけることになります。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：でも、それも全国規模の疾病金庫が三つか四つになって、寡占体制が確立すると、そう簡単には移りづらくなるのではないでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうなると思います。競争させると言いながら、競争する金庫が寡占体制になってしまうと、結果的に競争が働かなくなります。だから、競争奨励と合併促進は矛盾した政策だと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：競争政策が失敗したからといって、それをやめようというムードはないのですね。わが国では、ドイツのような選択制にしようという意見はありませんが、健保組合の合併推進や国保の一体化は政策の選択肢として考えられますね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ええ。私は健保組合間にある程度の保険料率格差があってもよいと考えています。格差があるのは自分のところの特性だというぐらいに認識すればよいのです。<br />
　たとえば、銀行の健保のように若い人が多いと保険料は低くて済みます。製造業の場合には高年齢の人が多くて、保険料を高くせざるを得ない健保もあります。その格差は、そういうものとして認めたうえで、財政調整で格差を縮小していけばいいので、その間を自由に移動できるようにする必要はありません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それは確かにそうですね。選択を自由にするのではなくて、健保は保険料率はもとより、予防などサービスの質で競争すればよいのですね。<br />
　若い人の多い健保の加入者が得をするのは、ある程度はやむを得ないとしても、はやりそれぞれの年齢階層で調整する必要はありますね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ええ。合意の形成は簡単ではないと思いますが、健保相互間で財政調整を行う必要があると思います。
</p>
<p align="left">
<strong>〇医療機能分化の日独比較</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでは、病院と開業医の機能分化が明確で、開業医もさらに一般医と専門医に明確に区分されており、患者は原則として最初に一般医の診察を受けることになっていますが、このシステムは効率的に機能しているのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：機能の分化、分担ははっきりしています。ただ、向かう方向は、ドイツと日本では明らかに違っていて、ドイツでは現に分化している機能をお互いに接近させようとしています。病院では外来をかなり認めるようになってきています。<br />
　病院で外来の直接受診は例外的であったのですが、たとえば、手術前の前後とか、あるいはエイズなどの特別の病気の場合は外来診療を認めるということにして外来の幅を広げています。<br />
　診療所のほうは、診療所の医師が手術で病院を使う場合に、滞在型でも使えるといったふうにして、病院と診療所の機能とがかなり接近してきています。<br />
　わが国の場合は類似していた機能が最近やっと分化し始めたということで、方向性は逆です。ただ、病院と診療所の機能はハッキリ区分したうえで、お互いの便宜をどう図っていくかという基本は同じではないでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでは英国のGPや米国のゲートキーパーのように、総合医の役割は確立しているのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：はい、ドイツでは保険医の中で一般医と専門医と分かれており、患者はまず一般医を受診するように定められています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：わが国もそういう方向で整備するのが望ましいのでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そう思います。ただ、わが国の場合には、大学の医学教育から抜本的に変えなければなりませんから、一朝一夕にはいかないでしょうが。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：これからの課題ということですね。
</p>
<p align="left">
<strong>〇介護保険の日独比較</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：先生はドイツの介護保険についても、かなり以前から研究論文をたくさん書いておられ、ドイツの研究者や政府関係者とも意見を交わしておられますが、最近のテーマは何でしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：昨年行ったドイツの介護保険改革は、日本がモデルになっていることがいくつかありますが、それらを比較検討してみたいと思っています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そもそもは、わが国の介護保険制度は、世界で最初に介護保険を創設したドイツをお手本にして、５年遅れでできたものと理解していますが、今度はドイツが日本を見習ったのですか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ええ。ドイツの介護保険で一番大きな問題は、介護の質をいかにして担保するかということでした。とくに在宅医療の場合には家族介護が主体となりますから、家族介護の質が悪いと、施設に入った場合の介護度が高くなることにもなります。この介護の質を改善するために、ケア・マネジメントをとり入れたのです。日本をモデルにして改革を行ったと、フランツ・クニープス医療・介護保険担当総局長自身がハッキリと言っていました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：わが国では、あまりにも精緻なアメリカ・モデルでとり入れて、うまく機能しないのではないかと懸念されていたそうですが。それが、わが国でも何とか機能して、ドイツに輸出されたということですね。ドイツでも、ケア・マネジャーの独立性を担保するのは、難しいでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そうですね。ドイツではケア・マネジャーの養成を始めたばかりです。看護師と同じような教育課程を履修させて、そのうえで試験をやってケア・マネジャーの資格を与えていくシステムです。<br />
　ただ、ドイツでも介護職の待遇が悪いのはわが国と同じで、その待遇改善は非常に難しいです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツの介護保険では,1996年の発足当初から、家族の介護を評価した介護手当（現金給付）が認められ、1996年には、介護給付費の43.1％を占めていました。この割合は、総額の伸びに伴い年々減少して、2005年では23.9％となっていますが、介護における家族介護の評価は重要であり、介護費の適正化にも資するのはないかと思いますが、この点はどうお考えでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：これは判断の分かれる難しい問題です。わが国でも、介護保険を導入するときに、現金給付も行なうべきという議論に対して、反対した方から出された理由が三つぐらいありました。一つは嫁介護を固定化してしまうということ、二つ目は本当に介護に使われたかどうかがチェックできず、バラマキ給付になってしまうという懸念、三つ目は家族介護よりもプロのほうが介護の質が高いという理由があったものと思います。<br />
　そのうち、現在ではおそらく嫁介護の固定化は少ないし、バラマキ給付の可能性もあまりないので、要するに一番の問題は、必要な介護をどこまで家族で担保できるかということではないか思います。ただ、家族はどうしても関わりを持たざるを得ないですから、それに対して何らかの社会的な評価を与えなくてもよいのかという問題は残ります。ドイツでは、現金給付は、家族に支払う賃金ではないと言っているわけです。家族が家族として行っていることに対する社会的評価であると割り切っているのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：評価として、現金を支払うとなれば、今度民主党が打ち出した子ども手当と同じ考え方ですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：まさにそうです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：子ども手当は託児所に出すのではなく、子供に出すという考えで行けば、要介護者に対する現金給付を導入しても悪くはないと思いますが。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ドイツも要介護者に現金を与えて、要介護者はそのお金で家族を雇うという考え方です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それを貯金してはいけないというような縛りは簡単にできますね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ドイツでも、現金給付が必ずしも介護に使われないで、第二年金のようになっているという話はあります。たしかに、介護保険の大きな問題ですが、私としてはまだ整理がつかない問題です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツでも現金給付が減ってきているというのは、やはり施設介護に重点が移ってきているということですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ええ。それに家族自身が外で働くケースが増えてきていますから、家族介護をやっている時間がなくなってきているということだと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツの優れている点は、医療保険と介護保険の保険者が同一である点ではないかと思うのですが。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：そう思います。おそらく後期高齢者の問題も、75歳以上にするか65歳以上にするかは別として、介護保険とドッキングする方向が考えられます。医療と介護のリスクは違いますが、ドイツのように保険者が同一というのはメリットが大きいと思います。例えばドイツでは、介護保険にはリハビリ給付は入っていません。介護認定時に、「この人にはリハビリ必要」と医師が判定すれば、医療給付が与えられます。保険者が同じですから、保険者サイドで給付内容別に医療と介護をキチンと区分しながら、うまくやっています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：わが国でも、医療保険よりは介護保険のほうが、問題は少ないのではないかと思われますが、ドイツではどうでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：何年か前のことですが、ドイツの世論調査で一番評判のよかったのが介護保険でした。介護保険が圧倒的によくて、一番評判が悪いのが失業保険でした。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ハルツ改革に関する先生の論文を読んでもよく分からないのですが、ドイツでは失業保険がどうしてそんなにもめるのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：ひと言でいうと、ドイツの失業保険は手厚すぎたといわれています。失業保険の給付が切れたあとも、失業扶助という形で半永久的に手当がもらえたからです。その際には前歴や資格が重視されて、前歴に合わない仕事を紹介された場合には拒否できるということがありました。例えば、旋盤工が勤めていた会社が潰れて、旋盤の仕事がなかった場合には、他の仕事を紹介されても、それを拒否して、ずっと失業扶助をもらうことができました。でも、あまりに失業者が増えてしまって、財源が持たなくなったので、ハルツ改革で大幅にカットしたためです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：なるほど、そうですか。介護保険には、政党間の政策の違いとか争いとかはないのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：それほど多くはありません。従来から年金と介護は政党間の対立は比較的少なく、対立は医療保険と失業保険に集中していました。ただ、年金については、リースター年金導入以降、対立が激しくなってきていますが。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：リースター年金は、2001年に導入された民間個人年金保険への補助制度で、個人年金保険を買うと、政府からの補助金によって、確定申告の際に保険料が納税者に返還されるという仕組みですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：公的保険の給付水準を引下げてそれに上乗せする形で、民間のリースター年金を導入しました。リースター年金は強制ではなくて任意加入ですから、任意で自分で積み立てできる人は従前通りの年金がもらえますが、自分で補填できない人は、所得代替率が公的扶助の水準まで下がっていきますから、受取額が減ります。リースター年金は約束違反で正当性がなく、年金制度の信頼性を壊すものだということで、これまで年金を手掛けてきた人たちは激しく批判しています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：ドイツは、わが国にとって社会保障のお手本であったものと思っていましたが、医療でも年金でも真似をしてはいけない反面教師に変わってきたのですね。
</p>
<p align="left">
<strong>土田</strong>：それは、医療でいえば1993年の改革で市場原理といいますか、疾病金庫の選択制を導入したあたりから、改革の方向が従来とは異なってきました。わが国も影響を受けたわけですが、ドイツの改革の方向には十分な検討が必要だと思っております。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：まだまだお伺いしたいことがありますが、今日はこの辺で。ありがとうございました。
</p>
<p>
（2009年12月20日、医療経済研究機構発行「医療経済研究機構レター（Monthly IHEP）」No.182、p2～14所収）　
</p>
<p align="left">
&nbsp;
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>＜投資教室＞民主党の「公開会社法」に大いに期待</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/market/post_189.html" />
   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.333</id>
   
   <published>2009-12-14T15:00:00Z</published>
   <updated>2010-01-19T10:49:58Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp; 　民主党は、現在の企業行動ことに上場企業の活動が適切なルールの下...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="007証券市場論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.y-okabe.org/">
      <![CDATA[<p align="center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091215KoukaikaishahouLogo.gif" alt="091215KoukaikaishahouLogo.gif" width="200" height="176" />
&nbsp;
</p>
<p>
　民主党は、現在の企業行動ことに上場企業の活動が適切なルールの下で公正に行なわれているとは言い難いとの現状認識の上に立って、「公開会社法」（仮称）の制定を提唱、マニフェストには入れられなかったものの、党の政策として公表されている。民主党の提案は、下表に掲げたような過去の大型不祥事件の原因を徹底分析して、これの再発を未然に防止するにはどうすればよいかというきわめて実証的・現実的な発想から議論が始められたものである。
</p>
<p>
　上場会社は、投資家・取引先・従業員・地域社会などさまざまなステイク・ホールダーへの責任を果たすことは求められているから、従来とは違う枠組みで上場会社の情報公開や企業統治のあり方について、一般の企業とは違う形での行動を求める特別法の制定が必要との考え方は首肯できる。
</p>
<p>
　日本経済の持続的成長には、効率的な企業統治の確立と再編を通じた経営資源の再配分など経済活性化を促す政策も不可欠である。ところが、会社法は法務省、金融商品取引法は内閣府・金融庁、産業政策は経産省といった縦割り行政の結果、これまでも省庁別に類似の研究会などが設けられ、多くの提言が検討はされたが、省庁間の争いも絡んでほとんどが実行に移されていない。この際、公開会社という枠組みで所管省庁の垣根を超えた議論がなされれば、よい制度が出来るものと期待される。
</p>
<p>
　もっとも、上場会社に限って適用されるべきルールは、本来証券取所が取引所規則として制定し、これに従わない上場会社には上場廃止を迫ればよいはずであり、欧米では現にそうなっている。ところが、日本では取引所が規制に及び腰であるだけではなく、上場会社サイドの意識も転倒している。経営者が判断に迷う事態が発生した場合には、まず取引所規則での適否を検討し、次いで金商法に当り、最後に会社法の解釈を尋ねるのが筋であるにもかかわらず、実際にはその逆の行動をとっている。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091215KoukaikaishahouHyou1.jpg" alt="091215KoukaikaishahouHyou1.jpg" width="600" height="275" />
</div>
<p>
　<br />
　そこで、本稿では「公開会社法」案の主要な提言について、投資家の視点からのコメントを試みた。投資家とは、現在の株主だけではなく、株式市場に関心を有する潜在的な株主をも包含した概念と考えて頂きたい。
</p>
<p>
<strong>１、情報開示の明確化～①会計のあり方の明確化と②株主質問権・回答義務の導入</strong>
</p>
<p>
　情報開示については、①会社法と金商法間の齟齬を解消し、金商法主体の厳しい開示を義務付ける、②株主の随時質問権と会社の回答義務規定を設けるという改定点が中心である。
</p>
<p>
　この問題での最重要課題は、上場会社には、持ち株比率の如何にかかわらず、実質支配しているすべての子会社・関連会社を連結した決算を開示させることである。山一証券の破綻は非連結子会社への飛ばしが原因であり、今回の金融危機を深化させたのも大銀行がSPCやSIVと呼ばれるペーパー・カンパニーで不良証券化資産を大量に保有していたからである。
</p>
<p>
<strong>２、適切な企業統治の実現～①社外取締役の義務化、②従業員代表監査役、③公認会計士の指名権</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>上場会社の企業統治に関しては、社外取締役選任の義務化とその独立性の確保が提言の柱である。いずれも必要不可欠な制度であり、全面的に賛同する。
</p>
<p>
　社外取締役選任の義務化や独立性の確保は、金融庁や経産省の研究会でもその必要性が結論付けられており、東証の斎藤社長も経団連の消極姿勢を批判している。この改革は、経団連と一定の距離を置く民主党政権下でしか実現できない最重要課題と考える。
</p>
<p>
　社外取締役の独立性確保に当っては、身内の指名を排除する基準を強化するだけではなく、たとえば、①10%以上の議決権保有株主に取締役選任候補者の指名権を与える、②役員の選任は累積投票で行なう（累積投票制度の定款による排除を認めない）といった強行規定を導入することが必須である。独立取締役が主体の米国企業でも、社長のお友達ばかりの社外取締役で固められていれば、機能しないことが実証されているからである。
</p>
<p>
　監査役設置会社について、従業員代表1名の監査役起用を求める案は、新鮮すぎて議論を呼んでいる。「会社は株主だけのものという考え方を修正して、さまざまなステイク・ホールダーのものとして法制化する」というドイツの共同決定モデルに範をとったこの提案は、それほど突飛ではない。もっとも、ドイツでは、この従業員との共同決定方式は従業員2,000人超の大会社だけに適用され、しかも必ずしも成果は挙がっていないと言われている。経営陣の暴走に対して歯止めをかける一定の効果はあるものと認められるので、投資家の立場から目くじらを立てて反対すべき提案ではない。
</p>
<p>
　監査役の独立性・機能性を強化するために、①会計監査人の選任、報酬決定の権限を監査役会等に与える、②会計監査人に監査役会等に対する報告義務を課するといった提案は、監査役による経営陣の業務監査を容易にするためにも有効であり、賛同する。
</p>
<p>
<strong>３、親子上場については「企業集団」を基本要素と認識</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>親子会社が同時に上場しているケースについて、金商法上の「企業集団」という概念を前提として、親会社は子会社の会計制度、内部統制制度の構築と運営に責任を負うようにすべきとの提案である。
</p>
<p>
　会社の上場審査に当っては、従来は子会社の独立性確保を重視してきたが、もともと最大株主である親会社の意向を無視した経営はあり得ず、矛盾が露呈していた。ところが、新会社法では一つの会社を親会社・子会社・持ち株会社という形に自由に設計し、独立性を逆用して子会社のガバナンスが効かない状態にすることもできる。現行法では、親会社が実際には上場子会社への支配力を失ったとしても、連結ベースの情報開示が求められ、これが出来なければ上場廃止に追い込まれることもあり得る。親会社に義務だけが課されて、権限がない法制は改めなければならないとする主張である。
</p>
<p>
　親子上場は悩ましい問題であり、即刻禁止は出来ないとしても、方向としては原則として親子上場は認めないルールとすべきではなかろうか。別々に上場した親子２会社を企業集団として一体的に認識するという考え方には違和感がある。
</p>
<p align="right">
（日本個人投資家協会理事　岡部陽二）
</p>
<p align="left">
&nbsp;（2009年12月15日、日本個人投資家協会発行「きらめき」2009年12月号所収）
</p>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>米国銀行業界の急変貌と邦銀への示唆</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/finance/post_185.html" />
   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.331</id>
   
   <published>2009-11-30T15:00:00Z</published>
   <updated>2010-03-08T05:24:53Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp;&nbsp; １、米銀の破綻急増～商銀モデルの終焉か 一昨年秋にサ...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="006国際金融論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.y-okabe.org/">
      <![CDATA[<div align="center" style="text-align: center">
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</div>
&nbsp;&nbsp;
<p align="left">
<strong>１、米銀の破綻急増～商銀モデルの終焉か</strong>
</p>
<p align="left">
<strong></strong>一昨年秋にサブプライム問題に端を発し、昨年5月のベアスターン救済を経て、昨年9月には史上最大の負債総額約64兆円というリーマン・ブラザーズの倒産劇とAIG救済が相次いで、金融危機の山場を迎えた。今回の米国発金融危機は、このような投資銀行の高レバレッジ経営とCDSなどのデリバティブの蹉跌といった証券化業務やさらに高度な金融技術取引の行き詰まりにあって、預貸金を中心とした伝統的な商業銀行業務は比較的健全に運営されているものと認識されていた。
</p>
<p>
ところが、2008年に入ると、1995年来一桁、2005・2006年には皆無であった商業銀行・貯蓄金融機関の破綻が相次ぎ、2008年には年間25件、本年は10月末までで115件、年間では140件を超えるペースで破綻が急増している。破綻件数では、1988・1989年には両年で1,000件超のS&amp;L破綻が記録されたが、今回の危機では大規模金融機関の破綻が多いことが特徴となっている。
</p>
<p>
主だった破綻だけでも、表1にあるとおり、昨年7月にカリフォルニア州のインディ・マック銀行、9月には総資産3,000億ドル超の貯蓄金融機関最大手であったワシントン・ミューチャル銀行、本年8月にはアラバマ州のコロニアル銀行とこの三行とも歴代4位内に入る大型倒産である。破綻銀行の総資産規模では、20年前のS&amp;L危機の数倍に上ることは間違いない。
</p>
<p>
これに加えて、昨年秋以降、シティー・グループ、バンク・オブ・アメリカ、ワコビアの大手3行がオープン・バンク・アシスタンスという例外的な公的資金注入で救済された。この方式の導入で、預金保険で保護される預金者だけでなく、債権者や株主まで保護される結果となった。
</p>
<p>
シティー・グループやバンク・オブ・アメリカの経営危機は、傘下に抱えている投資銀行部門（シティーは、スミス・バーニーやソロモン・ブラザーズ、BOAは今回吸収したメリル・リンチなど）にあるものと思われていたが、最近に至り投資銀行部門はむしろ収益源に転化、問題は商業用不動産向け貸金の不良債権化にあることが明らかとなっている。以下に、この問題点を分析してみたい。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091201BeiginHenbouHyou1.jpg" alt="091201BeiginHenbouHyou1.jpg" width="600" height="237" />
</div>
<p align="left">
&nbsp;
</p>
<p align="left">
<strong>（１）米銀破綻急増の原因と先行き見通し</strong>
</p>
<p>
景気底入れ感が出てきた今年に入って米銀の破綻が急増している原因は、挙げて商業用不動産向け貸金の不良債権化にあると分析されている。米銀の不動産貸金は表2にあるとおり、総貸金約400兆円の過半を占めている。住宅ローンなどを除く商業用不動産向けローンは、大銀行で総貸金の30%程度、中小銀行では50%を超えているところが多いと見られている。住宅だけではなく、商業用不動産価格もピーク時対比では30%程度下落しており、貸付先の太宗を占めるショッピング・センターでは、テナントの売れ行き不振で賃料支払遅延や閉店退去が相次いでいるためである。
</p>
<p>
米銀の破綻の先行きについては、米国経済全体の回復如何に掛っており、見方が分かれている。もっとも、FDIC自身経営に問題がある銀行数を416行と発表しており、小規模の破綻がしばらく続くことは間違いないものの、これが再度の金融危機に繋がるとの見方は少ない。また、FDICなどによる銀行経営のモニタリングは厳格に行なわれており、破綻処理もきわめて迅速に手際よく行なわれているので、金融システム全体が大きな混乱に陥る懸念はなさそうである。
</p>
<p>
<strong>（２）預貸金業務を主体とする伝統的な商業銀行業務モデルの破綻とその日米比較</strong>
</p>
<p>
<strong></strong>米国商業銀行の総資産は過去10年間でほぼ倍増したが、その過半は不動産関連の融資とその証券化商品への投資が占めている。融資については、表2に見られるとおり、総貸金の55%が不動産貸金であり、証券投資については、総額2.3兆ドルのうち1兆ドルが不動産などの証券化商品が占めている。まさに、不動産投融資銀行であって、産業金融の担い手としての影は薄い。この米銀経営の財務構成を、表2で邦銀と対比して見ると、次のような類似点と相違点が指摘できる。
</p>
<p>
（１）米銀の総資産は近年急増しているが、それでもGDP約15兆ドルの0.8倍であるに対し、日本の民間銀行総資産はGDPの1.4倍と大きく、間接金融中心の金融構造となっている。
</p>
<p>
（２）総貸金に占める不動産貸金（商業用不動産向けと住宅ローンなどの合計）の比率は、米銀54.9%、邦銀43.3%と両国ともに約半分を占めている。米銀・邦銀ともに、高収益が期待できる不動産金融に大きく依存している構図は共通している。この結果、担保不動産価格の値下がりで、邦銀は90年代に、米銀は2007年以降に巨額の損失を蒙り、財務基盤を大きく劣化させた。日米ともに、商業銀行業務の重点を不動産金融と証券業務に移し、低収益の産業金融からは撤収している。邦銀は148兆円の預金超過であり、貸し渋りや貸し剥がしは貸出資金が不足しているからではない。
</p>
<p>
（３）破綻や救済が相次いでいるにもかかわらず、米銀の平均預貸金利鞘は3.43％と邦銀の0.56％の6倍以上の高収益を挙げている。リスクをとるために必要な中核となる自己資本（株主持分）比率も、米銀は10.0%と邦銀の4.1%比格段に充実している。因みに、三井住友FGの株主持分比率は3.2%、みずほFGは2.5%（会社四季報2008年第4集）と平均よりさらに低い。収益力と自己資本の充実度から判断するかぎり、米銀の活力が勝っているものと思われる。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091201BeiginHenbouHyou2.jpg" alt="091201BeiginHenbouHyou2.jpg" width="600" height="209" />
</div>
<p align="left">
&nbsp;
</p>
<p align="left">
<strong>２、大手米銀の復活～ユニバーサル・バンキング時代の到来か<br />
</strong><br />
米銀の破綻は小体銀行のみに留まらず、伝統的な預資金業務中心に比較的手堅く経営されてきたものと思われていた多数の中堅商業銀行が、不動産貸付の貸倒れ累増によって行き詰ったものである。今後は貸金需要の減退もあり、預貸金業務中心では、米国の商業銀行経営は立ち行かなくなるものと予測される。
</p>
<p>
ところが、一方で、投資銀行業務を抱き込んだ大手米銀は、金融危機で蒙った巨額の損失を克服して不死鳥のように蘇りつつあるようにも見えるので、大胆に銀行業務変貌の今後を見通したい。
</p>
<p>
<strong>（１）本年第2・第3四半期の大手米銀好決算と今後の見通し</strong>
</p>
<p>
<strong></strong>9月14日には、ニューヨーク株式市場でのダウ平均が約1年ぶりに一時1万ドルの大台を回復した。米景気は大底を脱したとはいえ、順調に回復軌道に乗っているとは思えない。したがって、米国株の急回復は、世界的な金融緩和で溢れた大量のマネーが実体経済の改善を上回るスピードで回転し始めた結果との見方が強いが、これを反映して大手米銀の業績は好調である。
</p>
<p>
第3四半期の決算で、ゴールドマン・サックスは純益が32億ドルと前年同期の3.8倍を計上、JPモルガンは不良資産の前倒し償却をしたうえで増益、シティー・グループも黒字を確保した。ただし、前期黒字であったバンク・オブ・アメリカは10億ドルの赤字に転落している。
</p>
<p>
この結果、表3左欄に見られるとおり、JPモーガン、ウエルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックス3行の本年10月末時価総額は、金融危機前の2006年末とほぼ同一か若干ながら上回る水準にある。大手米銀の今後の収益見通しは難しいが、本年5月にFRBが発表したストレス・テスト（健全性審査）の結果は、相当甘い判定と言われてはいるものの、大いに参考となる。この結果は表3右欄に掲げたとおり、ゴールドマンを除き、大手6行ともに2010年末までの損失が収益を上回る予測となっている。なかでも、シティーとバンカメは自己資本の過半を失うと予測されており、大幅な増資を続行しなければ、業容を縮小するしかない。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091201BeiginHenbouHyou3.jpg" alt="091201BeiginHenbouHyou3.jpg" width="600" height="205" />
</div>
<p>
&nbsp;
</p>
<p>
<strong>（２）世界銀行ランキングの変貌と大手米銀躍進の要因</strong>
</p>
<p>
<strong></strong>一方、大手米銀の国際金融界におけるプレゼンスを、昨今もっとも重視されている中核的自己資本（公的資金を除くティア1）のレベルについてみると、表4のとおり、JPモルガンとバンカメが一・二位を占め、上位15行に米銀5行が入っている。邦銀や欧州勢の地位が落ちて、10年前には下位に甘んじていた大手米銀が大躍進してきた様が看てとれる。しかも、最近数年間、トップを走ってきたシティーが凋落し、JPモルガン、バンカメとウエルズ・ファーゴの躍進が顕著である。
</p>
<p>
今回の金融危機は、挙げて米国の大手投資銀行の強欲が自らの墓穴を掘った結末とされている。そのなかで生き残ったのは、バンクホールディング・カンパニーに転換してFRBの傘の下に逃げ込んだゴールドマンとモルガン・スタンレーの2社だけであった。
</p>
<p>
もう一社、10年前にシティー・グループに吸収された旧ソロモン・ブラザーズは、逆にシティーを飲み込み、今回の危機を演出した元凶となったが、ソロモンも本当の終焉を迎えた。シティーでは分散された各部門が、どの部門も責任をとらない無責任体制になっていたことが、致命傷になったものと言われている。
</p>
<p>
一方、JPモルガンは商業銀行業務と投資銀行業務を有機的に融合してシナジー効果を挙げてきた。同行の巧みな合併戦略には、目を瞠るものがある。JPモルガンは2000年に、Chemical Bank が中核となっていたChase Manhattan Bank とJ.P.Morgan &amp; Coが合併して設立され、2004年に Bank One Corpを吸収、 2008年には一旦破綻した Washington MutualをFDICの管財人から譲り受け、さらにFRBが救済を決断した Bear Sternsを一株わずか10ドルで買収した。
</p>
<p>
FRBがベア・スターンズの救済を決断したのは、当時想定元本で77兆ドルという金融デリバティブの最大保有者であったJPモルガンの連鎖倒産を回避するためであった、とする解説も聞かれる。JPモルガンはそれほどに元来投資銀行指向であったが、ベア・スターンズを傘下に抱えることにより、投資銀行業務を一段と強化する態勢を整えたことは間違いない。
</p>
<p>
J.P.Morgan &amp; Coは、グラス・スティーガル法下では、米国内での投資銀行業務を禁じられていたが、以前から欧州各国では現地法人化して幅広い投資業務を展開、そのリスク管理にも優れていた。筆者も欧州駐在時に邦銀が見習うべきモデルとして同行欧州現法の戦略を研究した経験がある。
</p>
<p>
メリル・リンチを抱え込んだバンカメがシティー・グループ崩壊の轍を踏まないかどうかも注目されるところである。
</p>
<p>
わが国でも、メガバンクによる証券会社の買収や投資銀行業務の強化が進んでいるが、国際金融市場で生き残るには、商業銀行と投資銀行とのシナジーをフルに発揮できるユニバーサル・バンキング型の経営体制が確立できるかどうかの成否に懸っている。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091201BeiginHenbouHyou4.jpg" alt="091201BeiginHenbouHyou4.jpg" width="600" height="327" />
</div>
<p align="center">
<img style="width: 320px; height: 219px" src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091201BeiginnHenbou.jpg" alt="091201BeiginnHenbou.jpg" width="320" height="219" />
</p>
<p align="right">
<br />
（岡部陽二・医療経済研究機構専務理事、元広島国際大学教授、元住友銀行専務取締役）
</p>
<p align="left">
（2009年12月1日、財団法人・外国為替貿易研究会発行「国際金融」第1207号　p36～39所収）
</p>
<p align="left">
&nbsp;
</p>
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</p>
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   </content>
</entry>
<entry>
   <title>＜Book Review＞『幹細胞WARS一幹細胞の獲得と制御をめぐる国際競争』</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/medical/book_reviewwars.html" />
   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.332</id>
   
   <published>2009-11-19T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-12-02T13:52:46Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp;&nbsp; Cynthia Fox /著　西日伸一/監訳　志立あ...]]></summary>
   <author>
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   </author>
         <category term="008医療経済論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.y-okabe.org/">
      <![CDATA[<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091120KansaibouWars.jpg" alt="091120KansaibouWars.jpg" width="240" height="317" />
</div>
&nbsp;&nbsp;
<p align="right">
Cynthia Fox /著　西日伸一/監訳　志立あや，千葉啓恵，三谷祐貴子/訳<br />
一灯舎　四六判　662頁　2009年7月発行　定価(本体3，800円+税)
</p>
<p align="left">
　幹細胞は，体を構成しているあらゆる細胞になることができ、 かつ何回も分裂することが可能である。この意昧で「細胞の中の王」、「究極の細胞」である。このような魔力を持つ幹細胞は多くの生物学者を魅了してきた。
</p>
<p align="left">
　医学の面では、特に再生医療における幹細胞の潜在力が注目されている実際、「幹細胞WARS」で述べられているように、幹細胞は、治療という観点からは助けを求める細胞の叫びに応えているように思われる。心臓発作の損傷に反応して血管と心筋の両方を形成し、あるいは神経損傷に反応して死んだニューロンそっくりに変化して置き換わる。さらに、この型の「薬」は我々より賢く、我々より体のことを知っているだけでなく.体もこの「薬」は従来の薬剤より優れていることを知っている。一方で.がん細胞と幹細胞は非常に近い関係にあるとも明らかになっている。
</p>
<p align="left">
　幹細胞1、中でもヒト胚性幹細胞の研究にはヒト受精卵の破壊が伴うため，この研究には宗教団体や倫理学者、政治家も論争に加わった。ブッシュ前大統領は、宗教的な理由から，新たなヒト胚の破壊を伴う研究には資金援助を行わないと明言し、そのためアメリ力はこの分野の研究では出遅れることになる一方で，バイオ立国を目指す国では国家的なプロジェクトが施行され.先を急ぐあまり非倫理的な研究や論文の担造が起こった。
</p>
<p align="left">
　本書は，上記に述べたような広い範囲にわたる幹細胞研究の現場を綿密に取材したノンフィクションであり。研究に携わる人達の壮大な人間ドラマである。幹細胞研究の最先端、幹細胞によってバイオ立国を目指す国々、規制を逃れた闇医療、そして幹細胞を用いた最先端医療の現場を研究者だけでなく，政治家や臨床医，患者達の声を交えながら.臨場感をもって生き生きと伝えている。
</p>
<p align="left">
　理化学研究所幹細胞グループでディレクターを務めている西川教授は，監訳を担当するとともに、本書の原書が出版された後にこの分野に衝撃を与えた山中教授のiPS細胞の偉大さと、それが幹細胞研究の世界にもたらした意義を新たに書き下ろしており、巻末に収録されている。そこで西川教授は「未だに信じられない」と同時に「この途方もない展開が何をもたらすかについては私には想像もつかない」と述べている。読者は、本書で述べられている膨大な研究と対比させる時、山中iPSの全く新しい手法がいかに画期的であるかを改めて実感するとになるだろう。
</p>
<p align="left">
　生物学や医学の研究に携わる人だけでなく、科学や生命倫理に関心のある読者にとっても読み応えのある本である。
</p>
<p align="right">
(医療経済研究機構専務理事　岡部陽二)
</p>
<p>
（2009年11月 20日、羊土社発行「実験医学」Vol.19(12月号)2009 &quot;Book Review&quot;p3176所収）
</p>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>オバマ政権の医療改革（３）</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/medical/post_187.html" />
   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.330</id>
   
   <published>2009-11-09T15:00:01Z</published>
   <updated>2009-11-14T00:23:07Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp; ５、2009年9月9日に米国の上下両院合同会議において行なわれた...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="008医療経済論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.y-okabe.org/">
      <![CDATA[<p align="right">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091107Obama3Logo.jpg" alt="091107Obama3Logo.jpg" width="320" height="278" />
&nbsp;
</p>
<p align="left">
<strong>５、2009年9月9日に米国の上下両院合同会議において行なわれたオバマ大統領の演説</strong>
</p>
<p align="left">
　連邦議会の夏季休会明け早々の９月９日にオバマ大統領は、上下両院合同会議に出席して、医療改革法案の早期成立を求める特別演説を行なった。演説のなかで、オバマ大統領は「今こそ行動を起こすときがきた」と医療改革の実現に不退転の決意でとり組む考えを強調、政権の浮沈をかけて自らの退路を断った形のきわめて挑戦的な内容であった。米国が国民皆保険に転換する経緯を明らかにする歴史的な文書となるかも知れないこの演説全文の邦訳を掲載するので、参考としていただきたい。改革案の詳細説明の部分については、原文を併記した。
</p>
<p align="left">
　大統領が年頭教書以外の案件について、連邦議会で演説を行なうのはきわめて異例であり、オバマ大統領がいかに医療改革に執念を燃やしているかを、議会に対してのみならず、テレビの生中継で全国民に呼び掛けた反響には大きなものがあった。
</p>
<p align="left">
　この議会演説の翌日に行なわれたCBSの世論調査では、演説前の「支持」40％が52％に上昇、「不支持」は47％から42％に減少した。この改革案に対する医師の支持は高く、NPRの全国世論調査によると、医師の63％が公的保険オプションの導入による皆保険化を歓迎している。
</p>
<p align="left">
　一方で、この演説直後の９月12日には、この医療改革に反対する保守派の人々が10万人以上も首都ワシントンに集まり、連邦議会前で大規模な抗議集会が開かれた。16年前のクリントン改革への反対は、医療保険会社のロビー活動やテレビ宣伝など利権擁護の動きが主体であったが、この抗議集会に集まった人々の多くは中産階級の白人であり、公的保険の拡大による「大きな政府」に反発する自由重視の国民心情にも根強いものがあることを印象づける出来事であった。
</p>
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　この連邦議会演説で、オバマ大統領は医療改革の目標は三点に絞られるとして、第一に、医療保険に加入している人々により多くの医療保障と安定性を提供すること、第二に、無保険者に医療保険を提供すること、そして、第三に、医療費の伸びを経済成長に合わせて抑制することにつき、具体策を示している。もちろん、この改革の主眼は、第二の国民皆保険の実現にあるので、米国民すべてに基本的な医療保険に加入することを義務付け、現在無保険の個人と中小企業主のために、新たに安価で良質の「公的保険オプション」を設けるとしている。
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　この演説では、この「公的保険オプション」の公的医療保険者をメディケアのような政府機関とするのか、半官半民の組合組織とするのかは、明らかにされていない。その後、９月22日に上院財政委員会に提出され、10月13日に共和党のスノウ議員も賛成に廻って可決されたボーカス委員長案では「公的保険ではなく、非営利の協同組合を設立して、民間保険会社と競合させる」としているが、最終の着地点は見えていない。
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　また、大統領演説では、「低価格の保険料でさえも支払う余裕がない個人や中小企業主のためには、必要に応じた規模の『税額控除』制度を設ける」としているが、ボーカス委員長案ではさらに踏み込んで、「年収$22,000の四人世帯では、保険料を収入の２％とし、収入増に伴い順次引上げて年収$88,000では収入の12％とする、ただし、それでも保険に入らない場合には$1,900の罰金を課す」としている。
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　この改革に要する追加の費用は向こう10年間で約9,000億ドルとし、その大部分は無駄と経費濫用に満ちている現行の医療システム内で抑制できる費用を見つけることによって賄うことができるとしている。この医療改革のために、たとえ10セントであっても、財政赤字を増やすことはないと強調している。
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　米国の社会は、最近数年間で人口構成も政治観も変わり、金融危機やGMの救済などを経験して、「大きな政府」や平等重視への社会的な寛容度が高まってきている。現実問題としても、中流層の長期的な失業が増えていることもあって、社会的なセーフティーネットの必要性は、貧困層だけではなく、広範な中間層にも不可欠との見方が強まってきている。このような社会構造の変化も、医療改革に追い風となっている。
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　上述のボーカス委員長案は、オバマ大統領の演説内容と酷似しており、大統領はこの案を軸に調整を進め、法案の年内成立を目指している。現状では上下両院での議論の行く方は予測し難いが、連邦議会に改革案作りを委ねたオバマ政権の医療改革は、戦略的にも優れており、成功するものと考えられる。
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<strong>＜2009年9月9日に米国の上下両院合同会議において行なわれたオバマ大統領の演説全訳＞</strong>
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<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091110Obama3Speech.jpg" alt="091110Obama3Speech.jpg" width="320" height="240" align="right" />
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　下院議長、バイデン副大統領、国会議員の皆さん、そして国民の皆さん
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　昨年の冬に私がここでスピーチをしたとき、この国は大恐慌以来最悪の経済危機に直面していました。毎月平均70万もの職が失われ、クレジットは凍結され、金融システムは崩壊寸前でした。
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　いまだに職を探している人や、どうすれば請求書を支払えるか途方にくれている人がみな口を揃えて言っているように、この国はまだ危機から脱していません。力強い全面回復はまだ何ヶ月も先のことです。でも私は、職を求めている人たち全員が仕事を見つけられるようになるまで、資本と信用を求めている企業が活況を呈するようになるまで、自宅を持っている人たちが自分の家を手放さずにすむようになるまで、絶対に歩みを緩めるつもりはありません。それが私たちの最大の目的です。でも、今年１月から実施し始めた大胆かつ断固たる行動のおかげで、私はいま自信を持ってここに立つことができ、そして、この国の経済を破滅の瀬戸際から救い出すことに成功したと断言できます。
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　私は、ここ数ヶ月間の皆さんの努力と支援に感謝の言葉を述べたいと思います。とくに、私たちに回復への道を開く難しい法案の採決をしてくれた人たちに感謝します。また、国家の試練の時に、国民の皆さんが見せてくれた忍耐と不屈の意志にも感謝したいと思います。
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　でも、私たちは危機の後片付けをするためだけにここまでやってきたのではありません。未来を作るためにやってきたのです。ですから今夜は、その未来にとっての中心的な問題について、皆さんにお話をしたいと思います。それは、医療改革の問題です。
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　この問題を取り上げた大統領は私が初めてではありませんが、ぜひとも私で最後にしたいという決意を固めています。セオドア・ルーズベルト大統領が初めて医療保険制度改革を提唱してから、１世紀近くが経とうとしています。それ以来ずっと、民主党であれ共和党であれ、ほとんどすべての大統領と議会が、何とかしてこの課題に対処しようと取り組んできました。1943年に、ジョン・ディンゲルが初めて包括的な医療制度改革法案を提出しました。その65年後の今になっても、ジョン・ディンゲルの息子さんが、議会が始まるたびに同じ法案を提出し続けています。
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　毎年毎年、何十年たってもこの課題に対処できずにいたことにより、私たちはもはや極限まで来てしまっています。無保険者たちに降りかかる悲惨な窮状は、誰もが理解できることです。この人たちは、ほんの１回事故に逢うだけ、あるいは病気をしただけで、あっという間に破産してしまうという状況の中で日々暮らしています。しかも、これは生活保護を受けている人々の話ではないのです。中産階級の普通の人たちなのです。職場で医療保険に入れない人もいれば、自営なので保険に入る余裕がないという人もいます。個人で医療保険に入ろうとすると、会社で保険に入る場合と比べて３倍もの保険料がかかるからです。また、支払う意思もあるし、その能力もあるのに、既往症があってリスクが高すぎるとか、再発したら補償額が高額になりすぎるという理由で保険加入を拒否された人も大勢います。
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　地球上にある民主主義の先進国の中で、裕福な国家の中で、何百万人もの国民にそのような苦難を強いているのはこの国だけです。今現在、医療保険に入りたくても入れないアメリカ市民は３千万人います。アメリカ人の３人に１人はたった２年の間に無保険の状態になります。そして毎日、１万４千人もの人たちが医療保険を失っているという現状があります。言い換えると、これは誰にでも起こり得ることなのです。
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　しかし、この国の医療保険制度をむしばむ問題は、無保険者の問題だけではありません。保険に入っている人たちにとってすら、今ほど安心と安定が脅かされている時代はありません。引越ししたら、職を失ったら、あるいは仕事を変えたら、医療保険もなくなってしまうのではないかと心配する人が日増しに増えているのが現状です。保険料を払っていても、病気になったとたんに保険会社に補償を外されたとか、治療にかかった費用を全額支払ってくれなかったといったような経験をする人が増えています。そのようなことが毎日起きているのです。
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　イリノイ州に住んでいたある男性は、自分に胆石があることを彼自身知らなかったのですが、そのことを保険会社に申告していなかったという理由で、ガンの化学療法を受けている途中で医療保険を失ってしまいました。そのため、治療は延期され、男性はそれが原因で死んでしまいました。テキサス州のある女性は、両側の乳房切除術を受けることになっていたのですが、ニキビの症状を申告するのを忘れていたという理由で保険が解約されてしまいました。再契約を結んだ頃には、その女性の乳がんは倍以上の大きさになっていたのです。これは非常に残念なことです。間違っています。このアメリカ合衆国では、誰であってもそのような扱いを受けるべきではありません。
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　さらに、増大する医療費の問題があります。この国では、他のどの国と比べても１人当たり1.5倍の費用を医療に使っていますが、だからといってその分健康になっているわけではありません。これが、医療保険料が賃金の３倍の速さで増えている理由の一つです。従業員に支払わせる保険料を増やさざるを得ない雇用主や、保険の提供を完全に廃止する雇用主、とくに中小企業が増えているのはそのためです。意欲があっても、多くの起業家がそもそも事業を起こせないのもそのためであり、自動車メーカーなど国際競争を繰り広げるアメリカ企業が圧倒的に不利な立場に立たされているのもそのためなのです。そして、保険に入っている人たちは、無保険者のために、増え続ける税金を知らずに支払わされているということになるのです。救急外来を受診するどこかの誰か、無料の慈善医療を受けるどこかの誰かのために、国民一人当り年間約1,000ドルが使われています。
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　結局のところ、アメリカの医療システムは、持続不可能な負担を納税者に課しているのです。これまでのような速さで医療費が増加すると、メディケアやメディケイドといったような制度が大きく圧迫されることになります。高騰する医療費を抑制する対策を取らないでいると、最終的には、政府のすべてのプログラムを合わせたより多くの金額を、メディケアとメディケイドに使うことになります。つまり、一言で言うと、この国の医療問題は財政赤字の問題だということになります。それ以外の何物でもありません。
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　これが事実です。議論の余地はありません。制度を改革する必要があると誰もが思っています。問題は、改革をどう進めるのか、その方法です。
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　一方には、カナダのような「単一支払システム」を導入する以外、この問題を解決する方法はないと主張する人々がいます。その場合には、民間保険市場を大幅に制限し、政府がすべての国民に医療保険を提供することになります。他方、企業医療保険の制度は廃止し、医療保険に入るかどうかはもっぱら個人に任せるべきだと主張する人々がいます。
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　両方とも議論する価値のある方策ですが、どちらにしても徹底的な大変革であり、多くの人にとって、現在の医療現場に混乱を来たすものです。医療はこの国の経済の６分の１に相当するため、一からまったく新しい制度を構築しようとするより、うまく機能している部分をベースにして、うまくいっていない部分を直しながら制度を作っていくほうが理にかなっているものと確信しています。それこそが、ここ数ヶ月間にわたって皆さんが成し遂げようとして議論してこられた改革案なのです。
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　その間に、私たちは最高に素晴らしいワシントンと、最悪のワシントンの両方を目の当たりにしました。
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　皆さんの多くが、どうすれば改革を成し遂げることができるかについて思慮に富んだアイディアを出すために、一年間の大半にわたって根気強く働いてこられた姿を目の当たりにしました。法案作りを担当した５つの委員会のうち、４つが作業を完了し、本日、上院財政委員会は、来週には次の段階へ進むつもりであると発表しています。そのようなことは、今までになかったことです。私たちの努力は、医師、看護師、病院、高齢者団体、さらには製薬会社までもが参加した先例のない協力関係によって支えられてきました。その多くが、かつて制度改革に反対していた人たちです。さらに、この議会では実施する必要のある事柄の約80％に関して合意がなされており、かつてないほど改革のゴールに近づいてきています。
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　しかし、一方で、私たちはここ数ヶ月間に、多くの国民が政府に対して持っている軽蔑心をさらに強めるだけの、相変わらずの見世物的な党派争いも目の当たりにしました。真摯な議論ではなく、脅し戦術もありました。歩み寄りの望みすらない頑固なイデオロギー的空論を振りかざす人もいました。国家としてやっと長年の難題を解決する機会が出てきたことなどそっちのけにして、多くの人がこれを政治上の短期的なポイント稼ぎに利用しようとしました。そして、攻撃と反撃の嵐が渦巻く中から混乱が生まれ、それが全体を支配したのでした。
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　でも、もう言い争いの時間は終わりです。ゲームの時間は終わりました。これからは行動のときです。両党で最善の考えを持ち寄らなければならないときです。私たちには、私たちをここへ送り込んでくれた国民のためになすべきことを実行する力があるのだと、国民に証明しなければなりません。今や、医療改革を成し遂げるときが来たのです。
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　私が今日発表する改革案は、３つの基本的な目的を達成することを目ざすものです。
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　医療保険に入っている人に、さらなる医療保障と安定性を提供します。無保険者には、医療保険を提供します。そして、家族、企業、政府のために、医療費の増大を抑制します。これは、この難題を解決するために、政府や保険会社だけでなく企業や個人にいたるまで、すべての人に責任の一端を担っていただくようお願いする改革案です。そしてこれは、上院議員と下院議員、民主党と共和党、さらには予備選挙と大統領選挙の両方で私の競争相手だった人たちにいたるまで、あらゆる人々の考えを組み込んで具現化しようという改革案です。
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The plan I&#39;m announcing tonight would meet three basic goals:
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It will provide more security and stability to those who have health insurance. It will provide insurance to those who don&#39;t. And it will slow the growth of health care costs for our families, our businesses, and our government. It&#39;s a plan that asks everyone to take responsibility for meeting this challenge - not just government and insurance companies, but employers and individuals.
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And it&#39;s a plan that incorporates ideas from Senators and Congressmen; from Democrats and Republicans - and yes, from some of my opponents in both the primary and general election.
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　では、この改革案について、すべての国民にご理解いただきたい内容をご説明したいと思います。
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　第一に、多くの国民が、すでに職域での医療保険、メディケア、メディケイド、あるいは退役軍人保険に加入していますが、その場合には、今現在受けている保険の補償範囲や医療内容を変えるよう要求されることは一切ありません。繰り返し申し上げます。この改革案は、今現在受けている便益を変えるよう皆さんに要求するものではありません。
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Here are the details that every American needs to know about this plan:
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First, if you are among the hundreds of millions of Americans who already have health insurance through your job, Medicare, Medicaid, or the VA, nothing in this plan will require you or your employer to change the coverage or the doctor you have. Let me repeat this: nothing in our plan requires you to change what you have.
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　これは、皆さんが加入している医療保険を、さらに有効に機能させようという改革案です。この改革案では、既往歴を理由に医療保険会社が補償を拒否することは違法となります。私がこの法案に署名すればただちに、病気になったときに保険会社が補償を外したり、いちばん必要なときに補償額を減額させたりすることは違法となります。１年間あるいは一生涯に受けることのできる補償額に、保険会社が勝手に制限を加えることはできなくなります。また、皆さんが支払う自己負担額に上限を設けます。この国に住む誰かが病気になっただけで破産してしまったというようなことは断じてあってはならないことだからです。そして、保険会社には、乳がんマンモグラフィーや大腸内視鏡検査といったような定期健診と予防医療を、追加料金なしでカバーするよう義務付けます。乳癌や大腸癌は、悪化する前に早期発見するのが最善だからです。それは理にかなっていることであり、医療費の節減になり、ひいては人の命を救うことになります。
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　これが、すでに医療保険に入っている国民の皆さんがこの改革案から期待できることです。つまり、よりいっそうの医療保障と安定性をめざします。
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What this plan will do is to make the insurance you have work better for you. Under this plan, it will be against the law for insurance companies to deny you coverage because of a pre-existing condition. As soon as I sign this bill, it will be against the law for insurance companies to drop your coverage when you get sick or water it down when you need it most. They will no longer be able to place some arbitrary cap on the amount of coverage you can receive in a given year or a lifetime. We will place a limit on how much you can be charged for out-of-pocket expenses, because in the United States of America, no one should go broke because they get sick. And insurance companies will be required to cover, with no extra charge, routine checkups and preventive care, like mammograms and colonoscopies - because there&#39;s no reason we shouldn&#39;t be catching diseases like breast cancer and colon cancer before they get worse. That makes sense, it saves money, and it saves lives.
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That&#39;s what Americans who have health insurance can expect from this plan - more security and stability.
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　では次に、今現在何千万人もの国民が医療保険に加入していないという現状がありますが、この改革案の第二部では、無理なく支払える範囲の質の高い医療保険の選択肢を皆さんに提供します。失業したり、職を変えたりした場合でも、医療補償が受けられます。独立して小さなビジネスを始める場合でも、補償が受けられます。これは、個人や中小企業が競争力のある価格で医療保険を選ぶことのできる新しい保険市場を創設することによって実行します。この市場には何百万人もの新規の顧客が見込めるので、保険会社にとっても大きなインセンティブとなります。これらの新規顧客は１つの大きなグループとして大きな力を持ち、保険料や補償範囲について医療保険会社と交渉できるようになります。大企業や政府で働く公務員は、そのようにして手頃な価格での医療保険に入っているのです。この議会で働いている誰もが、そのようにして手頃な価格の医療保険に入っているのです。私たちが享受しているものと同じものを、すべての国民にも与えるときが来たのです。
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Now, if you&#39;re one of the tens of millions of Americans who don&#39;t currently have health insurance, the second part of this plan will finally offer you quality, affordable choices. If you lose your job or change your job, you will be able to get coverage. If you strike out on your own and start a small business, you will be able to get coverage. We will do this by creating a new insurance exchange - a marketplace where individuals and small businesses will be able to shop for health insurance at competitive prices. Insurance companies will have an incentive to participate in this exchange because it lets them compete for millions of new customers. As one big group, these customers will have greater leverage to bargain with the insurance companies for better prices and quality coverage. This is how large companies and government employees get affordable insurance. It&#39;s how everyone in this Congress gets affordable insurance. And it&#39;s time to give every American the same opportunity that we&#39;ve given ourselves.
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　医療保険市場で提供される低価格の医療保険の保険料ですら支払う余裕がないという個人や中小企業には、必要に応じた範囲の税額控除を提供します。そして、この新しい市場に参入したいという保険会社は、私が先ほど申し上げた消費者保護を厳守しなければなりません。この市場は４年後に開設の予定で、４年あれば完璧な仕組みを作る時間は十分にあります。それまでの間は、既往症があるために保険に入れない人たちを対象に、重病になっても破産しないですむ低価格の医療保険をただちに提供します。これは、大統領選挙のときにジョン・マケイン上院議員が提唱したアイディアですが、今でも良いアイディアですし、私たちはこれを採り入れることにしました。
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For those individuals and small businesses who still cannot afford the lower-priced insurance available in the exchange, we will provide tax credits, the size of which will be based on your need. And all insurance companies that want access to this new marketplace will have to abide by the consumer protections I already mentioned.
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This exchange will take effect in four years, which will give us time to do it right. In the meantime, for those Americans who can&#39;t get insurance today because they have pre-existing medical conditions, we will immediately offer low-cost coverage that will protect you against financial ruin if you become seriously ill. This was a good idea when Senator John McCain proposed it in the campaign, it&#39;s a good idea now, and we should embrace it.
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　さて、私たちがこのような手頃なオプションを提供したとしても、無保険のままで生活するという危険をあえて冒す人たち、とりわけ若くて健康な人たちはなくならないと思われます。また、従業員に正当な医療保険を提供しない会社はなくならないと思われます。しかし、問題はそのような無責任な行為により、他の人たちが金銭的な損害をこうむるという点です。手頃な選択肢があるのに、それでも保険に入らないという人々が、病気や事故で救急治療室での治療を受けた場合、その高い治療費は私たちが支払うことになるのです。従業員に保険を提供しない企業があると、従業員が病気になったときに、私たちがその勘定を支払うことになり、さらには、競争相手の企業と比べて不当に有利な立場をその企業に与えてしまうことになるのです。すべての人がそれぞれの役割を果たさない限り、私たちが目ざしている医療保険制度改革の多く、とくに既往症があっても医療保険を提供するように保険会社に義務付けるという制度改革は達成できません。
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Now, even if we provide these affordable options, there may be those - particularly the young and healthy- who still want to take the risk and go without coverage. There may still be companies that refuse to do right by their workers. The problem is, such irresponsible behavior costs all the rest of us money. If there are affordable options and people still don&#39;t sign up for health insurance, it means we pay for those people&#39;s expensive emergency room visits. If some businesses don&#39;t provide workers health care, it forces the rest of us to pick up the tab when their workers get sick, and gives those businesses an unfair advantage over their competitors. And unless everybody does their part, many of the insurance reforms we seek - especially requiring insurance companies to cover pre-existing conditions - just can&#39;t be achieved.
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　ですから、この改革案では、大半の州で自動車保険に入ることが義務付けられているように、誰もが基本的な医療保険に加入することを個人に義務付けます。同様に、企業に対しては、従業員に保険を提供するか、従業員にかかる医療費をカバーするための資金を拠出することを義務付けます。それでも保険に入る余裕がない個人には救済措置を設け、中小企業の95％は、その規模が小さく利益幅も小さいことに配慮して、これらの義務から免除されます。しかし、支払う余裕が十分あるにもかかわらず、大企業が従業員に対する責任を果たさず、個人が自分自身の責任を回避することによって、制度をないがしろにするというようなことは容認できません。すべての人がそれぞれの役割を果たさない限り、この医療保険制度改革は実現しないのです。
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That&#39;s why under my plan, individuals will be required to carry basic health insurance- just as most states require you to carry auto insurance. Likewise, businesses will be required to either offer their workers health care, or chip in to help cover the cost of their workers. There will be a hardship waiver for those individuals who still cannot afford coverage, and 95％ of all small businesses, because of their size and narrow profit margin, would be exempt from these requirements. But we cannot have large businesses and individuals who can afford coverage game the system by avoiding responsibility to themselves or their employees. Improving our health care system only works ,if everybody does their part.
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　解決する必要のある重要なポイントはまだいくつか残っていますが、保険加入者を対象とした消費者保護、個人と中小企業を対象に手頃な価格で医療保険を購入できるようにする医療保険市場、保険料を支払うことのできる人には保険加入を義務付けるなど、私がここで説明した改革案の全体像については、幅広いコンセンサスが得られているものと確信しています。
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While there remain some significant details to be ironed out, I believe a broad consensus exists for the aspects of the plan I just outlined: consumer protections for those with insurance, an exchange that allows individuals and small businesses to purchase affordable coverage, and a requirement that people who can afford insurance get insurance.
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　この改革は間違いなく、あらゆる階層の国民のみならず、経済全般に大きな利益をもたらすものです。でも、ここ数ヶ月に広まった様々な誤報を考えると、多くの人々が改革の先行きを不安な思いで見ていることも理解できます。ですから今日は、まだ解決されていない重要な論点のいくつかについて述べたいと思います。
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And I have no doubt that these reforms would greatly benefit Americans from all walks of life, as well as the economy as a whole. Still, given all the misinformation that&#39;s been spread over the past few months, I realize that many Americans have grown nervous about reform. So tonight I&#39;d like to address some of the key controversies that are still out there.
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　人々が懸念していることの一部は、いかなる犠牲を払ってでも改革を抹殺することだけを基本方針としている人たちが広めた偽りの主張から派生したものです。その最も良い例が、私たちが高齢者への医療を制限する権力を持った官僚委員会を組織するつもりだという主張で、ラジオやテレビのトークショーの司会者だけでなく、有名な政治家ですら、そのようなことを言っていました。このような議論は、ひどく冷笑的で無責任でなければ、一笑に付す程度のばかばかしい内容です。彼らの主張は真っ赤な嘘にすぎません。
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Some of people&#39;s concerns have grown out of bogus claims spread by those whose only agenda is to kill reform at any cost. The best example is the claim, made not just by radio and cable talk show hosts, but prominent politicians, that we plan to set up panels of bureaucrats with the power to kill off senior citizens. Such a charge would be laughable if it weren&#39;t so cynical and irresponsible. It is a lie, plain and simple.
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<p>
　一方で、改革への取り組みは、不法入国者も医療保険で保護しようとするものだと主張している人もいます。これも間違っています。私が提案している改革は、この国に不法滞在している人たちには適用されません。もう一つ明確にしたい誤解がありますが、私たちの改革案では、連邦政府の資金が妊娠中絶に使われることはありません。医師などが反道徳的な行為を拒否できる連邦良心法はそのまま存続します。
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There are also those who claim that our reform effort will insure illegal immigrants. This, too, is false- the reforms I&#39;m proposing would not apply to those who are here illegally.
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And one more misunderstanding I want to clear up - under our plan, no federal dollars will be used to fund abortions, and federal conscience laws will remain in place.
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　また、私の改革案は、医療制度全体を「政府が乗っ取るものだ」として、改革に反対する一部の人たちから攻撃されています。その証拠として、無保険者や中小企業を対象に、メディケイドやメディケアのように公的資金が投入され政府によって運営される保険オプションを選択できるようにする条項がこの改革案には盛り込まれているという点が指摘されています。
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My health care proposal has also been attacked by some who oppose reform as a &quot;government takeover&quot; of the entire health care system. As proof, critics point to a provision in our plan that allows the uninsured and small businesses to choose a publicly-sponsored insurance option, administered by the government just like Medicaid or Medicare.
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　そこで、事実を明確にして、この誤解を解きたいと思います。私の基本理念は、選択と競争があるほうが消費者はよりよいサービスを受けられるということであり、この理念は以前から変わりません。残念なことに、34の州で医療保険市場の75％が５社に満たない少数の保険会社によって寡占されています。アラバマ州に至っては、90％近くが1社によって独占されています。競争がなければ、保険料は上がり、サービスの質は下がります。保険会社は、いちばん健康な人だけをつまみ食いして重病人は切り捨てようとし、負担能力がない中小企業に不当に高い値段を請求し、そして保険料をつり上げるなど、勝手気ままに顧客をぞんざいに扱うようになります。
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<p>
So let me set the record straight. My guiding principle is, and always has been, that consumers do better when there is choice and competition. Unfortunately, in 34 states, 75％ of the insurance market is controlled by five or fewer companies. In Alabama, almost 90％ is controlled by just one company. Without competition, the price of insurance goes up and the quality goes down. And it makes it easier for insurance companies to treat their customers badly - by cherry-picking the healthiest individuals and trying to drop the sickest; by overcharging small businesses who have no leverage; and by jacking up rates.
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<p>
　保険会社がこのようなことをするのは、彼らが悪人だからではありません。そうすれば儲かるからです。ある保険会社の元役員が議会で証言したように、保険会社では重病人を切り捨てる理由を見つけることが奨励されるだけでなく、報奨金すら出されているのです。すべては、この元役員が「ウォール・ストリートの容赦のない利潤追求期待」と表現したものに応えるための業務なのです。
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Insurance executives don&#39;t do this because they are bad people. They do it because it&#39;s profitable. As one former insurance executive testified before Congress, insurance companies are not only encouraged to find reasons to drop the seriously ill; they are rewarded for it. All of this is in service of meeting what this former executive called &quot;Wall Street&#39;s relentless profit expectations.&quot;
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　私は別に医療保険会社を市場から追い出したいと思っているわけではありません。保険会社は法律に則った正当な業務を行い、私たちの知り合いや隣近所の人の中にも、保険会社で働いている人は大勢います。私はただ、彼らに説明責任を果たして貰いたいだけなのです。私が述べた保険制度の改革は、まさにそれです。しかも、さらに一歩踏み込んで保険会社の誠実性を保持するために、医療保険市場で非営利の公的オプションを選べるようにします。ここで明確にしておきたいのは、これは無保険者のためのオプションに過ぎないという点です。誰もそれを選ぶように強制されるようなことはなく、すでに保険に入っている人にはまったく影響を与えないものです。実際のところ、連邦議会予算局の見積もりによれば、これを選ぶのは国民の５％以下であろうと思われます。
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Now, I have no interest in putting insurance companies out of business. They provide a legitimate service, and employ a lot of our friends and neighbors. I just want to hold them accountable. The insurance reforms that I&#39;ve already mentioned would do just that. But an additional step we can take to keep insurance companies honest is by making a not-for-profit public option available in the insurance exchange. Let me be clear - it would only be an option for those who don&#39;t have insurance. No one would be forced to choose it, and it would not impact those of you who already have insurance. In fact, based on Congressional Budget Office estimates, we believe that less than 5％ of Americans would sign up.
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<p>
　それにもかかわらず、医療保険会社とその関連企業はこの公的保険オプションの考えに反対しています。民間企業は政府と公平に競争できないと彼らは主張するのです。納税者がこの公的保険オプションを助成するのであれば、彼らの主張は正しいかもしれません。でも、そうではありません。私はこれまで、一般の民間保険会社と同様に公的保険オプションも自給自足できるものでなければならず、集める保険料に依存したものでなければならないと主張してきました。でも、公的保険オプションは、利益や膨大な管理コスト、経営陣のサラリーなどで食われてしまう諸経費をなくすことで、消費者により良い条件のサービスを提供することができます。また、このオプションは、民間の保険会社に対し、保険プランを楽に支払える額の範囲にとどめ、顧客を公正に扱うようプレッシャーをかけ続けるという役割も果たします。これは、私立大学が持つ活気あるシステムをいかなる形であれ阻害することなく、公立大学が学生にとってもう一つの選択肢になるのと同じです。
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Despite all this, the insurance companies and their allies don&#39;t like this idea. They argue that these private companies can&#39;t fairly compete with the government. And they&#39;d be right if taxpayers were subsidizing this public insurance option. But they won&#39;t be. I have insisted that like any private insurance company, the public insurance option would have to be self-sufficient and rely on the premiums it collects. But by avoiding some of the overhead that gets eaten up at private companies by profits, excessive administrative costs and executive salaries, it could provide a good deal for consumers. It would also keep pressure on private insurers to keep their policies affordable and treat their customers better, the same way public colleges and universities provide additional choice and competition to students without in any way inhibiting a vibrant system of private colleges and universities.
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<p>
　大多数の国民が、私が今日提案した類の公的保険オプションをいまなお支持しているというのは注目に値することです。しかし、右翼であれ、左翼であれ、メディアであれ、その影響を誇張すべきではありません。これは私の改革案の一部に過ぎず、ワシントンのお決まりのイデオロギー闘争に対する便利な口実として利用されるべきものではないのです。進歩的な皆さんにぜひ思い出していただきたいのは、何十年もの間にわたってこの改革の原動力となっているのは、医療保険会社の不正乱用を廃絶し、保険がない人にも入れるものにするという理念であるという点です。公的保険オプションはそのための手段の一つに過ぎないし、最終的な目的を達成するのに役立つ考えなら、どんな意見にも積極的に耳を傾ける姿勢を保っていなければなりません。そして、共和党の皆さんに申し上げたい。政府が医療を乗っ取るというような度を越した主張をするのではなく、皆さんが抱いているに違いない当然の懸念に対し、私たちは一致協力して取り組んでいくべきです。
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It&#39;s worth noting that a strong majority of Americans still favor a public insurance option of the sort I&#39;ve proposed tonight. But its impact shouldn&#39;t be exaggerated - by the left, the right, or the media. It is only one part of my plan, and should not be used as a handy excuse for the usual Washington ideological battles. To my progressive friends, I would remind you that for decades, the driving idea behind reform has been to end insurance company abuses and make coverage affordable for those without it. The public option is only a means to that end - and we should remain open to other ideas that accomplish our ultimate goal. And to my Republican friends, I say that rather than making wild claims about a government takeover of health care, we should work together to address any legitimate concerns you may have.
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　たとえば、公的保険オプションについては、保険会社が手頃な保険プランを提供していない市場だけで実施したほうがよいのではないかと提案してくれた人がいます。一方で、生協やそのほかの非営利団体に運営させるのはどうかと提案してくれた人もいます。すべて、検討する価値のある建設的な考えだと思います。でも、私が断じて翻さないのは、手頃な価格で加入できる医療保険がないのであれば、われわれ政府が選択肢を提供するという基本原則です。そして、政府の官僚や保険会社の融通のきかない職員が、皆さんと皆さんが必要としている医療の間に割って入るようなことはないと断言します。
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For example, some have suggested that that the public option go into effect only in those markets where insurance companies are not providing affordable policies. Others propose a co-op or another non-profit entity to administer the plan. These are all constructive ideas worth exploring. But I will not back down on the basic principle that if Americans can&#39;t find affordable coverage, we will provide you with a choice. And I will make sure that no government bureaucrat or insurance company bureaucrat gets between you and the care that you need.
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　最後に、私にとっても、ここにいる皆さんにとっても、さらには一般市民にとっても、大きな懸念となっている問題について論じたいと思います。それは、この改革案に必要な財源をどう確保すればよいかについてです。
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Finally, let me discuss an issue that is a great concern to me, to members of this chamber, and to the public - and that is how we pay for this plan.
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　いくつかの点について説明します。第一に、現在も将来にわたっても、私は10セントたりと財政赤字を増やすような改革案には断じて署名しません。その証明として、約束した節減が実現しなかった場合には、さらなる支出削減を実施することを義務付けるという条項をこの改革案に盛り込みます。私はホワイトハウスにやってきて、１兆ドルもの財政赤字に直面したわけですが、その理由の一つは、イラク戦争から富裕層を対象とした減税措置まで、この10年間にわたって財源がきちんと確保されていなかった政策があまりに多すぎたためです。私は、医療改革で同じ過ちを犯しません。
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Here&#39;s what you need to know. First, I will not sign a plan that adds one dime to our deficits - either now or in the future. Period. And to prove that I&#39;m serious, there will be a provision in this plan that requires us to come forward with more spending cuts if the savings we promised don&#39;t materialize. Part of the reason I faced a trillion dollar deficit when I walked in the door of the White House is because too many initiatives over the last decade were not paid for - from the Iraq War to tax breaks for the wealthy. I will not make that same mistake with health care.
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　第二に、この改革案の大半の施策が、現在の医療システム内に見受けられる様々な無駄と濫用を省くことで、その財源を確保できるものと見積もっています。現在、私たちは苦労して手に入れた貯蓄や血税を医療に使っているわけですが、その多くが無駄に使われ、私たちは大して健康になっていません。これは私の意見ではなく、全国の医療従事者の意見です。また、メディケアとメディケイドの無駄に関してもその通りだと言えます。
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Second, we&#39;ve estimated that most of this plan can be paid for by finding savings within the existing health care system - a system that is currently full of waste and abuse. Right now, too much of the hard-earned savings and tax dollars we spend on health care doesn&#39;t make us healthier.That&#39;s not my judgment - it&#39;s the judgment of medical professionals across this country. And this is also true when it comes to Medicare and Medicaid.
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　実際のところ、今回の論争でメディケアも扇動と歪曲の対象となったという事実がありますので、少しの間、この点について高齢者の皆さんにお話をしておきたいと思います。
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In fact, I want to speak directly to America&#39;s seniors for a moment, because Medicare is another issue that&#39;s been subjected to demagoguery and distortion during the course of this debate.
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　40年以上前になりますが、一生懸命に働いて過ごしてきた高齢者が、晩年を医療費にあえいで過ごさなくてもすむようにしようという理念を目ざしてこの国は立ち上がり、そしてメディケアが生まれました。以来ずっと、これは世代から世代へと受け継がれなければならない尊ぶべき信託となっています。ですから、メディケア信託ファンドのお金は、１ドルたりともこの改革案のための支出には使いません。
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More than four decades ago, this nation stood up for the principle that after a lifetime of hard work, our seniors should not be left to struggle with a pile of medical bills in their later years. That is how Medicare was born. And it remains a sacred trust that must be passed down from one generation to the next. That is why not a dollar of the Medicare trust fund will be used to pay for this plan.
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　この改革案で排除されるのは、何千億ドルもの無駄や不正行為と、保険会社の懐へ入るメディケアへの根拠のない不当な助成金、つまり、保険会社の利益を水増しするだけで、一般の人々の医療の向上には何ら寄与しない助成金だけです。私たちはまた、数年以内に今後の医療費の無駄遣いを摘発することを使命とする医師と医療専門家による独立委員会を創設します
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The only thing this plan would eliminate is the hundreds of billions of dollars in waste and fraud, as well as unwarranted subsidies in Medicare that go to insurance companies - subsidies that do everything to pad their profits and nothing to improve your care. And we will also create an independent commission of doctors and medical experts charged with identifying more waste in the years ahead
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　これはすべて、高齢者の皆さんに約束した給付を、確実に皆さんへ届けるための対策です。将来の世代のために、メディケアを確実に存続させるための対策です。そして、無駄や不正行為を省くことで節約した財源の一部が、処方薬を買うために年に数千ドルもの自己負担を多数の高齢者に強いている「保険のギャップ」を埋めるために使えるようになります。この改革案では、それを皆さんに約束します。ですから、どんなふうに給付がカットされることになるかについての恐ろしげな話に耳を貸してはいけません。とくに、そういう出まかせを広めている人の中には、かつてメディケアに反対し、今年に入ってからは、メディケアを基本的に民営の商品券バウチャー配布のプログラムに変えてしまいかねない予算を支持した人もいます。そんなことは、私が目を光らせている限り絶対にあり得ません。私はメディケアを守ります。
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These steps will ensure that you - America&#39;s seniors - get the benefits you&#39;ve been promised. They will ensure that Medicare is there for future generations. And we can use some of the savings to fill the gap in coverage that forces too many seniors to pay thousands of dollars a year out of their own pocket for prescription drugs. That&#39;s what this plan will do for you. So don&#39;t pay attention to those scary stories about how your benefits will be cut - especially since some of the same folks who are spreading these tall tales have fought against Medicare in the past, and just this year supported a budget that would have essentially turned Medicare into a privatized voucher program. That will never happen on my watch. I will protect Medicare.
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　メディケアは医療システムの中で大きな部分を占めているわけですから、このプログラムをよりいっそう効率的なものにすることは、医療を提供している今のやり方を、すべての人のための医療費削減につながるような形に変えていくのに役立ちます。ご存知かと思いますが、ユタ州のインターマウンテン・ヘルスケアやペンシルバニア州のガイシンガー・ヘルス・システムなどの医療施設では、以前から平均以下の医療費で質の高い医療サービスを提供しています。独立委員会は、院内感染率を減らすことから医師チーム間の良好な協調関係を奨励することまで、良識に基づくベスト・プラクティスを医師や医療専門家が制度全体にわたって積極的に取り入れるよう働きかける役割も果たします。
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Now, because Medicare is such a big part of the health care system, making the program more efficient can help usher in changes in the way we deliver health care that can reduce costs for everybody. We have long known that some places, like the Intermountain Healthcare in Utah or the Geisinger Health System in rural Pennsylvania, offer high-quality care at costs below average. The commission can help encourage the adoption of these common-sense best practices by doctors and medical professionals throughout the system - everything from reducing hospital infection rates to encouraging better coordination between teams of doctors.
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　メディケアとメディケイドの無駄と非効率を削減することで、この改革案の大半の財源は確保できます。残りの部分は、新たに獲得することになる数千万人の顧客から利益を得ることになると期待される製薬会社と保険会社からの収入が財源になります。この改革では、医療保険会社の最も高価な保険プランに対して課金します。そうすることで、支払われる金額に対し、より大きな価値を提供するよう保険会社に奨励します。これは、民主党と共和党双方の専門家の支持を得ている考えです。これらの専門家によると、このようなちょっとした変化でも、長い目で見れば、国民全体の医療費を抑制するのに役立ちます。
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Reducing the waste and inefficiency in Medicare and Medicaid will pay for most of this plan. Much of the rest would be paid for with revenues from the very same drug and insurance companies that stand to benefit from tens of millions of new customers. This reform will charge insurance companies a fee for their most expensive policies, which will encourage them to provide greater value for the money - an idea which has the support of Democratic and Republican experts. And according to these same experts, this modest change could help hold down the cost of health care for all of us in the long-run.
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　最後に、ここにいる多くの人々、とくに通路の共和党側に座っている人は、この国の医療過誤法を改正することが医療費削減につながると以前から主張してきました。私は、医療過誤法の改正が特効薬になるとは思いませんが、大勢の医師から話を聞いた結果、訴訟リスク回避のための防衛的医療（萎縮医療）が不必要な医療費を増やしている可能性があるということを知りました。そこで、患者の安全を最優先にしながら、医師が医療活動に集中できるようにするにはどうすればよいかについて、様々な考えを一歩進めるよう提案をしているところです。ブッシュ政権は、こういった問題を検証する実証プロジェクトを各州が個別に実施することを認可する方向で検討を進めていました。これは良い考えなので、私は保健福祉長官に今日からこの政策を推し進めるよう指示しています。
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Finally, many in this chamber - particularly on the Republican side of the aisle - have long insisted that reforming our medical malpractice laws can help bring down the cost of health care. I don&#39;t believe malpractice reform is a silver bullet, but I have talked to enough doctors to know that defensive medicine may be contributing to unnecessary costs. So I am proposing that we move forward on a range of ideas about how to put patient safety first and let doctors focus on practicing medicine. I know that the Bush Administration considered authorizing demonstration projects in individual states to test these issues. It&#39;s a good idea, and I am directing my Secretary of Health and Human Services to move forward on this initiative today.
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　すべてを合計すると、私が提案している改革案には10年間でおよそ９千億ドルかかりますが、これはイラクとアフガニスタン戦争に使った額より少なく、前政権が始まったときに議会が可決した少数の富裕層のための金持ち優遇減税より少ない額です。費用の大部分については、既存の医療システムですでに費やされている財源から拠出します。これらの費用はひどい使われ方をしてきたものですが。この改革案は、われわれの財政赤字を増やしません。中産階級には、より高い税金ではなく、より大きな医療保障を実現します。毎年、１パーセントのほんの10分の１だけでも医療費の伸びを抑えることができれば、長期的には実に４兆ドルもの財政赤字削減になります。
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Add it all up, and the plan I&#39;m proposing will cost around $900 billion over ten years - less than we have spent on the Iraq and Afghanistan wars, and less than the tax cuts for the wealthiest few Americans that Congress passed at the beginning of the previous administration. Most of these costs will be paid for with money already being spent - but spent badly - in the existing health care system. The plan will not add to our deficit. The middle-class will realize greater security, not higher taxes. And if we are able to slow the growth of health care costs by just one-tenth of one percent each year, it will actually reduce the deficit by $4 trillion over the long term.
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<p>
　これが、私が提案する改革案です。民主党、共和党を問わず、今日ここにいる皆さんからいただいたアイディアを包括した改革案です。さらにこれから数週間にわたって、引き続き共通の基盤を模索していこうと思っています。本気で真剣な提案をしたいという人は、ぜひ私のところへ来てください。私は皆さんのご意見に耳を傾けます。私のドアはいつも開いています。
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<p>
This is the plan I&#39;m proposing. It&#39;s a plan that incorporates ideas from many of the people in this room tonight - Democrats and Republicans. And I will continue to seek common ground in the weeks ahead. If you come to me with a serious set of proposals, I will be there to listen. My door is always open.
</p>
<p>
　でも、ひとつだけ知っていて欲しいことがあります。この改革案を改善するより葬り去ったほうが政治的に好ましいという打算がある人との議論に、時間を浪費するつもりはありません。特定の利益団体が物事を今まで通りに保とうとお決まりの古い戦術を持ち出しても、私は断じてそれに力を貸したりしません。この改革案の内容を捻じ曲げ、事実を不正確に伝える人には、こちらから呼び出しをかけます。私は現状維持を解決策として受け入れるつもりはありません。今回は譲れません。今はそのようなときではありません。
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But know this: I will not waste time with those who have made the calculation that it&#39;s better politics to kill this plan than improve it. I will not stand by while the special interests use the same old tactics to keep things exactly the way they are. If you misrepresent what&#39;s in the plan, we will call you out. And I will not accept the status quo as a solution. Not this time. Not now.
</p>
<p>
　今日ここにお集まりの誰もが、何もしないでいたら何が起こるか知っています。まず、財政赤字が膨れ上がります。破産する家庭が増えます。倒産する企業が増えます。病気になって保険がいちばん必要なときに、補償を受けられない人が増えます。その結果、亡くなる人が増えます。そういったことが本当に起きるであろうことを、私たちは知っているのです。
</p>
<p>
Everyone in this room knows what will happen if we do nothing. Our deficit will grow. More families will go bankrupt. More businesses will close. More Americans will lose their coverage when they are sick and need it most. And more will die as a result. We know these things to be true.
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<p>
　だからこそ、私たちに失敗は許されません。この国には、私たちの成功に望みをかけている大勢の人々がいるからです。人知れず苦しんでいる人たち、公会堂での集会、メール、手紙などでその窮状を切々と訴えている人たちです。
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<p>
That is why we cannot fail. Because there are too many Americans counting on us to succeed - the ones who suffer silently, and the ones who shared their stories with us at town hall meetings, in emails, and in letters.
</p>
<p>
　数日前にも、そうした手紙を受け取りました。それは、私たちの最愛の友人であり仲間であったテッド・ケネディからの手紙でした。テッドは、自分の病気が末期だと聞いて間もなく今年５月にその手紙を書き、自分が死んだら届けて欲しいと頼んでいたのです。
</p>
<p align="left">
　テッドは手紙の中で、今日ここにいる家族や友人、妻のヴィッキー、子供たちの愛と励ましのおかげで、最後の数ヶ月間をいかに幸せに過ごせたかを語っています。そして、今年こそ、「この国の例の大きな未完成事業」と彼が呼ぶ医療改革法案が、ついに可決される年になるだろうと確信をもって表明しています。テッドは、この国の未来の繁栄にとって医療改革がいかに重要な役割を果たすかという真理を繰り返し述べましたが、「制度改革は物質的な物事を超えた精神にかかわっている」ということも私に思い出させてくれました。「私たちが直面しているのは、何よりもモラルの問題なのです。争点となっているのは、政策の詳細な内容などではなく、社会正義の基本理念とこの国の品格なのです」とテッドは書いています。
</p>
<p align="left">
　私はここ数日、この国の品格という言葉について何度も思いをめぐらせました。アメリカという国のユニークで素晴らしい点の一つは、その自立心、たくましい個人主義、激しいまでの自由の追求、そして政府に対する健全な懐疑心です。常に、政府にはどのくらいの規模と役割を与えるのが適当かというのが、激しく、ときには怒りも混じった議論の根源となっています。
</p>
<p align="left">
　テッド・ケネディを批判する人たちにとって、彼のリベラリズムはアメリカの自由とは懸け離れたものでした。彼らの目には、国民皆保険の実現に向けるテッドの情熱は、詰まるところ大きな政府の実現に向ける情熱でしかないと写ったのです。
</p>
<p align="left">
　でも、民主党であれ共和党であれ、テッドを知っていて、ここで一緒に働いたことのある人なら、彼を駆り立てていたものがもっと大きなものであったことを知っています。テッドの友人のオーリン・ハッチはそれを知っています。この二人は協力して、小児の医療保険の給付に取り組みました。テッドの友人のジョン・マケインは知っています。この二人は協力して、患者の権利章典に取り組みました。テッドの友人のチャック・グラスリーは知っています。二人は協力して、身体障害児への医療保険給付に取り組みました。
</p>
<p align="left">
　そういった問題に対するテッド・ケネディの情熱は、強固なイデオロギーからではなく、彼自身の経験から生まれたものです。それは、二人の子供がガンに罹ったという経験でした。テッドの心から、重病の子供をもった親なら誰もが感じるであろう真の恐怖と無力感が消えることはありませんでした。テッドはまた、医療保険に入っていない人にとって、その恐怖と無力感がどういうものなのか想像することができました。妻や子供や年老いた親に、「治る方法はある、でもそのお金がない」と言わなければならないとしたらどんな気持ちがするか、想像することができたのです。
</p>
<p align="left">
　その心の大きさ、人の窮状を気遣い思いやる温かさは、党利などではありません。共和党でもなければ、民主党でもありません。それもまた、アメリカの品格の一部なのです。他人の立場に立って考える能力。私たちはみな共に生きているという認識。誰か困っている人がいたら、他の人たちが来て手を差し伸べてくれるという信頼感。この国では、一生懸命に働いて責任を果たす人生は、安心と公平によって報いられるべきだという信念。そして、その約束を果たすために、ときには政府が介入する必要があるという知恵。これらもまた、アメリカの品格の一部なのです。
</p>
<p>
　それこそが、常にこの国の成長の歴史でした。1933年には、高齢者の半数以上が生計を営むことができず、自分の貯金が消えてなくなるのを何百万人もの人々が目の当たりにしたとき、社会保障年金は社会主義につながると主張する人たちがいました。でも、当時の議員は素早く救済に立ち上がり、今ではそれが良い結果となっています。1965年に、メディケアは政府による医療の乗っ取りであると一部の人が主張したとき、議員は民主党も共和党も引き下がりませんでした。すべての人が基本的に安心して老後を送れるよう、全員が力を合わせて取り組んだのです。
</p>
<p align="left">
　政府はすべての問題を解決することはできないし、またそうすべきではないということを、私たちの先輩は理解していました。個人の自由を制限してまで、政府が介入して安全保障を確保する必要はない場合もあるということを、先人の方々は理解していました。しかし同時に、度を越した統治も危険だが、少なすぎても同様に危険だということも理解していました。知恵のある政策という手を借りなければ、市場は崩壊し、独占が競争を押さえ込み、弱者は食い物にされてしまいます。そしてさらに、先人たちはこういうことも理解していました。政府の法案がどれほど慎重に練られたものであっても、あるいはどれほど有益なものであっても、それがことごとく冷笑の対象になってしまうとき、困っている人を助けようとする行為がアメリカ的でないと非難されるとき、事実と理性が打ち捨てられ、臆病だけが賢明な振る舞いとしてまかり通るとき、そして、真に重要な物事について互いに礼儀にかなった対話すらもはやできなくなってしまったとき、そのときに私たちは、単に大きな難題を解決する能力を失うだけではないのです。自分たち自身についての何か本質的なものを失うのです。
</p>
<p align="left">
　かつて真実であったことは、今でも真実です。私は、医療改革に関する議論がいかに難しいものであったかを理解しています。この国の多くの人が、政府が果たして自分たちの面倒を見てくれるのかどうかについて、極めて懐疑的であるということも理解しています。カン蹴りをするなら、カンはできる限り遠くへ蹴飛ばすほうがよい、つまり改革をもう１年、あるいは次の選挙まで、あるいは次の会期まで先延ばしにするほうが政治的には無難であることも理解しています。
</p>
<p align="left">
　でも、今この瞬間に必要とされているのは、そのようなことではありません。私たちは、そのようなことをするためにここに来たのではないのです。私たちは、未来を恐れるためにここにやってきたのではありません。未来を形作るためにここにいるのです。私は今でも、たとえ困難なときでさえも行動することはできると信じています。今でも、辛辣を礼節に、行き詰まりを進展に替えることができると信じています。今でも、私たちには大きなことを成し遂げる力があると信じています。今すぐこの場で、歴史の試練を乗り越えることができると信じています。
</p>
<p align="left">
　なぜなら、それができるのが、私たちアメリカ国民なのだから。それが私たちの天分、それが私たちの品格なのだから。ありがとうございました。皆さんに神の祝福がありますように。アメリカ合衆国に神の祝福がありますように。
</p>
<p align="right">
(医療経済研究機構　専務理事　岡部陽二)
</p>
<p>
（2009年11月10日、医療経済研究機構発行「医療経済研究機構レター（Monthly IHEP）」No.181、p29～43所収）　
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>＜ずいひつ＞オバマ大統領の医療改革演説に想う</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/medical/post_186.html" />
   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.329</id>
   
   <published>2009-11-09T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-10-30T05:38:42Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; 　 &nbsp; 　オ...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="008医療経済論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.y-okabe.org/">
      <![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091110ZaikaiObamaLogo.jpg" alt="091110ZaikaiObamaLogo.jpg" width="201" height="200" align="right" />
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<p align="left">
　
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<p align="left">
　オバマ大統領が、去る9月9日に、連邦議会の上下両院総会で行なった一時間に及ぶ異例の演説は印象的であった。これは医療改革に絞って、その遂行を議員だけではなく、全米国民に向けて「今こそ行動を起こすときが来た」とその実現に不退転の決意を表明し、賛同を訴えたものである。その直後の世論調査ではオバマ支持が急増した。これをもって米国でも皆保険がすぐに実現すると見るのは時期尚早ではあるが、大きな山を越えたのは間違いない。この改革の一つの柱は、従業員五十人以下を除くすべての企業に従業員に対する公的保険による医療給付を義務付ける点にある。<br />
<br />
　米国の企業も医療保険料の雇用主負担増を嫌っているが、企業としても社会的責任を果たすためには応分の費用負担は当然と受けとめる倫理観が要請されて然るべきとの世論に押され、市場原理一辺倒の考え方からの転換が見られる。<br />
<br />
　ドイツも今年から皆保険国の仲間入りをしたが、労使折半で負担している医療保険料率は給与の15.5%、フランスは13.9%と、わが国の組合健保単純平均7.3%に比べて、ほぼ二倍の水準である。米国は企業の負担割合が7割を超えているので、企業負担はさらに高い。欧米の企業が、これ以上の医療保険料負担には耐えられないと悲鳴をあげているのは当然であろう。<br />
<br />
　それでも、オバマ大統領は演説の中で、改革の成就を見ることなくこの8月に亡くなった同志の故エドワード・ケネディー上院議員からの手紙の一節「医療制度が我々の将来の繁栄のために決定的に重要であるのは、何よりも倫理の問題である。俎上に上っているのは単なる改革案の詳細などではなく、社会正義の基本原理と我々の国のかたちなのである」を披露して、国民の共感を求めている。<br />
<br />
　ところで、私の監訳で今年初めに出版したハーバード大学経営大学院レジナ・E・ヘルツリンガー教授著「米国医療崩壊の構図～ジャック・モーガンを殺したのはだれか？」は、まさにオバマ大統領による改革が必要とされる病因を究明し、国民皆保険へ向けての処方箋を示した好著である。<br />
<br />
　本書の著者が憂いている現在の米国の医療システムは、その巨大なコストとは裏腹に、国民に満足を与えていない。腎臓疾患を患った個人事業主のジャックは、腎臓移植の順番を待っているうちに亡くなった。彼は保険に入ってないわけでも、医者嫌いだったわけでも、手遅れになるまで診察を受けなかったわけでもないのに、移植手術を受けられなかったのである。彼を殺した犯人はだれなのか？　容疑者は，医療保険会社・非営利を謳う大病院・雇用企業・政府・医療専門家たち五人である。<br />
<br />
　①保険会社は、患者の満足度よりも、医療費に関心が高く、すべてにNoを突き付けている、②非営利を謳う大病院は、規模の拡大に奔走して非効率化し、患者にとってもリスクが高くなっている、③雇用企業は、本来従業員に分配されるべき保険料を税制優遇や運用のために利用しているにもかかわらず画一的な医療保険を選び、患者の医療給付の選択の自由を奪っている、④政府や役人は、市場を無視した、お仕着せの医療プランで患者の選択肢を狭めている、⑤医療専門家も知識のない患者に情報を与えても賢い選択はできないと主張している、と著者の糾弾は手厳しい。<br />
<br />
　結論は、これらの介入を排して、医師と患者が医療市場で直接話し合うことで、良質で安価な医療を効率的に国民に提供できると、オバマ改革の進むべき道筋を示している。
</p>
<p align="right">
<br />
（<strong>岡部陽二、</strong>元広島国際大学教授、元住友銀行専務取締役）
</p>
<p>
(2009年11月10日、㈱財界研究所発行「財界」秋季特大号p157所収)
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]>
      
   </content>
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<entry>
   <title>『東洋経済新報社百年史』に刻まれた父の事績</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/writings/post_184.html" />
   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.323</id>
   
   <published>2009-10-24T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-10-20T10:26:55Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp; 　１９９６年１０月のある日、東洋経済新報社の浅野純次社長が、突然...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
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         <category term="005雑文集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.y-okabe.org/">
      <![CDATA[<p align="right">
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<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091001touyoukeizai100nenshiLogo.jpg" alt="091001touyoukeizai100nenshiLogo.jpg" width="150" height="206" />
</p>
<p>
　１９９６年１０月のある日、東洋経済新報社の浅野純次社長が、突然当時の私の勤め先にお見えになり、出来上がったばかりの『東洋経済新報社百年史』をご恵贈いただいた。
</p>
<p>
　浅野社長とは、その年に友人の紹介で入会した和光経済研究所の証券研究会でたまたま知り合い、「東洋経済新報社には、１９９１年に亡くなった私の父が、短期間ですが、お世話になっておりました」と話した。浅野社長はこれを憶えておられて、自社の百年史のなかの二ヵ所にその父の名前が出ているのを見つけるや、すぐにお知らせいただけたのはまさに僥倖であった。
</p>
<p>
　父は１９３２年５月に東洋経済新報社に入社、５年間在籍して、３７年３月には、京大の大学院へ戻るために、辞職している。新入社員としてわずか５年間末席を汚していただけの父の活動記録２件が、６０年を経て活字になろうとは、想像もできない出来事で、ただただ吃驚するばかりであった。この百年史が完成する５年前に亡くなった父が知れば、もっと驚いたことであろう。
</p>
<p>
　１，２００頁を超える百年史を通読して、社員を大事にする東洋経済の社風とその記録を活字にして残そうとする真摯な努力に頭が下がった。そこで、このような幸運を私一人の心のうちに留めておくだけではもったいないので、私事にわたる話ではあるが、一人でも多くの方に知っていただきいと思い、筆を執った。
</p>
<p>
　最初の記述は、社内の研究会活動で貢献したという内容である。百年史から全文を引用する。「活発化する社内活動＜木曜研究会＞原則として木曜日の夜に主幹室または会議室で研究報告と討議を行うほか、工場見学、名著の研究なども行なうこととなっていた。「インフレーションに就いて」というテーマで第一回が１９３２年１１月１７日に開かれ、<strong>岡部利良</strong>が石橋湛山『インフレーションの理論と実際』について報告した。話は発展して資本主義の進展性といった様な問題にも及んだが、意見の相違が随所に見られたという。」(４０６頁)
</p>
<p>
　父はマルクス主義経済学の信奉者であったが、当時まだわが国ではほとんど知られていなかったケインズの著作も読んで、彼の理論を石橋湛山にご進講したと生前に語っていた。ケインズの『<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%87%E7%94%A8%E3%83%BB%E5%88%A9%E5%AD%90%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%90%86%E8%AB%96" title="雇用・利子および貨幣の一般理論"><span style="color: #000000">雇用・利子および貨幣の一般理論</span></a>』が発刊されたのは、一九三六年であるから、かなり早い時期にケインズにも注目していたようである。
</p>
<p>
　次の記述は、当時の言論統制下でマルクス研究者がひどい目に遭わされた記録である。かなり長いので、一部を割愛して引用する。「１９３３年６月末、小熊孝と栂井義雄が特高警察の取調べを受け、８月にこれと関連して５名が堀留警察署に出頭する事件が起こった。容疑の内容は編輯部の小熊、栂井が中心となって『赤旗』の読者会を開き、一ヵ月１００円程度の資金を集めて共産党に提供していたというものである。これを機に７月、編輯局の大原万平、<strong>岡部利良</strong>、根津知好、前田潔巳、石原清子らが堀留警察署に出頭して取調べを受け、手記を書いて放免された。(中略)
</p>
<p>
　その間、石橋主幹は警視総監、検事正らを訪ねて寛大な処置を依頼すべく奔走した。結局小熊だけが起訴留保となり、そのほかは全員不起訴となった。事件が落着したあと石橋主幹はホールに全員を集め、不祥事件の概略を説明するとともに、関係者全員を社にとどめることを発表した。当時、治安維持法にかかわった場合は勤め先を追放されるのが普通だったが、全員が従来の職務に復帰した。
</p>
<p>
　石橋主幹は、関係者を社にとどめる理由を次のように述べている。『私は社の責任者として今度の事件にどのような裁断を下すか日夜悩み苦しんだ。夜半ふと目をさまし、バイブルの一節を思い起こした。それは、九九匹の仔羊を捨てておいても一匹の迷える仔羊を救わなければならないという言葉であった。私は、今度の事件関係者に、今までどおり社で働いてもらうことにした。私の気持をくみとって、どうか諒承してもらいたい』（『石橋湛山全集』第９巻解説）」（４０９頁）
</p>
<p>
　父は京大在学中にも同様の思想事件に巻き込まれ、京都の川端警察署に長期間留置されていた。それが原因で、３月には卒業証書を貰えず、学業履歴は１９３２年７月卒業となっている。東洋経済には、３月卒業予定という条件で採用され、５月に入社していたが、卒業の遅れも太っ腹の石橋湛山のおかげで、不問に付された由である。
</p>
<p>
　それにしても、一新入社員の動静が６０年後の刊行物に活字となって再現されたのは、やはり言論界の雄を自負し、何でも記録に留めてきた東洋経済新報社の企業風土に根ざしているものと考えられる。このような観点から『東洋経済新報社百年史』を改めて眺めて見ると、じつに面白い。以下にいくつかのユニークな点を摘記したい。
</p>
<p>
　まず、この百年史には、父だけではなく、設立来の２，３００名に上る社員のかなりの方の活動状況が実名入りで記述されており、巻末には全社員の名簿と索引が付いている。一方経営陣の動きについては、同社中興の祖である石橋湛山を除いては、あまり目立たないように抑えられている。要するに、東洋経済の歴史は全社員の精励の成果であることの実証を試みたドキュメンタリー構成となっており、読んでいて飽きない。
</p>
<p>
　創業来の社員を大事にし、その活動記録を保存してきた東洋経済の社風に驚くとともに、この百年史はまさに「社史の鑑」と感じ入った。この百年史は１９９８年に日本経済史研究会から「内容が充実し、記述が生き生きしている」と高く評価され、「優秀会社史賞・特別賞」を受賞している。さらに、１９９６年度の日本出版学会賞の候補作品にもとり上げられたが、出版研究の対象とするには無理があるとして対象外となったのは残念である。
</p>
<p>
　じつは、私も在職中に『住友銀行百年史』の編集に関わり、編集委員に頼まれて提供した国際関係の出来事が行史にとり入れられた。しかしながら、住友銀行の社史は財務や営業の記録が中心で、役職員の活動記録の記述はほとんど見られない。さらに、同行は、会長・頭取を除いては、役職員の個人名は原則として出さないという東洋経済とは正反対の編集方針を貫いている。その是非は別として、実名が出ていない歴史は読んでも面白くない。『東洋経済新報社百年史』では、実名入りのおかげで、父の息吹が蘇った思いをしたが、多くの関係者が同様の感慨に浸っておられることであろう。
</p>
<p>
　このように社員一人一人の言動を記録に留めるという社風がどのようにして醸成され、永年にわたって保持されてきたのかを知りたいと思い、この百年史の編集後記に編集担当者としてお名前が出ていた山口正氏にお会いして、その間の事情をお伺いした。山口氏によれば、東洋経済には全社員の動静をかなり詳しく記録した「社内報」が毎月発行されており、その中から目ぼしい出来事を取捨選択されたという話であった。山口氏がもうお一人の編集担当の角田昭氏に照会されたところ、何と１９７５年に父が『週刊東洋経済・創刊８０周年記念号』についての感想を同社に書き送ったハガキの現物を私に進呈いただいた。このハガキのなかで父は「いつも記事執筆に追われながらも、とにかく自由な空気のなかで楽しく過ごさせていただいたことを今でも感謝している次第です」と述懐している。
</p>
<p>
　次に、本書の経営編は業務組織の変遷や社員の業務活動の記述に限定され、通例の社史のように財務、営業についての言及はほとんどなされていない。売上や利益の推移も掲げられていない。これは、同社は１９２１年に株式会社に改組されたが、株式会社といっても、それは「世を忍ぶ仮の姿」であって、実態は社員全体からなる結社という意識が強く、石橋湛山は、実態は「東洋山経済寺」だと語っていた由である。このような社是が脈々と繋がって今に生きているものと感慨を新たにした次第である。
</p>
<p align="right">
（岡部陽二　元住友銀行専務取締役・元広島国際大学教授）
</p>
<div style="text-align: center">
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</div>
<p>
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</p>
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（2009年10月25日、財団法人・日本工業倶楽部発行「会報」第230号p14～18所収）
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<p>
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</p>
<p>
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</p>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>㈱メディカル・プリンシプル代表取締役社長中村敬彦氏とのMonthlyIHEP有識者インタビュー「より良い医療を実現するための『民間医局』の取組み」</title>
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   <id>tag:www.y-okabe.org,2009://1.322</id>
   
   <published>2009-10-12T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-10-17T23:47:41Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp;&nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; 話し手：㈱...]]></summary>
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         <category term="009インタビュー記事" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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&nbsp;&nbsp;
<p align="left">
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<p align="right">
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<p align="right">
&nbsp;
</p>
<p align="right">
<strong>話し手：㈱メディカル・プリンシプル社　<br />
代表取締役社長　</strong><strong>中村　敬彦　氏</strong>
</p>
<p align="right">
<strong>聞き手：医療経済研究機構　<br />
専務理事　</strong><strong>岡部　陽二</strong>
</p>
<p align="left">
　今回は医師の人材紹介業界最大手と目されている㈱メディカル・プリンシプル社の中村敬彦社長に、「民間医局」を指向した同社のビジネス・モデル構築のご苦労についてお伺いし、併せて医師不足や偏在の解消策についてのご意見を拝聴しました。
</p>
<p align="left">
　同社は、札幌から福岡まで全国主要都市に支社を開設、従業員140名で年間の紹介手数料収入20億円、経常利益2.5億円を計上、急速に業容を拡大中です。全国の病院勤務医から頼りにされる存在として、医師の効率的配置や研修医の育成支援にも寄与されています。
</p>
<p align="left">
　中村社長は1964年早稲田大学政経学部を卒業後、日本長期信用銀行へ入行、1993年第一証券常務取締役、1997年に㈱第一キャピタル代表取締役社長に就任されました。
</p>
<p align="left">
　㈱メディカル・プリンシプル社は1997年１月設立後、間もなく業績不振に陥り、1999年に中村氏が同社取締役に就任して再建を託され、2000年からは社長として経営基盤の確立に尽力されてきたものです。
</p>
<p>
<strong>〇㈱メディカル・プリンシプル社の経営と「民間医局」の発想について</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：「民間医局」機能の事業化という発想はどこから出てきたのでしょうか。起業の動機について、お話しください。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：私どもは、従来の「大学医局」とは対極に位置する「民間医局」が必要だとの発想のもとに事業を始めました。また、同業者の方々には、失礼な言い方になりお叱りを受けるかも知れませんが、これまでの人材紹介業者のやり方は、いわば「出会い系サイト」づくりです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：「出会い系」と言いますと。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：「給与はいくらで、こうした勤務条件で仕事をしてくださる方を探しています」という求人企業と新しい職場を探している求職者をマッチングさせて、それでおしまいなのですね。ところが、医療の世界で、腕に自信がある質のよい医師は、そういう単純な条件でマッチングに応じることは、まずあり得ない話です。
</p>
<p align="left">
　もちろん、「出会い」自体はきっかけとして重要ですが、新しい職場を求めている医師は、求人をしてきた病院に、その病院はどのような医療を指向しているのか、どういう方とチームを組んで医療を展開したいと考えているのかなどといったことを、自分なりにお考えになっています。
</p>
<p align="left">
　新しい職場に移っていく優れた医師の場合には、そうしたことを理解するプロセスが必須であり、私どもはそのようなプロセスを大事にします。こうした方法論で10年間ずっとやってきました。そういうことをしている人材紹介会社は、ほとんどないでしょう。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：外資系の人材紹介会社には、いわゆる「ヘッドハンター」と大企業のCEOやCFOを一本釣りで注文に合わせて探す「サーチャー」がありますが、御社のモデルはこのサーチャーに当たりますね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうですね。サーチャーとは考え方が微妙に違いますが、手作りという点は共通しています。私どもの戦略では、優れた医師をいかにして私どもの世界に囲い込むかという点に特色があり、その場限りの斡旋業務とは一線を画しているつもりです。
</p>
<p align="left">
　私どもは医師の人材ネットワークを作り、それを長期にわたって大事に育てています。当然、医師の先生方は、今すぐに仕事を変えたいという方ばかりではありません。たとえば、医局の上司である教授が３年後に退官されるとすると、その次にはどういう教授が来るのかは不透明です。自分の将来設計に合いそうな上司が来る可能性と、来ない可能性を勤務医の先生方は測っておられるのです。そういう状況で、もしかしたら、３年後には転職するかも知れないという方が、私どもに事前に登録していただく仕組みを作っているのです。
</p>
<p align="left">
　そういう意味で、すぐには転職を希望されない医師も含めて、私どもには人材のネットワークがあるのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：既存の医師紹介が、ややもすると一匹狼的な医師に働く場を提供するという印象であったものを根底から覆して、地道に働いておられる普通の医師のキャリア形成に長期的な視点で取り組んでおられるわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：はい。そのネットワークの中の医師の皆さんにこんな情報があります、こういう情報もありますということをお伝えし、その情報にご興味ある方が手を挙げられたら、その方と具体的な話をさせていただきます。また、たとえば、自分はこの分野の専門医を採ってくれるような病院で、給与はこのぐらいのところで、地域は東京都内でなど、という条件が出てきたときに、私どもはそれにお応えできるような病院を探すわけです。医師側のご希望に合いそうな病院を三つから五つくらい選びまして、ご提示するようにしています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：なるほど。大変な手間を掛けられるのですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そこで、ようやく医師のご興味のある病院がセレクトされましたら、その病院にお引き合わせします。お互いの希望条件が100％マッチすることは、むしろ少なく、たとえば月給150万円というご希望があっても、病院側ではそこまでは出せないというケースでは、当社が中に入って医師の先生にはどのぐらいまで譲歩していただけるのか、病院側にも何らかの工夫ができないものかという交渉の橋渡しや調整をします。
</p>
<p>
<strong>〇㈱メディカル・プリンシプル社のビジネス・モデル</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：御社の業務が手作りのプロの仕事であることはよく理解できました。大学病院の医局には、そこまで医師の意向を尊重した紹介は期待できませんから、「民間医局」の主要な顧客は優秀な医師を求めるレベルの高い病院ということになりますね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：ご案内の通り、どこでも医師不足ですから、私どもにとっては、よい医師の先生のご登録があれば、絶対によい仕事ができます。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうすると、まず開拓するのは、病院ではなく、医師がターゲットになるわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうです。病院ではなく、医師が大事です。ドクターの確保が肝心です。まず、よい医師に私どもに関心を持っていただいて、良質な母集団があれば、どこの病院でも関心を示してくれます。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：では、病院を探す必要はないわけですね。でも、手数料は病院から貰うわけですね。
</p>
<p>
<strong>中村</strong>：そうです。費用は病院からいただきます。医師からは一銭もいただきません。法律的にもそういう仕組みになっています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：病院は、全国に9,000しかないですから、フォローするのは難しくないわけですね。医師は25～26万人ですから、大変ですね。
</p>
<p align="left">
　医師に限定した人材紹介業の数や業界シェアといったものは判らないのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：広く捉えると同業者は、すくなくとも30社以上はあると思いますが、同業の協会もなく、シェアなども掴めません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：でも、御社がトップと言われていますね。医師紹介専業の従業員を140名も抱えて全国展開しておられる専業の企業は、ほかに見当たりませんから。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：多分、断トツだとは思いますが、それを証明する統計は何もないので、世評ということでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：人材プールを整えたとしても、転職の希望がコンスタントに出てくることはないでしょうから、安定したビジネス・モデルを作るのは難しいでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：おっしゃる通り、紹介事業というのは、安定的に必ずある確率で仕事が成り立つことは、まずほとんどあり得ません。本当に偶然にいろいろな条件がうまく重なったときに初めて成功します。そのような偶然の積み重ねで成り立っているのです。ですから、ルーティンの仕事で土台をしっかりと作っておかないと安定的な経営基盤は確立できません。
</p>
<p align="left">
　その安定的基盤として、私どもは、非常勤のお仕事の紹介をしています。今は、医師不足ですから、本来は常勤で埋めないといけないけれども、常勤の先生がいらっしゃらない。その穴をどうやって埋めるかというと、アルバイトの先生が埋めているわけです。もちろん、大学の医局からも送っていますが、私どももアルバイトのご紹介をしているのです。非常勤のご紹介の仕事もルーティンのデイリーワークとなっています。
</p>
<p align="left">
　要するに、患者さんが困ることがないよう医療現場の隙間を埋めていく仕事です。そして、そういうかたちで、病院との日常的な関係ができます。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：常勤と非常勤とでは、収益面ではどちらが大きいのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうですね。売上ベースで見ると、ちょうど半々です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：半々ということは、医療の世界でも、非正規が増えていると考えてよいのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：現象的には似ていますが、そのニーズがどちら側にあるかという背景には違いがあります。ただ、私どもとしては、非常勤のお世話をすることによって、医師の先生方との日常的な接触もでき、病院にも常時接触できるメリットがあります。非常に安定的な収益基盤にもなっています。実はそこが、先ほど申し上げた医師をネットワーク化する非常に大きなチャンスになっているのです。非常勤のニーズは、どの医師もお持ちです。とくに大学病院は薄給ですから、研究日にはどこかでアルバイトをしなければなりません。よい先生ほど非常勤のお仕事にはマッチするのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それはそうでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：よい医師とのご縁が日常的な非常勤先の紹介でできますので、よい医師がそこでプールできます。そうすると、仮に３年後にその医師が転職されたいというときに、私どもがお世話するというような、サイクルを作れるのです。常勤の医師は、平均的には３年から５年に１回ぐらい、仕事場を変わります。医師が３年か５年のサイクルで動くときに、われわれが登場できる仕組みを作るためには、日常的に毎日お付き合いできる非常勤の紹介も重要な業務です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：紹介手数料の基準は、それぞれどうなっているのでしょうか。常勤であれば、たとえば給与の３カ月分といったフィー・スケジュールが決まっているのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：私どもは、常勤・非常勤ともに想定賃金の20％をいただいています。アルバイトも一緒です。たとえば、１日だけご紹介すると、だいたい日給10万円ぐらいですから、２万円ぐらいが私どもの収益になります。常勤の場合には、年間給与が1,700万円とすれば、それの20％をいただきます。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：年間給与の20％であれば、３ヵ月分より少ないわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：少ないです。多分、先ほどおっしゃったサーチャーの業界で通用している料率は、安くても想定賃金の30％くらいではないでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：では、フィー・スケジュールとしては、非常に競争力があるわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：いいえ、医療の世界ではそうとも言えません。私どもは、20％のフィーをお願いしていますが、医師の人材紹介専門の他社さんでは５％とか10％でご商売をされてきたのです。私どもが紹介を始めた10年前には、もうすでにそういう紹介会社がたくさんあって、それが市場価格となっていたのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それでは、なかなか事業として成り立ち難いですね。
</p>
<p>
<strong>中村</strong>：それにもかかわらず、成り立っているのは、最初に申し上げたように「出会い系サイト」だからです。一回限りの商売で終わりという話なら成り立つのでしょう。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そういう業者は淘汰されて減っていくのではないでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：やっていけるとしても、それでは、医療界に貢献はできません。そういう状況にあったので、精一杯頑張って20％の価格体系を浸透させるのに、ものすごく時間が掛りました。同業の皆さんが、５％や10％が業界の常識と思っているときに、私どもは20％と申し上げたわけですから。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：確かに、非常勤の場合は、単なる出会い系と割り切れば、20％というのは高いような気もしますね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：でも、非常勤のほうが手間は掛かりますから、非常勤のほうが利益率はたぶん低いと思います。そういう意味では、決して不当に高いとは思っていません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それはそうですね。医師に対して、ライフプラン・サービスだとか、ナレッジ・サービスだとか、いろいろなサービスを提供しておられますが、そういう無料のサービスには、相当お金が掛かっていますね。「ドクターズマガジン」を毎月発行される費用も大きいですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうです。これは全部持ち出しです。こういうことは、あまりオープンにしにくいのですが、病院からいただいた20％の原資で、毎月の雑誌も出し、医師に対する福利厚生のサービスも提供し、あるいは、保険やベビーシッターの斡旋といったことまで手掛けています。
</p>
<p align="left">
　こういったサービス提供で、医師の登録を増やすことができますから、さきほど申し上げたプールが大きくなるのであれば、それでよいと割り切っています。「ドクターズマガジン」には、年間１億円近いお金を使っていますが、この雑誌のお蔭で、多くの先生に私どもの会社を信用していただけるのです。
</p>
<p align="left">
　私どもは財閥系の会社でもなく、どこの馬の骨か分かりませんが、「ドクターズマガジン」に登場いただいているご高名な先生方と付き合っている会社だから信用できるな」という安心感や信頼感を医師の皆様に持っていただけることで、よい先生のご登録が増えているのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：手数料の収入が年間20億円で、雑誌だけで１億円の出費は大きいですね。
</p>
<p align="left">
　でも、「ドクターズマガジン」に連載されている「ドクターの肖像」は読み物として迫力がありますね。８月号（表紙下掲）に出ているカリフォルニア大学と新潟大学兼務の中田力教授の医療改革論は読み応えがありました。
</p>
<div style="text-align: center">
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/091013DctorsMagazine.jpg" alt="091013DctorsMagazine.jpg" width="240" height="312" />
</div>
<p>
<strong><br />
中村</strong>：ご評価、ありがとうございます。この雑誌は毎月５万部出しておりますから、医師への影響力は相当あるものと自負しております。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうですか。それに、140人の社員を食べさせていかれるのは、大変なことですね。最終利益は、どのくらい出しておられるのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：今期は、たぶん、最低でも２億５千万円くらいの利益が出せる予定です。
</p>
<p align="left">
　毎月、１億円強の経費が掛り、その６割ぐらいが人件費で、４割がIT絡みの市場に対して告知するための投資費用や雑誌の費用などです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：これだけの高収益会社であれば、上場されてもよろしいのではないでしょうか？
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そろそろ、そういうことも視野に入れたいと思ってはいますが、いまのところ、上場することのメリットは何もありません。社員の採用にも苦労はしておりません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：確かに、上場のメリットはないですね。手元資金も豊富で、新規の資金も要らないわけですから。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：下手に上場しますと、逆に、偏差値の高い学校の卒業生に来られて、ひ弱な集団になってしまう懸念を持っております。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それが日本の悪いところですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：しかも、市場からあれこれ言われるようになりますと、今のように自由な経営も出来なくなるおそれがあります。たとえば、株主から「ドクターズマガジン」に１億円も使うのは無駄だから、これを利益に回せと言われたときに、なかなか説明のし方が難しいですね。そういう意味で、自由度を失うのは避けたいと思っています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：なるほど、御社の企業理念はよく分かります。でも、理念とは逆に、たとえば社会性に欠けるような医師が応募してくることもあり得ますね。そういう場合には、どうされるわけですか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そういう方は、医師でなくても、一般社会でも、どんな一流企業でも、必ずおられます。学歴は立派だけれど、たとえば精神的に不安定な方とか、ちょっと性格が偏っておられる方です。私どもは、そういう医師にも日本の医療の中で一定の役割を果たしていただきたいと思っていますので、病院には「こういう面で、ちょっと問題が起きる可能性があります」とはっきりと申し上げて、たとえば、一定期間アルバイトでトライアルをしてくださいといった対応をしています。医師にも病院を見ていただくし、病院側からもその先生を見ていただいて、お互いに納得してもらえれば、そこで契約していただくというふうに、お互いの行き違いがないように努力しています。
</p>
<p align="left">
　私どもはどんな医師でも無定見に「よい先生ですから」というかたちで、推薦はしません。医師だけが完璧な人間であるということはあり得ませんので。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：営業マンは、140人のうち半分ぐらいでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：いいえ。たぶん、140人のうち、90人ぐらいが営業マンです。営業マンは医師担当と病院担当に分けています。医師の希望を把握するチームから具体的な条件が見えてきたら、その段階でマッチング会議に出します。そこで、今度は、病院側のチームが、その医師の希望に合いそうなところを必死になって探すわけです。日常的にそういうやり取りしてれば、「ここがありますよ」と、すぐに適当な病院が出てきます。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：一人の営業マンが両方には当たらないわけですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：最初のうちは、一人でやっていましたが、これだけの業容になりますと、データベースもちゃんと作って検索できるようにはしてありますが、やはり、担当は専門化して、両者の生々しい微妙な条件のやりとりは、会議でやり合ったほうがよいので、今の体制に落ち着きました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：一人で双方代理をするよりも、複数で議論を尽くしたほうが、事後のトラブルが少なくなるでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうです。営業マンの好き嫌いも出たりしますから、客観化するためには、やはり、それぞれの立場を分けるほうが理想的です。
</p>
<p align="left">
<strong>〇医師以外の病院管理者・事務長の紹介、研修担当職の支援について</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：臨床医だけではなく、有能な病院経営者の斡旋の需要が増えているのではないかと思いますが、経営者や病院管理者の紹介は考えておられないのでしょうか。今後、事業を拡大されるなら、もちろん看護師とかコメディカルとかも考えられると思いますが、最重要は病院経営者ではないかと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：やはり病院のトップは医師でなければと思いますが、これだけ病院経営が難しい時代になったら、トップを補佐する事務長の役割が強化されないとダメではないでしょうか。しかし、現実には大多数の事務長は、病院管理者からの指示だけを忠実に履行すればいい、という限られた領域だけを守るところにおかれてしまいがちです。強力な事務長を育成して病院管理業務のラインを強化することが喫緊の課題と思っています。そこは民間人が大いに関われる仕事でしょう。不幸にして有能な民間人が、不況になって失業したりしている今日ですから、医療に興味を持って、医療の勉強をされたうえで病院に入っていくという流れを作れたらと考えています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：数は少ないけど、熊本済生会病院の正木義博さんのようにメーカーから転身された優秀な事務長もおられますね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうです。でも、あの方は、希有な存在です。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>：それと、事務長以上に重要なのは、このあいだ亡くなられた武弘道先生のような医師としても経験豊富な病院管理者ですね。病院の経営は、一般企業から入ってきた方でもやれないことはありませんが、やはり、医療現場で人事管理を経験して来られた武先生のような医師が最適と考えています。
</p>
<p align="left">
　医師をうまく使う能力は、自らも臨床を経験された優秀な医師のほうが勝っています。ですから、病院管理者の人材紹介は、まさに医師の延長ではないかと思うのですが。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：おっしゃる通りです。経営と臨床は二人三脚ですから、できれば、経営のトップは医師であるべきだと思っています。そのトップの方をサポートする、たとえば経営分析をする、病床稼働率が90％台を常にキープするような管理手法を開発する、といった有能な助言者がいれば文句なしです。このような管理業務を院長が全部やるのは、無理です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：大病院では、医師の病院管理者が臨床から完全に離れて管理業務だけに専念すれば、結構成果は上がるものと思いますが。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：実は私どもも、10年来の旧知の仲である武先生には顧問を引受けていただいたので、先生の「タケイズム」と言われていた経営哲学には興味を持っていました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：確かに、カリスマ的で、ほかの人には真似ができないオーラがありましたね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：しかし、組織としてうまく回るような仕組みを作る人材という話になると、武先生のイメージとはちょっと違うのではないかと思っています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうなると、やはり、米国のように、医師をMBAコースに入れて再教育して経営者にするというのがベストではないでしょうか。医療経営のノウハウを持った人材斡旋ができればよいのですが、そういう人材は希少ですから。まず、再教育の支援を御社で手掛けられては如何でしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：それは名案ですね。徐々にレベルアップするかたちで、人材育成をして、医療界に送り出せるような方策を考えていきます。かなり先の夢になると思いますが、ぜひやっていきたいと思っています。
</p>
<p align="left">
　話は変わりますが、研修制度が導入された結果、病院で何が起きたかというと、研修医を教える人がいない、という悩みです。立場上は研修担当がいるのですが、教え方を知らない人が教えているわけです。皆さん、右往左往されているといった感じでした。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：どうも、そのようですね。わが国の大学病院は研究が中心で、臨床と教育は従と言う考えで運営されてきたからですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうです。日本の医学界では、教えることがメインテーマではなかったわけです。まず研究論文を書くということが第一で、ついでに臨床をやり、教育は場外というのが、これまでの実態でした。米国では、見事に三つの機能をそれぞれの先生が役割分担して遂行しています。
</p>
<p align="left">
　この面では、日本は明らかに立ち後れているので、私どもが「臨床研修教育をする方のための教育プログラム」を立ち上げて支援しています。東京都の都立病院群とか、済生会病院などの研修指導者の方を対象に&quot;ハウ・トゥ・ティーチング&quot;のプログラムを１年間にわたってお手伝いをしています。
</p>
<p align="left">
　私どもがこのような仕事をこなせるのは、日本中の優れた医師の先生方との人脈を持っているからです。私どもは学閥とは関係がない一方で、病院は全部学閥で固められています。そうすると、よい先生を見つけようと思っても、自分の大学の中でしか探せません。ところが、実際には、別の大学にその分野のよい医師がいらっしゃるというケースも多いのです。私どもは、学閥を超えたお付き合いをしていますから、日本中で一番よい医師を見つけることができるのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：その人脈で臨床研修のための教育プログラムを作っておられるのは、素晴らしいことですね。
</p>
<p align="left">
　ただ、これは医学に限った問題ではありませんが、教育の最大の問題は、研究は客観的に評価され、それが待遇や報酬にも結び付きますが、教育職の実績評価は全くなされていないことだと思うのですが。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：確かに、臨床の評価はようやく緒につき始めましたが、教育の評価はゼロです。また、教育にはお金がつきません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：教育は評価も投資もゼロの社会ですね。私も、銀行を辞めてから大学教授を７年間やっていて、本当に驚いたのは、私が他の教員を評価することもなければ、私が評価されることもない緊張感のない真空状態で仕事をしている状況にあったことです。評価のない世界で、教員が真面目に学生の教育に取り組むのか、本当に疑問に思いました。ですから、そもそも「教員」であるにもかかわらず、研究ばかり一生懸命やって、教育はおざなりになっているのです。医学の場合は、それがもっとも極端かも知れませんね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：おっしゃる通りです。私が厚生労働省に異議を申し立てたいのは、臨床研修制度がスタートして、事前に何を研修しなさいということは明示されたのですが、出口でそれをきちんとクリアしたかどうかは、誰もチェックしない仕組みになっていることです。評価抜きで、預かった病院の先生が判を押せば、それを国家的に認めてしまうという制度になっているのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：評価をしないで、研修の質がどうのこうのと言うのはおかしいですね。当初の目的に沿った履修がきちんとできたかどうかの検証チェックは最低限必要です。
</p>
<p align="left">
　確かに、教育とか医療とかいう分野の評価が難しい事情はよく分かりますが、お互いに仲間が見ているわけですから、ピアレビューをやらせればすぐ分かると思うのですが。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：おっしゃる通りです。そうすれば、すぐ分かります。少なくとも初期の研修は、そんな難しい話ではなく、ポイントは明確に見えているので、評価は誰でもできるはずなのです。ところが、これが研修プログラムには入っていません。
</p>
<p align="left">
　そこで、それに絡んだNPO法人も立ち上げ、私どもが黒子で支える形で、臨床研修での医学教育を充実するためのセミナーを開いたりしています。これは、私どもの利益にはまったく寄与しませんが、そういうことにご関心がある先生方は、私どもが一番期待している医師でもありますので、シナジーがあると思っています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：大学病院の医局については、弊害ばかり指摘されています。都心の大学病院には、そもそも医局は要らないかもしれませんが、地方では地域医療体制の要として、重要な機能を果たしているのではありませんか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：はい。それはおっしゃる通りです。ただ、医局の崩壊を新しい臨床研修制度の所為にするのは、間違っています。今回の研修制度見直しの議論でも、岩手や山形、金沢大学の一部の先生方から研修制度が自分たちの医局を疲弊させた最大の元凶だというふうに指摘されていますが、これは問題の本質を避けられている気がします。地方大学の医学部を出た医師たちも、母校に魅力があればそこに残るはずですから。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：魅力がない原因を究明して、問題点を見直すことが大事ですね。
</p>
<p>
<strong>中村</strong>：反省をしないで、研修生が来ないのは制度が悪いと考えるのは、やはり、大学が胡座をかいていて、今までの「博士号をあげるので、お前ら、来い」という考え方が根底にあるからです。
</p>
<p align="left">
　このような歪んだ構造がまだ残っている大学医局に対して、医師の先生方の意向に沿ったかたちで、臨床医への道をお手伝いする仕組みを作りたいという発想で立ち上げたのが、私どもの「民間医局」です。
</p>
<p align="left">
　したがって、決して、大学と対立するとかしないとかの話ではなく、「大学は研究中心で機能してください。ただ、そうでない人生を歩みたいと望む医師もいらっしゃるわけですから、そういう方に対しては、民間のほうで応援します」という姿勢です。
</p>
<p align="left">
　私どもは、大学の機能を補完する姿勢で業務をしてきましたので、お蔭さまで、今は大学とも仲良くやっています。大学病院の医局が機能できないところを、私どもが埋めていくという補完機能を果たしているのです。そういう意味では、私が当初期待したかたちに、近づいているものと考えています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それは素晴らしいことですね。
</p>
<p align="left">
<strong>〇医師不足への対応策</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：医師総数不足への当面の対策としては、病院の機能集約化や医師の職務を看護師などに分散する方策などが提言されていますが、この点についてはどう考えられますか。偏在は別として、医師の総数は本当に不足しているとお考えでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：これは、私どもでも正直言って、よく分かりません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：『日経メディカル』が行なったかなり大規模なアンケートの結果では、医師はまだ過剰だと思っている医師が半分ぐらいいらっしゃるのですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：いや、少なくとも現場の病院勤務医はそうは思っていないと思います。あのアンケートでは、開業医が過剰と回答し、勤務医は不足だと言っているのです。
</p>
<p align="left">
　ただ、医師不足の問題は絶対数として不足している面と、医療システム上のエラーで起きている不足とがありますから、単純に医学部の定員を増やせば解決する問題ではないと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：そうでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：システム・エラーの一つは、例えば時給１万円の医師が、時給1,000円の人で済む仕事をたくさんやっているという問題です。
</p>
<p align="left">
　秘書のような仕事を医師の先生が自分でやったり、看護師に任せればよい仕事まで医師がやったりしている。米国では、医師をサポートするスタッフが大勢いて、機能分担をしながら一つの医療行為をこなしています。日本ではシステム自体が医師だけで何でもやるという作り方になっています。医師の守備範囲はその医師でないとやれない仕事だけに特化したシステムを構築しないと、医師不足は解消されません。
</p>
<p align="left">
　ところが、大学病院はそれがなかなかできない組織になっています。たとえば、内科の先生が、MRIの手配をするときに、そこにいる秘書に「ちょっと頼むよ」と言えば、秘書が放射線科に電話をすれば済むところが、内科の医師が直々に電話をして放射線科の医師に頼まないと、MRIの時間すらちゃんと取れないというような状況があるらしいのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：日米の医療体制の比較で、一病床当りの医師数が日本は米国の1/3に過ぎないとか、看護師数も少ないといった問題がよく引き合いに出されますが、それ以上に格差が大きいのは、メディカル・セクレタリーをはじめとする医療スタッフの数で、日本の病院には米国の1/6しかいません。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：はい、おっしゃる通りです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：米国では病院の専門医は、自分でカルテも書かないですね、全部オーラルの口述筆記で、秘書がタイプしてきた文章をチェックするだけです。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そうですね。医師はサインだけしてお仕舞いですからね。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：医師がしている仕事のなかで、医療とまったく関係のない雑用がいかに多いかをまず明らかにすべきです。御社がやっておられる医師のライフサポート・サービスを拡充すれば、非常に役に立つのではないかと思うのですが。
</p>
<p align="left">
　医師が多忙すぎて、立ち去り型サボタージュが発生するほど疲弊し、絶対数も不足していると言われていますが、報酬を勘案した労働生産性という点では、高給医師ほど生産性の低い職種はないのではなかろうかと思っています。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：それはまさに時給1,000円の仕事を高給の医師がやっていることに尽きるわけです。もう一つの非効率は、国公立病院の定員制です。この医師を新たに雇えば年間収入が２億円増える、というようなことが見えているのにもかかわらず、定員制の枠があるからできない、といった話がどこにでもあります。そういうお役所支配をどうやって壊すかです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：定員制といった規制は廃止するしかないですね。独法化や病院管理者制度などは、その入り口ではないでしょうか。優れた民間病医院では、結構実績を挙げているのですから。
</p>
<p align="left">
　システム次第ということはよく分かりますが、現状のシステムを前提にしても、なおかつ、医師の需給は逼迫していないという見方もあるようですが、人材紹介の現場感覚では如何でしょうか。現に、勤務医の給料は30歳、40歳でも1,000万円台というのが多いようですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：私どもから見る限りは、平均すると1,700万円がよいところではないかと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：外科医の手術件数をみても、米国の半分以下ですから、3,000万円も出してはペイしないということでしょうね。そうすると、やはり病医院機能の集約化が必要ですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：確かに、手術の件数が米国の医師に比べると少ないことは、医師の間でもよく言われています。日本の医師は、手術をもっとやりたくてもできないという問題が大きいのです。
</p>
<p align="left">
　医療システム全体の効率の悪さが、病院の低収益にも繋がっていますが、日本の医師の価値観が外国と比べて非常に特殊な点にも原因があろうかと思います。というのは、医療の質と医師の給料が逆比例しているケースが多々あるのです。
</p>
<p align="left">
　たとえば、虎の門病院など高度医療を提供する有名な病院の給料は、たぶん部長クラスで年俸1,000万円台くらいではないかと思います。ところが、この医師がちょっと遠くの病院へ行けば、2,000万円を超す給料がもらえます。このように、医師の給料は、医療の質と反比例している場合が多いというのが現実です。おそらく、その医師は、薄給でも虎の門病院でよい医療ができることに誇りを持っておられるのです。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：質がよいほど給料が安いケースも多いというわけですね。国立大学の先生は、みな薄給ですね。私も、わが国の医療費の水準が国際的に見て低いのは、収入を度外視した医師の高いモラルに支えられてきたからだと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：そういう高いモラルの赤ひげ的な価値観が根強く残っていて、それが国民にも支持されているのです。医療界は自由に給与水準を選べるという世界とは別の価値観で動いていると感じます。
</p>
<p align="left">
　米国で仕事をしてこられた医師の先生方は、米国人医師の高いスキルは評価できるが、人間としての好き嫌いといった点では、嫌いなやつばかりだということを、ドクターズマガジン８月号にご登場願った中田力先生もおっしゃっています。
</p>
<p align="left">
　米国の医師の腕前はすごいけれど、「俺は嫌いだ」と皆が言うのは、やはりモラルが違うということです。その裏には、米国ではすべてのことがお金に換算して、解決がつくけれども、日本の場合には、お金以外の要素のほうが大事にされる事実があるからだと中田先生も言っておられました。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：昨年、カナダの病院視察で驚いたのですが、カナダでは手術の待機期間がものすごく長いのです。ところが、医師は、週40時間と決められた時間しか働かないというのですね。外国人医師をいくら入れてもまだ足りない状況下でも超過勤務はしないといったことが、どうして起こるのかと思ったのですが、それが現実です。
</p>
<p align="left">
<strong>〇診療科間・地域間の医師偏在、勤務医から開業医への移動問題</strong>
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：診療科間や地域間の医師偏在は、総数の問題とは別に対応すべき課題です。地域偏在については地元大学卒の地元就業へのインセンティブ付与などが考えられていますが、医師の自由意思を尊重するかぎり過疎地問題などは簡単には解決しません。偏在是正には、どのような方策が必要とお考えでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：この問題は、昨今いろいろなかたちで議論されていますが、診療科別や地域別の偏在解消には、やはり専門医の枠を作ることが第一歩かと思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：米国のように、枠を学会で決める方式ですね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：はい。たとえば、茨城県では、人口1,000万人当りで確率的に心臓疾患は何人起きると統計的に出てきます。それに見合うだけの専門医をそこに配置するという、地域別定員を設けるのです。そうすると、今のように東京に集中するということは、十分排除できると思います。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それを学会に任せるわけですか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：学会に任せるにはいろいろ問題がありますので、理想は第三者機関を設立し、各学会からどういう条件をクリアしたら専門医として認めるかなどの提案をしてもらう方式です。米国ではこの方式でやっています。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：公的な統制には馴染みませんね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：ただ、日本では米国のようなどこからも干渉されない独立の第三者機関の設立は難しく、結局非常に歪んだものになるおそれがあります。次に問題となるのは、学会の資質です。専門医制度をどうするかをキチッと決め、市場のサイズに合った必要な定員数を決めて、その枠内で競争し合うという考え方自体が未熟です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：診療報酬の引き上げによる誘導で偏在を是正しようというのは、あまり効果的ではないでしょうね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：やらないよりはましだとは思いますが、医師の給与は診療報酬とは連動していません。公的病院の場合は、年功主体で給与テーブルが決まっていますから、優秀な医師だけ給与を引上げるわけにはいきません。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：なるほど、そうですね。地域偏在の是正は、どうすればよいのでしょうか。どうしても、日本は一極集中になってしまいますね。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：地域格差対策の名案はありませんが、先ほど申し上げたように、一つは、専門医制度の中で地域別に定員化すること、もう一つは、僻地の医療などは地域のネットワークの中でローテーション方式を採り入れて解決していくことが必要ではないでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：それから、病院と診療所の偏在というか、勤務医の開業医指向は依然として相当多いのでしょうか。厚生労働省の「医療施設動態調査」では、平成16年以降医科診療所の純増は1,000軒を下廻っており、平成20年には83軒に減っています。この数字から、医師会は「もはや、勤務医の開業医志向は存在しない」と結論付けていますが、実態はどうなのでしょうか。
</p>
<p align="left">
<strong>中村</strong>：全体の数字でいえば、開業が増えている一方で、閉院も同じくらい増えています。平成19年では、開設が5,239軒、廃止が4,522軒、平成20年では開設が4,764軒、廃止4,681軒で、この開設水準は平成元年当時の3,000軒台と比べ、５割以上増えています。
</p>
<p align="left">
　ところが、開設と廃止には世代間の違いがあります。閉院しているのは、もうリタイアした高齢者の医師が後継者難で閉めるというケースが多く、一方、新規に増えている開業医は、本当は市中病院で頑張ってもらわなければならない一番働き盛りの30歳、40歳代の医師が開業に向かっている結果です。
</p>
<p align="left">
　診療所総数の推移は別にして、個別に見ると、明らかに、一番働いて欲しい勤務医が開業に向かっているという傾向は顕著です。
</p>
<p align="left">
<strong>岡部</strong>：毎年、新しい医師は8,000人ほどしか誕生しないのに、5,000軒もの新しい診療所ができるというのは、問題ですね。新設に加えて、医師がいなくなった既存の医療法人を買収して開業するケースや一つの診療所に複数の医師が関わるケースも多いので、新規開業医の実数はもっと多いものと推測されます。開設と廃止が同数でも、内容がぜんぜん違うというご指摘は的を射ています。これでは、若手の勤務医は減る一方ですね。
</p>
<p>
<strong>中村</strong>：ええ。開業医は勤務時間が短いうえ、30歳台、40歳前後の医師では、開業すると収入が３倍くらいになります。対策としては、病院の診療報酬を大幅に引上げるしかありません。
</p>
<p>
<strong>岡部</strong>：よく分かりました。まだまだお伺いしたいこともありますが、本日はこの辺で。ありがとうございました。
</p>
<p align="left">
（2009年10月13日、医療経済研究機構発行「医療経済研究機構レター（Monthly IHEP）」No.180、p9～21所収）
</p>
<p>
&nbsp;
</p>
]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>オバマ政権の医療改革（2）</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.y-okabe.org/medical/2_1.html" />
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   <published>2009-09-13T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-09-14T23:06:05Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[ &nbsp;&nbsp;&nbsp; 　　　　　　　　　　 ２、メディケア・メ...]]></summary>
   <author>
      <name>okabe</name>
      
   </author>
         <category term="008医療経済論集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      <![CDATA[<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/090914Obama2Logo.jpg" alt="090914Obama2Logo.jpg" width="150" height="109" />
&nbsp;&nbsp;&nbsp;
<p align="left">
<strong>　　　　　　　　　　</strong><br />
<strong>２、メディケア・メディケイドの機能不全</strong>
</p>
<p>
<strong>　</strong>米国の医療制度は国民皆保険とはなっていない。しかしながら、65歳以上の高齢者の医療はメディケアにより、低所得者の医療はメディケイドによって保障されている。両制度によって部分的には皆保険となっているが、問題は両制度によってカバーされている対象者の範囲とカバーの対象となる医療サービスの範囲である。
</p>
<p>
　メディケアには65歳以上の高齢者の98.1%が加入、カバー率は高い。しかしながら、表5に見られるとおり、医療費ベースでのメディケアでの負担は、49%（2004年）と必要な医療費の1/2にも満たない。メディケイドなどによる公的負担18%を加えても、公的財源は67%に留まっており、高齢者医療費の33%が民間保険と自己負担で私的に賄われている。
</p>
<p>
　これは、メディケアの負担範囲が局限されているためである。たとえば、入院費用を給付するメディケアＡでは、入院期間60日まではほぼ全額がカバーされるが、それ以降カバー率が削減され、150日超の医療費は全額自己負担となる。また、メディケアは院外薬剤費をまったくカバーしなかった。ようやくその一部をカバーするメディケアＤが2006年から実施され、2007年にはメディケアＤが約500億ドル（うち80%弱が公的負担）に急拡大したので、高齢者医療費のメディケア負担率は、55%程度には上昇したものと見込まれている。
</p>
<p>
　一方、メディケイドによる医療給付は、各州が定める受給資格基準に適合する貧困者が対象で、有資格者から申請があれば、州政府は給付の義務を負っている。財源は全額公費で、2007年度平均では連邦政府が57.2%、残余を州政府が負担している。ただし、負担割合は州ごとに異なる。
</p>
<p>
　メディケイドの受給者数は3,830万人（2007年）に上るが、最大の問題は総体的に対象者の所得レベルがかなり低く設定されていることである。また、各州が定める貧困者の適格基準がまちまちであることも問題とされている。前回掲げた表3の「無保険者階層別人数とその階層人口に占める比率」によると、貧困ライン以下の無保険者が1,150万人存在し、これは貧困ライン以下人口の31.6%に相当する。別の切り口では、年収5万ドル未満の低所得者中、無保険者は2,930万人で、同階層人口の23%程度を占めている。
</p>
<p>
　連邦の定める貧困ラインは、一所帯で年収10,400ドル以下、親子4人所帯では21,000ドル以下である（2009年現在）。メディケイドの適用基準は、これよりも高い年収レベルに設定されている州が多いが、問題は給付制限にある。連邦のガイドラインはあるものの、各州は独自に給付内容とその制限方法を厳しく設定している。たとえば、一人当りの給付限度額、医師訪問回数、入院期間などの限定、あるいは給付供給前に事前認可を要するなどの制限が多い。
</p>
<p>
　メディケイドのもう一つの問題点は、65歳以上の高齢者の医療は一義的にはメディケアでカバーされているにもかかわらず、その給付に前述のような制約があるため、メディケイドの適用も併せて受けている高齢者が約14百万人と多い点である。表5に見られるとおり、メディケイド総受給額のほぼ37%を高齢者が費消している。65歳以上の高齢者は、一人当りでは65歳以下の3倍近くのメディケイド給付を受けている。これはおもにナーシング・ホームなどに居住する高齢者の長期ケアに要する費用であり、実体的には介護サービスも一部含まれている。
</p>
<p>
　このように、メディケア・メディケイドで保障されていても、そのカバーが十分でない対象者が多数存在することは明らかである。これを踏まえて、最近では無保険者（Uninsured）4,700万人に加え、低カバー被保険者（Underinsured）2,000万人に対するフル・カバーをまず実現すべきであるとの議論も起きている。
</p>
<p>
　一方、6月13日のラジオ演説でオバマ大統領はヘルスケア改革の費用を賄うために、メディケア・メディケイドの公的支出をこの先10年間で3,130億ドル節減することが不可欠であるとし、メディケアの出来高払い診療報酬の伸びを制限するなどの具体化策を提示している。
</p>
<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/090914Obama2Hyou5.jpg" alt="090914Obama2Hyou5.jpg" width="600" height="264" />
<p>
<strong><br />
３、クリントン医療改革の概要と挫折の原因</strong>
</p>
<p>
　民主党のビル・クリントン大統領が1992年の当選直後に取組んだ最重要課題の一つが、国民皆保険を目指した医療保険制度の改革であった。クリントン大統領は、就任4日後の1993年1月25日に「健康保険制度改革作業委員会（Task Force on National Health Care Reform）」を設置、夫人のヒラリー・クリントンをその議長に任命した。委員会は厚生・財務・商務・労働の各長官とその他の補佐官で構成され、34の小作業部会に500人以上のスタッフを擁する大組織であった。
</p>
<p>
　法案の制定作業は難航し、ようやく10月27日に1,300ページを超える複雑な構成の「健康保障法（Health Security Act）」が議会に提示された。この改革法案の要点は、①国民皆保険を原則とする、②「国家医療委員会」を新設して、医療関連の価格・料金を抑えるための強制力を付与する、③企業の従業員については医療保険料の8割を企業負担とする、④1996年から5年間で1,050億ドルの増税と政府の関連経費2,380億ドルの削減を行うといった内容であった。
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　この改革案は、①現行の企業による民間医療保険の任意提供を全企業に義務付け、小規模企業や貧困層には政府が補助金を出す、②中小企業と個人は直接民間保険会社と契約するのではなく、新たに設けられる「地域医療保険組合」が介在して民間保険会社との交渉を一括して行う、③大企業が従業員に提供している保険内容とほぼ同等の条件が全国民に適用されるようにする、④保険会社は加入申込者を病歴、年齢、職業などにかかわらずすべて受入れなければならない、といった民間保険会社にとってはかなり厳しい内容のものであった。
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　議会での審議の最大の争点は、企業への医療保険加入の義務付けであった。保険給付の義務化には中小企業経営者の反発が強く、民主党内にも反対が根強かった。また、改革案では政府の介入が過剰となり、かえって政府の財政負担が増えるとの反対論も多かった。
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　そこで、上院は従業員の100%保険加入を断念して95%加入を目指す、保険料の企業負担率を50%に引下げるなどの緩和措置を織り込んだ妥協案を作成したが、共和党の議事妨害などで審議は進まず、採決は1994年の中間選挙後に持ち越された。この中間選挙では、医療保険制度改革の失敗が招いた民主党への不信感から上下両院とも共和党が過半数を占めた結果、米国の医療改革は2009年のオバマ政権誕生まで棚上げされる事態に立ち至った。
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　クリントン改革挫折の要因としては、いくつもの理由が挙げられているが、中でも医療費の見積もりが曖昧で甘く、5年後の医療費予測で議会の予算局（CBO）見積もりとの間に500億ドルもの乖離が存在した矛盾を無視し続け、上院の妥協案にも耳を貸そうとしなかったヒラリー・クリントンの非妥協的な姿勢を指摘する見方が多い。彼女が改革案立案の作業を政府内で閉鎖的に行なった姿勢が、AARP（米国退職者協会）やHIAA(米国医療保険協会)といった圧力団体を敵に廻しただけでなく、メディアからの反感を買った点も失敗の原因とされている。
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　この過激な改革案に反対する民間保険会社をはじめとする圧力団体は1.2億万ドルという史上最高の献金をネガティブ・キャンペーンのために行なったと言われており、さしものヒラリーもこの激しいロビー活動に屈したという見方もなされている。
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　作業委員会の議長をヒラリー自身が務めたため、政策立案過程において、議長の意見に反対する手段としての大統領への直談判できなくなった組織面での不備も指摘されている。さらには、反対陣営がメディアの前で彼女の理想主義に正面から反駁するのは不得策と判断したため、現に議会での論争がきわめて低調であった事実も判明している。
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　オバマ大統領は、クリントン改革失敗の轍を踏まないよう、①改革は大統領主導で進め、利害関係者やメディアとの対話を最重視する、②議会予算局が考えられ得る改革のシナリオ別に財政に与える影響を分析し、改革案との整合性を保つ、③政策の立法化は議会に任せる、といった柔軟な現実路線で臨んでいる。
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<strong>４、全米初、州民皆保険のモデルと評価されるマサチューセッツ州の医療改革</strong>
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　米国では、バーモント州、メーン州などいくつかの州で州独自での皆保険化の動きが見られる。メリーランド州やハワイ州でも試みられたが、皆保険化には至っていない。こうした中で、マサチューセッツ州では2006年4月に「医療アクセス法（Act Providing Access to Affordable, Quality, Accountable Health Care）」が成立し、住民の皆医療保障のための各種政策が着実に実施されている。
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　この医療アクセス法は、共和党のロムニー知事が同州選出の民主党のエドワード・ケネディー上院議員と手を組んで、超党派で成立させた意義が大きい。ロムニー知事は2008年の大統領選に共和党候補の一人として出馬している。ケネディー上院議員は上院で医療改革法案を審議する通称HELP委員会の委員長を務めている。
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　医療アクセス法では、①18歳以上の全州民に医療保険加入を義務化、②所得が連邦貧困レベルの300%以下の無保険者に民間保険加入のための補助金を州政府から支給、③医療保険未加入者に対して購入可能な民間医療を斡旋するために「コネクター」とよばれる準公的組織を設立、④被雇用者11人以上の事業所主に医療保険を提供するか年間295ドルの拠出金負担の義務化などが定められた。
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　医療アクセス法施行後、2008年までに44万人が新たに医療保険に加入し、2005年に約60万人であった州内の無保険者数は、2008年には約17万人（州人口の2.6%）にまで一挙に減少した。
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　マサチューセッツ州の方策が成功した最大の要因は、雇用主企業ではなく、個人に医療保険加入を義務付けた点にある。これまで、州立や非営利病院が表向き慈善医療として行っていた医療への補助金を直接無保険者個人に手渡す方式の採用が奏功したものである。もっとも、現状の補助金では個人加入の被保険者は州政府が設計した医療保険プランしか選べないといった不便さもあるが、皆保険実現への解決策としては優れた方式と評価できる。
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　一方、メリ－ランド州では州内の大企業に支払給与総額の8%を医療保険に使うよう求める州議会の決定が企業の反発を買い、せっかく誘致したウォールマートの配送センター撤退といった事態を招いた。また、ハワイ州では、全企業に対し週20時間以上働くすべての従業員に医療保険の提供を求めた結果、正社員のパートタイマー化が進み、これが社会問題化している。企業への医療保険の提供義務化は、やはり連邦ベースで進めないことには、うまく行かないようである。
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　マサチューセッツ州での州民皆保険改革が成功と評価されてことの意義は大きく、オバマ大統領にとって追い風となることは間違いない。
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(医療経済研究機構　専務理事 岡部陽二）
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（2009年9月14日、医療経済研究機構発行「医療経済研究機構レター（Monthly IHEP）」No.179、p35～38所収）　
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   <title>＜投資教室＞社外取締役義務化の早期実現を</title>
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   <published>2009-09-02T12:51:46Z</published>
   <updated>2009-09-02T13:00:02Z</updated>
   
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　昨年4月に在日米国商工会議所（ACCJ）が「日本上場企業は取締役会の役員の少なくとも1/3を独立した社外取締役が占める」ように、証券取引所の上場規則で定めることを提案する意見書を公表した。ACCJは日本の上場企業は取締役会の大半を社内の利害関係者で占めているため、企業統治（コーポレート・ガバナンス）が脆弱で、経営方針が株主のためではなく、役員のためになっていることが多く、こうした現状を改めなければ日本企業の競争力強化にとって弊害になると指摘している。
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　ACCJは日本の上場企業には社外取締役を置かない会社が多いため、M&amp;Aが活発に起こりにくく、経営陣の自社買収（MBO）を実施して非公開化する場合や敵対的買収の提案を受けた際などにも、株主の利益が経営の意思決定に十分に反映されないとも述べている。
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　さらに、海外の年金基金などの機関投資家も同様の改革要求を強めている。たとえば、昨年5月には「もの言う株主」として知られているカリフォルニア州職員年金基金（カルバース）や英国のハ-ミーズなど海外の有力年金、運用機関7社が共同で日本での議決権行使指針を発表、社外取締役の導入や防衛策の廃止に向けて連携すると申し合わせている。
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　独立社外取締役の義務化は、外資に指摘されるまでもなく、わが国の投資家にとっても看過できない重要な問題である。しかしながら、経団連や経済同友会が真っ向から反対しているため、本年5月に経産省主催の私的研究会である「企業統治研究会」が提示した結論は「一律には義務化せず、社外取締役を置かない場合には独自の経営監視策を作成して開示させる」「独立性についても、親会社や取引先の役職員というだけで排除しない」といったきわめて歯切れの悪いもので、具体化については東証に下駄を預けている。本稿では、この問題を三つの視点から考究してみたい。
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<strong>１、社外取締役・社外監査役により企業経営の緊張感と透明性を高める必要性</strong>
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<strong>　</strong>2005年に制定された会社法では、株式会社は「監査役設置会社」か「委員会等設置会社」の二者択一とされた。表1に示したとおり、①資本金5億円以上の監査役設置会社は3名以上から構成される監査役会を設置し、その過半数は社外監査役とする、②委員会設置会社は取締役3名以上から成る監査委員会・報酬委員会・指名委員会を設置し、その過半数は社外取締役とすると定められた。
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<img src="http://www.y-okabe.org/images/upload/090902ShagaiTorishimariyakuHyou1.jpg" alt="090902ShagaiTorishimariyakuHyou1.jpg" width="600" height="159" />
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　<br />
　現在、東証上場2,378社中、社外取締役を選任しているのは45%、委員会設置会社は55社で、全体の2.3%に過ぎない。時価総額50位以内の大会社でも、トヨタ、任天堂、キャノンなど社外取締役導入ゼロが11社も存在する。社外取締役の属性は90%以上が他会社出身で、株式持合いと同様の上場会社間での相互派遣が大多数を占めている。
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　そもそも、社外取締役の役割は経営者トップの独走を防止し、会社の私物化を許さない監視機能にあるので、経営者の団体である経団連が経営者の自己保身のために反対するのは、自明の理である。この問題は、株主の視点から企業経営に緊張感を齎し、透明度の高い経営を担保するために必要な経営機構やガバナンスをどうすべきという見地から議論されるべきである。
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<strong>２、社外取締役義務化に、強化された社外監査役機能との相乗効果を期待</strong>
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<strong>　</strong>上場企業の社外監査役が法令で認められている権限を行使し、社長や取締役を公然と批難して訴えるケースが目立って増えてきている。たとえば、①2008年6月、荏原の社外監査役大森義夫氏が元副社長による会社資金の不正支出に関する調査不十分として、同社の事業報告を承認しないと表明、②2008年11月、春日電機の竹内紘監査役が社長の違法行為差し止めを東京地裁に申し立て、全面的に認められたケース、③2009年2月、昭和ゴムが08年6月に当時の社外監査役が同社取締役を相手取って起こした損害賠償訴訟を現監査役が継承すると発表、などである。これらは、東証上場会社のケースであるが、新興市場でも社外取締役からの提訴が最近一年間に3件に上っている。
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　かつては閑散役と揶揄されていた監査役が活性化してきたのは、2005年会社法により資本金5億円以上の会社は監査役会を設置し、その過半数は社外監査役でなければならないとされた監査機能強化の成果である。行動しない監査役には法的責任が問われる可能性も高まっている。
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　委員会設置会社への移行が望ましいとしても、実際問題としては資本金100億円以上といった大企業に限られる。そこで、監査役設置会社についても、たとえば最低2名でも独立した社外取締役の選任を義務付ければ、監査役には期待できない取締役の解任動議などの権限行使も可能となる。社外取締役が社外監査役と協調して行動することにより、ガバナンスが一段と強化されるのは間違いない。
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<strong>３、国際的整合性の観点が重要</strong>
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<strong>　</strong>企業の国際化、資本市場の国際的協調が進んでいるので、上場企業のガバナンスについても、共通のルールが適用されるべきとの投資家サイドからの要請が強まっている。表2に掲げたようにニューヨーク・ロンドン両市場はすでにほぼ共通化しており、東証も早急にこれに合わせるべきである。
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<strong><br />
（</strong><strong>日本個人投資家協会</strong><strong>　</strong><strong>理事</strong><strong>　岡部　陽二）</strong>
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（2009年９月２日、日本個人投資家協会発行「きらめき」2009年９月号所収）
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