個別記事

朋友録・クラス会で知的な刺激



 毎月第一木曜日の昼食時、帝国ホテルのサロンの一隅での集いが、満八年間、一回も休むことなく続いている。名づけて「一木会」。これは、京大法学部で教養課程二年間を共に過ごし、昭和32年に卒業した総勢50名足らずのうち、東京在住者20名のクラス会である。

 仲間の職業は学者、法曹人、会社勤めと多士済々。異業種交流に加えて趣味も様々多岐にわたり、教えられることが多い。集いを通じた旧友との付き合いはまさに人生の財産となっている。 

 会の永続には、幹事を引き受けてくれる世話好きの存在が欠かせない。幸い我々は植村正義君という、うってつけの名幹事に恵まれた。彼は中小企業金融公庫に勤めた後、大阪中小企業投資育成会社専務を経て、現在はジャパン・プレジデンツ・ネットワーク社長としてベンチャー企業の育成に情熱を傾けている。同じく幹事の日本クラウンコルク専務の荒川幸夫君とは名コンビである。

 東京の集いに刺激されて四年前、同級生のうち、関西に住む20人弱の面々が毎月第二金曜日に阪急文化サロンに集まる「二金会」を発足させた。大阪は阪急百貨店専務の脇坂悦男君が万年幹事。私は大阪出張が多いことから、東西掛け持ちで出席している。 

 そして、年一回、京都の下鴨茶寮で合同の例会を盛大に開くことにしている。京都の例会の世話役は京大に一人残った国際私法専門の谷口安平教授である。彼は米国の大学院からの招聘(しょうへい)が相次ぎ、日米往復で忙しいが、たまに顔を出すと遅くまで飲み歩きに付き合ってくれる。 

 論語の冒頭に「学びて時に之れを習う、亦(また)よろこばしからずや。朋(とも)あり遠方より来たる、亦楽しからずや」とある。これは二句合一して、「友人から新しいことを学んで、これを自ら習得することこそ、本当の人生の楽しみ」と考えた孔子様の述懐ではなかろうか。二つの会での付合いを通じて、論語の超訳的解釈を楽しむ昨今である。  

(明光証券㈱会長 岡部陽二) 

961015Classkai.jpg

 
(1996年10月15日付け日経金融新聞「朋友録」所収)






コメント

※コメントは表示されません。

コメント:

ページトップへ戻る