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London Underground開通150周年 ~英国切手の魅力シリーズ(9)~

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   世界最古の地下鉄であるLondon Underground1863110日に開通して以来、150年を経た2013110日に6種の記念切手(上掲)と地下鉄利用を奨励するポスターの組み合わせ切手4種(下掲)が発行された。

  上段左;1863年、蒸気機関車の牽引で走る開通当時の光景。地上との換気を行なう必要があったので、線路は地上から開削して天井が付けられた。

  上段中央;1989年の掘削工事現場。1890年に地下に大型の水平掘削機を入れて筒型(Tube)に掘り進むシールド工法が開発され、工事が急速に進捗した。

  上段右;1911年に座席の等級別が廃止されてモノクラスに統一。郊外からの通勤客が増えた。

  下段左;1934年に建て替えられたモダンなBoston Manor駅舎。

  下段中央;1938年に導入された新型車両。数社の民間鉄道会社で運営されていた地下鉄会社の統合が進み、1933年にはLondon Passenger Transport Boardの下に公営化、ロンドン市が経営を担うこととなった。

  下段右;1999年に完成したJubilee Line Extensionの超近代的な駅舎。Jubilee Lineは他のすべての路線と交叉・接続しており、ロンドン・オリンピックのメイン会場まで延伸して、大会時には交通網の大動脈となった。

 

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ロンドン地下鉄は“the Underground”、またはより親しみを込めて“Tube”と呼ばれている。前者が公式名称で、後者は愛称と言える。“Subway”は米語であって、英国では地下鉄ではなく「側道」を指す。

ロンドン地下鉄には現在8路線に268の駅が存在し、総延長距離は400キロ(250マイル)に及ぶ。これは、ごく最近まで世界最長であったが、2013年には100年以上遅れて開業した北京と上海に抜かれた。利用客数では、東京が最大で、ロンドンは世界の上位10都市中9位と少ない(下掲表)。

 

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ロンドン地下鉄は55%が地上を走っており、文字通り地下を走っているのは総延長の45%部分に過ぎない。郊外では地上を走る地下鉄の車窓からの景色が楽しめるが、市の中心部を観光するには地下鉄よりも乗降が便利な二階建てのバスが適している。

ロンドン地下鉄をめぐる最近の話題はもっぱら、その高い運賃料金である。この高料金は旧い路線の老朽化に伴ない多額の再投資を要することと、乗客数が総延長に比して少ない非効率に因るもので、民営化するにも引受手がないのが実情である。

料金は距離別に6区分され、9:30から16:30までのピーク時とオフピーク時に分け、さらに現金払いと「オイスター・カード」というスイカのような電子料金カードで異なっているが、総じて日本の地下鉄のほぼ2倍となっている。

2015年末の初乗り最低料金は現金で4.8ポンド(約860円)、カードでは2.3ポンド(約410円)で、カードと現金の開きが大きい。これはカード利用促進の目的もあり、1日乗り放題カードで12ポンド(約2,100円)や7日券の割引きを利用するとかなり割安となる。

 

 

 

 

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