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明光証券㈱会長就任のご挨拶

 
 この度、明光証券の代表取結役会長に就任致しました岡部でございます。この機会に常日頃から「明光レポート」をご愛読賜わっておりますお客様の皆様方に一言一」挨拶申し上げます。

 わが国証券界は1929年のニューヨーク、1973年のロンドンに次ぐ歴史的な大暴落に見舞われ、丸3年に亘る不況に堪えて参りましたが、この春からは証券市場も回復に向かい、まさに朝焼けの黎明を迎えた感がございます。

 ところで、この3年だけに限りますと暗いニュースばかりですが、長期的な視点から証券界を巡る環境を振り返りますと、次のような注目すべき変化が指摘出来ます。

 第一は上場企業の外部資金調達において株式、社.債等の直接金融が主流を占めるようになったことです。1970年代前半までは銀行借入れ等の間接金融が安定的に80%以上のシェアを占めていましたが、1970年代後半から直接金融が超勢的にシェアを上昇させ、1983年以降は一層上昇ペースを速め、間接金融を上回るシェアを確保しています。

 第二は先物やオプション等の派生取引の導入により証券市場の多様化が急速に進んだことです。ただ、株式ブームとその後の停滞期において派生取引利用の偏りが株式市場の不安定化をもたらしたとの反省から派生取引について見直し気運が高まり、すでに株式市場の安定化に寄与するよう仕組みの改善が進められています。

 第三は個人投資家にとって株式への投資が重要な金融資産運用になっていることです。株式投資の個人金融資産に占めるシェアは株式ブームとその後の停滞期には大きく上下に振れましたが、1980年代を通じて着実に上昇し、今後は株式市場の立ち直り、株式の魅力の高まりに伴い米国のように安定的水準を維持するものと思われます。

 これらの変化は何れも自由化・国際化の進展に伴う大きな潮流であり、朝焼けを経て昇り始めた太陽の1990年代の軌跡を見極める上で重要なトレンドです。もちろん、証券界の未来は無条件にバラ色と即断する訳にはいきません。しかし、投資家、産業界、さらに広くは国民経済全般にとって証券市場は重要な国民の財産であり、その果たすべき役割は1990年代を通じて一段と高まっていくものと確信しております。

 こうした中にあって、当研究所は住友系企業情報に的を絞った専門性の高さと足で稼ぐ現場感覚を信条に「明光らしさ」を発揮し、お客様のお役に立つ「明光レポート」をお届けするよう今後一段と努力して参ります。引続きご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。

(明光証券㈱会長 岡部陽二)

(1993年7月発行、「明光レポート」第58号所収)

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