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韓国国民健康保険公団情報管理チーム室次長全珉錫(ジョン・ミンソク)氏とのIHEP有識者インタビュー ~韓国の医療保険制度改革

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話し手:韓国国民健康保険公団情報管理チーム室

    次長 全 珉錫(ジョン・ミンソク) 氏

聞き手:医療経済研究機構専務理事 岡部 陽二

 1970年に勤労者に対する強制保険として制度化され、1989年に国民皆保険を実現した韓国の公的医療保険制度は、日本の制度と極めて似通った形のものでした。ところが、1990年代後半からの相次ぐ制度改革により、独自色の強いものに変革を遂げています。たとえば、診療報酬請求のためのレセプト様式や一ヶ月単位での支払方式などに類似面が残ってはいるものの、日本も志向している保険者の統合やレセプト請求のオンライン化を韓国はすでにほぼ100%実現しています。さらに、保険者からレセプトの審査・評価業務を独立の別組織に移すといったユニークな改革を行なっています。
 今回は、延世大学校・保健科学大学の南銀祐教授のご協力を得て、改革の第一線で活躍されている韓国国民健康保険公団情報管理チーム室次長の全 錫(ジョン・ミンソク)氏に、改革の実情をお伺いしました。
 全 錫氏は、1987~1989年に職種医療保険組合勤務、1989~1998年に地域医療保険組合勤務、1998年より国民健康保険公団に勤務され、現在に至っています。

〇 国民健康保険公団と健康保険審査評価院の分離と医療保険者の統合に対する評価

岡部:日本では、公的医療保険業務はレセプトの審査・支払業務を一体として社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」)と国民健康保険中央会(以下「国保」)が担当、保険料の徴収は組合健保や国保などの保険者が担当しております。これに対し、韓国では2000年7月にすべての保険者が国民健康保険公団(以下「公団」)に統合されたうえ、公団から分離独立した健康保険審査評価院(Health Information Review Agency,以下「HIRA」)がレセプト審査・評価を担当し、公団の業務は医療機関への診療報酬支払と保険料徴収などに限定されたものと理解しております。まず、審査・評価業務を公団から分離された背景と両組織の法的性格についてご説明ください。

:公団からHIRAが分離された背景としましては、同時に行なわれた200組合以上あった保険者が公団に一本化されたことがあります。公団が行う診療報酬の支払業務の客観性・公平透明性と診療費審査の独立性を担保するためには、保険者と審査担当者が同一の組織内にあるのは好ましくないという意見が医療機関から出てきたのが主因です。政府がその意見を容れて、HIRAという独立的な機関が設けられたわけです。

岡部:そのような経緯があったのであれば、保険者の機能が限定されたこの分離体制に、公団は今でも不満を持っておられるのでしょうか。

:私個人としては、診療報酬を支払う公団が、お金の使い道を自らはっきりとさせる責務があり、HIRAは公団の内部組織か直接支配下にある組織とすべきであったと考えています。保健福祉部(日本の厚労省に相当)の傘下に公団とHIRAが対等の立場で協力するという図式は優れている面もありますが、重複する分野もあり、違和感は残っています。代表的な例としては、給付に関する決定権が挙げられ、HIRAが本来であれば保険者固有の機能を遂行している部分もあります。これについては問題視する学者も数多くいます。

岡部:支払に責任を持っている公団が、審査も責任を持って行なうべきという方が筋は通っていますね。

:ええ、そうです。HIRAが審査・評価という高度な業務部門を担当することになった結果、公団はただ単に保険料を集めてそれを配るという、単純な業務を行なう機関になったということを不満に感じている職員も多いということです。
 もちろん、この分離体制にはメリットもありました。公団は保険料の徴収という面で、国民とじかに接してニーズが汲み取れるので、最近では健康増進による医療費節減を狙った健診業務に力を入れています。一方、HIRAは、医療機関の方を向いて仕事をしているので、審査はコンピュータに任せて、レセプトから診療内容を分析・評価して標準的な診療指針を示すといった診療の適正化を通じての医療の質の向上に注力しています。これは、公団とHIRAがそれぞれ顔を向けている方向が違うことから可能となったものです。機能分離のよい面と評価できます。

岡部:ところで、統合がかなり進んだ1998年でも230ほどあった民間事業者単位や地域単位、公務員共済などの医療保険者が2000年7月に一挙に全面統合され、単一の公団が発足したわけですが、この保険者統合についてはどのように評価しておられますか。

:この統合は非常に高く評価しています。その理由としては、第一に、保険者間でばらばらであった保険料賦課基準が標準化され、公平な賦課に一歩近づいたことです。以前は、被保険者の年齢構成の違いなどから資金的に余裕のある健保組合とそうでない組合の被保険者間にかなりの負担格差がありました。お金持ちの保険料負担が低いという相互扶助の精神に反する状況が、統合によって解消されたということです。
 もう一つは、業務処理システムも統合されたので、情報処理の一元化・標準化が一気に進められたことです。医療機関の側からみても、システムの統合・標準化には、コストの節減だけには留まらない情報の共有化による大きなメリットがありました。

岡部:それはよく分かります。日本でも統合の方向で進んでいます。

〇 公団とHIRAの法的性格とそれぞれの役割

岡部:日本の公的医療保険の保険者・支払基金などは民法上の組合が基本で、紛争も民法で処理されているのではないかと思いますが、韓国の公団・HIRAの法的性格はどう理解すればよいのでしょうか。

:正確ではないかも知れませんが、基本的に公団とHIRAでやっている業務は本来保健福祉部の仕事です。公団もHIRAも特殊公法人と位置付けられていますが、国からお金をもらって運営しているわけですから、実質的には傘下の行政機関といった関係です。
 HIRAには法令によって審査・評価の権限が与えられており、その決定は行政処分の性格を持ちます。療養給付費用を請求する医療機関は、HIRAに療養給付費用の審査請求をしなければなりません。HIRAは審査請求を受けた日から15日(紙レセプトの場合は40日)以内に審査を行ってその結果を公団及び医療機関に通知します。審査結果を通知された公団は、療養給付費用を支払う前に住民登録番号の錯誤などにつき事前点検をして、速やかに審査決定された療養給付費用を医療機関の金融機関口座に送金します。
 一方、HIRAの療養給付費用に関する査定処分に異議のある医療機関は、HIRAに意義を申し立てることができます。異議申し立てに対するHIRAの審査決定に不服がある場合には、保健福祉部長官所属の健康保険紛争調整委員会に再審査を請求することができます。また、行政訴訟法の定めに基づいて行政訴訟を提起することもできます。

岡部:審査・評価はHIRAの専権事項あって、診療行為についての医学的な見地からのチェックは公団では行なわない仕組みになっているわけですね。

:そうです。公団にも異議申し立てを行う権利は残っていますが、単純なミスの訂正を要求することはあるものの、医学的な判断はできないので、この異議申し立て権を行使することはまずありません。

岡部:医療機関から送られてくるレセプト・データは公団もHIRAも同じものをそれぞれのデータ・ウエアハウスに保有しているのでしょうか。

:そうです。情報支援投資を効率化するために、このデータ・ウエアハウスを統合してデータを共有すべしと保健福祉部からは指摘されています。その方向で努力はしているのですが、公団とHIRAはそれぞれ別の目的でデータの分析をしているので、公団もHIRAもこのデータ・ウエアハウスを手放したくないのです。また、健診データや診療データを統合した各種研究事業は、公団で活発に行われています。

岡部:HIRAの診療データと公団の健診データを統合してこそ利用価値が高まるのではないかと思うのですが。

:そうです。そのとおりですが、HIRAは審査を効率的に行なうために診療パターン別にレセプトを分類しています。しかし、公団は保険料の資料だとか所得資料なども持っており、保険料を払っている所得階層によってどのような疾病が発生しやすいのかとかといった分析の資料としてもレセプト・データを活用しています。そういった役割は保険者である公団が果たしています。

○レセプトの電子請求(Electric Data Interchange、EDI)について

岡部:韓国では、1991年からディスケット方式でのレセプト電子請求システムの開発に取り組み、これを1995年から通信回線を通してのEDI方式へ漸次転換、さらに2001年8月にはWeb-EDI方式が導入されました。2004年には、医療機関・薬局のEDI加入比率が80%を超え、昨年までに電子請求の比率が99%に達したものと伺っております。このように早いペースで、法令による強制ではなく、医療機関の任意選択で、レセプトの全面電子請求化が完成した理由をお聞かせください。
 レセプト電子請求化の取り組みは、日本でもほぼ同時期に始まりましたが、支払基金へのレセ電算の普及は、本年4月末で医科が22%、調剤が77%という状況です。2001年度以降は原則としてすべての医療機関・薬局にレセプト・オンライン請求を義務付ける方針が打ち出されていますが。

:いろいろな理由が挙げられていますが、韓国で最も効果のあった政策誘導は医療機関に対する診療報酬の支払期間短縮です。電子請求の場合には、必ず15日以内に支払い、逆に紙レセプトによる請求に対しては40日後に支払いを遅らせたのです。

岡部:ウオン建ての定期預金金利が5%くらいと高い状況ですから、医療機関にとっては、25日も早く支払われるメリットは大きいでしょうね。しかし、電子化されたと言っても、15日以内にレセプト審査を終えるのは無理ではありませんか。組織が分かれているので、公団での処理にも時間が掛かるのではありませんか。

:HIRAが行なう審査の90%くらいはコンピュータ・プログラム化されており、瞬時に審査できます。公団でも、35件ほどのチェック項目があります。この処理も全面コンピュータ化されていますが、最低三日は必要です。そこで、15日以内に、請求額の90%を概算払いし、人手を使っての審査を必要とするレセプトなどは審査が完了次第、残額を清算して支払う方式を採っています。

岡部:それは合理的ですね。他には、どのような政策誘導策が採られたのでしょうか。

:レセプト電子請求化のプログラム開発や通信機能だけではなく、機器の供給や医療機関への助言サービスなどを一括してすべて韓国テレコム(KT)に委託したことが大きな効果を挙げました。KTも民営化直後であったため、公共サービスIT化のモデル・ケースとして、レセプト・オンライン化に取り組んでくれました。KTとは2012年までの独占契約を締結しましたので、KTは医療機関側でのIT化投資を抑えるために、設備やソフトを安価で提供し、そのコストを長期にわたって通信料で回収するといった戦略をとったのです。このサービスは中小の病院や診療所には、大変好評でした。結果的に見て、KTにとってもHIRAにとっても、まさにウィン・ウィン・ゲームであったものと評価しています。

岡部:KTとの独占契約が2012年に切れた後はどうなるのでしょうか。

:この独占契約は当初は2010年まででしたが、それではKTの負担した費用が回収できないということで、二年延長されたものです。その後は、HIRAも医療機関も自由に機器のベンダーや通信会社を選ぶことが出来るようになり、自由競争市場に転換します。

岡部:なるほど、よく分かりました。公団やHIRAがIT化によって享受できる省力化のメリットに大きなものがあることは分かるのですが、医療機関側にも歓迎されているのは素晴らしいことですね。

:医療機関にとっては間接的なメリットも数多くあります。たとえば、HIRAは全国計数を集計して、診療行為別の平均請求額を医療機関にフィードバックしているので、それを自院の額と比較して対応策を講ずることができます。また、医療機関と薬局間でのデータ交換システムも開発されつつあります。

岡部:日本では、韓国のレセプト・オンライン化が医療費の削減にも大いに寄与したという情報が流布されているのですが、そのような分析結果が出ているのでしょうか。

:公団やHIRAがそのような数字を出したり、分析を行なったりしたことは一切ありません。韓国の研究者がそのような分析をしたということもありません。日本で出されたレポートの中で、HIRAが公表している計数資料から電子請求と紙ベースのレセプト一件当たりの平均金額を移行期であった2005年まで数年間にわたって比較し、「電子請求されるレセプト一件の診療報酬は紙レセプトよりもおおむね二割程度金額が低い」という事実を指摘されていると聞きました。これを電子請求化による医療費抑制効果と判断されているようですが、この間も韓国の総医療費は上昇を続けており、レセプトの請求方式が変わっただけで、医療費が抑えられたという証拠はどこにもありません。

岡部:そうでしょうね。電子請求化は一件当たりの請求金額の大きい大病院から順次進んだそうですから、電子請求レセプトの金額の方が紙ベースに留まっていた小規模の診療所や薬局の請求額よりも常に大きくなっていたことは当然ですね。

:それに、電子化レセプトについては、従来の月単位の請求に加えて、週単位での請求も認められるようになったりしており、電子化によってレセプト件数がかなり増えたという要因もあります。
 電子化の効果には、さきに申し上げましたように、医療の質の向上への寄与などの間接効果の方が大きいので、直接費用の節減だけを強調すべきではないと思っています。
 レセプト電子化推進の当事者である私自身、電子化による医療費抑制の意図はまったく持っていませんでした。先日も、日本からお見えになった保険医協会の幹部の方から、日本の政府はレセプト電子化によって、医療費の抑制を図っているので、反対しているというお話を伺って、怪訝に思った次第です。

岡部:よく分かりました。

〇 HIRAに蓄積されたレセプト・データの活用

岡部:HIRAが5年間で5,000万人以上のレセプト・データを集積したナショナル・データ・ベースは、世界でも最大規模の個人医療情報であるものと伺っています。審査業務に加えて、このデータを活用した療養給付の適正性評価、医薬品の適正使用評価、それ以外のレセプト・データの医学・医療経済学研究への提供などは、どの程度進んでいるのでしょうか。具体例をお聞かせください。

:HIRAは2000年から療養給付費の適正性評価プログラムを策定し始め、療養給付サービスに対する医薬学的な妥当性・費用効果についての評価を行なっています。評価対象は、血液透析、帝王切開分娩、コンピュータ断層撮影(CT)、薬剤給付の妥当性など、現在では15項目の適正性評価を行なっています。評価対象項目別の評価指標は、文献調査、専門家の意見などを参考にして、信頼性・妥当性を検証しながら開発しています。

岡部:これまでに実施された個々の評価結果は公表されているのでしょうか。また、評価に基づき、診療報酬支払の差別化が行なわれているのでしょうか。

:2006年2月以降、適正性評価の結果を療養機関別に公開しています。これによって、医療機関の適正診療への誘導が進み、国民の診療選択時にも利用されています。
 すでに公開した主な評価項目には、風邪への抗生剤の処方率(2006年2月)、注射剤の処方率(2006年5月)、帝王切開分娩率(2006年7月)などがあります。この評価結果の公表によって、抗生物質の過剰投与はかなり是正されました。
 今後とも、評価結果に対する受容性、国民への波及効果などを考慮して次第に公開項目を拡大していく予定です。保健福祉部は評価結果に基づいて報酬を支払う計画を持っており、現在そのための研究をしています。
 医療機関に対しても、適正性評価の結果が優れている病院には、給付費のインセンティブを与える方向で、今年から急性心筋梗塞、帝王切開分娩について42の総合専門医療機関でモデル事業を開始しています。医療の質を体系的に向上させるために評価対象を拡大するとともに、評価項目に対する重症度の補正など、医療界の受容性を高められる科学的な評価方法の確立が必要です。
 また、レセプトの電算化に加えて、適正性評価のための日常的な資料収集システムを電算化する必要があり、IT化の需要はますます多様化しています。

〇 公団の被保険者向け情報提供サービスについて

岡部:IT化の一環として、公団は被保険者個人に保険料の支払状況や診療明細についてインターネットを通じて提供しておられると聞いていますが、どのような方式で行っておられるのでしょうか。

:被保険者個人が、過去一年分の診療の内訳や診療報酬の総額、個人負担の額などをネット上で閲覧できるサービスを開始したものです。このサービス開始の本来の趣旨は、患者向けのサービスという面ももちろんありますが、同時に受診者個人が診療内容をチェックできることで、医療機関の不当な請求を防ぐのが目的でした。
 ところが、このサービスを民間の保険会社が悪用するケースが頻発したため、現在は過去三ヶ月分の情報しか見られないように、制限しています。

岡部:診療情報は個人情報ですから、被保険者本人だけしか閲覧できないようにセキュリティが掛けられているのでは。

:もちろんIDとパスワードがないと見られないようにしてあります。この診療情報は本人しか見られないのですが、民間保険会社のセールスマンは、お客さんに加入を勧誘する際に公的医療保険の受給状況や病歴などを聞き出そうとします。そのお客さん本人がネットで調べればよいのですが、面倒なので渋っていると、「じゃあ、私が代わりにやりますよ」とセールスマンがIDとパスワードを教えてもらって、自分のパソコンで閲覧するのです。

岡部:それはひどい話ですね。

:そういった問題がありましたので、セキュリティ対策として、IDとパスワードに加えて、本人確認のための「公認認定証」というものを加えることを検討中です。それができれば、期間は一年かそれ以上に拡大する方向で考えています。ただ、期間を長くしても、加入者の利便性がさほど高まることはないと考えています。

○公団が開始した健診事業について

岡部:公団発足後に新たに開始された被保険者向けの健康診断については、どのような施策をとっておられるのでしょうか。健診の費用負担はどのようになっているのでしょうか。

:被保険者に対する健康診断事業は、支払業務などのIT化で浮いたスタッフも活用して、2003年から始めましたが、まだ緒に就いたばかりでこれから充実を図らなければならない課題です。
 現在は、40歳以上を対象とした社会人健診を原則として二年に一回行なっています。非事務職の方には、毎年一回行なっています。この健診は、採血を含め22項目(異常があった場合には二次健診、8疾患、28項目)の一般健診とがんの特定検診(胃がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん)に分かれています。一般健診の平均的な費用は27千ウオン(約3,900円)、特定健診は28千ウオンで、一般については100%、特定については80%(低所得者は100%)を公団が負担しています。
 さらに、今年から「生涯転換期健康診断」と称する、40歳と66歳の人を対象にしたオーダーメードの健康健診を開始しました。

岡部:対象者が40歳以上に限定されているとは言え、公的保険で健診を二年に一回、全国民を対象として費用は公団が80%~100%を負担して行なっておられるのは、素晴らしい制度ですね。その効果は挙がっているものと評価しておられますか。

:この社会人健診制度に対しては、国民はまだ少し不満を持っています。というのは、検診項目の数が少なく、レベルも低いのです。それで、健診の受診率もまだ低い現状です。徐々に向上してきてはいますが。
 ただ、過去4年間に健診結果の情報がかなり集積されましたので、これによって事例管理や慢性疾患管理のための有用な資料が得られました。健診結果と診療内訳があれば、それを見比べて研究資料として使うこともできます。そういった資料を外部の研究者から、研究目的で要請されるケースが非常に増えてきました。そういう研究目的の資料として使えるようになったというのは、すごくよいことであったと評価しています。

岡部:健診が医療費の抑制に大きく貢献するというような感じはお持ちではありませんか。

:私の領域ではありませんが、まだそこまでは参りません。まず、無料健康検診の対象を、39歳以下にまで拡大すること、それから健診項目を増やすことが先決です。

岡部:ところで、診療データと健診データを名寄せして統合する計画はお持ちでしょうか。

:公団としては高血圧や糖尿病など慢性疾患分野の予防活動に高い関心を持っており、これには診療情報と健診情報のドッキングが不可欠です。その必要性を認識して公団では、診療データと健診データを連係させた研究が活発になされています。今後は、検診者の診療内訳を追跡して管理し、研究するといったコホート事業も実施していく計画です。

岡部:韓国の医療保険改革の成果がよく分かりました。本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。

(2007年6月、医療経済研究機構発行「医療経済研究機構レター・Monthly IHEP」No.158, p1~7所収)

 

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